Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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1日1話といったな。あれは嘘d...


2話

「それ以上の狼藉は見過ごせないわ。そこまでよ。」

 

 世界が激変したような。

 先程までの薄暗い路地裏ならではの雰囲気はそこにはない。

 

 美しい少女だ。

 身長160㎝程。腰まで伸ばした銀髪がよく似合い、その目は強い意思、並びに美しさと幼さを醸し出している。一見豪華に見える装飾も少し注意すれば最もシンプルで少女の存在感を膨らませる。唯一の刺繍である『鷹に近い鳥』の紋章も少女の美しさの添え物にすぎない。

 

 一方通行の隣に立つスバルは既にその少女に目を奪われている。

 

(まァた面倒なことに……) 

 

 としか思っていない一方通行からすると少女の存在は迷惑でしかなかった。

 

「何の用だ? 見ての通り今は忙しいンだがなァ」

 

「それなら話は早いわ。私から盗ったものを早く返して」

 

 一方通行の迫力に怯みもせず堂々と少女は言ってみせた。

 

「盗ったもの……だと? おいスバル早く返してやれ」

 

 一方通行は顎でスバルに返せとジェスチャーした。

 

「いや、俺じゃないぞ。ていうか多分お前が来る前に通った子だと思うんだ」

 

 スバルは物こそ知らないものの心当たりがあるらしい。

 

 話によると一方通行が助ける前路地裏を通った人物がもう一人いるらしい。何でもその通った少女は壁を登ってそのまま屋根伝いに走っていったそうだ。

 

 一方通行はどうにも信じがたかったが、少女は嘘ではないと判断したらしく、

 

「じゃあ盗った人は路地の向こう? 急がなきゃ……」

 

 これで解決だろう。一方通行は中断になっていたスバルとの会話(脅し)を再開させようと再びスバルを睨み付けた。

 

 だがその構図は不良が学生に脅しをかけてるような状況に見えてしまった。

 

「でも、ここも見逃せる状況じゃないわ」

 

 路地裏から立ち去ろうとしていた少女が振り返り、掌から飛礫(つぶて)を一方通行めがけて放った。

 

(普通の氷、か?)

 

 不意をつかれた一方通行だが、冷静に分析して、それを反射しようと右手を突きだした。

 

 しかし結果は両者ともの思惑を外れた。

 

 一方通行の右手に当たった氷の飛礫は反射されることはなく軌道を斜め上に変え、空へと飛んでいった。

 

「今のは、魔法か」

 

 スバルがそう呟いた。

 

 なるほど、それなら一方通行の反射が正しく作用しないのも頷ける。だが軌道をそらしたということは氷ではあるはずだ。

 

(やっぱ変なもンが混じってるか)

 

(思ったより幻想的じゃないなぁ……)

 

 一方通行とスバルは心のなかで呟いた。

 

 一方、驚いた表情で一方通行を見つめている少女は第二波の準備をしようとして、

 

「ストップ!!」

 

 自身が有する精霊に機先を制された。

 

 その声はどこからしたのか。一方通行とスバルは視線を迷わせた。

 

「どうしたの、パック」

 

 少女は肩を見て言った。

 

 そこで一方通行とスバルは気づいた。少女の肩に座っているそれに。

 

「猫?」

 

「次から次へと……」

 

 自宅で育ったスバルと違い、科学の街で育った一方通行はこれ以上のファンタジー要素は許容できそうになかった。

 

「そんなに見つめられると、なんだね。照れちゃう。っとそれより、多分勘違いだと思うよ?」

 

「勘違い?」

 

 そこでスバルは今思い出したかのように言う。

 

「あっそうだ! こいつは俺を助けてくれたんだよ。敵じゃない。多分!」

 

 一方通行は「遅せーよ」という目でスバルを睨んだ。

 

「えっじゃあ、私の勘違い……?」

 

 全てを悟った少女は一方通行に駆け寄って頭を下げた。

 

「ごめんなさい!」

 

「あァ?」

 

 一方通行はこれまで一方的に喧嘩を売られたことは数えきれないほどあるが謝られたのは初めてだった。

 

「なんてお詫びしたらいいか……なんでも言って!私にできることならなんでもするから……」

 

(なンなンですかァ? このガキは……)

 

 一方通行に頭を下げることがどんなことか。ここは学園都市ではないと改めて悟った一方通行。

 

 そんな彼はどうにも慣れない状況に弱く、

 

「なンもしなくていいからさっさとどっか行けェ」

 

「そうはいかないわ。なにかお詫びさせてくれるまで引き下がんないんだからっ」

 

 少女の対応をスバルに投げることにした。

 

「スバル、このガキを任せた。さっさと話を終わらせろ」

 

「へっ?」

 

 それきり一方通行は壁に寄りかかったまま座る。作戦通りすぐに少女とスバルは会話を始めた。

 

 空を眺めながら今後の事を考えようとした矢先、少女が先程「パック」と呼んでいた猫が一方通行に飛び寄ってきた。

 

「やぁやぁ。あっちが取り組み中、お話しない?」

 

「なら幾つか聞かせろ。まずオマエは何だ?」

 

「僕はパック。見ての通り精霊さ」

 

 見ての通り、というのが今一だが《精霊》というのは受け入れなければいけないらしい。

 

「精霊、精霊ねェ。じゃァオマエらは何を探してンだ?」

 

 もはや世界のことは聞かない。元からこの世界に住んでいる者からしたらこれが普通であり、「元の世界」というのもここなのだから分かるわけがない。

 

「ちょっと僕の娘がドジっちゃってね。とっても大事な物を奪られちゃったんだ。」

 

「あっそ」

 

 明言しないってことはそれはそれは大事な物なのだろう。

 

「僕からも質問いいかな?」

 

「別にいいがオマエらの知りたいようなことはなンも知らねェぞ」

 

 知ってるわけもない。

 

「なんていうか、君の周りのマナが不規則に方向転換を繰り返してるんだよね」

 

「マナ?」

 

「そ、マナ。もしかしてマナが分からない?」

 

 一方通行は大気の解析にかかった。一方通行の力はなにもベクトル変換だけにとどまらない。

 

 ある事象を観測し、逆算して理論値を導き出す。

 

 簡単に言えば検算の要領だ。

 

 そんな彼の能力は物事の解析にも秀でている。

 

「確かに、なにかがあるな……これがマナか。そして多分それは俺の能力のせいだな」

 

「能力、かい?」

 

「あァ」 

 

 そこまで話したところで、スバルと少女の会話は済んだようだ。  

 

「パック、行くわよ」

 

「一方通行も、早く行こうぜ」

 

 それに一方通行とパックも返答する。

 

「うん、今行くよー」

 

「ハ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

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