Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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おはようございます。まぁ寝てないんですが。
やはり周一かワンチャン土日にもう一個上げます。今回も難しくてどんな風に書いたらいいのか分からない部分が多くありましたが、よろしくお願いします


23話 VSレム 理不尽の形

 

 一方通行とレムの戦いが終わりを迎えた頃。

 

 スバルは何故か元の崖で一方通行の帰りを待っていた。一方通行がレムの相手をしてくれているのだ。助けを呼びに近くの村かロズワール邸に走ってもいいはず。それをしなかったのは彼が臆病で、そして何より保身に走っているからだろう。

 

 スバルは『今のうちに助けを呼ぼう』よりも『一方通行の近くにいるのが安全』と考えた。考えてしまった。

 

 それは信頼とは言わず、一方的な押し付けだ。そんなことは頭にはなかった。

 

 そして今、気付くことになる。

 

 コツコツと近づいてくる足音。希望と絶望が見え隠れする刹那。

 

「っ──ちっくしょぉぉーー!!」

 

 その姿を確認した瞬間。あらかじめ木に結びつけておいたロープを持ち、崖から飛ぶと、壁に足をかけてブレーキをかけながら降りた。

 

「くそっ、くそっ、くそーー!!」

 

 無我夢中に走る、走る、走る。

 

 己の体力など気にせずひたすら下を向いて走り続けた。

 

 ひょっとしたら逃げ切れるんじゃないか、という期待などではない。単純にそれしかできないのだ。迫る『死』を先伸ばしにすること、それしか頭にはなかった。

 

 だが現実は非情だ。

 

 必死の抵抗もその手段を奪われる。飛んできた氷が片方の足に突き刺さり、その場に倒れ、更にダメ押しとばかりの追い討ちがもう片方の足を襲った。

 

「がっああぁぁぁーー!!」

 

 地べたに這いつくばり、両足にかかる強烈な痛みを押さえようと手を伸ばす。

 

 だがおかしい。いくら伸ばしても自分の足にはたどり着かず、その手は地面を擦る。

 

 怪訝に思い、恐る恐る自分の下半身を確認する。

 

「かっ、あ、あぁ……足がぁっ、あああぁぁーーーー!?」

 

 左足には大きな氷塊が突き刺さり、感覚がない。

 

 そして右足はそもそもその姿が見えなかった。太ももから下がえぐりとられており、ひたすら流れる血、血、血。地面に扇を描くように血が吹き出していた。

 

「うぅ……っ……」

 

 そして更に近づいてくる死の気配。

 

 この時最早スバルはそれを受け入れてしまいたかった。持続する痛みは収まらず、更にその熱を大きくしている。それこそ死んだ方が遥かにマシだと思ってしまうほど。

 

 そしてそんなとき、後ろから微かに聞こえる無機質な声。

 

「やっと追い付きました」

 

 その声は耳には入っても頭には入っていかなかった。今にも沈んでしまいそうな意識をなんとか保つ。それだけに残る全ての力を使っていた。

 

「痛いでしょう、苦しいでしょう。少し待っていてください」

 

 そんな慈しむような言葉もやはり理解できず、ただその場で意気消沈しているスバルを前に、レムは両手を伸ばすと

 

「水のマナよ、この者に癒しを──」

 

 その言葉の直後、スバルは自らの苦痛が引いていくのを確かに感じた。そしてはっきりとしてくる視界に映ったのは、淡い青色の光が下半身を包み込むように浮かんでいる光景だった。

 

「っ……ハァ、ハァ、何の真似だ」

 

 苦痛と恐怖で縮みあがっていた喉も少し回復し、僅かな発声が可能になる。

 

「せっかく生き延びたのに直ぐに死なれてしまっては、なにも聞き出せませんので」

 

 そんなことだろう、とは思うものの、僅かに期待してしまっていたことが絶大なダメージとなって心に返ってくる。

 

 いっそ殺せよ、と心の中で叫ぶのだ。

 

 そんなことは気にもせず、レムは「それでは」と前置きし、

 

「お聞きします。あなたはエミリア様に敵対する候補者の陣営の方ですか?」

 

「……俺の心はいつどんな状況でもエミリアたんのものだ」

 

 答えた瞬間、鋭い激痛が上半身に走った。見ればレムはちぎれたモーニングスターの鎖部分を持っていた。それで殴られたらしい。

 

「誰にいくらで雇われたのですか?」

 

「エミリアたんの笑顔にプライスレスで」

 

 そして再び強かに打ち付けられる鉄の鎖。

 

 それからしばらくそんな事の繰り返し。その回数分アザができ、スバルは感覚が麻痺して痛みを感じなくなってきた。

 

 そして、

 

「──あなたは、魔女教の関係者ですか?」

 

「魔女、教……?」

 

 聞いたことのない単語に困惑するスバル。何か意味のある言葉なのかもしれないが、不用意に適当に答えることをやめ、その返事を保留する。

 

「答えてください。あなたは『魔女に魅入られた者』でしょう?」

 

「ハッ──」

 

 その質問に意図せず笑いが漏れる。

 

 ──コイツは何を言ってるんだ。

 

「魔女だぁ? 魅入られただぁ? コレのどこに魅入られる要素があるんだ? 俺の使えなさのなんたるかはお前が一番知ってるはずだぜ?」

 

 自嘲気味に言うスバル。

 

 一回目の世界で彼が最も触れあったのはエミリアではなくレムなのだ。業務時間のほとんどを共に過ごし、自分のできること、できないことを一番知っているのはレムだった。

 

 それなのに、

 

「あなたのことなんて知りません。それより質問に──」

 

「だろうなぁ! 分かってんだよんなこと! それでもなぁ!!」

 

 自分の限界まですり減った体力に鞭を打ち、レムの言葉を遮って叫ぶスバル。

 

「料理を一緒にしたことも! 洗濯してるとき俺のミスで二人して泡だらけになったことも! 中途半端な掃除に怒られたことも! 寝坊するラムを起こしに行ったことも! 二人で村まで買い物に行ったことも!」

 

 そこで一度切り、息継ぎする。

 

「全部……全部、俺の中に残るもんにはお前だっていたのに……なんで消えちまうんだよ!!」

 

 その言葉のほぼ全てがレムにとっては身に覚えがないものだ。

 

 故に、

 

「何を……言っているんですか?」

 

「……お前が俺にくれた大切なもんだよ」

 

「そんなこと、記憶にありません」

 

「はッはは……分かってるっつったろ……ったく、俺の何が悪いんだよ……俺の何が気に入らないんだよ。俺はやっと、好きに、なれたのに……」

 

 元いた世界では決して見れなかった、周囲の人間に恵まれた色のある世界。それをないことにされてはたまらなかった。

 

 スバルはあまりの理不尽に呆れ果て、それ以上言葉を紡ぐことはなかった。

 

「レムは──」

 

 何かを言おうとするレムの言葉は、『死』というタイムリミットに遮られ、耳にすら入ることなく、虚空へと消えた。

 

 

 




お疲れ様です。
いやぁなぁなんか……でも頑張ったので許してください。アドバイス随時募集しておりますm(_ _)m
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