12番目の使徒   作:名無しの権兵衛

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次話、最終回です


不幸が終わらぬ其の人に

 龍脈に陣を張る。それはさながら激流に仕切りを立てるが如く、龍脈の持つ膨大な生命エネルギーは滞留する。

 これに関しては既に土地神や日本の国津神とも協議し、一時的かつ一度のみならばとなんとか許可を得た正真正銘とっておきの切り札(ジョーカー)

 ウェルギリウスは楽しそうな顔をしながら準備運動をしている。チラと学園の方を睨めつけると私に質問してくる。

 

「なあダンテ、今朝の後光といい、あそこから僅かに感じる彼奴(きゃつ)の気配に似たなにかといいもしや俺が感じた楽しめそうな相手ってのは、愚問か?」

「確証は持てん。だが、我等が主による託宣を賜った。詳しくは私では聞き取れなかったが、おそらく我等が主の残した力の塊が変質し、歪みとなってこの騒動を引き起こしてるものと考えられる」

「前にお前が言っていたやつか。彼奴(きゃつ)本人でないのは遺憾だが力の塊ともなれば多少は近かろう。手は出すなよ?」

 

 そうウェルギリウスに釘を刺されるが、確かにこのような呪われた現状であれば此奴の満足するような相手など現れる事など早々無いだろうからしょうがないだろう。分かったという視線をウェルギリウスに送り、正装を纏う。

 青い衣を着て黄の肩掛けを羽織り、懐にコインの入った麻袋を仕舞い込む。これと前述のエネルギーを用いることで儀式は完成する。

 

 イザナミノミコト様についていき、校舎に入る。近づけば近づくほどに毛穴がよだつ程に悍ましい(まじな)いが掛けられた最早呪いの塊といっても過言ではない物へと変遷していく。

 私自体は今回の会談には何ら関係がないので外で待機する。しばらく置いて一瞬きの間、僅かに世界の改変が行われたのを感じた。

 すると、神々しい老人の姿を取った者が私たちの前に現れる。

 

ユダよ、ユダよ、裏切り者が何故此処に現るるか。汝直ちにコキュートスに戻りて罰を受けるべし。去れ

「ごちゃごちゃうっせえ!」

 

 力の塊が私に話しかけて来るのに痺れを切らしたウェルギリウスは顔に獰猛な笑みを浮かべながら強大な膂力を駆使して力の塊を圧し潰さんとするが、すぐさま結界が張られ、よけられる。

 

名を奪いし巨人よ、汝の傲慢の罪断じて赦すべからず。故に永劫鎖に繋がれ、楔を穿たれるべし。去れ

「ダンテェ! テメエ秘策あるんだろ! そいつは此奴を倒すときか後かどっちだ!」

「後だ。今準備中だから遊んでないでさっさと倒せ」

「あいよぉ!」

 

 幾ら我等が主の力のほぼ全てを受け継いだとはいえ相手はウェルギリウス。嘗ての全知全能たる全盛期の我等が主ですらも真面な相対を避けた相手。

 張られる結界は悉く壊され、拳のみで肉を抉る。

 一方で、私は銀色のコインを一枚二枚と落としていき、残り数枚で予定数にエネルギーが充填される。

 最後の一枚の充填が終わった時、丁度ウェルギリウスが何の感動も愉悦もなく、機械のように心臓の部分を抜き手で抉っていた。

 

「チッ。さては彼奴(きゃつ)、これを俺に倒させることを前提にしていやがったな? 妙に打撃の通りがいいと思えばこれとは。メタ対策した上での対決ほどつまらん物はない」

な、な、なぜ、負ける。我は、全てを知る。我は、全てを熟す。なのに、なぜ

「創造主がそういう風にに作ったからだろ。つまらん。俺は終わった後も好き勝手に生きるが別にいいよな」

「ああ。私が地獄に戻るのは飽くまで自分から戻るだけだからな。貴殿は自由にしてくれて構わないさ。我等が主亡き後に地獄に留まろうとする奇特な奴など、私くらいなものだろう」

 

 私の周囲に幾何学模様が一気に広がる。模様が白銀に光輝き、周りを白く染め上げる。

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