ナルトたちのタイムスリップ   作:ネムのろ

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第六話 真の忍びとは

 

 

カランカランと音が鳴ると同時に、敵が現れては消える。最善の注意をはらいながらも、ナルトは背中合わせのままサスケへと言葉を投げた。

 

「なぁ、どう思う?」

 

その顔は冷静で、しかし集中している顔。

対するサスケも一切の隙を見せず、また敵の行動を隅々まで伺いながら情報収集を行っていた。

 

「なにがだ」

「敵の事」

「ああ」

 

カラン…と音が鳴った瞬間、敵がどこからともなく現れて、そのまま攻撃を仕掛けてくる。しかしどれも雑魚ばかりだ。急所は狙ってくるがそれを阻止し続けてもう数十分がたった。

 

「これは単なる俺の独断による推測だが─…」

 

サスケは出てきた十体のからくりの敵を壊してから、またもとの位置に戻って辺りを注意深く観察しながら口を開いた。

 

「目的は復讐だろうな」

「やっぱそぉか」

 

敵がクナイを飛ばし、ナルトがはじきサスケがその敵めがけて攻撃を繰り出す。寸での迷いもない的確なその二人の共同戦は、見ているものを全員くぎ付けにしていた。そんな木の葉の反応をチラリと目を細めて見てからサスケは続けた。

 

「木の葉になんらかの復讐をもって、こんな大掛かりな作戦を決行したんだろう。その証拠に俺やサクラ、お前がここに来る前までは全て敵側の術中…あいつらの作戦は見事に順調に進んでいた。」

 

そしてまたも、二十体くらいのカラクリを二人が壊しつつ、今までの情報から分析した事を共有していた。

 

「変なチャクラも、あえて俺のチャクラや体を直接鈍らせる毒みたいな構造になってっし…本当、どういう恨みを買ったんだろうな…未来の木の葉は」

 

(つーか…一体何をしたらこんな恨みを買うんだ未来の俺…)

 

ナルトは複雑な気持ちだった。流石の鈍感なナルトでも気が付くことは気が付く。

 

「まったく、俺のチャクラだけに反応する罠とか特殊な毒とか、マジで勘弁…」

 

少し憂いた顔をしながらそう呟いたナルトを見て驚愕したのはサスケで。ナルトが言い終える前に身を乗り出してナルトへ少し詰め寄った。

 

「なんだと…?お前のチャクラに反応する…?」

「ん?ああ。言ってなかったっけ?あいつらメッチャ俺や九喇嘛のチャクラに詳しいんだ。気持ち悪いくれぇに綿密で濃厚な殺気と怒気を俺にぶつけてくっから、それがあまりにでかすぎて敵の位置が全然わかんねぇ」

 

サスケの中のパズルのピースがどんどん出来上がっていく。ナルトは気にも留めずに相手の攻撃を避けつつ、言葉を続ける。

 

「木の葉を攻撃してっけどさ、なんというか…全部俺への怒りがそうさせたと言うか…そんな感じがさっきからずっとしてるんだよなぁ…木の葉のみんなはとばっちり受けたというか…」

 

復讐

報復

巻き添え

とばっちり

 

チャクラの研究をナルト中心にし、周囲を包囲しながら追い詰め刈り取る──…

 

「…なるほどな。そう言う事か」

「んあ?何かわかったのか?サスケ」

「大体は、な」

 

刀を斜め上に振りかぶって飛んでくる何本ものクナイを防いだ後、冷静に反対側にも刀を今度は下へと振りかざし弾く。

 

「だが確かめる必要性がある」

 

それだけでサスケが大体何が言いたいのか理解したナルトは、にぃと笑った。

 

「なるほど…?」

 

ならばと駆ける。カランと鳴ったその場所を蹴り上げて、まだ見えてなかった敵の身体を壊しながら空中へ飛ぶ。

 

「囮作戦ってワケだな!」

「ああ」

「囮は…お前だなサスケ!」

「バカ言え。お前だろうナルト。むしろお前以外適任はいねぇ」

「なはは!だよな。やっぱ俺だな!!んじゃまぁ…」

 

ナルトの足元に一気にチャクラが高まっていく。高密度なチャクラコントロールで、ナルトはそのまま空中へ跳ね上がった。

 

「突撃すっぜ!!」

 

背中は任せた。そう、目線でナルトはサスケに言い残すと、化け物じみた脚力とスピードで大勢の敵が現れた瞬間に多重影分身をしながら、その敵を木っ端みじんに叩き潰していく。

