吸血鬼は骸骨と踊る 作:ストレスマッハな介護士A
ゆるりと更新していきますので、これからもよろしくお願いします。
「………………a!お………a様!……じょ……ま!」
意識が朦朧とする。
誰かが呼んでいるような気がするが、だるいし眠いし周りも真っ暗なので、脳内のまどろみに身を任せて一眠りしよう。
昨日は夜遅くまで仕事をしていたのだ。
眠っていてもバチは当たるまい。
そう思っていた私だったが、一瞬で周りが明るくなった為、一気に意識が覚醒した。
何!?何事!?
頭が若干パニックになった時に、綺麗な女性が上から覗き込んできた。
その顔は私は心当たりがある。
でもそれはありえないことだと頭の中で否定する。
が、目の前に見える光景が私を否定し、混乱の度合い酷くなる。
「お嬢様!お目覚めになられましたか!?大丈夫ですか?どこかお体の悪いところはございますでしょうか?」
「……えっ?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?さ、咲夜!?咲夜なんで!?喋ってるし、自分で動いているしな、何コレ!?夢!?夢なの!?何が起きてるのぉぉぉぉー!?」
「お嬢様!?落ち着いてください!どうされたのですか!?」
私は驚きのあまり、思考がパンクした?ショートした?上手く例えられない。
咲夜はNPCなのに何故喋ってる?
私の知らないログイン出来ない間にアップデートでもされた?
いやそれはない筈。
サービス終了3ヶ月前にアップデートするとかは流石にないだろう。
混乱しながら体を起こして周りを眺める。
豪華絢爛といってもいい部屋だが、壁は真っ赤に染められ、高そうな絵が立て掛けられている。
周りには金色に輝くインテリアの数々。
そして私が今まで気持ち良く寝ていたのは、何と中に布団や可愛い動物のぬいぐるみが敷き詰められていた棺桶だった。
大事なことだからもう一度言う。
今まで気持ち良く寝ていたのは棺桶の中だったのだ。
え?何?何で私は棺桶に入れられていたの?もしかして一時的に心臓とかが止まっていて死んだと勘違いされていた?
何コレ?何コレ?何コレぇぇぇぇぇぇー!?
私が混乱を深めていると、こちらの目線に合わせてしゃがむ少女。
従者のようにメイド服を着こなしている。
銀色煌めく髪のショートヘアー。
澄んだ綺麗な瞳。
スラッとしながらも出ているところは出ている抜群のスタイル。
メイド服のスカートの裏からチラリと見える太股にある銀色に煌めくナイフ。
紅魔館で奉公するメイド長、私が作成した自慢のNPCの一人。
十六夜咲夜その人だった。
見間違える筈も無い。
この子は私の……
「お嬢様申し訳ありません。私も嬉しさのあまり混乱していたようです。お嬢様、体のお加減はいかがでしょうか?」
「えっと、ごめん、まだ寝ぼけてるのかな?……えと、咲夜?ここは?」
まだ混乱していたが、頭を下げてくる咲夜を見て少しだけ冷静になる。
そして自分の声に違和感を感じる。
子供のような幼い可愛らしい声。
これが私の声なの?
「ここは紅魔館のレミリアお嬢様の個室でございます。お部屋の前にお倒れになっているところを、紅魔館の妖精メイドが発見して私に連絡、お嬢様をお部屋の棺桶に移動致しました」
「あ、ありがとう咲夜。ごめんなさい、ちょっと寝ぼけてるみたい」
見覚えがあると思ったら、ここは紅魔館のマイルームか。
あれ? 警告音がなっていてエラーエラーうるさかったのに結局ログインは出来たの?
いやちょっとまて、ってことは私は今はレミリアのアバターなのは分かるけど声まで変わるのはおかしい。
それに咲夜が普通のプレイヤーのように喋ったり、命令もなしに動くなんてNPCが動くなんて……
何がどうなってるの?
と、分からないことだらけだが、取り敢えずコンソールを開こうとするが開かない。
チャットもGMコールも使えない。
どういうことなの?
予想外のことばかりで意識がショートしそうになる。
もしかして夢なの?
いや、物に触れている感覚とかちゃんとあるし……
こういう時にモモンガさんが居てくれたら……ってモモンガさんに連絡すればいいんじゃない!!!
でもメッセージって送れるの?
いや、まずは試そう。
ダメだったらその時考えよう。
(モモンガさん!モモンガさん聞こえますか!?)
お願い!届いて!!!
(え?レミリアさん!?レミリアさんどこにいるんですか!?)
(紅魔館のマイルームにいるわ。最近ずっとログイン出来ていなくてごめんなさい。私はさっきまで気を失ってて今気が付いたの。ちょっと混乱してて、モモンガさんに今聞きたいことがたくさんあるの。聞きたいことなのだけれど……)
(もしかして何故ユグドラシルのサーバーが落ちていないか、またはNPCが喋ったりしていることですか?)
(そう!それよ!まあ他にもあるのだけれど)
(俺もレミリアさんに話したいこと、確認したいことがたくさんありますので、一度そちらに行きますよ。ちょっと待っていてくださいね)
(分かったわ。取り敢えず合ってから話しましょう)
モモンガさんとのメッセージのやり取りを終えると、咲夜がこちらに何か話したそうにしているのが見えた。
モモンガさんと連絡がついて私も少し落ち着いたから咲夜とも話はしたい気持ちはあったが、モモンガさんがこちらに来るのなら急がなければ。
「咲夜、いきなりだまっていてごめんなさい。今モモンガさんと連絡を取り合っていたのだけれど、彼が今からこちらに来るらしいの。詳しい話はそれが終わってからで良いかしら?」
「はい、大丈夫ですお嬢様。モモンガ様がこちらに来られるのであれば今から美鈴にこちらに案内するように連絡致します」
「お願いね咲夜」
咲夜はこちらに一礼すると部屋から消えた。
恐らくスキルを使ったのだろう。
さて、モモンガさんが来る前に少しでも思考を整理しなくちゃ。
私はそう思い考えに更けるのだった。