吸血鬼は骸骨と踊る 作:ストレスマッハな介護士A
何とか5月中に間に合いました。
仕事の合間合間に書いたものなのでおかしなところがあるかもしれません。
その場合は後で修正します。
そして感想、お気に入り登録、評価をしてくださった方々、ありがとうございます。
ゆるりと更新していきますので、これからもよろしくお願いします。
咲夜が部屋を出て何分たったかなぁ~。
はぁ~、それにしても部屋にある調度品も相変わらず綺麗だわ。
ほぼ金色に統一されてるのに何故か成金臭くないし。
テーブルはおそらくガラス製かな?
ソファは高そうな天然の皮っぽい。
こんなの生前でも見たことない。
それなりに金持ちだったつもりだったけど、これを見るとねぇ~。
って、現実逃避してる場合じゃなーい!!!
やばいじゃん!もうすぐモモンガさん来ちゃうじゃん!
思考を整理?んなもん簡単に出来れば苦労しないよ!?
だってゲームの中にいてログアウト出来ないし、NPCの咲夜は喋ってるし!
まさか昔小さい頃に本で見た異世界転生!?
あーもう!考えが纏まらない!!!
非常事態に臨機応変に対応なんて出来るかー!!!
私は頭の中で現実逃避をしたりパニックになったりして思考を整理どころか混乱を深めていた。
よく異世界物の物語ですぐに順応してる主人公とかいるけど、普通に凄いと思う。
普通無理、少なくとも私には無理。
経験があること、例えば急な仕事とかなら難なくこなせるだろうけど、経験がないことが突発的に何かしないといけないとか無理。
あぁもう!誰か助けてよー!!!
"コンコンッ"
「お嬢様。モモンガ様をお連れしました」
「ありがとう咲夜。通していいわよ」
私はまだ混乱していたが、咲夜の声が聞こえて我に返り応答した。
モモンガさんが来るのだ。
もしかしたら何かしら情報等持ってるかもしれない。
もしも情報が分かってなかったとしても、1人よりかはモモンガさんみたいに頭の回転が早い人と一緒ならまだ安心できる。
「分かりました、失礼します」
"ガチャッ"
部屋の扉が開いた。
そこにいたのはメイドの咲夜と神器級アイテムに身を包んだオーバーロード、モモンガさんだった。
……ヤバい、安心してちょっと泣きそう。
「モモンガさん、よく来てくれたわ。咲夜下がっていいわよ。お茶とかは持ってこなくても良いわ。こちらが呼ぶまで誰も部屋の近くには近付かせないように出来るかしら?」
「分かりました、お嬢様。そのように他メイドにも連絡致します。ご用がありましたらまたお呼びください。モモンガ様もごゆるりと」
"ガチャン"
咲夜は私の言葉に答えてすぐに部屋から出ていった。
部屋には2人。
お互いに黙して語らず。
互いに何から喋れば良いか計りかねてるのだろう。
「レミリアさん、お久し振りです」
「モモンガさん……私、私……」
あ、やばい、咲夜がいなくなったら涙腺が……
「レ、レミリアさん!?」
「最近ログイン出来なくてごめんなさい……私、私いきなり起きたら棺桶の中にいて、レミリアになってて、ログアウトとかも出来なくなってて……」
ダメだ……涙が…………泣いちゃったらモモンガさんも困るのに……
「レ、レミリアさん、落ち着きましょう、ね?大丈夫です。1人じゃありません。不安だったんですよね?大丈夫です。大丈夫ですから」
「ありがとう……モモンガさん私……心細かったぁぁァァァァ!!!」
「レミリアさん!?お、落ち着いて!?」
「うわぁぁぁぁん!!!」
私はモモンガさんの言葉に我慢出来なくなりモモンガさんに抱き付いて泣きじゃくった。
モモンガさんの困った声が聞こえていたのだけれど、我慢出来なかったのだ。
最初こそモモンガさんも慌てていたが泣きじゃくっている私を見て冷静になったのか、途中から黙って抱き止めて頭を撫でてくれていた。
私が落ち着くまでずっと。
「「…………………………」」
しばらくして私は落ち着いたが、落ち着いた後に恥ずかしくなってすぐに離れて顔が赤く染まった。
男の人にいきなり抱き付いたのだ。
それに私は……まあそういう相手、経験もなかった。
だからどうしていいのか分からなくなったのだ。
モモンガさんも同じなのか部屋の隅で頭を抱えている。
あっ、頭が光った。
状態回復のポーション等を使ったのだろうか?
