Muv-luv Over World   作:明石明

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どうもこんにちは、この度継続して書きたいように作品を作る決意をした作者です。

最近フルブから離れてスパロボZ3を攻略しています。
ボン太くん強過ぎぃ!! ふもっふシナリオ腹筋死ぬぅ!!
26話終了時点の現在ヒイロの撃墜数が150を超えました。ロリバス強過ぎぃ!! Dトレーダーのアイテムも使って毎ターンEN全回復、スキル効果と重複して移動力17、そしてカスタムボーナスで射程+1、これに精神コマンドの突撃と加速をかければ最速でボス機体にダメージを叩き込めます。武装がまだ3段階しか改造していませんが資金があればすぐにでもフル改造ですよ。

閑話休題

さて、アンケート終了後第1発目の投稿です。
相変わらずの文章力ですが、楽しんでいただければ幸いです。

それでは本編第17話、どうぞご覧ください。


第17話

Gステーション セントラルシリンダー 第1ブリーフィングルーム

 

 

 現在この部屋には俺を含めて7人の人間がいた。

 悠陽――いや、殿下、月詠大尉、珠瀬事務次官、香月博士、武、そして霞だ。

 今回の話は、協力体制の締結だ。

 と言っても話し合うのは俺と殿下、月詠大尉くらいであとは見届け人である。

 

 

「――こちらが日本帝国へ支援する正式な目録となります。大きく分けて3つの支援内容があり、技術支援、食料支援、正当な理由のある有事の際の戦力支援をご用意しております」

 

 

 政威大将軍の正装をした殿下に昨夜まとめた目録を手渡す。

 隣に控えていた月詠大尉がそれを見届けると、こちらへ一歩前に出る。

 

 

「こちらが日本帝国より神林中佐の要望をまとめた目録になります。ご確認ください」

 

 

 それを受け取り、殿下と同時に目録を開く。

 ふむ、帝国領内でのトレミー整備ドックの建造許可及び特別活動権限。活動権限は主に帝国内に出現したBETAとの交戦許可、佐渡ヶ島攻略戦に参戦した場合の独自活動権か。

 それに加え帝国陸軍及び技術廠からの人材提供。

 人数の制限は特に設けていないが、どれだけ引き抜いてもせいぜい20人くらいだろう。

 ふむ、まあこんな物か。

 一通り目を通し終え殿下に目をやると、一瞬目が合う。

 彼女はふっと口元を緩め、目録を月詠大尉に預ける。

 

 

「神林中佐。日本帝国はこの案件を受け入れる方向で話を進めたいと思います。公表はまだ先になりますが、よろしいでしょうか?」

 

「問題ありません。内容にも異存はありませんが、先にプトレマイオス2の整備ドックを横浜基地近海に建造したいのですがよろしいですか?」

 

「近海……海の中に作られるのですか?」

 

「その方がいろいろ都合がいいので」

 

 

 陸に作れば必ず人目に付くし、万が一他国の諜報員に侵入されたら厄介極まりない。

 海の中ならいざという時に宇宙から直接飛び込めるし、一度潜ってしまえば発見は困難になるだろう。

 建造に少し時間はかかるだろうが今必要なのは最低限の整備環境だけだし、ここで一度形にしてからバラして持って行けば2ヶ月ほどで組み上がるだろう。

 

 

「わかりました。では明確な位置が決まりましたら一度お知らせください」

 

「了解しました」

 

 

 その後は細かな調整を話し合いお開きに。

 殿下たちは着替えると言って下がったのを契機とし、俺はもう一つの話を済ませるためにMS格納庫へと向かう。

 

 

「――すまない、待たせてしまったな」

 

 

 もう一つの話――グラハムとニールとの契約についてだ。

 格納庫に鎮座する機体たちを見ていた二人は俺の声に反応して振り返り敬礼。それに返礼しつつ、俺はすぐに本題の話を始める。

 

「初めに二人を呼び寄せた時に話したことを覚えているか? 俺は自分が作ろうとしている物が妄想の類でないことをここに招き、証明してみせた……その上で改めて頼みたい。半年でいい、二人の力を貸して欲しい」

