あべこべ幻想郷で転生生活を!   作:てへぺろん

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隠岐奈編のラスト



本編どうぞ!


57 異変の閉幕 長い一日の終わりの時! 

 私は逃げた

 

 私は悪い事などしていないと話したかった

 

 私は捕まりたくなかった

 

 私は死にたくなかった

 

 私は彼の元へ行きたかった

 

 

 

 

 

 だが、それら全て無に()す……私は自分自身で言うのもなんだけれど……私はよくやったと誰でもいいから褒めてほしい。人生の中でこれほど身体を動かしたのは初めてだから……そして、私は彼女達と長きにわたり攻防戦を繰り返した(私はずっと避けてばかりだったけど)その攻防戦がついに終息した!

 

 

 紫「隠岐奈、もう終わりよ……観念しなさい!」

 

 

 私は結界の中に閉じ込められてしまっていた。数々の弾幕と殺意MAXの弾幕(物理)を避けきって、流石の私でも体力の限界がきていた。ほんの一瞬だけ気が緩んでしまった。その気の緩みにつけこまれ、博麗の巫女と紫が結界を私に放った。そう……私はついに捕らわれてしまった!

 

 

 霊夢「これで逃げられないわよ!観念しなさい!!」

 

 鈴仙「ミナトさんを一人占めするなんて許せませんよ!ミナトさんは私のものです!」

 

 屠自古「はぁ!?何言ってんだこのウサギは!?」

 

 幽香「ウサギパイって食べてみたくない?」

 

 ヤマメ「食べてみたいね♪目の前に丁度いいのかいるしね……!」

 

 鈴仙「そ、そんな脅しに……く、屈しませんよ!」

 

 霊夢「あんた達うるさい!!」

 

 

 博麗の巫女に叱られる子達かわいそうだと思わないわ。私の方がよっぽどかわいそうだと思うわ……思うよね?お願い思ってください!私はただのすごい賢者なんですよ!知らない子達からいきなり命狙われる身にもなってください!

 

 

 隠岐奈は自分の運の無さを呪った。知らないとは言え、退治される対象になっていたり、誘拐犯にされて仕舞には命まで狙われている。あまりにも理不尽ではないか?自身の言うことを聞かないお口が悪いのは確かだが、それを抜きにしてもこれはあんまりというものではないか?そして、捕まってしまった……もう逃げられる手は残されていない。この後に待ち受けていることを思うと隠岐奈は血が冷え切っていくのを感じた。

 紫はに警戒した。本人はこの状況に絶望しているのだが、紫からしてみると結界の中に閉じ込められて平然としているように見えた。それが紫には不気味で仕方なかった。

 

 

 紫「(……諦めた?いいえ、隠岐奈に限ってそんなことはあるはずがないわ!相手は私と同じ賢者……しかも、禁忌を犯そうとしている女……彼女の考えが全く読めない。もしかしたら、この状況も隠岐奈は想定していたとしたら!何か奥の手を持っているはず!?)」

 

 

 紫は決して力を緩めようとしなかった。もし結界が突破されたら何をしてくるかわからない。紫は無意識に隠岐奈に恐怖しているように見えた。何を考えているかわからない表情、彼女との実力の差、他者を近づかせないオーラなどを放っている。紫の手が小刻みに震える……。

 

 

 紫「(私が怖がっている……!?そう……恐怖を抱いたのは久しぶりね。博麗神社に遊びに行って誰もいない間にお酒を拝借しようと戸棚を開け放った時に、黒光りするG(ゴキブリ)達が一斉に飛び出して来た時以来だわ。あの時は情けないほど悲鳴をあげてしまった……思い出したくない……)」

 

 

 その時の光景を思い出したのか、肌に鳥肌が立つ。あんなものが目の前に飛び出してきたならトラウマになっても仕方ないだろう。

 

 

 紫「(なんにせよ、隠岐奈には一度眠ってもらった方がいいわね!)霊夢、隠岐奈を一度無力化するわ。私は破られないよう結界に力を注ぐわ。あなたはスペルカードをお願い!」

 

 霊夢「わかったわ」

 

 

 霊夢は(そで)からスペルカードを取り出した。それに続いて他のメンバーもスペルカードを取り出す。

 

 

 隠岐奈「(あ……これは……!)」

 

 

