ナルトたちのタイムスリップ   作:ネムのろ

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第五話 譲れないモノのために

キン!カキン!という金属音がそこかしこで鳴り響く。

空気中かと思いきや、地面スレスレでも聞こえた。

しかし、実際はすべてクナイや手裏剣などをはじいたりした音で、その場に消えるように移動しつつ相手を攻撃、相手の攻撃を避けるなどしていたのは、ナルトだった。

 

「キリねぇな」

 

そのナルトの隣でサポートをするように、他の雑魚どもを壊したりしていた九喇嘛が、下り立ってクナイを構えたまま、結界に囚われている男を見つめるナルトへと近ずき、背中合わせになった。

 

「ナルト、このままではワシのこの姿の限界がくる。」

「やっぱ未完成の術だもんなぁ~…疲れるよな。状態維持は…」

「普通に大暴れしたほうがマシだな」

「改良の余地ありか…」

 

そう言いつつ、敵と交戦し、九喇嘛に時間稼ぎを頼むと、これしかねぇな!とボルトのいる所へ高速でかけつけた。

そこにいるヒマやヒナタが彼を見て、息をのんだがナルトは一切気が付かずにボルトへと声をかける。

このままでは相棒がもたないこと。キリがない事。アイツらを出し抜くにはまず手始めに結界内でチャクラを吸われ続けられてる男を救わなければ、敵も無限に湧き出てくると言う事。

 

だから、手始めにボルトの父親を助けることにしたと、そのためにボルトの力が必要だとナルトは言った。

有無を言わさずにボルトを背に乗せて空を飛ぶような脚力を発揮しつつ、影分身を三体用意したナルト。そのまま走っていく途中で、あ、そうそうと思い出した。

 

「ボルト、お前はどこにあの結界の元があるのか…張ってるヤツがいんのか、道具でやってんのか、見極めてほしいってばよ」

「え、お、おれ?」

「大丈夫。お前、そういうの得意そうだからきっと成功するって!」

 

気持ちのいい笑顔を向けられて、若干頬を染めるボルトだったが、無茶な注文に無理だと言った。

 

「ええ?なんで無理なんて言うんだってばよ?」

 

心底意味がわかりませんと、ナルトは顔をしかめる。そこへボルトが糸が切れたかのように、何かため込んでたものを吐き出すように大声で言った。

 

「だって!俺…おれ、母ちゃんみたいな忍びじゃねーし!おれには無理だってばさ!!他の優れた忍びはいくらでもいんだろ?俺にはそんな才能ねぇよ!!」

 

だからできない。無理だとボルトが言った瞬間、ザワリと、得体のしれない悪寒をボルトは感じた。

 

「やってみねぇで何言ってんだお前」

「え?」

 

心底冷え切ったかのような声色が、さきほど温かかったナルトの口から出てくる。

 

「才能がない?んなもん努力すりゃなんとでもできるだろ。できなかったにしろ、なにもしないうちから決めつけてんじゃねーよ」

 

心底見損なったと言わんばかりの声。彼の顔から削ぎ取ったのではないかと思われるぐらいの、無表情。

心臓が嫌に脈を速く打ってくる。音がうるさい。嫌な冷や汗が流れて来る。どうしようどうしようどうしよう。そう考えてもボルトは何も考えられないくらい心が乱れて思考がぐちゃぐちゃになってしまった。

 

怒らせた。

見損なわれた。

もう…信用してくれない。

 

そんなことばかりがボルトの思考を占めてしまった。

それを感じたのかどうかは分からないがナルトは、はぁ~と大きなため息をついた。もちろんすべてボルトを背に乗せつつ、敵と交戦しつつだ。

 

「大人げなかったな。ごめんな」

 

苦笑いをして、すまなさそうに眉を八の字にしつつ、敵を蹴って遠くに投げつける。ふと、自分の父の顔を思い出した。

 

「人には向き不向きが、あるって知ってる。けどよ…」

 

ナルトの青い瞳が揺れた

 

「何も努力しないまま、突っ立ってても何もはじまらねぇ」

 

ナルトの影分身が前へ出て、敵の親方らしき人物と応戦する。

 

「無駄かどうかは後で決める。自分に出来そうなことを片っ端から一生懸命やってからでも、判断できんだろ?」

 

今度は彼らしい、おひさまのような輝かしくも温かい笑顔。

 

「それが、後悔を少なくする方法じゃねぇかな?」

「!」

 