 

 

 僅かな沈黙が続き、先に口を開いたのはニールだ。

 

 

「俺は構わないぜ。ただし、新兵器の配備をする時に出来るだけ欧州を優先してもらうのが条件だ」

 

「了解した。可能な範囲で対応させていただこう。――エーカー大尉、そっちはどうだ?」

 

「私も参加させていただきます。しかし、可能な限りのアフリカ戦線の戦力強化を条件とさせていただきますが」

 

「そちらも問題ない――これにて交渉成立、というわけだな。二人とも、これからよろしく頼む」

 

 

 両手を差し出して握手を求めると、それぞれ近い手に握り返してくれた。

 これで小隊として機能させるには最低でもあと一人、どこかから引っ張ってこなければ。

 そこは日本帝国の人材に期待するか。それでダメならまた国連のデータベースを洗い直そう。

 握手を解いて二人を見ると、その後方のキャットウォークで機体を見上げている武を発見する。

 

 

「武、どうかしたか?」

 

「あ、零。ちょうどいい、相談があるんだけど」

 

 

 俺たちに気づいた武ご早足でこちらにやってくる。

 

 

「なんだ? 女性関係についてなら力になれないぞ」

 

「いや、そっちじゃないって。 旋風をシミュレーターで触ることは出来ないか? 正直、動かしたくてウズウズしてるんだ」

 

「なるほど。一応データの入力は終わってるし、戦術機用のシミュレーターも横浜基地から持ち込んだのがあるから使えなくはないが……」

 

 

普通に使わせてもあまり面白くない。それにこいつならすぐに使いこなしてしまうだろうし……よし。

 

 

「せっかくだ、俺が使うMSと模擬戦しよう」

 

「MSと? 性能差は大丈夫なのか?」

 

「旋風はかなりのスペックがある。シチュエーションにもよるが量産機相手のタイマンなら負けるなんてことはまずない」

 

 

 OSを変えただけでジェガン並みのスペックに跳ね上がったんだ。スラスターなどを追加した今、あの機体は乗り手次第でF91に匹敵するだろう。

 まあそれでも、武装面やM.E.P.E.をもつF91に軍配上がるだろうが。

 

 

「それで俺は今回、あの機体を使って戦う」

 

 

 指を突きつけた先にあるのは赤い鶏冠のような装飾を頭部につけ、大型のスーパーバーニアを備えた決闘機――OZ-00MS『トールギス』だ。

 

 

 

Gステーション セントラルシリンダー シミュレータールーム

 

 

 武は戦術機用シミュレーターの中で微調整をしつつ、先ほど確認したトールギスのスペックを思い返していた。

 

――厚い装甲で防御力を保ちながらバーニアの出力で高機動も確保、か。武装面はビームサーベルとビームと実弾の切り替えができるドーバーガンだけらしいけど、やっぱあの一言が気になるな。

 

 零はあの機体を一言で表すなら「殺人的な加速」と評していた。

 その言葉から察するに、トールギスは文字通り人を殺しかねない速度を叩き出すのだろう。

 

 

「とりあえず、序盤は慣らしも兼ねて観察といくか」

 

 

 セッティングが完了すると視界が見慣れた横浜基地近郊の演習場へと変化する。その大きく離れた正面にはドーバーガンを突き立てた白い機体、トールギスが挑戦者を待つ騎士のように待機していた。

 

 

「武、準備はいいな?」

 

「いつでもいいぜ」

 

「了解だ。 ハロ、カウントダウン開始」

 

 

 ドーバーガンを構え直し指示を飛ばす。

 零の指示を受けCP役のハロがカウントを始める。そのカウントがゼロになるとともに、二つの機影は同時に動いた。

 旋風は相手の力を把握すべく距離を取ろうと後退し、トールギスはそれを許さないように距離を詰めてきていた。ただし、その速度はまさしく驚異の一言に尽きた。

 僅か数秒で3分の2の距離を詰めたトールギスが右手に持つドーバーガンを構え旋風の進行方向へと実弾で2発、真っ正面に1発撃ち込む。

 

 

「早っ!」

 

 

