夜
人が通りそうもない道に、空中から黒い亀裂が出現する。
青い甲冑の金髪の少女セイバーと転生されて間もない岩谷正輝の二人は凄いスピードで飛ばされていく。
下に真っ逆さまというわけではなく、亀裂の中から横へ飛ばされるといったようなものだ。
セイバーは、なんとかバランスを取って地上に到着することに成功したが、
「ちょっ!待て‼︎こんなの聞かれてないぞおぉぉぉぉぉっ⁉︎」
正輝の方はそのまま滑って不時着した。
不時着したせいか腰を痛め、ぎこちないまま立ち上がっていく。
痛めた腰を抑えつつ後辺りを見回していく。
「いっつ…此処はどこだ?」
「わかりませんが、その前に魔力反応が二つこちらに来てます」
セイバーが反応した方向に顔を向くと、セイバーより小さいが髪などが似ている少女と耳が変わっている女がこっちに来ている。
「…貴方が持っているジュエルシードを私達に渡して下さい」
驚く以外なかった。そこにいたのは正真正銘のフェイトテスタロッサとアルフであったこと、そして正輝の持つ手にはいつの間にかジュエルシードを所持していた。
「なぜに…」
「渡してくれないのなら、ガブっといくよ!」
「…下がってください、マスター」
2人が探し求めていた物が、まさか手に持っていることに困惑するもアルフが正輝達を脅していく。
敵と判断したセイバーは、すぐさまマスターである正輝の先頭に行き、魔力で鎧とエクスカリバーを出現させて身構えていた。
(そういえば、今の俺達って介入したばかりで住む家も金も無いことに気づいたわ…救えとか言っておいて力を得ても、これじゃ自分達のことで精一杯になるだろ。
でも、丁度良く来たこの子達なら…もしかしたら)
もしこの世界がリリカルなのはだとしたら、ある取引ができるかもしれないとフェイト達に頼み事を考える。
「セイバー。とにかく構えんな…まだその2人は何もしてない」
「しか『ちょっと2人に交渉してみるから、ここは俺に任せてもらえないか?』…わかりました」
セイバーが聖剣を向けたことで金髪の少女も黒い杖を構え、正輝達に警戒する。
正輝は警戒せず、前に出て右手に持っているジュエルシードを手渡そうと近づいた。
「俺達は争う気はない。
このジュエルシードは俺が偶然持っていたものだったし、欲しいのなら渡す。
その代わりとして…今の俺達には住む場所も頼れる人もいない。
ただ住みつくだけじゃなくて、このジュエルシードが他にもあるっていうのなら俺達も協力したいだが…いいか?」
「えっ?」
フェイトはその一言に驚く。
渡す代わりに条件として正輝達を彼女らの住んでいる家に住ませてもらうということで、2人とも困った表情になっていった。
フェイトとアルフは顔を見合わせつつ、話し合っていた。
「頼む。どうか、そっちの家に居させてもらえないだろうか?」
「フェイト…どうするの?
ご主人様から見て、コイツらは本当に大丈夫そうかい?」
「信じても問題ないと思う。戦わずにジュエルシードを得られるならそれも良いかなって…それにジュエルシード全てを集めるないといけないから、2人だけ探すのも大変だろうし」
彼女達のヒソヒソ声は、正輝の耳にも聞こえている。
話を聞いているとなかなか決まらない。
「とりあえず…その、なんだ。
2、3日間は泊まって、それから様子を見てもらってもいい。
俺達の何者なのか…その自己紹介も兼ねつつ様子を見て、それから信用できるか判断してもらって構わないから」
すると正輝以外の全員が「そうだね(ですね)」と言った。
なおフェイト達の住んでいるマンションに着く時に正輝達は余りにも高くて上を眺めながら驚いていた。
「とりあえず自己紹介からな。
正輝って呼んでくれ。
こっちはサーヴァントのセイバー。よろしく」
「よろしくお願いします。」
「ねえ正輝。
早速アタシから質問したいんだけど、そのサーヴァントってなんだい?」
アルフが正輝に質問をした。
「サーヴァントっつーのは、歴史上または未来で成果を出し、その人間が英霊になり、英霊っつーのはその人間の霊ってワケ。だけど現界出来るのは魔力がないと現界出来ない。まぁセイバーはいつの間にか受肉されてるけどなって…セイバー、服変わってね?」
正輝は私服版になったセイバーに驚いた。
「どうやら魔力で変えられそうです。私が変えられるのは甲冑状態と私服みたいです。」
「じゃ、私の名前はフェイトテスタロッサ。こっちは…」
「使い魔のアルフだよ」
全員の自己紹介を終えた時、正輝のケータイが鳴った。
「…ちょっと外に出るから。あとセイバーも来てくれ」
外気の寒い外で、携帯を取る。
画面に映っていたのは神様だった。
「おう。無事につけたのかのう。」
「何が無事だ。俺は酷い目にあったぞ。」
「まあまあ。とりあえず味方にいるヒロインをハッピーエンドにさせい。」
「はぁ⁇それってどういう…」
そう言って神様によって着信を切られた。
「ちっ…いきなりかよ」
「どうしたのですか?」
セイバーが問いかける。
「味方にいるヒロインをハッピーエンドにさせろって言われた。」
フェイト達に許可を貰った後セイバーにこの物語はアニメで、その原作の末路を言い。セイバーもそのアニメであることを言い驚いたがその事実を受け入れた。
この時もう午後10時であった。
「マジでややこしい…」
正輝は風呂に入りに行った。
セイバーは後からでいいですと言われたのでこうして行っている。
流石にこの時間に9歳が風呂に入る訳が無いと思っていた。
「よし!風呂に入r「えっ⁉」…失礼しま」
しかし、その考えは目の前にいる濡れたままで全裸の美少女によってぶち壊された。
「いやぁぁぁぁ‼‼」
フェイトはバルディシュを構えサンダースマッシャーを使った。
正輝は攻撃を防ぐため武器を使うが…
「あ…」
部屋において行ったまんまである。
「ああぁぁぁ!!」
正輝はサンダースマッシャーをモロに喰らい、黒焦げになった。
「正輝‼」
「一体なんなんだい⁉」
後からセイバーが来てくれるが時すでに遅し。
フェイトの方は顔が既に真っ赤であった。
こうして正輝達とフェイト達の(仲の良い?)暮らしが始まる。
「計画ですか。」
「まあな。一応、この先を知っている俺がどう対処するか考えねーと。」
「正輝。風呂についての件。ご愁訴様です。」
「もう言わないでくれ……すっごいビリッと来てるから…痛ぃ」
正輝はしぶしぶと用意してくれたベッドに寝た。
*****
正輝の知らない別の場所で他の転生者とこの世界の主人公が邂逅する。
しかも、その転生者は
「私、高町なのは!貴方達の名前は?」
「岩谷嶺」
「三崎亮だ」
正輝の姉であること。
そして、その隣にいる白髪の赤目の男は、かつては「死の恐怖」と呼ばれた強敵。
彼らと正輝達はこの世界の主人公高町なのはを通して、フェイト側についた正輝たちとはいずれ出会うこととなるに違いなかった。