後悔。そう。それはきっと、ボルトを縛っていたもの。気が付いたハズだったのに気が付かないフリをした小さな変化への後悔。己が守れなかった誓いへの後悔。

 

「つーかさ、そんなに後悔してんならもう十分だろ?」

「え…?」

「もう十分、自分を責めたんだ。今度は自分の力を信じてやってもいいんじゃねーの?」

 

ナルトの言葉の一つ一つが、ボルトの弱くなっていた心の中に波紋をつくる。そして徐々に大きくなる波紋は…不安ではなく、絶望の中に希望を叩きこむかのようで。

 

「後悔したなら、あとは突っ切るだけだ」

 

とても

 

「できることを思いっきり、やってみよーぜ!」

 

心地よかった

 

「う、うん!俺、やってみるってばさ!」

 

最後に見た悲しそうな顔と声の父を思い出す。

 

(ぜってー、また笑顔にする!)

 

悲しい顔をさせてしまったのなら、今度は父が笑えるようにしよう。己を誇れるくらいに。心配など必要ないほどに。

ボルトは再び、強き意思と強い想いを、ナルトから受け取ったのだった。それらが彼の背中を押す。座り込んでいた自分は──もう大丈夫。立ち上がって歩ける。

元気を取り戻したボルトを見て、ナルトは拳をつくり、ボルトの前へ持ってくる。そしてニッカと笑った。

 

「全部解決した後で、俺と反省会な!」

「オス!」

 

ゴツン。

 

拳と拳が触れ合う。その瞬間、ナルトは一瞬にして影分身を多く作り、敵へと押し寄せた。残されたボルトは一瞬にしてナルトがチャクラごしに何をすればいいのか伝えてきたために、自分のすべきことをしようと、目にチャクラを集中させていた。

 

そして、伏せられていたボルトの目が再び現れた時。片目が異様な目の色をしていた。しかし本人はいたって気が付いてない。確実に彼は普段見えないハズのモノを見てしまっている。

 

「すげぇ…やってみたらできちまった……」

 

ハッとし、意識を集中させながら結界の方を見る。

 

「父ちゃん…!」

 

ナルトのチャクラは尽きかけていた。今はもう全く動かなくなってしまった父。あの元気な笑顔が脳裏に過った。俺のせいだと、ボルトは今一度自分を責めた。そして、涙を強引に腕で拭き、頭を振った。

 

「後悔はもう十分したってばさ」

 

あの人の言う通りだ。後悔したなら今の自分は、すべきことは

 

「父ちゃんを救う!」

 

今はそれだけを考えたらいいのだ。

全神経を集中して、ボルトはとうとう見つけ出した。敵の術の元と、その正体を。

だから駆け出した。だから敵と応戦してるナルトへと駆け出した。

 

「父ちゃん!」

 

そう言いながら駆け出して行ったボルトを見て、慌てて後を追うナルトと九喇嘛。

 

「見つけたんだ!あの術の先っぽ!あと、敵の弱点!」

 

それを聞いてナルトは

 

「そうか!」

 

ニッと笑った

 

「流石俺が見込んだ忍びだってばよ!」

「!」

 

ボルトは、その言葉を聞いて一瞬涙が込み上げた。彼にとって一番聞きたかった言葉。一番言ってほしい人物が脳裏に浮かぶ。ナルトの笑顔が自分の父の顔と重なる。

グッと涙をこらえた。今は前を向いて。集中する。走りながら次の行動を考えるんだと自分に言い聞かせて。

 

(今感動してちゃダメだ。ありがとうも、ごめんも、それから拳骨一発食らわすのも、全部終わった後だ。説教してやんだ。俺の父親だったら、んなことで負けてんじゃねーって!だから今は)

 

自分に、できることを!!

 

「やるってばさぁああああ!!!!」

「遅い」

 

大声を出しつつ勢いよく結界を壊そうとしたボルトを、冷酷冷徹にクナイで彼の胴体を引き裂いた敵──これらを招いたボスは、冷たい瞳でナルトを射貫いた。

 

「ボルトぉおお!」

 

ニヤリと、敵の男が笑う

 

「お前は殺さない。お前は、次の俺たちのエネルギーになってもらう」

 

そういいつつ、クナイをボルトの身体から抜こうとしたその瞬間

 

ボフン!

