Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう) 作:因幡inaba
一方通行じゃない、という評価を頂きました。
ふむ、でも性格とかが変わるのは仕方ないのでは……。
キャラ崩壊タグ入れた方がいいですかね? よければ感想お願いします。
「なんだ……何なんだ君は…………?」
赤と青のオッドアイ。
その瞳を震わせながらロズワールが言う。
自らが放った最大威力の魔法が跳ね返され、動揺を隠せないロズワール。
やがて晴れていく煙の先に見えたのは、
「《
片手をこちらに向け、ニヤリと微笑を浮かべる一方通行。
その神経を逆撫でする行為に、ロズワールは更に眉間にシワを寄せる。
「気に入らないッ……今さらこの場所で……
かすれそうなほどの大声で叫ぶロズワール。
その叫びに呼応するように両手に炎が灯り、未だに地面で魔法陣を展開し続ける一方通行へと放たれる。
高速で迫るロズワールを前に、両手を交差し、ガードの体勢をとる。
ガッ!
とロズワールの長い脚が一方通行の腕を捉える。
後方へ飛ばされる一方通行。
「チィッ! ンで俺に触れれるッ!?」
先ほどから少し不思議なくらいに一方通行に対して疑問と
その反対に一方通行もまた大きな疑問を抱えていた。
────何故アイツは『一方通行』を越えてくるのか?
だが今それを考えるのは得策ではない。相手に『一方通行』が通じないのであれば、近づかないまで。
「《ゴーア》!」
一方通行は苦し紛れに火属性魔法を放つが、当然、
「《ウル·ゴーア》」
ロズワールは同じ魔法で返す。
それも威力は一方通行の倍以上のものだ。
一方通行の《ゴーア》はあっけなく飲み込まれてしまう。
「クッソがァァァァーーーーッ!!」
大気を思いっきり殴りつける。
発生したドス黒い空気弾が、迫る《ウル·ゴーア》とぶつかる。
ロズワールと一方通行の中間で大爆発が発生。
周囲の空間を震わせた。
(この世界のモンじゃダメだッ! 『電気』じゃねェとッ……)
息を切らし、ボロボロに汚れた一方通行と、服こそボロボロだが普段と変わらぬ肌色を保っているロズワール。
どちらが優勢かは、一目瞭然だった。
「どうした紋章術師。この程度ではないハズだ」
「アァッ……? さっきから、なァンで紋章術師にこだわる?」
「知っているだろう? この世界の歴史上、紋章術師の二つ名を持ったのはただ一人、」
「「賢者シャウラ」」
声を被せた一方通行は更に問う。
「それと何が関係ある?」
「賢者はその強大な力を、たった一人の人間の為だけに使った。いついかなる時も、賢者の行動理念はたった一つ。『その人間を守ることに繋がるか』だ」
俯き、拳を握り締めるロズワール。
「そうだ。賢者は救えたはずだ。もっと大勢の人間を…………僕の、大切な人をッ!!」
────!?
風が一方通行の髪を扇ぐ。
「賢者が生きていたのは400年前だぞ……? テメェは────」
「僕は、『紋章術師』を認めないッ! 認めるわけには行かないんだァァーー!!」
赤青緑、三色に輝く球体がロズワールの周囲に次々と現れる。
それに感化され、一方通行も歪な笑みで返す。
「ハッ、トンだトバッチリだが! 元よりこっちは本気で殺る気なンだよッ!!」
バチチチチッ!!
自分を中心に電気を巡らせた。
「「ウォォオォォーーー!!!」」
宙を舞う幾つもの光る球体。
それを次々と
球体が撃ち抜かれる度に小さく爆発が発生し、それは球体の数の分だけ連鎖する。
その爆風と爆煙に乗じて二人は同時に接近、
煙の中で互いの拳が交わる。
バチッ!!