 

「ああ。安心して行け」

 

お前には、何人(なんぴと)たりとも触れさせはしない。

 

「とくに、あいつらはな!」

 

普段冷静沈着なサスケは、この時静かに怒っていた。その怒りは様々な怒りだった。未来のナルトが過去の自分を呼び寄せるほど弱まっていたのは明白なのだが、未来のナルトを守り切れなかった木の葉のみんなに怒っていた。

 

(お門違いなのはわかってはいるが)

 

結果過去のナルトを未来へ引きずり込んでしまったのだから怒らずにはいられない。ナルトを危険にあわせた罪は重い。しかしその経緯はサスケの中で徐々に組みあがって正解にたどり着きそうにもなっていた。

 

(それはそれとして…未来のナルトとその木の葉の皆は俺の怒りの対象ではない)

 

サスケは、自分の中の燃え滾る熱のようなマグマのような怒りを感じていた。ふつふつと膨れ上がっている。

(敵の大将を打ち砕くのが最重要事項!!)

 

怒りの対象はもちろん──この未来の木の葉を脅かす、敵へ。

 

「いくぞ」

 

そう言いながらサスケは真っ先に膨大に膨らんだ禍々しいチャクラが集まっている方角へ飛ぶ。静かに、しかし激しく、まるで空気をも燃やすほどのスピードと威力でそのまま輪廻眼を駆使し、そこから秒で発動するのは

 

「雷遁・千鳥千本」

「ぐガオぅううううおおおおおお!」

 

からの

 

「雷遁・千鳥流し」

 

チクリとしかダメージはないらしく、潜伏していたボス本体へ攻撃しつつ、そのまま後ろへと回り込む。続け様にサスケは素早く術を放った。

 

「火遁・鳳仙火の術」

 

からの相手の懐に潜り込み、上へぶっ飛ばしつつの体術へ持ち込む。

 

「獅子連弾」

「ぐぅぅううう!!!」

 

急な肉弾戦での攻撃に相手が一瞬ひるんだ。その相手へ向かってサスケはニヒルに笑った。

 

「忍者は術だけが命かと思ったか?」

「くぅううううぅぅおおおおおおお゛!!!」

 

雄たけびが木霊する。ビリビリと空気が震えて、少しだけ遠くのほうの木の葉の皆は幾人か腰を抜かすほど。相見える敵とサスケの殺気と気迫と術の反動によって、普通の人は気絶しないでいるのがやっとで。

下忍や中忍達は目で追うのがやっとなスピードと気配を必死に追い続けて、圧倒的な彼らの強さに驚愕していた。

 

「なんだよ…あれ」

「敵も敵だが…あの人も桁違いの強さだ」

「私たちじゃ到底かないっこない戦いよ…」

「見ていることしかできん」

「情けない……」

「なにかしたいけど、今僕らが行っても足手まといだもんね…」

 

上忍達も未知なる底が見えない強さの忍者二人を見て驚愕するしかなかった。

 

「あんな化け物相手に傷一つもない…」

「あんだけ動き回って息切れしてねぇ…」

「汗もかいてないわよ…どうなってるのよ…」

 

皆がそれぞれ驚きを口にする中、一つのまっすぐな声。

 

「カッケェ……」

 

そうぽつり呟いたのは、未来サスケを師匠に持つボルトだ。その目は彼らの戦いを一片の欠片も逃さないように目視しようと瞬きも忘れて見入っている。

そんなボルトを見て、周りの皆もそうしようと集中し始めた。それを知ってか知らずか、サスケは相手を挑発するようにすまし(本人は普通にしているつもり)で語り始める。

 

「お前に、真の忍者がなんたるかを教えといてやろう」

 

敵も忍者。もしも忍者にとって術だけが大切などと思ってないとしても、サスケは続ける。まるで悪ガキにお説教するかのように。しかし冷ややかな笑いを込めて相手を挑発しながら。

 

「お前は術ばかりに気を取られすぎだ」

 

忍者とは、術、体術を極め、そして

 

「忍び耐える者の事を言う…」

 

ナルトのような奴こそが真の忍びの姿だ。

 

「貴様のような復讐に染め上がった奴はもはや忍者などではない…ただの」

「黙れ黙れ黙れだまれぇええええ!!!!」

 

ボスがギロリとサスケを睨みつけてきた。その目からは血涙が止めどなく流れている。相手の術がとうとう発動しかけているらしい。

 

