Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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こんばんは、先に謝罪します。今回短いです。


31話 VSロズワール·L·メイザース ②

 

ダンッ!!

 

 一方通行の踏み込みと同時に斬撃が飛ぶ。

 

 地面を裂きながら迫るそれをロズワールは飛ぶことで回避し、

 

「《ウル·ゴーア》」

 

 流れるような動作で両手を広げ、頭上に巨大な炎を生み出す。

 

 

 それは先程までのモノとは明らかにレベルが違い、一方通行の立つ地面にまで強大な熱が届いている。

 

 

「オイオイ、眩しいじゃねェか──よォ!!」

 

 

 一方通行はその場で自分を中心に巨大な竜巻を作り出した。

 

 

 瞬く間にロズワールの《ウル·ゴーア》と暴風がぶつかる。

 

 

 とてつもないエネルギーとエネルギーがぶつかり合い、接点からは四方八方に紫電が走る。

 

 

 その状態で数秒保った均衡はやがて破れ、《ウル·ゴーア》は風に巻き込まれて天へと昇っていった。

 

 

 その結果を見て、ロズワールが呟く。

 

 

「相変わらず厄介な能力だ。更に出力を上げる必要があるみたいだねぇ」

 

 止んだ竜巻から一方通行が現れる。

 

 そのまま一方通行は飛んでロズワールと同じ高さに昇ると、

 

「面白ェモン見してやるよ」

 

 言いながら魔法陣を展開し、両手を広げた。

 

「気ィつけな。この世界にゃァねェかもしれねェぞ──」

 

 

 ────ゾクッ!!?

 

 

 一方通行を取り巻くその妙な雰囲気にロズワールは脅威を感じた。

 

 このままやらせるのは危険だと判断し、阻止にかかる。

 

 

「させんッ」 

 

 

 右手にマナを溜め、そのエネルギーを光線という形で放つ。

 

 

 一本の太い光が一直線に宙を駆け、一方通行を襲う。

 

 

 一方通行はそれに対し、エネルギーにはエネルギーをと自らの右手にマナをため、突き出す。

 

 

 球状にまとめたエネルギー体は、光線を受け流すように四方八方に散らせた。

 

 

 難なく無傷でやり過ごした一方通行は、準備を終えたとばかりにロズワールの目を見てニヤリと笑う。

 

 

「──よォ、『電気』を見たことがあるか?」

 

 

 ロズワールは思わず瞬きを加速する。彼が見たのは一方通行を囲むように走る、青い稲妻だった。

 

 

 チリチリチリとやたら高い音を奏でながら、現れては消えてを繰り返すそれは、徐々に色濃くなっていく。

 

 

 それを見たロズワールは一歩退き、顎を引いて目を細める。

 

(何だ、あれは…………)

 

 一方通行にとって日々当たり前のように触れていたソレは、ロズワールにとっては初見も初見。

 

 未知の力を前に、防衛手段を画策する。

 

 

 ──当然、それを待つ一方通行ではない。

 

 

 バチバチバチッ! と更に勢いを強くし、右腕に巻き付くように集まる稲妻。

 

 

 その右手をパンチの構えのように引いてから一気に突き出し、

 

 ────解放する

 

 

 

「《雷轟(ライゴウ)》ッ!」

 

 

 

 音速を越える青白い電流、目で追うことなど不可能な一方通行の攻撃に対し、ロズワールはなすすべもなく、

 

「ッ!? ガッ……ッ……」

 

 気付いた時には既に光は彼の体を通過点としていた。

 

 

 そして身体中に痺れるような痛みが走る。

 

 

 打撃とも斬撃とも違う、ロズワールといえどもこれまで味わったことのない刺激だった。

 

 

「ハァ……ハァ……この技名ッ、もっと何とかならねェのか……」

 

 言うまでもなく命名はスバル。

 

 『科学』と『魔法』の融合技。

 

 火属性のマナは熱量関係を司る。それは高かろうが低かろうが同じであり、炎の《ゴーア》も氷の《ヒューマ》も同じ火属性だ。

 火のマナに干渉して大気中に極端な温度差を生み出し、その間に発生するエネルギーを《一方通行》で自らの武器とする。

     ※温度差発電と呼ばれる発電方法

 

