取霊術使いのダイヤさん   作:ルビィちゃんキャンディー

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難しいお話にはならないように努力しています。分かりにくいところがありましたら、質問、よろしくお願いします





3話 「過去語り」

 

 

 

鞠莉「取霊、巡り……??」

 

果南「…そうだよ。鞠莉が留学してからすぐに」

 

鞠莉「は…ははは…」

 

 

やめて…鞠莉さん、果南さんは悪くーー

 

 

鞠莉「ふざけんじゃないわよ!!!!!!!!!!!!!!??」ガシッ

 

千歌、曜「!?」

 

果南「ぐっ…」

 

 

鞠莉が鬼の形相で果南に掴みかかる。先程までの希望で輝いていた理事長室が一変、嫌になるぐらい鞠莉の声が響き渡るほど、静かになっていた

 

 

鞠莉「果南!!!!果南がいながらダイヤを取霊巡りに!!!??なにやってんのよ!!!!」

 

ルビィ「ま、鞠莉さん…やめて」

 

鞠莉「あんた達、ダイヤに辛いこと全て押し付けて…ダイヤを…ダイヤを……」

 

 

鞠莉「見殺しにしたって!!!!!!??」

ルビィ「やめて!!!!!!」

 

鞠莉「……ハァハァ」

 

果南「…千歌達が見てる」

 

 

千歌「…果南ちゃん…?」

 

曜「ダイヤさんって?」

 

 

千歌達が見ていることに気づいた鞠莉は我に返り、果南を掴んでいた手を離す。しかし、何かの拍子に再び飛びかかりそうな剣幕である

 

 

鞠莉「ルビィの…お姉さん。私達の親友よ」

 

果南「……」

 

鞠莉「そして、果南達が見殺しにーー」

 

ルビィ「してない」

 

 

ルビィが一言。鞠莉の言葉を遮り、続ける

 

 

ルビィ「お姉ちゃんは帰ってくる。絶対に」

 

鞠莉「…どうしてそう言いきれるの?」

 

 

鞠莉がすぐに言い返す。これ以上、希望を持たせるな。そう訴えているようであった

 

 

ルビィ「…お姉ちゃんが言ってたんです。必ず帰ってくるって」

 

鞠莉「でもーー」

 

ルビィ「それに果南さんは最後までお姉ちゃんを止めていました。取霊巡りに行ったのはお姉ちゃんが志願したからです…」

 

果南「……」

 

ルビィ「果南さんが一番辛いはーー」

 

果南「ルビィ」

 

ルビィ、鞠莉「!!」

 

 

ずっと黙っていた果南が、ルビィを見て口を開く

 

 

果南「一番辛いのは…ルビィだよね?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

その後、理事長室をあとにしたルビィ達は、落ち着くために部室に戻っていた

 

 

ルビィ「いきなりごめんなさい…嫌な感じになっちゃって」

 

曜「私達は大丈夫だよ…ねえ、ルビィちゃん」

 

千歌「一体何があったか教えてくれない?あと、取霊巡り?とか…」

 

ルビィ「……」

 

 

突然の事で戸惑うルビィ。無理ならいいよ?と気づかう千歌達に対し、ルビィは…

 

 

ルビィ「いえ、話します。取霊巡り、そしてお姉ちゃんのことを…」

 

 

そして、ルビィはゆっくりと、胸に手を当てながら話し始めた

 

 

ルビィ「ルビィのお家は元綱元。内浦の海、土地を統べる名家だって教えられました」

 

千歌「黒澤と言ったらね…」

 

曜「ここら辺で知らない人はいないよね」

 

ルビィ「でも、元綱元は表の顔。裏の顔こそ…」

 

ルビィ「妖界に名を広げた"取霊術"を操る霊能力名家…」

 

千歌「取霊術、聞いたことはあるけど…」

 

 

ー 取霊術 ー

日本のごく一部の霊能力家に伝わる、霊能力の極意に近い術。この術は、倒した悪霊や生き物の霊魂を自らの身に取り込み、自分の霊力として使うもので、取り込んだ霊魂が自身の霊力と適合すればその能力を自分のチカラにすることも出来る