(術の…代償か)

 

己のあの時の事を思い出して、苦笑する。

 

(復讐者とは…醜いものなのだな…ナルト)

 

あの時の俺は一体どんな無様な姿だったのだろうか。一体どんな滑稽な…

 

(いや、やめよう。今はこいつをぶっ飛ばす事に専念しよう)

 

サスケは頭を軽く振ってからスッとまっすぐ相手を見つめた。目の前の敵は遠吠えのように声を出し、サスケを睨む。

 

「なぜ…!俺がここにいる事がわかったぁあああ?!」

(…今それを問うのか此奴(こいつ)は……)

 

辛うじて意識を保っているものの、敵のボスは己の技の発動によって自我を失いつつあった。技の反動なのかそれとも代償なのかはわからないが、サスケは内心で納得した。

 

(やはり、そういう類の術だったか…)

 

敵がその究極の技を出すのを躊躇していた事にも、戸惑っていた事にも納得できる。その術を発動したときに姿を隠したのにも辻褄が合う。

 

(恐らく発動条件として色々デメリットがある上に、時間がかかるのだろう…)

 

「うがぁあああああああ!!!!」

 

邪魔をするものは全て叩き潰すと吠えながら、敵が膨れ上がったチャクラと融合して構成された巨大な腕を振り上げてサスケを攻撃しようとした。もちろんサスケはそれを見極めて避ける。

が、敵の背中からもう一本チャクラで出来た禍々しい腕が生えていた事までは気が付けなかった。油断していたわけではない。決して。しかしそのチャクラの巨大な腕は目の前まで迫って来ていた。

この攻撃は避けられないだろう。そう判断したサスケは高速でこの場をどう脱退するか考えを巡らせた。

 

(くっ!)

 

次の技を出すか?それとも……と一瞬考えてから、サスケは何かに気が付き、そしてフっと笑った。それを敵がどうとらえたのか分からないが、腹が立ったのだろう。腕をもう二本増やして四方からサスケを覆うように攻撃した。

その、刹那。

 

「俺を忘れんなぁああああ!!!」

 

空間をも引き裂きそうな、空気が割れる音が鳴ったと思いきや、けたたましい耳になじむ声といくつかのチャクラの渦巻く音と…戦慄され研ぎ澄まされた感覚を大いに使って現れたオレンジ色の忍者──今は黒色の任務服を着ているが──うずまきナルトが元気よく現れた。

 

「食らえ!!!螺旋連丸!!!!」

 

横から現れて螺旋連丸をぶっ放したナルトと影分身二体。見事に敵の隙をついて横っ腹に術を入れて敵をそれなりの距離へ飛ばした。華麗に着地したナルトの目元にはうっすらと赤い隈取りがあった。仙人モードという奴だ。綺麗だと思いながらもサスケは現れてくれたナルトへ感謝と、遅いぞという不満を込めて一言彼の名を呼ぶ。

 

「ナルト」

 

対するナルトは仙人モードで探知能力や身体能力、知覚能力に長けているので、もちろんサスケが何を言いたいか一発で分かった。

 

「へっへっへ!」

 

わかったとしても、ただただ誇らしげに笑うナルトを見て、ため息を吐くサスケ。

 

「忍びたるもの、術ぶっ放す時も静かに言えよ」

「悪ぃ悪ぃ!でも、こういう時は決め台詞じゃん?俺ってば張り切っちまうんだ!!」

「たく…」

 

ぶつぶつ呟きながらもニッと満足気に笑うサスケ。やっぱ、昔からお前は変わってねぇな。などと言いながら敵がいつ現れてもいいように臨時体制。

 

(懐かしいな…いつでもお前はその明るさで─)

 

少し感傷にふけりそうだったサスケだが、それも次のナルトの一言で一瞬で失せる。

 

「やったな!サスケの囮作戦成功だ!」

 

そう誇らしげに言いながらサスケの横に立つ何も察してないナルト。対してサスケは呆れた顔でため息をつく。まったく。人の気も知らねぇで。そんな風に心の中で呟きながらナルトへと抗議するため口を開く。

 

「……おい、作戦を勝手に変えるんじゃねぇよウスラトンカチ」

 

最初はお前が囮になる手筈だったじゃねぇかよ。そう言えばナルトはキョトンとした顔をした。

 

「え?最初っから言ったじゃんよ。お前が囮だって。それに『安心して行け』っつったから安心して突撃して突っ走ってこれたんだってばよ?」

「…………(それほど頼られてて信頼されてると言う事か)」

 