 

 学園都市の能力には『電撃使い(エレクトロマスター)』という

その名の通り電気を自在に生み出し操作するものがある。

 つまり『電気』を手に入れた一方通行は空前絶後と云われた『多重能力者(デュアルスキル)』も同じ。

 

 

 一方通行は最早『学園都市最強』という枠を大幅に越えていた。

 

 

(終わったか……? チッ、マナを使いすぎた)

 

 身体中が焼き焦げ、重力に従って落ちていくロズワールを見ながら思考する。

 

 

「ッ!? ……クソッ!」

 

 

 地面に着地する直前、ピタッとロズワールが宙で静止した。

 

 更にあふれでる青緑色の光がロズワールの全身を包み込む。黒がかっていた体はみるみるうちに平生の色を取り戻し、半回転して地面へと降り立つ。

 

 

「ロズワールゥゥーーッ!!」

 

 

 そこに高速で迫る一方通行。

 彼はその拳をロズワールへと叩きつける。

 

 

 だがその拳がロズワールの肉体を捉えることはなかった。

 

 

 回避され、空振った拳が勢いのままに大地を砕く。

 

 

「何ッ!?」

 

 

 更に目の前には回し蹴りの体勢のロズワール。そしてその足が一方通行の顔目掛けて放たれる。

 

 

(コイツ、何考えて──)

 

 

 その足は一方通行に当たる瞬間に反射される

 

 

 ──ハズだった。

 

 

 バキッ!!

 

 と鈍い音が響き、一方通行が蹴り飛ばされる。

 

 

「グァッ!?」

 

 

 何が起きた、と考える間は与えられない。

 

 

「《ゴーア》!」

 

 

 追い討ちとばかりに、三発の炎弾が一方通行へと放たれる。

 

 

 それらは的確に一方通行を捉え、一発、二発三発と次々と命中。

 

 

 吹き飛ぶ一方通行を更に加速させた。

 

 

「ガハッッ!!?」

 

 

 視界に映る景色がとてつもないスピードで変わっていく。

 

 脳で理解はしてないが、直感で不味いと感じる。

 

 

 そしてひとまず止まることだけを考えるが、そんな思考は無惨にも砕け散った。

 

 

 いつの間にか、頭上を並走していたロズワールに叩き落とされてしまったからだ。

 

 

「ドォアァァーーッ!!?」

 

 

 急降下させられ、ドゴッ! と大地に激突する一方通行。

 

 

「グッ…………ァ……ッ」

 

 疲労と体の損傷で身動きのとれない一方通行。

 

「さようなら、アクセラレータ君ッ!」

 

 これまでで最大の炎弾、炎の塊がロズワールの頭上でさらにその規模を広げていき、

 

「《アル·ゴーア》」

 

 ロズワールの両手の振り下ろしとともに一方通行へと迫る。

 

 

(クッソ……ここまで…………ッ──) 

 

 

 色濃くなる死の気配を前に、甦る辛苦の記憶──

 

 

 『自分』が世界から切り離される感覚。

  

 

 そして名前の付け難い、妙に胸を締め付ける一つの思い。

 

 ────『仲間』の期待に応えられない痛み

 

 

(俺はもう、二度とッ)

 

 

「ゥオオォアァァーー!!!!」

 

 

 気力を振り絞り、全力で周囲のマナを手繰り寄せる。

 

 

 一方通行を中心に地面に描かれる魔法陣はその紫色の輝きを増していく。

 

 

(この状態で《アル·ゴーア》は無理だ…………どうにか少ないマナで…………)

 

 

 少ないマナ量で強力な──

 

 

(そォかッ)

 

 

「……七芒星(シチボウセイ)、開門。《ウル·ゴーア》ッ!」

 

 

 エネルギーが集束されていく──── 

 

 

 直後、一方通行の手から放たれた巨大な炎が対の炎を飲み込み、天へと昇った。

 

 

 




お疲れ様です。
この二週間で書けたのはこれだけ。今日からはまた書ける時間が取れるはずなので次回お楽しみに
先に予告すると次回一方通行はレールガンを放ちます

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