Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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お久しぶりです。


4話

   

 

 少し後竜車に引かれそうな少女を助ける。そして全く同じ言葉でお礼を言われる。全く同じ出来事が起きたら慌てたり違う反応を示すのが普通なのだろうが。

 

(記憶がない……だが俺には……)

 

 一方通行 は一瞬夢か、とも疑ったがそれはないだろうと即座に切り捨てる。

 

 そして先程同様少し離れた場所にスバルを発見。スバルはキョロキョロと周りを見渡した後路地裏に入っていった。その後に続くチンピラ三人組。

 

 全く同じ流れだ。

 

 一方通行がこの世界に来て初めに起こった出来事と。

 

 同じ流れならばこの後路地裏でスバルを助け、少女と精霊に出会い、少女が盗られた物を探す手伝いをさせられる。

 

 逃げるのも手段の一つだ。が、

 

 少女の言葉と行動が頭をよぎる。

 

「チッ……くだらねェ」

 

 一方通行は路地裏へと向かった。 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「「「覚えてやがれぇー!!」」」

 

「なんかデジャヴ……」

 

 路地裏に入ると案の定、チンピラ三人組がスバルに追い剥ぎしていた。一方通行は先程同様3コンボを華麗に決めて撃退した。

 

「ククッ、同じ人間を同じ方法で倒すってェのは新鮮なモンだなァ」

 

「怖っ、この人怖い! 人間の台詞とは思えない!」

 

「はっ。ンなこたァどうでもいい」

 

「あの、一方通行さん? 俺的には全然どうでもよくないんですけど……」

 

「あ? なンで俺の名前を知ってる……」

 

「えっ、そりゃあ……ッ!? まさか……」

 

「まさか?」

 

「お前まで頭を打ったのか!?」

 

バキッ!

 

 予想通りスバルにも記憶は残っている。少女やチンピラ三人組、そして起こった出来事からしてこれは『時間が巻き戻ったがスバルと一方通行には記憶が残る』ということなのだろうか。

 

 問題は何故一方通行とスバルだけなのか、時間が巻き戻るトリガーはなんなのか。  

 

 前者は別の世界から来たから影響を受けない、ですませられるかもしれないが後者に巻き込まれてる時点で前者の推理すら信憑性に欠ける。

 

 考えていくうちにファンタジー要素に慣れてきたな、と一方通行は感じた。

 

 とりあえず確認することは

 

「……スバル、オマエこうなる前なにかあったか?」

 

「痛ぅ……なんか勝手に話進んでるけどこうなる、ってどういう状況なの今?」

 

 一方通行は一瞬イラッと来たがハァ、とため息をついたあと、今の状況を説明した。

  

 時間が巻き戻ったこと。周りの人には記憶がないこと。

 

「なるほど、だから……」

 

 スバルは自分の腹を何かを確かめるように擦った。

 

「でも魔法ってことは考えられないか?」

 

「そンなンこの国の人間に聞けば分かンだろ? 時間を巻き戻す魔法はありますかってな」

 

 そしておそらくないだろう、と一方通行は心のなかで呟いた。

 

「パックにでも聞くか、なンたって大精霊様だものな」

 

「あっ、そういえばサテラは……」

 

 珍しくスバルが真面目な表情をしている。

 

「なンだ? なにがあった?」

 

 その後のスバルの発言は一方通行すら平常でいられないものだった。

 

「俺は……俺とサテラは、前の世界で、死んだ」

 

 自らの右手で抑えている表情は歪み、目を震わせていた。

 

 

────────────────────────

 

 

 

 現在一方通行とスバルは前回とは違ってまっすぐに盗品蔵に向かっている。 

 

 少女とパックも一緒だ。

 

 今回一方通行はスバルにいくつか指示をした。

 

 ・盗品蔵までの時間短縮以外の流れは同じにする

 ・少女が名乗るまでは「サテラ」とは呼ばない

 

 二つ目は場合によっては割りとどうでもいいが一つ目には相応の理由がある。

 

 まず少女に同行するため、前回をなぞれば確実であるから。次にスバルと少女を襲った者は口ぶりから長居はしないと考えられるから。

 それならば前回迷った時間がなければ遭遇せずに事をすませられる可能性もある。

 

 そして貧民街に着いた。

 ここで前回同様簡単な自己紹介をして二手に別れる。前回よりかなり早くたどり着いた。心なしか日も高く見える。

 

(スバル、向こうでなにかあったらとりあえずパックを呼び出させろ、そうすりゃァ俺も行く)

 

(了解)

 

 これで大まかな流れは決まった。殺人鬼より早く取り返せれば万々歳だし仮になにかあっても一方通行が駆けつければいい。

 

 一方通行は自身の能力を過信するでもなく本気でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「時間を戻す魔法? 聞いたことないよ。ていうかそんなのあったら世界がいくつあっても足りないと思うよ」

 

「あァ、そりゃそォだな」

 

 一応の確認を済ませた。そして前回パックが呼ばれた時間を考えると、

 

(そろそろか……)

 

「パック」

 

「なぁに?」

 

「向こうでなにかあったら、お前が解決できそうならしろ。無理そうなら時間稼ぎだ」

 

「? ……とりあえず分かったよ」

 

 パックは聞き返そうとしたが一方通行の表情がただ事ではない、と告げていたためそのまま了承した。

 

「ん、場所は盗品蔵ってところだね。先行ってるよ」

 

 パックは光に包まれて姿を消した。

 前回と若干エフェクトが違うのは呼び出しと消失の違いなのだろうか。

 

「めンどくさいことにならなきゃいいがな」

 

 人知れず、特別何を見ながらということもなく一方通行は呟いた。

 

 




お疲れ様です。

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