Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう) 作:因幡inaba
メイド姉妹とベアトリスが居なくなった部屋で呆けていた一方通行。
『未熟なのは青髪の方なのよ』
ベアトリスの言葉を頭の中で転がし、その意味を考える。だが、どれだけ考えてもその答えは出なかった。
レムとラムの間にある差とは。
仕事という面では考えるまでもない。性格はかなり違うが、どちらにしても悪いとは言えない。容姿はどうか。顔は瓜二つだし、身体的特徴でいえば発達しているのはむしろレムの方。
「はァ」
思わずため息が漏れる。
この世界に来て分からないと思うことは幾らでもあったが、そのどれもが調べれば分かる程度のものだった。
今回に限っては調べようがないし、ベアトリスに聞くのは本当の最終手段だ。主に彼のプライド的な問題で。
「ホントに退屈しねェな、この世界はよォ」
舌打ちしながら呟く。そんな彼の不意を突くように、ガチャリと扉が開いた。
「……オマエか」
そこに立っていたのはナツキスバルだった。
その顔は寝不足を更にこじらせたような目付きになっており、立つこと以外には何の力も入ってないかのような脱力感を漂わせていた。
そしてその極端に鋭い目付きで言い放つ。
「嘘じゃないよな……? 俺たちが過ごしたあの五日間は、嘘じゃないよな! なぁ!!」
一度目の世界のことか……、と心のなかで呟く一方通行。
この様子を見るに、自分が死んだ後も世界は続いていたらしい──というのは後で考えるとして、今は目の前の問題に向き合う必要がある、と思い
「嘘だろ。少なくとも事実じゃ無くなってンだから、そりゃァ嘘だわな」
思っていることをそのまま言うことにした。
「……お前までそう言うのか」
「だがまァ……っと……オイ、話は最後まで聞けよ」
気づけばスバルは一方通行に殴りかかっていた。その拳は一方通行に当たる直前にやんわりと止まる。
まるで見えないクッションを殴っているかのように。
「っ……悪ぃ」
「ククッ、誤作動でも起きたって顔だな」
直ぐに拳を引き、手の感覚を確かめるように開いては閉じを繰り返すスバル。
一方通行は面白いものでも見ているかのように笑ったが、直ぐに真面目な顔になると
「あれは実際に起きた『嘘』だ。矛盾しちゃァいるがな」
空中を見ながら言う一方通行。
その言葉の意味が今一分からず、疑問を浮かべるスバル。そんなスバルの顔を見てまた笑うと、
「小学生かオマエは。そンなに『本当』にしてェンなら、
「あ…………で、でもっそれじゃあ、」
「それをハッピーエンドってやつにしてェなら、マイナス要素を取り除きゃァいい」
スバルが言いきる前に言う。当たり前のことだが、そこが大事なのだ。なぞるだけでは前回の二の舞となる。
「そ、そんな簡単にっ」
「難易度は関係ねェ。それとも少しハードになると追えなくなる程、オマエの求める『本当』は軽いモンなのか?」
「それは……」
スバルはそこで一呼吸入れると、
「そんなわけ、ないだろ」
そこで一方通行はニヤリと笑うと、
「分ァったら帰れ。俺はそのために考えることがあるンだよ」
「あ、あぁ! サンキュー! それと、ごめんっ、早とちりして」
心なしか先程より明るい表情で、手を合わせながら言うスバル。
「ヘーへー」
更に目に光を取り戻したスバルはいつもの調子で、
「それにしても、お前もそういうとこあるんだな。なんだかんだで好きな」
「しつけェ! さっさと出てけ!!」
「おぶっ!」
言葉を遮られ、一方通行が起こした強風により強制的に退室させられるスバル。
廊下に出されたスバルを閉め出すかのようにバタンッ!!! と必要以上に音をたてて閉まる扉。それを見てスバルは一言。
「男のツンデレ……俺は今新世界を垣間見た気がする」
寝起きの絶望感はどこへやら、いつもの目付きの悪さに戻ったスバルは鼻歌を歌いながら自室に戻っていった。
扉を勢いよく閉めた一方通行は、再び一人になった部屋で虚空を見つめながらふっと、
「もう、二度と負けねェ」
自らの罪を懺悔するように呟いた。
お疲れ様です。
次回更新も未定でお願いします。一週間……まぁ二週間以内には、と思ってます。今のとこ一週間で来てるのでできれば一週間にしたい、が評価でモチベ上下するので高評価お願いしまs何でもないです。ではまた!
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