 私はこの先の展開が容易に想像できた。目の前の子達がスペルカードを取り出した時点で、私の未来はフルボッコであると……どうしてこうなっちゃうの?私が悪いのだけど、こんな仕打ちはあんまりよ……本当のことを言うと自分でもわかっていた。他人と話すのが苦手だってことが……断じてヘタレではないけれど、人見知りだってことがわかっていた。それでも認めたくなかった。だって私は幻想郷の賢者で、誰もが憧れるすごい賢者なんだから、もしも私がそんな弱さを見せたら「賢者様かと思ったら賢者様(笑)だったんだ!」って言われてしまう。そんなことになったら紫にも迷惑がかかるし、私……扉の中で引きこもっちゃう……そんな自分を認めないために私は頑張ってきたのに、折角ミナト君と仲良くなれたのに……厄日ね。

 

 

 隠岐奈は諦めた。逃げることができないし、もう逃げる気にもならなかった。現実を受け入れるしかない現状を呪いながら目を閉じた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 声「隠岐奈さん!!!」

 

 

 私はその声で目を開けた。

 

 

 

 

 

 そこには私の初恋彼がいた。

 

 

 ミナト「隠岐奈さん!無事ですか!?」

 

 隠岐奈「ミナト……君?

 

 

 何故ここにいるのかわからなかったが、私は彼の顔をずっと見ていることしかできなかった。けれど、もう一つの影の主によって私は我に返った。

 

 

 輝夜「あなた大丈夫かしら?」

 

 隠岐奈「あなたは……

 

 

 黒髪の女性……私を睨みつけていた子。確か蓬莱山輝夜って名前の子だったはず。その子は私に背を向けて庇ってくれていた。この子は私とミナト君を守ろうとしてくれているみたいだった。何故と思ったが、彼女が顔につけている仮面に手を伸ばしていた。

 

 

 輝夜「ミナト、隠岐奈には見えないようにしておいて」

 

 ミナト「え?姫様……ま、まさか!?」

 

 

 ミナト君は慌てていた。何を慌てているのだろうと思ったが、私に近づいてあの子が見えない位置に立った。

 

 

 隠岐奈「え、なに!?

 

 ミナト「ごめんなさい隠岐奈さん!目を閉じてください!」

 

 

 ミナト君に素直にしたがった。その直後に、何かが吐き出されるような音と醜悪な臭いを感じたが、その時はそれが何かはわからなかった……。

 

 

 わかったのは再び目を開けた時だった。

 

 

 

 

 

 隠岐奈「……」

 

 

 後戸の国にキラキラと光る決して美しくない物体がばらまかれていた……。

 

 

 ------------------

 

 

 ミナトと輝夜の介入で場が混乱していた。そんな状況を後ろの方で見つめる3人……。

 

 

 アリス「ミナト!?無事だったのね。しかし、どうして隠岐奈側に?」

 

 針妙丸「輝夜さんもなんで!?」

 

 

 アリスと針妙丸にはこの状況が理解できなかった。ミナトは誘拐されたはずなのに、いきなりの出来事で戸惑った。しかし、一人は冷静にこの場を見ていた。

 

 

 さとり「……」

 

 

 なるほど、全てわかりましたよ。私の<心を読む程度の能力>の前では容易いことです。隠岐奈さんは勘違いされていたということです。いやはや、これは中々いいものを見れました♪周りから勘違いされ、言い訳も口にできないあなたの性格に加えて、男を取り合う女達の戦い……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これこそが、修羅場!!!

 

 

 とてもいいものが見れました♪私は今とても満たされた気持ちです♪絶望している隠岐奈さんの心も面白いですが、やっぱり女達の修羅場こそ濃厚でくちどけの良いデザートを食べている気分でしたよ♪ごちそうさまです♪隠岐奈さんに食って掛かるあの人達も面白い感情で笑いが止まりません。それに、紫さんの迷推理……これは一生のネタとして私の話のタネにでもしましょうか♪では、そろそろ助け船を出しましょう……ん?おっと!いけませんね!輝夜さんの考えていることは……!皆さん、私は(さとり)妖怪ですよ?相手の考えていることが手に取るように読めるのですから、当然ながら私の選択肢は回避すること一つです。

 

 

 さとり「アリスさん、針妙丸さん、目を閉じてください。さもないと地獄を見ますよ?」

 

