マクロスプラス reverberation of Sharon   作:gad

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第10話 アクア上陸

ウンディーネ、水の精霊の名前を冠した宇宙港。開拓者たちの玄関となっている宇宙港。その名に恥じないように、流水の彫刻や噴水等、水のイメージを生かした装飾で彩られている観光地のような空港である。実際、現地の公園設備の一種として認識されておりデートスポットにもなっていたりする。

 マクロスシティ宇宙港と比較をすると、規模としては非常に小さいものであるが星に住む人たちには、あれこそ我らが母港と親しまれている港である。

 

そのウンディーネにユーリたちは降り立った。2週間以上かけた船旅、しかも途中では戦闘等いろいろあったものの、ようやく彼らは任地にたどり着いたのだ。

 

「しかし、この格好。どうにかならないかしら」

 

「しょうがない、着替える時間もなかったし、我慢するしかないよ」

 

 

出迎えにはまどかの家族が来るだけなのだが、格好は白を基調とし、規律を意識させる服、新統合軍服を着た2人、当たり前であるが目立っていた。

さきほど、コバヤシマル艦長から呼び出しを受け、礼状と花束をもらうというサプライズがあったため、彼らは礼服のままなのである。

 

ちなみに一般的な着任の場合も任地についたときは軍服である。そして普通は宇宙港を経由せず、そのまま基地に着任する為こんなことにはならないのだが、アクアは辺境の地。あまり軍人の入れ替えや軍艦の入港というものがないため、一般人と同じ宇宙港を使って、基地までそこから公用車という手段をとることとなっている。

 

 

「おかーさん、何であの人たちペアルックしてるのー?」

 

「しっ、ああいうのはからかっちゃいけません。楽しくしている人に無粋でしょ」

 

しかし僻地だからか、統合軍の礼服はあまり知名度がない。このようにひどい勘違いも受ける2人。赤面状態である。

さきほどの親子以外にもちらちらと彼らを見る人は絶えない。白い服といい軍服のデザインといい、周りを威圧する、つまり目立つデザインだから仕方がないのだが、

 

「何でペアルックになるのよ、どう見たって軍服でしょう、ねえ。あのお母さんもそう気づきなさいよ」

 

「アクアって軍人が珍しいのかね……、礼装を着てるだけでこんなに目立つとは思ってもいなかったよ。」

 

 このように2人はボヤく。すぐに来ると思っていた迎えも来ない。いくら待機が得意な軍人とはいえ、これだけ目立つ状況下では疲れもたまる。しかも久しぶりの家族との邂逅である。緊張感も待つ時間とともに増していく。

 

このように到着して、待つこと30分、だんだん視線にさらされるのに慣れてきたころに迎えはやってきた。

 

「まだ待つのかな…、ちょっと疲れてきたよ」

 

「私もよ…何かあったのかしらね」

 

「ごめん、お姉ちゃん!!ちょっと道路が混んでいて迎えが遅くなっちゃった。」

 

後ろからからかけられた声に驚きながら振り返ってみると、そこにはまどかを一回り小さくして、かわいらしくした少女がたっていた。水色のワンピースに手提げかばんと、人を迎えに来るというよりは一緒にお出かけするような服装に身を包んでいる。

 

「迎えってすみれだったの、久しぶりね。」

 

「本当にごめん。お姉ちゃんが久しぶりに帰ってくるから楽しみにしてたし、早く行こうと思ったんだけどね」

 

妹の頭をなでながら、久しぶりの家族との会話を楽しむまどか。それを嬉しそうに受ける女の子。この子が迎えのまどかの家族、河野すみれであった。仲の良い姉妹なのだろう。ユーリを放って、2人の世界に入りそうになる。まどかの手がすみれの頭をこねくり回しているのを見ればすでに入っているような気もするが。

 

「まあ、道が混んでたなら仕方ないよ。それよりまどか、この子がまどかの妹さん?」

 

 それを見ていてわかるとはいえ、相棒の家族に対しては自己紹介をしておきたいというユーリは、確認のため2人に声をかける。その声でユーリをおいてけぼりにしたことに気が付く2人。

 

「ごめんなさいね。ちょっと紹介が遅れたわ。この子がすみれ、何度か話した私の妹よ」

 

「私も、すみません。久しぶりにお姉ちゃんと会うのに喜んでて、自己紹介が遅れました。河野すみれです。ユーリさんですね。お姉ちゃんからの手紙によく書いてある人なんで気になってました」

 

あわてて、ユーリにすみれを紹介するまどか。それに合わせてすみれもあいさつをする。さすが姉妹といった2人で、タイミングはばっちりあっていた。

 

「いや、こういう時は家族との再会を優先するのが普通だから、そんな風に謝らなくていいよ。それより僕も申し遅れました。村雨ユーリ、まどかにはいつもお世話になっているよ。」

 

「あら、お姉ちゃんがお世話をするなんて。直情的なお姉ちゃんのことだからユーリさんも苦労してるんじゃないの?」

 

「まあ…それなりにね」

 

「なによ、それなりって!!」

 

ユーリの自己紹介に突っ込みを入れ、まどかの性格をネタに笑うすみれ。そんな2人に起こるまどか。久しぶりの家族の開港にユーリもやっと混ざれたような形であった。

 

そのように笑い合っている3人であるが、なぜか先ほどよりもさらに目立つ集団となっていた。視線もさっきはユーリたちの服を見ていたのだが、次は何か有名なものを見ているかのような感じである。

 

そんな視線に気づいたユーリたちだが、彼らの感覚は30分の間に少しだけ麻痺をしていた。どうせ自分たちが珍しいんだろうなと思い込んでしまったわけである。この勘違いがのちの驚きにつながるわけだが、それはこの時ではなかった。

 

それはさておき、そこそこ打ち解けた3人。荷物はすでに宿舎へ移してあり、基地への出頭も2日の休暇をもらっているためまだ時間があった。丸々2日間、疲れ切った2人にはちょうどいい休暇である。

 

「お姉ちゃん、基地に着任の挨拶まで2日あるんでしょ。久しぶりにこの星のいいところ、ユーリさんに紹介ついでに回ろうよ」

 

「それ、いいアイデアね。私が船の中で話したアクアの名所。回るのと地理を覚えるついでに行きましょうか」

 

 

「たしかにたくさん聞かされたなあ。けど2日しかないし、絞らないといけないと思うんだけど」

 

 そう、2日間の休暇。有効に使うため観光案内を考えたすみれだが、アクアの良いところを聞かされまくったユーリが、2日で足りるのか疑問に思うのは当然であった。そんなユーリの態度から4つ位を適当に回るつもりだったすみれは、姉の悪癖を思い出した。

 

 

「お姉ちゃん、どんだけ聞かせたの…?」

 

ユーリの表情から、とんでもないほどお国自慢をしたであろうことが見えたすみれは、呆れ声でまどかに問いかける。過去のまどかの長話、例えばすみれもお国自慢ではないがバルキリーのお話をえんえんと聞かされた時があり、それを思い出して同情もしている。

 

「あら、せいぜい50個ぐらいよ。星ひとつの紹介には全然足りないくらいよ」

 

だが、そのすみれの呆れ声もまどかには通じなかった。普通に足りてないと思い込んでいるまどかである。

 そんな、まどかを見てまた笑いあうユーリとすみれ。そんな彼らを見て、不思議そうな顔をするまどか。

 

彼らのアクアの熱い生活はこんな形で幕を開けたのだった。

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