嬉しいような…でもそのせいでナルトがこんな無茶ばかりするので、やっぱそうでもないような……

 

「…ハァ…もういい」

 

深いため息をしつつ、サスケはこれ以上それについて抗議したところで諦めが悪い石頭のナルトは聞き分けるわけがないと、早々に話題を切り替える事にした。

 

「それよりナルト、わかってるんだろうな?」

「ああ。あいつの弱点だろ?わかってるってばよ!」

 

ニシシと笑うその顔は自信に満ち溢れ、サスケはまたも思い出す。昔、到底できっこないと言われた意思疎通…今ではそれが息をするようにできる。ナルトの手足のように動くことも可能だし、ナルトも時にサスケの手足のように動いてくれることもあった。

 

(一心同体とでもいうように、滑らかに気持ちがいいほど、ナルトとは連係プレーができる…)

 

まるで兄弟のように、ずっと何年も一緒に暮らしていたかのように、何を考えて何をしようとしているのか手に取るようにわかってしまう。

おかげで相手の術が完成しきる前に倒せそうだと、サスケは刀をスラリと取り出した。チャキッと構えながらナルトへ目を細くし見つめた。

 

「さっさと済ませるぞ。完全体になりきる前に倒す。」

 

ナルトは腕をブンブンと振り回しながらニッと笑った。

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、サクラはというと大忙しで怪我人の手当てや迷子の子供の面倒やらで忙しそうにしていた。他に、その場の指揮もとっている。

 

その数分後に、眼鏡の黒髪少女のおかげでヤマトもサクラと合流することができた。

もちろんヤマトも取り残された人たちの救助や、怪我人などをサクラの元に届ける運び屋となっている。そんな状況下で、一人の少女が声を少し荒げてサクラに声をかけた

 

「て、手伝います!」

 

その声は若干震えていて、思いのほか緊張気味だった。

猫の手も借りたいという状況下で、先ほどの黒髪眼鏡の少女がそこにいた。正直嬉しかったが、素人ができない範囲もあって正直言えば足手まといにしかならなさそうだったので断ろうとした…のだが

 

「え?でも…」

 

それを察したのか彼女はサクラが何かを言う前に、口をはさむ。

 

「私、サラダって言います!か、簡単な事なら…私でもできます。慣れてます!」

 

言いながら包帯の扱い方や薬品の使い方を説明しつつ患者に使う少女サラダ。その手際の良さと頭の良さ、機転の良さにサクラはびっくりした。

 

(私が彼女くらいの年の時は…こんなの出来なかったわ。お母さんかお父さん、親戚が医学に通じてて彼女に色々教えたのかしら?それとも良く怪我する幼馴染でもいたりして…)

 

少ししてからサクラは即座に判断して、サラダへ指示を出した。

 

「そう?じゃあこの子の親御さんたちを探してほしいの。それが終わったら、こっちの怪我人の手当してもらうわ」

「はい!!」

 

勢いよく返事をした彼女はそのまま子供を連れて行った。

 

「それにしても…ここって未来よね…」

 

周りの見たこともない薬品が入った瓶や包帯を手に取る。マジマジと見つめているとドアが開く音がした。

 

「医学が進んでるでしょ?」

 

スッとドアから入って来たのは、どことなく見覚えのある顔。見間違うはずもない、親友でライバルだった、あの

 

「え、貴女もしかして…!いの?!」

「ご名答~♪」

 

いのは変わらない笑顔で近づいて、しかし確実に大人な雰囲気。彼女に続いてヒョッコリ現れたのは夫であるサイと、彼らの子供である、いのじんだった。

 

「それにしても、今こっちのサクラもサスケもいなくなってたから、君たちが来てくれてよかったよ」

 

サイのその言葉に、いろいろツッコミたかったサクラは全てを飲み込んだ。例えばサイといのが結婚してることや、かわいらしい子供がいる事、先ほどのサスケに似すぎている、手伝いをさせてくれと頼んできた少女サラダの事などだ。

それらよりも聞きたいことが出来てしまったからだ。

 

「未来の私やサスケ君が行方不明?どういう事よそれ?!」

 

いのは神妙な面持ちで一言、わからない…と言うだけだ。

 