 針妙丸「え?それってどういう……?」

 

 アリス「!?針妙丸!目を閉じて!!」

 

 さとり「(流石アリスさんです。私の言いたいことが伝わりましたね。話さずに済むのはとても楽ですね♪)」

 

 

 針妙丸の目を手で強引に塞ぐアリス。その後で、針妙丸は気づく。紫達は地獄を見たのだと……。

 

 

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 ボクの目の前には姫様の素顔をご覧になった屍が転がっていた……。紫さん達を止めるために手っ取り早い方法を姫様は取ったのだけど、ひどいことになった。後戸の国は今頃、吐しゃ物が舞っていることだろう……隠岐奈さんとても嫌そうな顔していた。ともあれ、隠岐奈さんに扉を作ってもらい、肝試し会場に戻って来た。藍さんとアリスさん達にも協力してもらい、悪臭を放つ紫さん達も連れて帰ってこれた。

 

 

 慧音「ミナト殿!それに……これは一体どういうことだ……?」

 

 妹紅「輝夜!?まさかお前やっちまったのか!?」

 

 輝夜「手っ取り早く済ませたかったのよ。それに、ミナトにもしものことがあったら大変だったからね」

 

 

 妹紅さんは何が起こったのかわかってくれた。騒ぎを聞きつけたみんなが集まってきた。

 

 

 シン「帰ってきたか!ありゃぁ……これはひどい……」

 

 リョウタ「一体何があったんじゃ?」

 

 

 <かくかくしかじか>

 

 

 ミナト「っと言うわけです」

 

 藍「紫様含め、私達が勝手に勘違いしてしまったんです……」

 

 ミナト「藍さんも紫さん達も悪くないんです!ボクが悪かったんです。肝試しの最中だったことを忘れていたばかりに……」

 

 永琳「まったく人騒がせね……でも、無事で安心したわよ。ねぇ、てゐ?」

 

 てゐ「別に……心配なんかしてなかったけど……」

 

 芳香「ミナト大丈夫かなって何度も言ってたのにか?」

 

 てゐ「ちょ///芳香お前!!」

 

 

 芳香に詰め寄るてゐはどこか照れ隠しに怒っているように見えた。そんな光景をミナトの後ろに隠れながら見えいる賢者がいた。

 

 

 ミナト「隠岐奈さん、隠れちゃダメですってば……」

 

 隠岐奈「だ、だって……

 

 全員「「「「「声小っちゃ!!」」」」」

 

 隠岐奈「ひぃ!

 

 

 隠岐奈さん怖がっちゃっているじゃないか。気持ちはわかるけど……ボクも初めはそう思ったしね。

 

 

 シン「気弱なおっきーな……ありだな!Welcomeです!おめぇの萌え力(ちから)を見せてくれ!!」

 

 妹紅「話それるから黙ってろ」

 

 シン「すいません……」

 

 さとり「バカップルは放っておいて―「おい!」隠岐奈さんがそろそろ謝りたいと思っていますけど?」

 

 

 ミナトの後ろに隠れている隠岐奈に皆が注目する。注目された本人はそわそわして落ち着きがなかったが、ミナトの袖を握りしめるとゆっくり口が動いた。

 

 

 隠岐奈「……ごめん……なさい……

 

 

 彼女に出せる精一杯の謝罪だった。一言だけだったが、その言葉には重みがあった。この場にいる全員が感じ取れた。心の底から振り絞って出した言葉であることに変わりわない。ミナトも一緒に頭を下げた。しばしの沈黙が続いた。

 

 

 橙「ちぇ、橙は!ミナト様も隠岐奈様も許してあげます!」

 

 ミナト「橙ちゃん……」

 

 橙「誰にだって間違いや失敗があります。橙だって失敗したとき、叱られても許してくれます!一度失敗しても次を活かせばいいって藍様がおしゃってました!橙はお二人を許してあげたいです!」

 

 藍「橙……!」

 

 

 橙が自分の意見を主張することなどあまりなかったことだった。しかし、目の前に集まっている皆に己の主張をはっきりという橙の姿を見て、藍の瞳から滝が流れ落ちる。「橙立派になって!」「橙カッコいいぞ!」「橙はもう一人前だな!」「橙抱き着きたい!」「橙今日は寝かさないぞ❤」など聞こえてくるが、それを無視してミナトと隠岐奈の方にみんな向き直る。