肉と肉がぶつかり合う音が響き、その衝撃が周囲の煙を一気に払う。
一方通行は直ぐに拳を引き、反対の拳でロズワールの顔を狙う。
それをロズワールは体を横に傾ける小さな動きで回避。
自らの肩を通り抜ける一方通行の腕を両手で掴み、背負うように投げ飛ばした。
空中で回転した一方通行は逆さまの状態で魔法陣を展開。
その拍子にポケットからこぼれ落ちる数枚の硬貨。
「ローレンツ力を知ってるかッ?」
宙にアーチを描くコイン。その中から一枚を右手で掴み、
「《
吹き荒れる衝撃が一方通行の髪や衣服をはためかせる。
音速で放たれた硬貨がロズワールを狙う。
ロズワールはバッ、と即座に体を横に傾ける。
だが完全に避けるには至らず、かすった部分の服が焼け飛び、肉を抉るように一本の線ができた。
「クッ……」
悲痛の声が漏れる。
ロズワールは先ほどのように、即座に回復ということをしなかった。
──いや、できなかった。
(マナが……全身の回復は負荷が掛かりすぎたかッ)
国一番の魔導師といえど、人間一人にゲートは一つ。いくら才に恵まれていても、使えるマナには限りがある。
ロズワールのマナ
「ウオォオォォッ! 《
バチバチバチッ!!
突き出した右手から伸びる電撃がロズワールを貫く。
それを見届けた一方通行は演算すらままならなくなり、地面へと落下。
仰向けに寝転び、ロズワールを見入る。
「グッ…………これで────ッ!?」
驚愕。
今の一方通行の状態を表すのにこれほど適切な表現はない。
一方通行の最後の電撃は、間違いなくロズワールを貫いた。
だがロズワールが落下を始めることはなかったのだ。
ピクリとも動かず空中で静止している。
「────だッ」
今にも消えそうな声がその場に響く。
「僕は、負ける訳には行かないんだ」
身体中に走る激痛に耐え、拳を握りしめる。
「紋章術師に、負ける訳には行かないんだァァーー!!」
地面の一方通行を見下ろし、魔法を行使する。
硬く握り締めた拳から放たれる、太く透き通るような虹色の光線が一方通行を狙う。
(体がッ……)
一方通行は身体を動かすことができない。
蓄積したダメージ、そして魔法陣による疲労。
それらがここで一気に精算され、一方通行の体を縛り上げる。
「ッ────」
遂に少しの抵抗もできず、一方通行は虹の光線に飲み込まれてしまった。
────────────────────
────消え入る意識の中で、走馬灯のように駆け巡る記憶の一端。
「うおおおぉぉーー! すっげぇーー!!」
パリパリ、と可視できる程の電気エネルギーを周囲に巡らせる一方通行を見て、眼を輝かせるスバル。
「いいか? コイツはこの世界じゃ未知の力だ。覚えとけ、
パチン、と指を鳴らすと電気は霧消。
そのまま魔法陣も消える。
「天気なンか分かりやすいだろ。この世界にそれを予報する術はない」
「…………」
腕を組んで黙りこむスバル。
「オイ、聞いてンのか?」
「……一方通行」
「あァ?」
「さっきの電気技、『
バキッ!!
「グッハァァーー!!?」
「テメェはもう何回か死ンだ方がいいらしいな! このクッソ役立たずがァァ!!」
「ノォォーーッ!?」
涙目で飛び回るスバルと追いかけ回す一方通行。その地獄の鬼ごっこは数十分続き、終わる頃にはスバルの上半身は地面に埋まっていた。
「フン、バカが」
「ブヘッ。ダァ痛ッたたた……」
起き上がり、ジタバタと暴れるスバル。
数分それが続き、落ち着いたスバルは、
「……つくづく、お前が居てよかったよ」
胡座をかいて改まり、感慨深げに呟く。
「アァ?」
「なんつうか、俺はそっち方面はからきしだからよー。お前が居なかったらと思うと、ゾッとするぜ」
エルザの一件を思い出し、身震いするスバル。
「……」
「正直不安だったんだ。こんな左右も分からない世界で、なんの力もない俺が生きていけるのかって」
「──『
「…………フン。そう思うならちったァ役に立ちやがれ」
「グッ……まぁその辺は俺も頑張るって! これからも頼むぜ、
ガラガラガラ
瓦礫をかき分け、立ち上がろうとする一方通行。
