Muv-luv Over World   作:明石明

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どうもこんばんわ、ネタが浮かばず筆が進まず書けど書けど内容が納得できないというスランプに陥った作者です。

今回は今までと比べて特に短い内容となってしまいました。
しかしとにかく上げねばという使命感に駆られて投稿に踏み切りました。
Jumperの方も似たような状況だし、どうしたものか……。

ともあれ、本編第32話、どうぞご覧ください。


第32話

国連軍横浜基地 プトレマイオス2 零の私室

 

 

「あとはこうすれば……っと、できた」

 

 

 俺は手にしたドライバーを机に置き、目の前に鎮座するそれの出来栄えを確認する。

 大きさはサッカーボールほどで色は白。二つの赤いセンサーにパカパカと開閉する蓋。丸いボディーに詰め込まれた技術はそれだけでこの世界のものとはかけ離れた性能を誇る。

 

 

「約束の期限に間に合ってよかった。それじゃ、早速」

 

 

 机の工具類を引き出しに流し込み、俺はそれを抱えると目的の人物を探すべく一先ず地下19階にあるシリンダールームへと足を運んだ。

 

 

 

国連軍横浜基地 地下19階 シリンダールーム

 

 

 零がその部屋を訪れると、彼の予想通り霞がシリンダーに浮かぶ脳髄と向き合っていた。今日は武がシミュレーター教導にかかっているため、この部屋には彼女ともう一人しかいなかった。

 霞は零が立ち入った気配を感じて振り向くと、彼が手にするそれを見てウサ耳をピーンと立てる。

 

 

「待たせたな、社。約束していた、社専用のハロだ」

 

 

 持ち込まれたハロはセンサーを明滅させると零の手から離れ、床を跳ねながら霞の腕の中へとダイブする。

 

 

「……ありがとうございます」

 

「なに、本当に仕事の合間に作っただけだからな。大切にしてやってくれ」

 

「はい。 よろしくお願いします、ハロ」

 

『ヨロシクナ! ヨロシクナ!』

 

 

 そう言って答えるハロを嬉しそうに抱きしめる霞を見て、零は満足そうに頷いた。

 実はこのハロ、ただのペットロボではなく零の手によって様々な機能が導入されている。

 全てを説明すると少々時間を食うため、零は一番よく使われるであろう機能の説明をする。

 

 

「このハロには学習AIが搭載されていて、社が会話したり誰かと接していけばその行動や友好関係を学習していく。他にもネットワークを介して国連軍の各基地やGステーションへ連絡を取ることが出来る。そしてそのネットワークを利用して、特定の人物がどこにいるのかを調べることも可能だ」

 

「……ということは」

 

「そう、武の位置情報もこれで一発だ」

 

 

 それを聞いた瞬間に霞が力強く頷くとそれに連動してウサ耳もぴょこぴょこ動き、さらにそれを真似するようにハロの蓋もパカパカと開閉を繰り返す。

 

 

「あとで仕様書を渡すから、それを見ながらいろいろ試してみるといい」

 

「ありがとうございます」

 

『アリガト! アリガト!』

 

 

 感謝の言葉に大きな達成感を抱き、零は機嫌よく部屋を後にする。

 そのまま時計を確認しつつ、次の予定を頭の中から掘り返す。

 

――確か昼過ぎにアルゴス小隊の面々がここに到着するはずだな。主要メンバーをブリーフィングルームに集めて、顔合わせの準備をするか。

 

 移動しながら通信機を手に取り、メンバー各員にトレミーのブリーフィングルームに集合するよう声をかけて自身も早足で集合場所へと向かった。

 

 

 

国連軍横浜基地 港

 

 

 こちらの挨拶に応えるように今し方この横浜基地に到着した面々が敬礼をする。

 

 

「XFJ計画関係者各位、ただいま着任しました」

 

「クリスカ・ビャーチェノワ、並びにイーニァ・シェスチナ。着任しました」

 

「グルーデック・エイノア、要請に応じ馳せ参じました」

 

「遠路はるばるご苦労だった。こちらはオーバーワールドの衛士、並びに技術班長と専任技術班長のメンバーだ」

 

 

 グルーデックの返礼に答えながら零が自分の後ろに控えていたメンバーの紹介をすると、各々が自己紹介を始める。

 

 

「長旅で疲れているだろうとは思うが、まずは各機体をあそこにある特別機密区画に運んでくれ。話は通してあるから問題なくはいれるはずだ。その後、簡単にだが食事を用意しているので楽しんでいってくれ」

 

「お心遣い、感謝します。 各員、聞いての通りだ。速やかに機体の搬入を開始しろ」

 

 

 一番階級が高いグルーデックの一言で全員が一斉に行動に入り、整備兵が次々と作業に取り掛かる。

 その間に手が空いたタリサとVGはベールの奥を知るべく一足先に特別機密区画へ向かったり、一部の者はオーバーワールドのメンバーと話をしていた。

 

 

「まさか貴方がここにいるなんて、予想外でしたわ。ディランディ中尉」

 

「俺もだ。 ヨーロッパ戦線で一緒に戦って以来だな、ステラ」

 

「ニール、知り合いか?」

 

「もしかして彼女だったりして」

 

 

 秋生が問い光が茶化すと、ニールは困ったように手を上げる。

 

 

「ヨーロッパにいた頃の戦友だよ。お互いスナイパーで、よく勝負をしていた」

 

「懐かしいですね。私がアルゴス小隊に移動になるまで、一度も勝てませんでしたけど」

 

「そう簡単に負けられるかっての」

 

 

 ステラとニールが昔話をしている一方で、こちらも同じような会話に花を咲かせていた。

 

 

「お久しぶりです、片桐大尉」

 

「篁中尉も息災で何よりです。弐型の改修には私も加わることになっているので、これからよろしくお願いしますよ」

 

 

 以前より面識があった二人が技術者として話をしている頃、ユウヤはその男に声をかけていた。

 

 

「中佐。アラスカでの話の続きを知りたいのですが――」

 

「まあ焦るな、ブリッジス少尉。早く知りたいという気持ちもわかるが、その話は食事の後にまとめて話すつもりだ。我慢してくれ」

 

「そういうことでしたら……」

 

 

 早く知りたいが相手は自分よりはるかに高い階級の持ち主なので、そう言われては反論できないというジレンマに襲われながらユウヤはしぶしぶと引き下がっていった。

 それと入れ替わりに今度はイーニァが小走りで寄ってくる。

 

 

「レイ、カスミは?」

 

「残念だが、あの子は今別の仕事中だ。夕食時にPXへ行けば会えると思うから、それまで大人しくしててくれ」

 

「うん、わかった」

 

 

 それだけ言うとイーニァはクリスカの元へ駆けていき、そしてさらに入れ替わりでグルーデックがやってきた。

 

 

「中佐。私もここに呼ばれた理由を知りたいのですが」

 

「すまない、その話はアルゴス小隊の全員に話をした後で頼む。おそらく、その方が理解してもらいやすいと思う」

 

「了解しました」

 

 

 グルーデックが敬礼と共に立ち去るのを見届け、零も話の準備のため特別機密区画へと足を向けた。

 

 




本編第32話、いかがでしたでしょうか?

次回には零が自分の手札を明かしてアルゴス小隊の面々を武ちゃんに合わせたりする予定です。
霞のハロのスペックについてはまた時間があるときに外伝的なもので紹介できたらなぁと思っています。

それでは、今回はこのあたりで。
また次回の投稿でお会いしましょう。


次はいつもと同じくらいの文字数に戻れるといいなぁ……
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