そして互いに落ち着いてから、私とモモンガさんは今までの情報を共有し、これからのことを話し合った。
その折、私も色々モモンガさんから衝撃の事実を聞かされた。
ナザリック地下大墳墓ごとNPC達と丸々異世界に転移したらしい。
そしてその際に墳墓内にいるNPC達が生きているように意思を持ったんだそうだ。
モモンガさんは地下大墳墓のNPC達と闘技場に集まった際に忠誠を誓われたんだとか。
ただうちの紅魔館のNPC達は階層守護者達を集める際に一緒に呼んだらしいのだが……その時一悶着あり、解散後にアルベド達が紅魔館を潰すべきだとキレたらしい。
そしてそのタイミングで私がモモンガさんに連絡して、アルベド達を宥めてこちらに来たと。
……まったく何してんのよ、咲夜達は。
まあNPC達が集まってモモンガさんに忠誠を誓っていた中、咲夜はモモンガさんに
「私が忠誠を誓うのはアインズ・ウール・ゴウンというギルドではなく、レミリアお嬢様ただ1人。お嬢様はギルドメンバーではありません。そのお嬢様の我が儘を聞いて頂き、ギルド内に館を建てさせて頂いたり等、皆様にはとても感謝しております。ですので、何かありましたら積極的にご協力、お手伝いさせて頂きます。ですが忠誠を誓うことは出来ません。これは紅魔館にいる者達全ての意思でございます」
と告げたみたい。
そのせいでアルベドとシャルティアがキレて、咲夜とその時に一緒に出席していた美鈴と一触即発の雰囲気になったらしい。
その他の階層守護者達は手や口は出さなかったが、咲夜達を睨み付けていたんだそう。
モモンガさんは宥めるのにかなり苦労したと言っていた。
忠誠誓ってくれるのは嬉しいけれど何してるのよ……。
取り合えずモモンガさんに謝ったが、モモンガさんは大丈夫と言ってくれた。
あ、あとモモンガさんが改名してギルド名を名乗ることにしたそうだ。
モモンガさんにアインズさんと呼んだ方が良いか尋ねたら、他に誰かいる時はアインズと呼んでほしいが2人だけの時はモモンガと呼んでほしいと言われた。
知り合いには気軽に接してほしいんだそう。
……このことが忠誠心MAXのアルベド達にバレたら面倒くさそうだけれど、私もそちらの方が楽だし、何よりモモンガさんがそちらの方が良いと言っているので、2人きりの時は今まで通りに接することにした。
「ところでレミリアさん」
「何かしら?」
「此処の総括としてお話を聞きたいんですが、ギルドメンバーではないレミリアさんの処遇どうしますか?」
「ん~、無難にアドバイザーや協力者とかで良いんじゃないかしら」
「あの、レミリアさん、良かったらギルドに入りませんか?メンバーとも仲良かったですし、あの時からずっと誘われてい「モモンガさん、前から言っているようにそれはダメよ」た……そうですか……」
色々な報告を聞いていた時にモモンガさんから
またというのも、昔からギルドメンバーにならないかは誘われていたのだ。
ただ問題があって、自作NPCの咲夜、パチュリーの種族が人間なのだ。
一応、パチュリーは人間でありながらも魔法を極めたことにより長生きしてるって設定だから普通の人間とは言いづらいけれど。
ほとんどのメンバーから入るように言われたが、反対していたメンバーがいたのも事実。
それでギルド内で争いになりかけたこともあった。
だから私は協力者……扱い的に傭兵かな?
に徹してギルドには入らないことを約束したのだ。
……まあ茶釜ちゃん達、一部のメンバーが協力者ならギルド内に拠点を作るようにと言われて紅魔館を作ったりしたし、会う度にギルドに入らないかも勧誘されるし、反対するメンバーも日に日に減っていっていたし、外堀を埋められていたような感じがしないでもないけれど。
今は反対していたギルドメンバーがいないではないかと思うかもしれないが、反対していたギルドメンバーの代わりに自分の意思を持ったNPC達がいる。
しかも設定的に人間軽視でカルマ値高い子が多いのだ。
私は異業種とはいえ咲夜達と暮らしている。
あまり良くない感情しか持たれてないだろう。
それに咲夜達が対立したしね……。
「あいわらずの即答ですね」
「諦めなさい。まあこちらから裏切ることもないし、協力は惜しまないからそれで良しとしなさいな」
「そうですね。ていうかレミリアさんが敵対とか考えたくないですよ……」
「敵対は私もしたくないわよ。折角の気軽に接することの出来る人ですもの。……ってあれ?人?人ではないから骨?」
「ふふっ、そうですね。それに上位プレイヤーでもあるレミリアさんとなんて勝てる気しませんよ」
「いや、モモンガさんも強いじゃない。模擬戦とはいえ、私に勝ったこともあったじゃない。あんなに私の出す手を片っ端から対策されたの初めてよ?」
「いやー、勝った時は嬉しかったですよ。ほぼ相討ちでしたけど。あと同時に敵対したくないとひしひしと感じましたが」
「えー、楽しいじゃない。敵対とかは嫌だけど、戦うのは楽しいと思わない?」
「嫌ですよ。レミリアさんと戦って勝てたのあの一度っきりですし、スキル凶悪過ぎです……。何ですか対策を立てて初見殺しもいれながらの万全の状態で挑んでほぼ相討ちって。うちのギルドメンバーでほぼ互角に戦えるのってたっちさんぐらいだったじゃないですか」
「いや、流石にたっちさんには負け越してるわよ。2回くらい。楽しかったなぁ」
「バトルジャンキー……」
「何か言ったかしら?」
「いえ何も」
モモンガさんと互いに笑い合う。
ギルドメンバーとの思い出は楽しいものばかり。
どんどんメンバーとは疎遠になっていったが私はユグドラシルを捨てられなかった。
モモンガさんもそうだろう。
楽しかったのだ。
とても。
「とりあえずまたアルベド達を集めてレミリアさんが戻ってきていたことを知らせましょう。そして協力者ということも一緒に」
「あれ?伝えてなかったの?」
「いや、アルベドと近くにいたセバスは伝えてます。いきなりだったので全員に伝える暇なんてないですよ」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいですよ。とりあえず集まった時にどうするかとかも今の内に決めておきましょう」
「そうね、そうしましょうか」
また私たちお互いに笑い合った。
それから暫くの間、集めた時の流れをおおまかに話し合ったのだった。
仕事が忙しい……。
人数いない、上は土日完全不在、新しく人が入っても抜けていく……。
すいません、愚痴りました。
まあそんな状況なので相変わらず更新はマイペースにゆっくりさせて頂きます。
次回かその次辺りにモモンガと咲夜達の視点をあげるつもりですのでお楽しみに。
次は1週間以内にあげれるといいなぁ……。