Muv-luv Over World   作:明石明

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どうもお久しぶりです、生きていました作者です。
最近仕事が忙しすぎて執筆時間と休日がゴリゴリ削られています。
しばらく投稿が遅れ気味になりますがご了承ください。

さて、第24話です。
以前あと2話くらいで終わると言いましたが、すいませんまだ掛かります。
あとイーニャも直接描写に書き込めませんでした(サーセンシタ! サーセンシタァァァ!!
とはいえ、ユーコンテロ事件もいよいよ佳境。
相変わらずの駄文っぷりですが、どうか楽しんでいってください。

それでは、本編第24話をごらんください。


第24話

国連軍 アラスカユーコン基地 中央司令部

 

 

 有線カメラを通じてもたらされた映像に指令部を占拠していたテロリストたちは一様に言葉を失った。

 『蒼炎の翼』の部隊と思しき一団に倍近い戦力をぶつけたにもかかわらず、3分とかからずそのすべてが撃墜されたのだ。

 何より異彩を放つのは彼らが使用している武装だ。

 全員が光学兵器を携行しており、内一機は遠距離から一発必中の狙撃で確実に撃破していた。

 これには軍人上がりのクリストファーも強く興味を惹かれた。

 

 

「はははは! こいつはいい! どうやら『蒼炎の翼』とやらは、噂以上に我々の想像を超えたものを持っているようだな」

 

 

 獰猛な笑みを浮かべ、クリストファーはモニターからの情報を元に獲物の狙いを推理する。

 

 

――この動き方。まるで自分たちのところへ集まれと言っているようなものだ。そう考えれば奴らは陽動……つまり、他の連中への目を逸らさせるために動いているのだろう。となれば、先ほどアルゴス小隊とやらの連中のために暴れていると見た。

 

 

「アルゴス小隊の連中を探し出せ! 発見次第、ジゼルの部隊に追撃をかけさせろ! 『蒼炎の翼』殿には自立駆動機の波状攻撃をプレゼントしてやれ! 例の準備も急げよ!」

 

 

 クリストファーの指示に尻込みしかけたテロリストたちに活気が戻り、各々が力強く応じる。

 零たちが介入してから約1時間。オリジナルから大きく外れた世界はさらに加速する。

 

 

 

国連軍 アラスカユーコン基地

 

 

 陽動のために基地中心部へ向けて移動をしていた零たちだが、ここにきて敵の攻め方に変化が生じた。

 全方位から敵の波状攻撃。しかしその数があまりにも少なく、敵は一気に攻めたりはせず、距離を取って延々と集中砲火のみをして来ていた。

 

 

「6時方向及び11時方向より敵機影! 数、それぞれ3!」

 

「4時方向からも敵機影です! 数は2!」

 

「ちぃ! 遠距離からねちねちと鬱陶しい!」

 

「ぼやくな小早川中尉! 陽動がうまくいっているという証拠だ!」

 

「けどよグラハム、邪魔なことには変わりないぜ!」

 

 

 仲間の会話を聞きながら 零もロング・メガ・バスターでまた一機撃墜するが、敵の動きに違和感を感じ始める。

 

――陽動がうまくいっているのも正しいが、何故誘うように攻撃するだけで一気に攻めてこない。その気になれば全方位からの突撃でこちらに損害を与えることも出来なくはないはずだ。これでは時間や弾薬を潰しているようなもの――

 

 

「――いや、もしやそれが狙いか!?」

 

 

 策を看破された可能性に至り、零は素早く思考を巡らせる。

 いくら武器を手に入れたとはいえ、アルゴス小隊のグループは万全とは言い難い。そこへ戦力を集中されてはいくら彼らでも苦戦は免れない可能性がある。

 

――原作ではジゼルが率いる24機の敵部隊をユウヤが相手にしている最中にイーニァと合流していたはず。原作通りなら無事に潜り抜けられるはずだが、俺たちが出張ったことでどれだけの戦力が送り込まれたかが問題だ。

 

 

 そこまで考察したところで、唐突にアラートが耳を突く。

 

 

「対光線級BETA円周警報? こんなところで?」

 

「恐らくテロリストの欺瞞情報ね。心理的に警戒させ、高度を取れなく仕向けるつもりよ」

 

 

 光の疑問に対して絢香がそう解釈するが、零は小さく舌打ちをした。

 彼の記憶ではこれから間も無くユウヤの単機陽動が行われ、その後研究所のBETAが解放される。

 沸いた端からBETAを片付けて行くつもりだったため下手に基地から離れるわけにもいかなくなってしまった。

 