「七代目火影に命を受けたサスケ君が先に行方が分からなくなってね…まぁ、あんたはもう理解しているだろうけど、ここは未来で、七代目火影はナルトで、サスケ君は火影から極秘調査を頼まれてたの。ちなみに…サスケ君のチャクラが感じられなくなったって騒いでぶっ倒れそうになったのもナルトよ」

「あいつ……」

 

呆れた…と言いながら未だに目を覚まさない死人のように眠る未来ナルトを見る。まぁ無理しちゃって…と言いながらも、しかたないとも思っていた。だってそれがナルトなのだから。

 

(でももう歳もそれなりにあるんだし、ちょっとは自分の身体を大事にしなさいよね……)

 

二人が黙ってしまったそのタイミングで、説明を引き継いだサイが続ける。

 

「いなくなったサスケ君を必ず取り戻すって鼻息荒くしながら、ナルトが止めるのも聞かずに後を追っていなくなっちゃったんだよ。未来のサクラは」

「なんて馬鹿な事しているの私は」

 

いや、わかるけども。ものすごくやりそうだけども私なら!と言いながらサクラは怪我人を治療していった。正直頭を抱えそうになってはいたが。

 

「それにしても、シカマルは擦り傷だけだったからよかったけど…」

 

外も中も、酷いあり様だ。木の葉は完全に半壊してしまっている。ほとんどの人は過去から来たナルトの九尾、九喇嘛のチャクラによって回復していたから助かったものの……

 

(でなかったら…完全にアウトだったわ…この人たち……)

 

身体半分つぶれてても生きてるのも、九喇嘛のチャクラがずっと回復と細胞の蘇生を行っていたから。でなかったら…木の葉の半分以上の住民が──…

 

(それに…シカマルの的確な指示のおかげもあって…場も混乱せずに動いてくれてるわ…流石としか言いようがないわね)

 

外を仕切っているのはシカマルとシカダイと、複数の中忍と上忍。皆がサクラの治療の元、復活した忍び達である。彼らは怪我が重傷でどうしても復帰できない忍び達の代わりにと一生懸命働いていた。

そんな中、のんびりとしたような声が聞こえた。ハキハキとした声も聞こえてきた。

 

「あらら…俺たちのいない間に…なんかおかしな事がおこっちゃってるみたいね…」

「む!その通りだな!!いやしかし見事なまでに崩壊してしまっている!帰ってくるのが遅かったか~!!」

 

その二つの声を聴いてサクラはハッと顔を上げた。

そこにはほんの少しだけ老けたと見られるかどうかギリギリ怪しいカカシと、見るからに年を重ねてもその熱意と力強さと笑顔は変わらないガイ先生がいた。

 

「六代目!ガイ先生!!」

「ちょっとサクラ…いくらサクラが過去から来たとしてもここの俺は火影を引退してるのよ?カカシ先生でいいよ」

「久しいなサクラ!あ、いや…君は過去のサクラだったな!しかし多分久しぶりだ!」

 

どうやら外のシカマルから事情を聴いているらしい。

その二人を見て少しほっとするサクラ

 

「お二人は…変わりませんね!なんか安心しちゃった」

「サクラ…」

 

同じ木の葉であって、自分の知らない木の葉だったからか、自分の知る者と未来にいる自分の知る人たちが違うからか、少し心細かったのだろう。サクラがホッとして肩の力を少し抜かした。おかげで緊張で気が回らなかった事まで見えてきた。

サクラは張り切って自分にできる事を更にこなしていった。

 

「ところで先生…先生たちがボロボロで帰って来たのは何かわけがあるのよね?」

 

そうサクラが手を洗い終えて帰って来た時に、ガイと話し合っていたカカシへ質問を投げる。するとカカシとガイは顔を見合わせ、フッと笑った。

 

「流石サクラだ。察しが早くて助かるよ~。」

 

ニコニコ笑い、そして今度は真剣な顔になった。

 

「実はさ」

 

未来のお前と未来のサスケを助けてたんだ。

 

「え?」

「そんで、今サクラに診てもらいたい二人が……」

 

そう言いながら二人が目線でドアの方を向く。そこにいたのは、どこはかとなく見覚えのあるような、ないような男女。二人は焦ったような風でガイとカカシへ不満そうに声をかける。

 

「おい……」

「ちょっと先生……」

 

そこに立っていたのはボロボロになった未来のサクラとこれでもかと怪我をしている未来サスケだった。

 

「大変!!二人とも酷いケガじゃない!」

 

そう言いながら過去のサクラは二人の治療をし始めたのだった。そうして忙しく時間が過ぎていった。

 

 




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