 驚きながらも武は機体を急停止させ間髪入れず右斜め前方へと跳躍、そのまま右手に装備した複合ビームマシンガンでドーバーガンの破壊、あわよくばコクピットの破壊を試みる。

 だがトールギスは一瞬消えたかと思わせるほどの加速で急上昇、そこからさらにバレルロールをしながら3連射で迎撃する。

 武も旋風を跳躍させて廃墟を足場に移動、その間もビームマシンガンで牽制しつつ時折複合シールドについているグレネードランチャーを使いトールギスに圧力をかける。

 

 

「様子見に徹するつもりか。それなら!」

 

 

 零はトールギスを急降下させて弾幕から逃れ、ドーバーガンのモードを実弾からビームに切り替えターゲットを廃墟越しにロックする。

 

 

「ブチ抜け!」

 

 

 躊躇いなくトリガーが引かれたドーバーガンは銃身の先から光を生み出し、障害物を突き抜けて旋風へと迫る。

 しかし所詮は直線の軌道。ある程度予測していた武は動じることなく回避、反撃へと転じた。

 左手にビームマシンガンを持ち替え、シールドの裏からビームサーベルを引き抜きフルスロットルで接近する。

 

 

「もらった!」

 

「と思っているのか!?」

 

 

 振り降ろされたビームサーベルに対し零はドーバーガンを迷わずパージ、同じくビームサーベルを引き抜いて鍔迫り合いに持ち込む。

 

 

「この距離ならバルカンで――!」

 

「させると――思うかっ!」

 

 

 鍔迫り合いのまま零はトールギスのスロットルを全開にする。スーパーバーニアの大推進が旋風を押し返し、そのまま廃墟に突っ込んだ。

 

 

「ヤロ、やりやがったな!」

 

 

 密着していることをこれ幸いとトールギスを逃がさないよう抱きついてガッチリ固定し、ゼロ距離からバルカンを叩き込む。

 センサーアイが破損し、コクピットのメインモニターが消滅する。

 

 

「ちぃ! たかがメインカメラをやられただけだ!」

 

 

 密着状態から抜け出すため零がとった行動は、再度スロットルを全開にすることだった。

 旋風を盾に次々と廃墟を突き進み、やがて拘束が外れるとすぐさま後退する。

 しかし思いのほかバルカンの被害が大きく、頭部だけでなく首の隙間から内部へダメージが響いていた。

 

――ダメージチェック……損傷率36%か。ドーバーガンは無傷だが後方に置き去りにしたから武装はサーベルだけ。だがそれは武も似たようなものだ。ならば――

 

――マジかよ、瓦礫の中を突っ込まされたせいで左腕の武装を全部落としちまった。しかも担架の武装も衝撃を受け過ぎて使用不可、武器はバルカンと一本だけのビームサーベルか。それならーー

 

 

「――接近して一気に決着(ケリ)をつける!!」

 

 

 奇しくも同じ発想に辿り着いた二人はビームサーベルを構え、ブーストを全開にしての真っ向勝負を敢行した。

 零は小細工なしの機体性能に任せた特攻を、武は全速で直進しつつバルカンで少しでもダメージを与えようとするが、トールギスは迫るバルカンを物ともせず弾き飛ばし、サーベルを刺突の構えを取る。

 旋風もバルカンを撃ち尽くすと同じくサーベルを刺突の構えにして突っ込む。

 

 

「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 互いに腕を突き出し、機体は一秒と経たず交差した。

 

 

 

Gステーション セントラルシリンダー シミュレータールーム

 

 

 シミュレーターから降りて先ほどの戦闘をリプレイで確認する。

 最後は全くの同時、サーベルが機関部とコクピットに直撃しお互い大破判定を受けて終了した。

 

 

「いやー、早過ぎて焦ったぜ。というかあれ、衛士への負荷どうなってんだ? 下手すりゃ死ぬぞ」

 

「言っただろ、殺人的な加速だって。実際、あの機体のテストパイロットは加速に耐えきれず死亡した」

 

 

 シミュレーターだと加速のGはないから無茶は効くが、実機だと乗りこなせる奴はあまりにも少ないだろう。

 