 

 

ルビィ「黒澤家当主、ルビィのお父さんはお弟子さんと一緒に、妖界側でも内浦を統べ、守っていました」

 

曜「ルビィちゃんのお父さんは取霊術の…」

 

ルビィ「はい。日本でも指折りの取霊術使いでした…でも、」

 

ルビィ「静岡 邪禍の大戦で…」

 

千歌、曜「……」

 

 

妖ならば知らぬ者はいない"静岡 邪禍の大戦" 16年前、人・神・妖怪・幽霊…あらゆる者の霊魂を喰らう悪霊、邪禍薇螺が静岡に復活。日本中の霊能力者、神々、妖怪が集結し、決死の戦いの末、なんとか討伐に成功した。しかし、

 

 

生きて生還した者は誰ひとりとしていなかった

 

 

 

ルビィ「…ルビィが産まれる少し前のことでした」

 

千歌「!!じゃあ、ルビィちゃんは」

 

ルビィ「はい。お父さんと会ったことはありません…」

 

千歌「……」

 

ルビィ「お父さんが戦死して、黒澤家は取霊術の当主を失いました。それにより、妖界側を守る力は大きく低下したものの…」

 

ルビィ「邪禍薇螺は討伐され、それ以上の強力な悪霊は現れなかったため、黒澤家は霊能力の向上を求めようとしませんでした」

 

ルビィ「でも、今から2年前。日本中の妖界を震撼させる情報が、黒澤家にも飛び込んできたんです」

 

 

 

 

 

 

ルビィ母『消滅していない!!!?』

 

『はい。邪禍薇螺は生きております』

 

 

 

 

曜「え…討伐、したんじゃ…」

 

ルビィ「…討伐、できなかったんです」

 

千歌「じゃあ、邪禍薇螺は今は…」

 

 

 

 

『しかし、邪禍薇螺も瀕死状態のようで、追跡はしたのですが、途中で見失ってしまいました』

 

ルビィ母『で、では、邪禍薇螺を完全に討伐しなければ…』

 

『はい。邪禍の大戦から14年は経っています。復活ははやくても……』

 

 

『あと2年』

 

ルビィ母『…!!そんな……』

 

『私が黒澤家を訪ねたのはそのためです。今の黒澤家の取霊術当主は、どなたですか?』

 

ルビィ母『……』

 

『?』

 

ルビィ母『…申し上げにくいのですが、今の黒澤家には先代当主のような、ずば抜けた取霊術者はいません…』

 

『…!!なんと…』

 

ルビィ母『大変、申し訳ございません…』

 

『…お弟子の実力だけでも見させてください』

 

 

 

 

 

ルビィ「そして、訪ねてきた取霊術者さんはお父さんのお弟子さんと手合わせをしました」

 

曜「お弟子さんは何人いるの?」

 

ルビィ「…30人」

 

千歌「30!?じゃあ、全員、取霊術使い!?」

 

ルビィ「はい…でも」

 

 

 

 

 

 

『ぐっ…なんだこの強さ…』

 

『全く、歯が立たない…』

 

『…はぁ、こんなものですか…落ちましたね。黒澤家は』

 

 

その人は30人のお弟子さんをいとも簡単にねじ伏せてしまいました…でも、それは当然だったのかもしれません…

 

 

『…この弟子達は全員、取霊巡りを?』

 

ルビィ母『…していません』

 

『なら当然ですね』

 

『私は取霊巡りを行いました』

 

ルビィ母『!?』

 

 

 

千歌「取霊巡りをすると、強くなるの?」

 

ルビィ「…簡単に言えばそうです」

 

ルビィ「取霊巡りをしなくても、取霊術は会得できます。でも、それで得た取霊術は未完成なため、チカラが半分以下になります」

 

 

ー 取霊巡り ー

取霊術を得る資格(才能)があるものが行うことが出来る修行。その修行は厳しく、挑んだ殆どの者が命を落とすという、自殺に等しい修行である

 

 

