マクロスプラス reverberation of Sharon   作:gad

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第2話 Last school life

YOU DIED YOU DIED YOU DIED YOU DIED YOU DIED 

 

シミュレーターの中でこの文字が光り輝く。

 

「やっぱり、VF-171じゃX9に勝てないよ」

 

 ユーリが、シミュレーターからそんなことをぼやきながら、出てきたのは、彼が撃墜されてすぐであった。

 

「おしかったな、色男。俺がまどかさんと組めばあんなの落とせたけどな」

 

 こんなことを話しかけるのは、ヨハン・アルトナー。赤髪の美形と言ったらわかりやすいだろう。ユーリと同じフロンティア出身の同郷の生徒である。

 

 そう、生徒と示したが、ここは、マクロスシティ郊外にある統合宇宙航空士官学校のシミュレータールームである。卒業を1週間後に控えた彼らは、許可を取り自作のシミュレーションをインストールすることにより自らの、戦闘技術の向上に努めているのである。

 

「いや無理だよ、今の機体じゃあれは落とせない」

 

「じゃあ、どうすればあれに勝てるっていうのよ!!!」

 

 とても不機嫌な状態でシミュレーターからまどかが出てきた。黒髪にすらっとした姿。昔の人が彼女を見たら大和撫子と呼ぶだろう、いるだけで存在感がある女性だ。ただ、今の彼女はおそろしい。X9に勝てなかったのがそれほど悔しいのだろう。

 

「EXギア対応の新機種が使えたら何とかなると思う。父さんがなんかそんなことを前言っていたよ」

 

「本当にそうならいいけど。ってあらヨハンじゃない。あなた呼びましたかしら」

 

 ユーリの父は、新星インダストリーの技術者である。その父からの情報は、結構きわどいところまで伝えていたりしており、彼らの中では、ユーリの父の情報はかなり正しいと認識されていた。

 

「これはこれは、ひどいお言葉、俺は美人のまどかさんのためなら火の中水の中、どこへでも参ります。」

 

 ちなみにヨハンが、まどかにつれなくされるのはいつものことである。これが始まったのは2年前のチーム決めが原因なのであるが。

 

 2年前、本格的にバルキリーのチーム戦技指導が始まることとなり、チームメンバー集めが学校では激しくなっていた。フロンティアのレオン三島による孤児支援策により、士官学校へ行くことのできたヨハンは、その恩に報いるべく主席を狙い、実技でもトップを目指そうとしていた。

 

 そこで、同学年でのバルキリー操縦の天才、そして美人であるまどかにチームに入ってくれるように頼みに行ったのだが、彼女は当たり前のように大人気であり、チームメンバーに入れるのは非常に難しい状態であった。

しかも彼女はいつも

 

「ごめんなさい、自分がこれだって思う人とチームを組みたいの」

と断ることで有名であった。

 

しかし、どうにかして彼女を仲間にしたいヨハンは彼女に決闘を申し込んだのである。

 

「まどかさんは、信じられる人とチームになりたいんですよね、だったら俺が勝ったら仲間になってくれませんか」

 

 その話は、彼の誇りをかけた発言であった。その意思表示として教室の教団の前で大きく宣言したのだ。この発言には何も問題がなかった。だからまどかはその誇りを理解し、快諾したのであった。

 

しかしこの後にお調子者のヨハンっぽい言葉が続いて出てしまった。

 

「ついでにデートとかしてくれたらもっと嬉しいんですけど」

 

 まあ人気者だったヨハンが軽く言った言葉なのであるが、それに続いて出てくる

「俺も俺も」「俺とも決闘してくださいよ」という言葉にまどかは切れた。

 

「わかりました、そんだけ言うなら決闘しましょう。ただし負けたらこれ以上バカみたいな声掛けはやめてください。」

ということで、まどかがヨハン含めた士官学校のパイロットクラスの男子勢と決闘する流れとなったわけである。

 そこで、コテンパンにやられたヨハンたち。なぜかクラスイベントの様相を呈していたため最後に彼女と決闘したユーリが勝つのは別のお話であるが。

 

 

 そんなことはさておき、シミュレータールームで彼らは戦技を高めていた。バディを組んでいるまどかとユーリ、そしてヨハンは卒業前の最後の機会ということでともにミッションをクリアしたり、対決をしたりなど、今の統合軍では見られないやる気を見せていた。

そんなところに教官が突然やってきた。引き戸をガラガラとあけて、怒鳴り込んできたのである。

 

「お前ら・・・・とんでもないシミュレーションを作ってやりやがったな。あとで教官室に来い」

 

 彼らが先ほど失敗したX9戦は、アングラで有名なシャロン・アップル事件を参考に作り上げたものである。軍部としては認めないこの事件を堂々とシミュレーターでやる行為はさすがに士官学校ではまずい状況であった。

 

 教官たちは皆かなりおおらかな人物であったが、軍上層部には睨まれたくないのも心情として皆持っている。何とかこの記録を消しておきたいわけだ。

 

「しかし、教官。この事件は・・・」

 

「いろいろお前が言いたいのもわかる。だが、これだけは触れないでくれ、頼む。」

 

 この演習の中でずっとX9に執着を持っていたまどかが教官に食って掛かる。だが、教官にも立場がある。彼女の事情を把握していても、一応は、指導しなければまずいのだ。

 

 憮然としなながらシミュレータールームを出ていく教官を見送る3人。そんな中でムードメーカーのヨハンが声を上げる。

 

「まあ、お偉いさんににらまれたくないのは、みんな同じだよな。しゃあないから怒られに行ってから、俺たちで飯にも食いに行こうぜ」

 

「それいいな、僕は卒業前最後に娘々の中華丼のゼントラサイズ完食したくなってきたよ」

 

 それに合わせてユーリも同意する。まあ彼も飯を食いたかったのもあるが。そんな中、いまだに機嫌が悪いまどか。彼女も結構食べるほうなのだが。

 

「まどか、まあ元気出そうよ。あと1週間で僕らも多分ばらばらだ。せっかくの機会だし仲良くやろうよ」

 

「それもそうね。よし。もうさっきの件は気にしない。ユーリのおごりで食べるわ」

 

 ユーリの誘いでやっといく気になったようだ。なぜかおごらされるユーリなのだが、これがいつもの彼らの日常。しかし、この日常もあと1週間で終わりなのである。

 

1週間後には卒業式、そして同時に任官式が行われ卒業生は宇宙に散っていく。いくら統合軍が落ちぶれたとはいえ、彼らのような士官はどこでも必要とされるのだ。それには誇りがあったり、恩義があったり、あこがれがあったりする。

そう、夢を持って彼らは統合軍に行く。宇宙を守る戦士として巣立っていく。それが1週間後であり、別れの時なのであった。

 

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