 

「オイオイ、中佐が紹介する機体は衛士を殺しまくってるじゃねぇか。もっとまともな奴は無いのか?」

 

「殺しまくっているのは一部のぶっ飛んだ機体だけだ。まともな機体だっていっぱいあるぞ」

 

 

 ただしMF、テメーはぶっ飛んだ機体に分類だ。生まれの不幸を呪ってくれ。

 

 

「しかし、あれほど無茶な戦闘をして旋風は関節の負荷がほとんど見受けられません。これなら多少強引に動かしても問題ないでしょう」

 

「あくまでシミュレーター上での話ですけどね。実機でデータを取るまでは安心できませんよ」

 

 

 武の言う通りだ。トールギスと同じで本物を体感しなければ使い物になるかどうかわからない。

 だがシミュレーター通りのデータが得られれば関節については問題をクリアしたと思っていいだろう。

 そうなればいよいよ……。

 

 

「中佐、俺たちにも旋風を触らせてくれないか?」

 

「ん? ああ、構わない。ただ戦術機のシミュレーターは一つしかないから順番にな」

 

「了解しました」

 

 

 グラハムとニールが更衣室に向かったのを見届けると、不意に何か思い出したかのように武が口を開いた。

 

 

「そういえばさ、零の部隊の名前ってどうなってるんだ?」

 

「一応考えているぞ。というか、何故かこれが一番しっくりきた」

 

 

 最初こそロンド・ベルを採用しようかと思ったが、これを思いついたら他の名前に変えようという気が無くなってしまった。

 

 

「独立機動遊撃部隊『オーバーワールド』。それが部隊名だ」

 

「へえ。 でも、なんでオーバーワールドなんだ?」

 

「考えても見ろよ。全く別の世界から来た俺がこの世界で戦う――文字通り『世界を超えた』戦力の部隊というワケだ。ならこれほどおあつらえ向きな名前はない」

 

 

 安直かもしれないが、これはこれで気に入っている。

 シンプル・イズ・ベスト、それでいいのだ。

 その後、更衣室から戻ったグラハムとニールのシミュレーターが始まり、見学すると言った武を残して俺は自室へと戻り二つのファイルを開く。

 一つは霞に頼まれたハロの設計だ。

 会話できるAIはもちろん、護衛の機能を持たせて目くらましのフラッシュとマニピュレーターにスタンガンを内蔵。サイズはアムロやバナージが持っていたサイズにしてあるためやや大きいが、可能な限り軽くするので霞でも普通に持ち歩ける。

 なお、カラーリングは白でうさ耳みたいなカバーをつけるつもりだ。

 仕事を放り出して開発すれば一週間とかからないが、流石にそうはいかないから少しずつ組み上げよう。それを見越しての一月だからな。

 

 

「あとは……これだな」

 

 

 ハロの仕様をまとめ終え、もう一つのファイルを開く。

 

 TSMS-01GSS。

 SKMS-02GGL。

 

 『SS』は機動力は最低でもストライクフリーダム並みで、火力もνガンダムのように様々なモードを持つビームライフルを持たせる予定だ。

 装甲や動力、フレームも決めているが如何せんデータ不足だ。だが逆に、必要データさえ揃えば後は時間の問題だ。

 『SS』の兄弟機である『GL』も博士の意見を聞きながら開発すれば比較的早く仕上がる。

 

 

「……これが、この世界の人類にとっての希望となればいいが」

 

 

 一人そうつぶやき、俺は『SS』と『GL』の設計の最終調整を始めた。




本編第17話、いかがでしたでしょうか。

前回のあとがきて唯依姫たち出るかもーと言いましたが、旋風とトールギスのシミュレーターに変わりました。
トールギスの登場シーンはトレーズ閣下のアレです。
最後に出てきた『SS』と『GL』の登場はまだまだ先です。初登場は佐渡島攻略戦を予定しています。

さて、次回は地球への帰還を予定しています。
唯依姫たちは……すいません、まだ先になりそうです。
投稿も相変わらずの不定期となりますが、どうか広い心でお待ちください。

ではまた次回にお会いしましょう。

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