Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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こんばんは。きついです……。平日忙しければ休日忙しくないと思ったか?と言わんばかりに襲い掛かるやることやること。周一すみません。


22話 VSレム ②

 

 

 

 ざわめく森。

 

 自然に迷路を描くように不規則に立ち並ぶ木々の隙間を、止まることなく二つの陰が縦横無尽に駆け回る。

 

 一方通行とレム。

 二人の戦いはフィールドを徐々に広げ、最初にいた崖からはもうかなり離れている。

 

 二人の競り合いはどれくらい経っただろうか。この状況で一方通行は僅かな焦りを感じていた。

 

 一見かよわい少女。だが繰り出される拳は見た目の華奢さに反し、木々をなぎ倒し大地にひびを入れた。

 

 明らかに常識外れの豪腕。更にその力を一方通行は掌握することができなかった。考えられる理由は──

 

「オマエ、人じゃねェな」

 

「種族的な話をしているのであれば正解です」

 

 答えは至極単純。目の前の少女はそもそも『人間』という種ではないのだ。その特性なのか、彼女の打撃にはマナの流れが見て取れる。

 

(なるほど。通りで演算に誤解が生じるわけだ)

 

 大気中にあるマナと違い、一度誰かの──例えばレムのゲートに取り込まれたマナは『大気中のマナ』から『レムのマナ』へと変化する。

 

 一方通行の知る力とは『単位』が違うのだ。大気中のマナならいざ知らず。『レムのマナ』となると、その姿形は全く別のものに変化する。事象からいくら計算してもその答えにはズレが生じ、下手すればダメージを負ってしまう。

 

 『レムの公式』を暴かなければいつまでたってもジリ貧である。

 

 だがそれを感じているのはレムも同様。自由自在といってもいい一方通行の運動量、その立ち回りに対しまともに攻撃がヒットしない。

 

 だが彼女もバカではない。相手の動きを観察し、最善手を常に模索している。

 

 そこでレムは新たな試みに出る。

 

「『ウル·ヒューマ』」

 

 数発の中くらいの大きさの氷が一方通行に襲い掛かる。

 

「っ……」

 

 不意をつかれ、レムの魔法は一方通行に直撃。盛大に土煙を上げる。

 

 立ち止まり、煙の中心を凝視するレム。

 晴れていく土煙。まず見えたのは紫色の光だった。それは徐々に濃くなり、すぐに何かを地面に描いているのだと分かった。

 

 くっきり浮かび上がる謎の幾何学模様、そしてその中心に立つ一方通行はその紅い瞳を真っ直ぐレムに向けていた。

 

 訝しげな目で見るレムだが、数秒後何かを思い出したかのように言った。

 

「あまり時間もありません。そろそろ終わりにしましょう」

 

 同調するように一方通行が言う。

 

「あァそりゃいい。俺もあまり、時間がない」

 

 その言葉を合図に、光を濃くする魔法陣。直後一方通行の魔法がレムに牙を向く。

 

「『アル·ドーナ』」

 

 地震で大地を破壊し、操る魔法。一方通行ならセルフでも可能だか、この魔法と併用することで利用できる力が増え、能力だけの時と比べると雲泥の差が生まれる。

 

 結果、地割れとともに砂岩はレムを飲み込み、そこに一つのミニピラミッドができた。

 

「……ハァ、ハァ、死んで、ねェ、だろォな?」

 

 襲いかかってくる疲労感にたまらず膝をつく一方通行。魔法陣はとっくに消え、滴る汗が地面に落ちる。

 

「チッ、『アル』を一つでこれか……」

 

 魔法の威力を上げようとすれば、必然的に使うマナの量が増え、負荷が重くなる。

 

 今回、試験的に使った魔法。『ドーナ』は一方通行の能力と相性が非常にいい。ベクトルがない場所に魔法によって無理やりベクトルを発生させる、自分の魔法で発生させたベクトルは間接的に自分と繋がっているため、能力の効果範囲内を無視してベクトル操作を中距離でも可能にできる。

 

 そんな鬼に金棒な戦術。もらえば再起不能は免れない、はずだった。

 

 一方通行は感じる。先程まで身近に感じていた気配を。

 

 まさか、と思った頃にはもう遅い。

 

「さようなら」

 

 振り向いた瞬間、投げられる別れの言葉。咄嗟に手を振るおうとするも、レムの手は既にこちらに向けられており、一方通行が動く直前に魔法が発動────

 

 

 

 

 

 パンパン、とスカートの汚れを払うレム。彼女は一方通行に対して魔法は通用する、というのを一回の魔法で看破した。その時既に終着点を決めており、隙が生まれるまで回避に徹したのだ。

 

 最後に自分の後ろに立つモノを見る。ため息をつくと、すぐに本命の元へと走って向かった。

 

 

 

 ────後に残されたのは、巨大な氷像だけだった。

 

 

 

 




お疲れ様です。
戦闘シーンとか苦手すぎてあっさりになってしまい申し訳ない。物語が進むうちに上手くなることを願ってます。とりあえず語彙力上げます

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  • エミリア
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