千歌「…え?ダイヤさんって…まさか」

 

ルビィ「…そうです。あの時、すべての会話を聞いていたお姉ちゃんはーーー」

 

 

 

 

 

ダイヤ『お願いがあります!!!』

 

『?あなたは…』

 

ダイヤ『わたくしは黒澤家長女、黒澤ダイヤです!わたくしをあなたの弟子にしていただけませんか!?』

 

ルビィ母『ダイヤ!?』

 

『…何故、ですか?』

 

ダイヤ『父亡き今、黒澤家・内浦を守れるのはわたくししかいません!!その為に、わたくしもお父様のように強くなりたいのです!』

 

『…いい心意気ですね。ならば条件があります』

 

ダイヤ『条件??』

 

『…あなたには、取霊巡りをしてもらいます』

 

ダイヤ『!?』

 

ルビィ母『なんと!?』

 

『…まさか、あなたのお父様のように強くなりたいと言うのに、取霊巡りをしないというのですか?』

 

ダイヤ『……』

 

ルビィ母『ダイヤ!考え直しなさい!取霊巡りは自殺に等しいのですよ?』

 

ダイヤ『……』

 

 

 

ルビィ「…その後、お姉ちゃんは取霊巡りを志願。お姉ちゃんの師匠と一緒に取霊巡りに行ったんです…」

 

千歌、曜「………」

 

ルビィ「師匠さんが言うには、修行が上手く行けば一年後には戻ってこれる。という事でした……でも、お姉ちゃんは……」ポロッ

 

千歌「る、ルビィちゃん…」

 

ルビィ「に、二年経っても…帰って…こないん…です……」ボロボロ

 

曜「!!…ルビィちゃん、それ以上は…」

 

 

これ以上、ルビィにこの話をさせるのはまずい。そう察した曜はルビィを止める

 

 

ルビィ「…ルビィはお姉ちゃんを止めました。果南さんにも連絡して、一緒に説得しようとしました」

 

 

 

 

 

 

ルビィ『お姉ちゃん、取霊巡りなんて絶対にダメだよ!!』

 

果南『命を捨てるようなものなんだよね?許さないよ。そんなこと』

 

ダイヤ『…しかし、わたくしがやらなければいけないのです』

 

果南『違う。誰もやらなくていいんだよ。今までみたいに、一緒に楽しく、毎日を…』

 

ダイヤ『…果南さんは優しいのですね』

 

果南『…』

 

ダイヤ『ならば約束します』

 

ルビィ『約束?』

 

ダイヤ『わたくし、黒澤ダイヤは必ず帰ってきます』

 

果南『…何を根拠にそんな……』

 

ダイヤ『今までにわたくしが約束を破った事はないでしょう?』

 

ルビィ『…そう、だけど…』

 

ダイヤ『ならば信じてください。約束を。わたくしを。ルビィ、果南さん』

 

果南『……』

 

ルビィ『……』ボロボロ

 

ダイヤ『わたくしが帰ってくるまで、果南さん。浦の星女学院を頼みましたわよ』

 

ダイヤ『そしてルビィ』

 

ルビィ『…?』

 

ダイヤ『風邪をひかないように』

 

 

 

 

 

 

ルビィ「…これが、2年前に起きたことの全てです」

 

千歌「…ルビィちゃん」

 

曜「いいの?こんな話、私達にしちゃって」

 

ルビィ「曜さん達だからこそ、話したかったんです…千歌さん達だからこそ、知って欲しかった…」

 

 

 

 

梨子「…ふーん、そんなことがあったんだ」

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

その後、ルビィ達はそれぞれの帰路に着いた。今、ルビィは千歌達と別れ、一人で道を歩いている。少し寂しいが、家まであと少し。自然と歩くスピードが早くなる……が、

 

 

 

 

 

スピードが早くなった理由は他にもあった

 

 

 

 

 

ルビィ「(後に…誰かいる…)」

 

 

 

 

 

 

 

ぐじゅる

 

 

 




え?急に展開がちょっとヤバくなってきてません???

次回、ちょっと怖、注意です


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