Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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ハーメルンユーザー多すぎ。一瞬でUA50越えありがとうございます。気分いいからもう少し続けちゃう


3話

「なンで俺が……」

 

 一方通行の機嫌はすこぶる悪かった。元より探し物を手伝う気なんてなかったうえに半ば無理矢理手伝わされてるこの状況はちょっとも面白くない。なんでも「探し物を手伝わせるのがお詫び」となったらしい。大方スバルが美少女に見栄を張ったのだろう。それだけでもイラつく理由は充分なのだが、

 

「おっかしいな……」

 

 手がかりがスバルの記憶だけというのも彼のフラストレーションをためていった。

 

 尚、予想通りというか捜査は順調に滞っている。

 

 流れに流されて捜索を開始してから30分はたつだろう。そのうえスバルは先程までのやかましさはどこへやら。人と会うたびに少女や一方通行の後ろに隠れてやりすごそうとする。

 

「安心しなよ。彼、悪気は全くないから」

 

 と精霊パックは少女と一方通行にいうが、悪気がないというのはもっとタチが悪いのかもしれない。

 

「役に立たない善意って悪意よりも扱い難しいのね」

 

 少女はため息混じりに言うが一方通行はその通りだと思うしかなかった。

 

「つゥか別れて捜索しねェか? ここまで来たンならあとはスバルが言ったガキの特徴で聞いて回ればヒットすンだろ」

 

 盗品をさばくならスラムか貧民街だと聞き、貧民街までたどり着いたとき一方通行は提案した。

 

 実際は一人になって逃げるために他ならないが。

 

「それならボクは一方通行に同行するよ。ボクなら離れていてもコンタクトが取れるからね」

 

 だが一方通行の思惑はパックに見事に潰されてしまった。

 

「あれ、ちょっと待って? 俺特徴とか言ったっけ?」

 

「オマエブツクサと金髪ーだの歯がーだの言ってただろォが。まさか隠してるつもりだったのか?」

 

「俺のばかぁぁ」

 

「よく分かってンじゃねェか」

 

「ひどいっ」

 

 なんてやり取りをしてるとパックが思い出したように言った。

 

「そういえば、一方通行の方は聞いたけど君の名前をまだ聞いてなかったね」

 

「そういえばそうだな。俺はナツキスバル! 右も左も分からない天衣無縫の無一文! ヨロシク!」

 

「君も一方通行と同じ状況ってことだね。ボクはパック。よろしくね」

 

 スバルが差し出した手にパックは体ごとダイブした。 

その光景を見ていた少女は呆れ顔でこう言った。

 

「その不必要に馴れ馴れしい態度を普通の場で出せないの?」 

 

「俺は逆に阿呆と一緒にいると思われたくないから別にいいがな」

 

 少女の辛辣な言葉に一方通行の追い討ち。

 スバルはその場でさめざめと泣いた。

 

「ンで、オマエの名前は何だ?」

 

 一方通行は少女に問いかける。

 

「私は──サテラ、とでも呼ぶといいわ」

 

 表情を固め、大きく間を開けたあと少女は答えた。

 

一方通行とパックは少女を訝しげな顔で少しの間見つめた。

  

「じゃ、自己紹介も済んだとこで、俺とサテラはこっち。一方通行とパックはそっちから頼む」

 

「おっけー」

 

「チッ……」 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

「ンで、あのガキの名前は?」

 

「あ、やっぱり?」

 

 二手に分かれ、少女とスバルの姿が見えなくなった辺りで一方通行は切り出した。

 

「でもあの娘のことだし、ボクが正解を言っちゃうのは、ね?」

 

「あっそ」

 

「あれっ?」

 

 一方通行の返答はパックにとって予想外のものだった。考えるでもなく更に聞いてくるでもない。無関心な返答だった。

 

「何呆けた面ァしてやがンだ」

 

「随分そっけないんだなぁと思って」

 

「はン。そりゃ興味がないからな」

 

「ボクとしては複雑な心境だなぁ……ふぁ~あ」

 

 パックは大きな欠伸をした。一方通行は『精霊』について知識がないため、そもそも睡眠なんてものが必要なのかも分からない。

 

「あン? オマエ寝るとかあンのか?」

 

「ボクは大精霊だからね。現出してるだけでマナをとても消費するんだ。そろそろ限界かも……」

 

「限界だとどうなるンだ?」

 

「そりゃ消えちゃうよ~」

 

「ほォ……」

 

 一方通行にとっては悪くない話だ。逃げようと思って別行動を提案したのをパックがいるお陰で失敗したのだから、そのパックが消えるならば一方通行は一人になり、逃げることも容易だ。

 

「あ、ちょうど向こうがたどり着いたみたい。場所は盗品蔵ってところだね。じゃ、あとはよろしくー」

 

 そう言い、パックの体は光始めた。消える前の予兆だろうか。

 

「ふン」

 

「あ、最後に。うすぼんやり心が読めるから分かるんだけどキミは見かけによらず優しい人らしいね」

 

 そう言い残しパックは消えた。残された一方通行は当初の予定通り逃げようとするが、

 

「チッ……」

 

 パックの言ったことが頭から離れず、結局盗品蔵とやらに向かうことにした。

 

 が、

 

 突如止まる一方通行の歩み。否、止まったのは一方通行だけではない。重力に従っていた落ち葉。貧民街の喧騒。風の音。それらすべてが完全に静止した。

 

(どうなっ……!?)

 

 そして視界が黒く染まっていく。

 

 瞬間一方通行は意識を失った。

 

 

 

 

「っ!?」

 

 目覚めは一瞬。

 だがそこに貧民街はなかった。既視感のある景色だ。意味不明な言葉に説明不能な生物が一方通行の目に入り込む。一方通行は最近これと全く同じ事を体験している。

 

瞬間移動(テレポート)……? いや時間、なの、か……?」

 

 

 

 

 




お疲れ様です。

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