――光線級と爆撃機はニールとグラハムで対応するつもりだったが、この状況では迂闊に動かせないな。原作ではインフィニティーズが始末してくれたはずだから、この際俺たちは基地に向かって来るBETAに集中すればいい。ただ今回はハイヴへの帰還を最優先にしている可能性があるから以前のようにn_i_t_r_oで誘き寄せるのは効かないだろう。特にまだ民間人がいるリルフォートへ侵入されるのだけは避けたいな。ユウヤたちの方は……信じるしかないか。

 

 

「――全機、高度に気を配れ。欺瞞情報と断ずるには早すぎる」

 

「何故です? このタイミングで円周警報が流れるとすれば、どう考えても葉月大尉が言ったように高度を取らせない作戦なのでは?」

 

「ナタリー・デュクレールの情報を忘れたのか? 米国のBETA極秘研究施設が、このアラスカに存在すると言うことを」

 

 

 その一言で、全員がハッとなる。

 テロリストに加担していた彼女の情報が正しければこの土地にはBETAがおり、その中には光線級がいる可能性も十分にあるのだ。

 絢香もその可能性に至ると、欺瞞情報だと断じた自分の浅はかさを痛感した。

 

 

「アルゴス組の様子も気になるが、本格的にBETAが出てきたら未だ民間人がいる近くの街にまで被害が及ぶぞ。どうする、中佐」

 

 

 ニールの質問に零は一度目を伏せ、短い間をおいて決断を下す。

 

 

「アルゴス組はうまくいっていると信じるしかない。それに俺たちの役目は陽動だ。下手に合流しに行けば彼らの居場所を教えるような物だ」

 

「では、このまま陽動を続けると?」

 

「ああ。だがBETAが解放されたら近くの街へ被害が出る可能性が非常に高い。なので我々は陽動をこなしつつ、いつBETAが現れても即応できる地点へ移動するぞ」

 

「了解。――しかし我が祖国ながら、民間人の近くで面倒な研究をしてくれる」

 

 

 ギリッとグリップを握りしめ、グラハムは忌々しそうに吐き捨てる。

 零たちは向かって来る敵機を撃墜しつつ、目標ポイントへ向かう。

 BETA出現を知らせるアラート、コード991が発令されたのは、ポイントに到達してから間もない頃だった。

 

 

 

国連軍 アラスカユーコン基地 オーバーワールドBETA迎撃地点

 

 

 テロリストのヴァレンタイン――いや、メリエム・ザーナーだったか? まあ、同一人物だからいいか――の演説が流れ始めて間も無く、モニターの正面から異形の生物が群れを成して迫っていた。

 そして俺たちの後ろにはアラスカ基地があり、民間人の避難が完了していない街がある。

 

 

「さて、本来ならまだ人が大勢いる街の防衛にのみ専念したいところだが、テロリストが公表したレッドシフトとやらが本当だった場合、人類にとっての被害は甚大な物になる」

 

 

 食料や弾薬などの生産地である北米が最前線にでもなったら文字通り生産性が落ち、それに伴い難民たちの食糧問題が加速し人命にまで響く。

 それを考慮すれば街の数万人よりこれからの数千万人を優先するのが普通だろう。

 ――そう、普通ならだ。

 

 

「幸いこちらには広域殲滅兵器や長距離狙撃機などが揃っている。火力を考えれば、BETAの殲滅は十分可能だ。どれほどの規模が基地で研究されていたかは不明だが、街への侵入は言わずもがな、俺たちの後ろにだって通すな」

 

『後ろに通すな、ねぇ。なかなかハードルが高いな』

 

『ですけどディランディ中尉。あれを聞いた後ならそんなことも言ってられないじゃないですか』

 

『言葉の綾ってヤツだ。それと井吹中尉、俺のことは呼び捨てでいいぜ。小早川中尉もな』

 

『え、いいの? なら遠慮なく』

 

『では俺もそうさせてもらおうか』

 

 

 中尉ズが交流を深めている一方、大尉の二人は会話もせずに眼前の敵を見据えていた。

 ふむ、補給も済ませてあるし、そろそろ頃合いか。

 

 

「よし、フォーメーションはさっき言ったとおりだ。トップを俺が受け持ち、右翼をグラハム、左翼を葉月が担当。グラハムのサポートを小早川が担当し、葉月のサポートを井吹が担当。ニールはやや後方で大型種を中心に狙い撃て。なお、俺はチャージが溜まったら順次強力な一撃を叩き込むから、その時はこぼした敵を優先に仕留めてくれ」

 

 

 それぞれから了解と返答を受け、俺はシールドのハイメガキャノンのチャージが完了しているのを確認して構える。

 

 

「では、一発目行くぞ! ――オーバー0、フォックス2!」

 

 

 カムチャツカでBETAを一掃した時のように、シールドに備えられたハイメガキャノンから太いビームが照射される。

 ただし狙いは真正面ではなくやや左側。無論これはミスなどではない。

 

