12番目の使徒 作:名無しの権兵衛
敵対するつもりは無いと言うととてつもない強力な陰の気が噴出する。何の力も持たない一般人が見たら一瞬で気絶するかともすれば干からびて死んでしまうほどの濃い陰の気。
「敵対するつもりはない? よくもまあ言えるモノですね。皮肉も分からない鳥頭以下ですか? 良いでしょう。自分から返しに来るまであと百年ほど待とうと夫とも話していましたが返す気がないというのは今ので十分わかりました。今すぐ白鳩と蝙蝠のトップを呼びなさい。それすらもできないようであれば問答無用で根切りなので」
「堕天使。悪いことは言わない。まだ生きていたいと思うんなら、この人の機嫌をこれ以上悪くさせるな。冗談抜きで日本が敵に回る」
「は、はは、それなら三大勢力の、和平会談が、始まる、から、そのゲストとして、で」
とてつもないプレッシャーを食らった堕天使は脂汗を書きながら顔を真っ青にしている。私はまだ自分に向けて向けられていないだけまだ余裕はあるが真正面からこれを食らったら音に聞くシヴァでさえも一瞬硬直するだろうと予想できるほどだ。これでまだ日本神話の中ではまだ最古参でないというのだから訳が分からない。
歴史の中で日本が異色を放ち続けているのは分かっているが目の当たりにして初めて身をもって分かった。これらは他の神々とは違って概念の擬人化なんて言う生易しい物じゃない概念を無理矢理人の形にしているだけだ。そしてそれを保ち続けているのは人自体ということも認識しておきながら人々が忘れ去る事すらも世の運行として何の感慨も湧かないのだろう。
頭が痛くなってきた。思わずため息が出てしまう。ただでさえあのようなことを各地でしでかしてるのだから敵を作るだろうにこちらが何もしなければ敵対もしないどころか手を貸してくれるほど余裕のある日本神話を敵に回すとは……勝手に被害を追うのはどうでもいいがそこに無辜の民を巻き込むな。
知識で流れ込んできたものの中には数多の記録が残っていた。悪魔が駒を使い同意なしに無理やり自分の眷属として従わせそれに逆らうものははぐれ悪魔として処分したり、堕天使が神器を持っているからとキリスト教に全く関係の無い信じてもいない少年少女を攫ってきて人体実験をする挙句に殺害も辞さなかったり、天使が神を信じないという理由で住民を虐殺した挙句信じていた神を零落させる所業。
友の言葉は、主が導いた道はどこに行った? これ以上考えると先ほどと同じようになってしまうため思考を中断するが、隣人愛を持つことによって本来相互理解が不可能な近くの他人と仲良くなること、それこそが世が平和になるための近道だと説いた言葉は曲解され、いいように利用されていることを眺めるのがどれほどの苦痛だっただろうか。友よ、今は僅かでも、その傷を癒してくれ
「イザナミノミコト様、その会談、私も参加したいのですが、よろしいでしょうか」
「ええ、此方の事情を知っていながら彼方にも精通している貴方が着いてくださる事は頼もしいですから」
「有難う御座います」
「会、場は……駒、王学、園……だ」
仮にも学び舎で会談を行うとか一般人がもしも紛れ込むことも想定していないのか? それに和平会談と銘打つくらいなら百歩譲って防備のしっかりした所にするべきだろう、茶々が入る最も可能性が高いところだろう和平会談とは。