 

そんな音がした。そして、引き裂かれたはずのボルトの身体が消え、煙がその場に散った。

 

「こっちだ!」

「影分身か!」

 

状況を把握した敵は一目散にボルトを排除しようとするが、刺しても蹴とばしても砕いてもすべてが影分身。

 

「鬱陶しい!」

 

いつの間にかその場に消えた時に残る影分身の煙が充満していた。視界は曇っていて見えない。

敵がイラッとするのを感じたナルトは、チャンスだと瞬時に姿を煙の中にくらませた。それを見て、敵はキョロキョロと見わたしつつ、警戒する。いつ何時、ナルト達が動いても対処できるように。

次の瞬間、そんな中で動いた影めがけてクナイを投げた。手ごたえは…なし。

 

「もらったぁあ!」

 

背中からクナイを手に、迫ってきたボルトを、敵は振り向きながらニヤリと笑った。

 

「どうかな?」

 

ボルトの腕を掴み、もう片方の手でクナイを心臓めがけてぶっ刺した。

 

「油断は」

「禁物だぜ?」

 

目の前の刺したハズのボルトが消え、敵の真横からまっすぐに、ボルトが、反対側からナルトが手を突き出す。その手に段々とチャクラが溜まっていくのが手に取るように敵にはわかった。

だから回避しようと身を引くくしつつ、足を横へスライドさせるように動こうとすると…

 

「なっ?!」

 

逃げようと術を発動させようとした敵が…動かなくなった。いや、動かなくさせた。見れば煙が晴れたナルト達のさらに向こうに、一人の少年が。

 

「影縛りの術!」

 

煙に紛れて近づき、瞬時に影で相手の自由を奪ったのは

 

「サンキュー!シカダイ!」

 

ボルトの親友の一人、シカダイだった。

 

「やっちまえ!ボルト!!」

 

その彼の声を聴いて、ボルトに力が湧く。一気に止まっていた足を動かす。ナルトもそれに続いて強く足に力を入れて、勢いよく敵へつっこむ。

 

「これでも食らえ!」

 

その勢いのまま手のひらに、丸いぐるぐると回り続ける球体をつくりつつ、敵へツッコむボルト。全く同じ姿勢で敵へツッコむナルト。二人は同時に声高らかに叫んだ。

 

「「螺旋丸!!」」

 

ギュルギュルと圧縮された回るチャクラの球体が、敵の身体に当たった。

肌が吹き飛び、血が出たかと思えば、徐々に敵の身体は少しずつ崩れていく。そこでナルトがハッとした。

 

「カラクリ…?!」

 

驚きつつも術を止めずに続け、見事に敵を打ち滅ぼすことに成功した二人。ナルトと九喇嘛は神妙な面持ちでじっと壊れたカラクリを見つめた。

 

「九喇嘛…人ならざるチャクラってさ、まさか…」

 

バラバラになった敵を見つつ、推測しようとするナルトを置いて、ボルトは父の所へと走っていった。そんな彼を横目で見つつ、そっとしておこうと、ナルトと九喇嘛は推測を続ける。

 

「父ちゃん!今、助けっからな!」

 

そう言いながらボルトはもう一度、螺旋丸をつくり…今度は小さい螺旋丸だが、風の性質変化を加えた……

 

結界を破る役目もボルトに託しつつ、九喇嘛とナルトの推測や観察は続く中、そう言えばと、九喇嘛がシカダイへ話しかける。

 

「まぁともかく、先ほどの影縛りは見事だったぞ。奈良の小僧」

 

九喇嘛がそう、シカダイを褒める。彼は少し頬を染めつつ、お辞儀をした。

 

「あ、こっちこそ…ありがとうございます。二人がいなかったらこの里は、もうダメだった…」

 

苦そうにそう呟く彼を見て、ナルトが彼の頭をポンポンと撫でた。

 

「困った時はお互い様だってばよ?」

「でも…俺たちなす術もなくなって…この絶望的な状況を打破できる突破口が見えたの、あなたが来てくれたから」

「なーに言ってんだよ。俺はただのキッカケにすぎねぇよ。さっきだってお前が加勢に来てくれたから成功したんだし」

 

その言葉を聞いて、シカダイが頬を染めつつフッと笑う。ナルトはまた、彼の頭を撫でた。

 

「ごくろうさま。あとは俺たちにまかせ…」

「ナルト!!」

 

九喇嘛の、切羽詰まった声が響いたのはすぐだった。

 