「あァッ……体がイカれちまいそうだ……メチャクチャしやがる」
「立ち上がるその気力は流石の一言。だが、次で終わりのようだねぇ」
手に
「野郎ォ……グッ!?」
ヨロけて膝をつく一方通行。
あまりのダメージ量に既に肉体は限界、能力で電気信号を操り、無理やり体を動かしているのが現状だ。
「既に体は限界だろう。それでも立ち上がるのは……いや、戦うのは何故だ?」
そう問いかけるロズワール。
一方通行は顔を上げ、微笑を浮かべる。
「……さァな。俺だって不思議なモンだ」
これまで、一方通行にとって戦う理由は大体一つだった。
────『怪物』『化け物』『人格破綻者』
あァ、それは知ってる。最も簡単な理由だ。
────『仲間』『友達』『相棒』
それは…………
「意味が、分からねェッ。……分からねェから、負けるわけにはいかねェッ!!」
それを聞き、ロズワールはクツクツと笑い、言う。
「戦う理由は単純だ。何かを守りたい、と思う限り、戦い続ける。かつて私はそれを放棄し、戦場から逃げ出した。そして自分より力がある賢者に責任転嫁した」
それは目の前にいる一方通行にではなく、自分自身に言い聞かせる嘆きの言葉。
「だからこそ、今度こそ私はその覚悟を持ってみせる! さらばだ! 《アル·ゴーア》ッ!!」
太陽と見間違える程の特大の炎。
地面にすら焼き色をつけるほどのソレに、飲み込まれた人間は骨も残らないだろう。
それが正に一方通行に直撃する──瞬間
パキンッ!!
と割れるように炎が消える。
いや、マナに帰ったといった方が正しいかもしれない。
場にはキラキラと
「コレは……まさか『
立ち上がった一方通行の背には、透明な翼のようなモノが見えた。
それは幻覚かとも思うほど透明度が高く、目を凝らしてやっと見えるか見えないか。
まるで水が翼の形をしているかのようだった。
(なン、だ? 誰かに干渉されて…………)
一方通行はその不可思議な現象の中に、誰かとの繋がりを認識した。
それを深く考える時間はない。
──今は、
(借りるぞ、この力)
「気付いてるかロズワール。天へと昇った二つの魔法」
未だ動揺の解けないロズワールは黙り込むしかない。
「大気を焦がす程の炎属性魔法は、確実にあるモノを生み出す」
ポツン、ポツン、と何かが二人のの肩を触る。
「雨……」
いつの間にやら、辺りには大きな影が覆い被さっていた。
「上昇気流……雷雲だ──」
「クッ……まさか!?」
透明の翼をはためかせ、天へと駆ける一方通行。
ロズワールはそれを追いかけるように魔法を放つ。
「《ウル·ヒューマ》」
次々と現れる氷の槍が一方通行へと向かう。
だが、それらは透明の翼に触れた瞬間消え去り、幻想的な光の雨を降らせた。
ピッシャァァーーンッ!
暗くなりかけた辺りを轟音と光が一瞬照らした。
暴風雨とともに雷雲が暴れだしたのだ。
「来いッッ!!」
一方通行が雷を待つように手を掲げる。
その光景を前に、ロズワールは更なる驚愕を示す。
「雷すらも、味方につけるというのかッ!?」
だが、最早遅かった。
ロズワールは『防御』という言葉を見失ってしまっていた。
ただその場に立ち尽くす。
「これでッ!! 《
一瞬。
強大な光がロズワールを直撃し、
その数瞬後、
ピシャァァーーン!!
と遅れ、雷鳴が鳴り響いた。
地を貫くばかりの雷。
ロズワールは今度こそ意識を手放し、地面に倒れ伏した。
そして一方通行からは次々と何かが失われていく。それは色かもしれないし、生気かもしれない。
キラキラと光る
落雷の瞬間まで一方通行を包み込んでいた何かは完全に消え去り、
「ハッ……クソ科学も、捨てたモンじゃ、ねェ……な」
この言葉を最後に、学園都市最強とルグニカ最強の戦いは終結を迎えた。
──地面に転がる二つの影を、雨はその世界の終焉まで打ち続けた。
お疲れ様です。
ロズワールが一方通行を貫ける理由はまだ先です
そして多分いつかリメイクします。あまりにも戦闘描写下手なんで……
九月二十九日
轟音→雷鳴 編集しました
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