 

「うぉらああぁぁぁッ!!」

 

 

 ビームを撃ちながらシールドを横に動かし、敵を薙ぎ払う。広がろうとしたBETAは光の中に消えて行き、塵一つとして残りはしなかった。

 

 

『……すごい』

 

『これが中佐の、ガンダムの力か』

 

 

 絢香とグラハムの戦慄混じりの声を聞きながらハイメガキャノンの再チャージを始める。それから間も無く、ビームを逃れた後続が次々と湧き出てきた。

 

 

「全機、兵器使用自由! 攻撃開始!」

 

 

 命令を受けまずニールが戦闘の突撃級を狙い撃つ。

 それを皮切りに他の連中も広がろうとするBETAを優先的に叩き、侵攻の拡大を防ぐ。

 もちろん俺もロング・メガ・バスターを一番高い効果を発揮する地点へ向けてトリガーを引く。

 ファンネルを使うまでもなく、BETAは着実にその数を減らしていた。

 

 

「オーバー3からオーバー5、機体状況を報告しろ。不具合とかないか?」

 

『こちらオーバー3。各部に異常は見られません』

 

『こちらオーバー4。同じく問題ありません』

 

『こちらオーバー5。問題はありませんが、質問があります。このライフルに中佐のシールドみたいな照射は搭載出来ないんですか? あれがあったらもっといいと思うんですけど』

 

「あー、それは設計段階で俺も考えたが、カートリッジの消費量が多すぎるから見送った。照射ビームについては専用装備があるからそっちで試してみてくれ」

 

 

 しかし照射ビームに興味を持ったか、井吹。この戦闘の結果次第ではバスターガンダムあたりに乗せてやってもいいかもしれないな。

 そう思いつつ2発目のハイメガキャノンのチャージが完了し、先程のように味方へ警告してから同じように敵を薙ぐ。

 流石にこちらが持ち込んだ中で最も火力の高いハイメガキャノンを2発も食らったのが効いたのか、後続のBETAが目に見えて削られていく。

 

 

「よし。各機、弾薬とエネルギーに気を配りつつ攻撃を継続しろ。あと小型種の動きにも注意しておけ」

 

 

 仕留め損ねた兵士級が街に侵入して民間人を喰った、なんてことになったら目も当てられないからな……ん、レーダーに感有り?

 5つの機影が反対側から現れ、直ぐに3機と2機に分かれる。その動きに思わず「む?」っと声を洩らすが、すぐに思い出す。

 確か唯依姫たちが司令部と通信センターを奪還するために分かれたんだったな。

 

 

「となると、いよいよ少佐殿のお出ましか」

 

 

 呟くと、見計らうようにレーダーがさらに40……いや、50近い機影を捕捉する。

 噂をすればなんとやら、だな。

 原作では40くらいだったが、ここに来て差異が生じたな。

 さらにご丁寧なことに俺たちの方へ30近い機体が向かっており、残りが唯依姫たちへと向かっていった。

 

 

『中佐! テロリストが!』

 

「わかっている! ――敵さんはBETAより俺たちの方が邪魔なようだな」

 

 

 まあ、自分たちが解放しておいて共闘しようと言い出したら逆に怪しすぎるんだがな。

 

 

「グラハム! ニール! 井吹! BETAを頼む! 俺と葉月、小早川はテロリストの迎撃をする! ここが正念場だ、気合い入れて行くぞ!」

 

 

 副長であるグラハムにこの場を託し、事件の終わりが近づくのを感じながら俺は自分たちに向かって来た敵を迎え撃つべく、葉月たちを率いて機体を反転させた。




第24話、いかがでしたでしょうか?
アルゴス組の話を書いていたらダラダラしそうだったのでここから一気に進むように書きます。
それでも事後処理を含めてあと2・3話くらいかなぁ。
○○話詐欺にならないよう努力していきますので、これからも宜しくお願いします。
それでは、また次回にお会いしましょう。



追記

最近艦これで3-2を突破しました。
ちなみに編成と結果はこんな感じで
電改 (Lv88)大破
雷改 (Lv40)MVP
島風改(Lv27)大破
雪風改(Lv34)小破
響改 (Lv46)
吹雪改(Lv44)中破


しかし3-4のボス戦にて戦闘開始時点小破の赤城改(Lv52)と小破寸前の加賀改(Lv49)が帰らぬ人となってしまいました。(戦艦とヲ級ちゃんの集中砲火とかあァァァんまりだァァアァ!


さらに追記
挿入機能のテストを兼ねて現在作中で稼働しているオーバーワールドのガンプラを乗せてみました
手前のトリコロールのデルタカイ個人的なは趣味です。あと後ろのは置き場に困ったガンプラ達です

【挿絵表示】

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