「え…?」

 

見れば、壊したはずのカラクリが己の腹を突き刺して、そこから血があふれてきていた。

 

「そいつの刀を今すぐ抜け!封印術式とともに、毒が!」

 

毒。そうかと、ナルトは合点がいった。

 

「そうか…こうやって……ボルトの父ちゃん…も…捕まって…」

「大丈夫っすか?!」

「くっそ…俺…毒には慣れてるハズなのに……」

「しっかりしてください!」

「離れて…ろ…」

 

ともすれば、彼の身体の中にも同じ毒があるハズ。

 

「やべぇ…」

 

ゴフッと血反吐しつつ、敵のカラクリをぶん投げた。九喇嘛は飛んできたソレを容赦なく踏みつぶし、かけらも残さず一瞬の業火で炭にしつつ、ナルトへ駆け寄る。

 

「この、毒…やべぇよ…九喇嘛…」

「しゃべるな!」

 

九喇嘛は急いでナルトの身体の中へと戻り、チャクラで彼の回復をアップさせようとするが、何故か戻れない。

 

「リンクが…できない?」

「その毒のおかげだ」

 

ゾワリと悪寒がした九喇嘛が、素早くシカダイを遠くへ投げた。後ろにシカダイがシカマルにキャッチされる頃合いに、九喇嘛さえも投げつけられ、倒れる。

 

「チィ!この身体の限界が近い…動けん!」

 

悔しそうに歯ぎしりする九喇嘛をあざ笑うように、そいつは現れた。

 

「七代目火影の結界は破られたが…」

 

遠くで、見事に父を助け出したボルトが、父を肩に担いだまま、動きを止めた。新たな敵が現れたのだと気が付いたからだ。

 

「とうちゃ…!な、ナルトさん!」

 

クツクツと、そいつ…本当の敵の親玉は術を発動しながら笑った。

 

「無意味だったな。代わりのチャクラ媒体となってもらうよ」

 

そいつの手が、ナルトへと延びる。

 

「止めろぉおおお!!」

「ナルトから離れろ!!!」

 

ボルトと九喇嘛が声を上げるが、男はあざ笑う。

もうダメなのかと、みんながそう、思った。

里の、世界のピンチに現れてくれた救世主も、もうダメなのか。

 

みんな、死んでしまうのか。

絶望が里を再び覆うとしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………その、刹那

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しゃーんなろぉおおおおおお!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな空気を痺れさせるような雄たけびが聞こえたかと思うと、なんともでかい破壊音と共に、地面が裂け、盛り上がり、大きなクレーターをあちこち作りつつ、砂ぼこりが舞った。そのせいで男は身を守るためにナルトから離れる。

 

「汚い手でナルトに触れるな」

 

聞き覚えのある声が、聞こえた。しかし若干若い声で。

 

「こいつに触れていいのは」

 

砂ぼこりが風のおかげで徐々に晴れていく。

 

「こいつが愛した里の者たちだけ」

 

そこに居たのは、まぎれもない

 

「し、しょー…?」

 

黒い髪を持つ、写輪眼使いで

 

「パパ…?」

 

輪廻眼使いでもある

 

「サスケ…」

 

うちはサスケと、サクラだった。

 

「サクラ」

「はい」

「まかせたぞ」

「はい!」

 

いまの短いやり取りだけで、サクラはサスケが何をいいたかったのかわかった。だから怪我をしているであろう火影とナルトを運んで来いと伝えた。

 

一方、サスケは怒りをグッとこらえつつも、微塵も隠さず敵の男を睨みつけていた。顔を青白くさせ、呼吸困難になっているナルトを見て、チッと言いつつ顔をしかめながら歯ぎしりする。

 

「ナルトを傷つかせ、苦しめた罪は重いぞ」

 

刀を手に持ち、写輪眼で睨む。

刀に千鳥を纏わせつつ、相手へと切りかかった。

相手は火影から吸い取ったチャクラを防御へまわし、難なくかわす。次に繰り出される体術に押されつつ、サスケを蹴り飛ばした。

 

(なるほどな……相当の使い手と見て間違いはない。が、まだ何かを隠している節がある…余裕を持っているのか。それとも奥の手でなるべく使いたくはないからか?)