 

 

 リョウタ「ワイは怒ったりしないさ。こうやって無事だったんじゃし、ちゃんと謝ってもらったし、言うことなんて何もないわい」

 

 純孤「私もよ。ちゃんと謝ったのだから私からも何もないわ」

 

 華扇「リョウタ様の友人であるミナト君なら何をされても許すわ。おっぱい揉まれても♪」

 

 純孤「あなたの汚い肉貯めなんてミナト君は触りたくないわよ」

 

 華扇「は?なによブス狐!」

 

 純孤「豚仙人!」

 

 リョウタ「二人共やめてくれんかのぅ……」

 

 映姫「喧嘩するなら私がみっちり叱ってあげますけど?」

 

 純孤:華扇「「ナカヨクシマス」」

 

 

 余程映姫の説教が嫌なのか、片言になっていた。

 

 

 さとり「隠岐奈さん、ここにいる方々は皆、もう怒っていませんよ。私は古明地さとり、覚妖怪ですので、皆さんの心がわかります。安心してください、それに私たちもあなたを悪者と思っていたのもあります。私たちもすみませんでした」

 

 こいし「お姉ちゃん……」

 

 燐「(さとり様がまともだと!?)」

 

 空「(うにゅー?)」

 

 

 みんなを代表して隠岐奈さんに謝るさとりさん。こいしちゃんもお燐さんも驚いていた。さとりさんの意外な一面を見ちゃった……空さんは……頭に?マークが浮かんでいるのがわかるね。

 

 

 アリス「そうね。私もあなたを疑ってた。ごめんなさい」

 

 針妙丸「ごめんなさい」

 

 

 二人も頭を下げた。隠岐奈は予想外のことに慌てていた。どう返したらいいのかわからずに心臓が破裂してしまいそうな勢いだった。その心境を見たさとりはこう告げるのであった……。

 

 

  ・

  ・

  ・

 

 

 永琳「本当に今日は長い一日だったわ」

 

 てゐ「本当だよ……もうヘトヘト……」

 

 ミナト「本当にごめんなさい」

 

 輝夜「謝らないでって言ったでしょ?それに約束したでしょ?」

 

 ミナト「……そうだよね」

 

 

 ボク達が永遠亭に返って来たのはもう日が上がった頃だった。夜更かししてしまったようだけど、とてもいいことがあった。

 

 

 さとりさんの提案で、これからの宴会をやる時でも隠岐奈さんが一緒に参加できるように取り計らうことだった。

隠岐奈という人物がどんな人物かも理解してもらえたし、みんな了承してくれた。あの時、隠岐奈さん泣いちゃって大変だったけど、これでよかったと思う。もう究極の絶対秘神なんて呼ばれなくなってしまうんじゃないかって思った。それに隠岐奈さんと約束したしね……。

 

 

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 藍「隠岐奈殿は私と橙が送って行きます。()()()に紫様も持って帰ります」

 

 ミナト「(()()()って……紫さんを物扱いみたいに言っちゃダメだよ藍さん……)」

 

 隠岐奈「あ、あの……!

 

 

 肝試しはミナトが無事に帰って来たことでお開きとなり、皆各々の帰路につく場面である。そんな中で、隠岐奈も二日酔いで意識がない里乃と舞を連れて後戸の国へ戻ろうとした時に、隠岐奈が勇気を振り絞って声をかけた。

 

 

 輝夜「どうしたのよ?」

 

 隠岐奈「あの……本当にありがとう///こんなことをした私でも……よくしてもらえるなんて……

 

 

 私は嬉しいという思いに浸かっている気分だった。胸に目があるさとりちゃんって子と橙ちゃんのおかげで私は許された!それだけじゃなく、次の宴会の時には参加して頂戴とまで言われた。本来の私を知ってもみんな笑顔だったことがとても嬉しくて自分……泣いちゃいました///みんなに慰めてもらってとても優しい子達で更に泣いちゃった///そして、もう帰らないといけない時に私は感謝を述べなければならないと感じた。特にミナト君と輝夜ちゃんには守ってもらったし、お礼を言わないといけないと私は確信したの!だから勇気を振り絞りました!褒めて!私すごいでしょ!

 

 

 輝夜「いいのよ、あなた放っておけないタイプだし……幻想郷の賢者って意外と抜けてるのかもね」

 

 ミナト「そうだね♪」

 

 隠岐奈「そ、そんな……!