 

その敵が術を発動させようとすることを先読みし、サスケが倒れた木を駆け上がる。刀を真っ直ぐに敵の脳天へと突き刺した。寸で避けられたが、サスケの攻撃は止まない。

 

(なにか、術を発動させようとして迷い、止まり、違う術を発動させようとする。)

 

火遁を駆使し、その火遁のなかにクナイや手裏剣を混ぜて攻撃する。敵が避けて攻撃を仕掛けてこようとしたその瞬間を、狙い撃ちして刀で切り倒そうとするが、敵もクナイで応戦する。

 

(甘く見られたもんだな…)

 

フウ…と、サスケの纏う空気が変わった。

 

(使わせてやるよ。そして見極めさせてもらおうか。どんな大層な術かを)

 

サスケには珍しい、クナイを彼は取り出した。その形は歪なモノで、先端が三つに分かれている代物だった。なにやら文字も彫られているが、なんと書かれているかは敵からは分からなかった。

 

(さて。いこう)

 

場に、金属のぶつかる音や術が鳴り続いた。

 

 

 

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

 

 

 

 

 

サクラの診察により、二人は同じ毒に侵されていると判明した。仲良しか。そんなツッコミを飲み込み、彼女は診察を続ける。

 

「熱があり、意識は混沌、治癒できず傷口が塞がらない…チャクラコントロールもできてない…瞳孔が開ききってる…昏睡状態!」

 

それらの症状を見て、彼女は医療バックを開き、薬を調合し始めた。

 

「な、なにを…やってるんですか?」

 

赤い眼鏡の、黒髪の女の子に聞かれて、彼女は答える

 

「解毒剤をつくっているの」

「い、いまの…ぱぱって見ただけで何をするのかわかっちゃったんですか?!」

「ええ。」

 

言いながらぱっぱと手を動かすサクラ。なかなかに難しい調合方法だが、彼女は寸での間違いもなく調合し、火影とナルトへと注射した。それを見ていた女の子や里の者たちから賛美の言葉が送られる。

 

「これでひとまず安心ね。火影の方は数日安静にできるようにして。重症よ。ナルトは調合した薬をさっさと身体に打ったから、多分…」

「さ、サクラちゃん…?」

 

昏睡状態近くまで行ったと言うのに、もう回復していたナルトがサクラをぼんやりと見上げる。

 

「流石ナルトね。ていうか、なんなの?また無茶?」

 

そこからはじまるサクラのナルトへのお説教タイム。それを見て里の皆も、あの少女も、もちろんボルトも苦笑いをする。お説教されているナルトを見て、気が抜けたのか笑いも起きるほどだった。

 

「そんなことより、ほら」

 

膝枕していた彼女が彼を立ち上がらせつつ、ナルトの背中を押した事により、空気が変わったと里の皆は笑いを消した。そして、二人を見つめる。

 

「私の薬はよく効くから、痺れももうないでしょうけど、無理だけはしないようにね?」

 

どんなに彼らが化け物じみた力を持っていようが、高い実力が備わっていようが、ただの人間。命は一つしかないのだと、彼女は言う。そんな彼女をしっかり見て、ナルトはニッと力強く笑った。

 

「…おう!あんがとなサクラちゃん!そっちはまかせたってばよ!!」

 

そう言って、ナルトはサスケの元へと走っていった。あの二人ならば、あっちを任せてもいいんだと、サクラの彼らへの信頼が見て取れて、言葉を無くす一同。友情?信頼?信用?彼らにある絆をどう表現すればいいのだろうか。

どれも当てはまらないようで、どれも当てはまるような、そんな複雑な気持ちになった。

 

そんな里の皆を見つつ、サクラは元気よく皆へ笑顔でいいつけた。

 

「さぁ、怪我人がいたら言って!超一流美女医療忍者が診てあげるわよ!」

 

いのがいれば、何処の誰が超美女だって?デコりん。といいそうだが…とサクラは先ほどの火影の顔を思い出す。

 

(ここって、やっぱり未来よね…)

 

じゃあ、やっぱりさっきのは……青白い顔で見る影もなく痩せ衰えていたのは…己が良く知る、あの──

 

「すみません、こっちにけが人が!」

「今ソッチに行くわ!」

「こっちに、さきほどから泣くだけで何も言ってくれない子供が!」

「こっちに連れてこられるなら、連れてきて!できなかったら私がいくまで少し待っててください!」

 

向こうではサスケとナルトのタッグ。

こっちではサクラの治療が始まったのだった。

 




次回

「真の忍びとは」

こうご期待あれ!!!
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