 

 

 二人に笑われちゃった!でも、悪い気がしない……寧ろ清々しい気がする。今までじゃ、笑われたら一生立ち直れない気持ちだったのが嘘みたいだ。

 

 

 ミナト「そうだ!今度みんなで隠岐奈さんと一緒に遊びに行こう!」

 

 シン「マジか!おっきーなとウフフ❤な遊びができると!」

 

 妹紅「自重しろよお前は!」

 

 ルーミア「相変わらずだな……そこもいいんだけどよ///

 

 妖夢「シンさんが行くなら私もどこへだってついていきます」

 

 雛「シンさんは……ワタサナイ!

 

 椛「(私も行きたい……!)」

 

 リョウタ「それはいい!ワイもラズリはんとピースちゃんも連れて行くのぅ!勿論、純孤はんもじゃ!」

 

 純孤「ふふ♪」

 

 華扇「私も私もー!!!」

 

 隠岐奈「……!」

 

 

 隠岐奈は目の前の光景に心を奪われた。自分には縁がないだろうと思っていたもの……。

 

 

 隠岐奈「(私はこれからこの中に入っていけるだろうか……)」

 

 

 不安だった。目の前の光景がとても輝かしく私にはそう見えた。だが、私は今まで影でこっそりとその光景を見ているだけだった。そんな私が入ってもいいのだろうかと思ってしまう……入りたい!入っておしゃべりしたい!紫とも沢山話し合いたいし、ミナト君とももっと仲良くなりたい。輝夜ちゃんともこれから友達になっていきたいなどなどいっぱいある。私の命を狙ってきたあの子達とも出来れば仲良くなれればいいけどなぁ……正直怖いです……。

 

 

 そんなことを思っていたら、ミナトが隠岐奈の手を握った。

 

 

 隠岐奈「……!?」

 

 ミナト「隠岐奈さん、約束ですよ。一緒に遊びに行きましょう!」

 

 隠岐奈「……ミナト君……!

 

 

 隠岐奈は小さな声で「うん」とだけ答え帰って行った……。

 

 

  ・

  ・

  ・

 

 

 橙「?隠岐奈様どうし――ムグッ!」

 

 藍「橙静かに……私達は先に行こう」

 

 橙「?わ、わかりました」

 

 

 橙と藍は物言わぬ紫と二日酔いに負けた里乃と舞を連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隠岐奈「……ありがとう……!

 

 

 隠岐奈の声が。

 

 

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 八橋「いやー!今日はハプニングもあったけど、最高だったね!」

 

 弁々「ホントよね!おいしいものも食べれたし、彼らの水着姿も見れて一生分楽しめたわ♪」

 

 

 お祭りを堪能した九十九姉妹が上機嫌で何も知らずに帰って来た。

 

 

 雷鼓「……」

 

 八橋「あれ?雷鼓姐さんそんなところで何してるの?」

 

 

 雷鼓は真っ暗な部屋の隅っこで体育座りをして壁に向かってぶつぶつと呟いていた。

 

 

 弁々「八橋……そういえば雷鼓姐さん、招待状もらってなかったわよね……」

 

 八橋「あ……」

 

 

 思い出した。弁々と八橋は紫から招待状をもらったが、雷鼓はもらっていなかった。残念ながら紫の記憶には堀川雷鼓という存在がスルーされていたのであった。二人は何とか元気づけてあげようとするが……。

 

 

 八橋「げ、げんき出しなよ雷鼓姐さん」

 

 弁々「そうよ、例え記憶に残らない存在で尻叩かれることに興奮を覚える変態であっても雷鼓姐さんは雷鼓姐さんんだから!」

 

 八橋「姉さんそれ言いすぎ……」

 

 雷鼓「……二人は楽しんで来たんだろう……お祭り……

 

 

 部屋の片隅だけ重苦しい空間が漂う中、どんよりとした雷鼓が語り掛ける。二人は雷鼓にお祭りの出来事を語った。

 

 

 弁々:八橋「「結果……最高に楽しみました!!」」

 

 雷鼓「う~ううう……あんまりだぁ……あァァァんまりだァァアァ!!!」

 

 

 満面の笑みで笑う二人とは逆に大号泣する雷鼓であった……。

 

 


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