(完結)おれとぼくらのあどべんちゃー   作:アズマケイ

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第171話

デジタルワールドと現実世界の境界がかなりあいまいになっていた。それはデジモンたちの戦闘が現実世界に影響を及ぼさないし、倒してもダークエリアに送れることを意味していたが、同時に現実世界もパソコンの中にあるも同然であることを意味している。

 

戦闘が有利になるのはありがたいが、世界の危機と紙一重なのはかわらない。

 

ヴァンデモンが好き勝手に現実世界にあるはずの港区を改変できることにもつながるのだとアルケニモンから聞いた太一たちは危機意識を募らせる。

 

デスメラモンたちを撃破した太一たちはダークエリアに無事転送されたことを確認してから、光とともに姿を消したデジモンを追いかけて、ゲートポイントの深淵に入り込んでいく。

 

アルケニモンがトラップを解除し、結界を破壊し、妨害に現れたデジモンたちを撃退してはデジタルワールドに通じる急ごしらえのデジタルゲートを通じて転送した。あるいはダークエリアに送った。ヴァンデモンの配下を復活させて召喚する力の前には焼け石に水でしかなかったが、手数が減れば困るのは間違いないので躊躇はなかった。

 

光はデジモンの死を間近に目撃して動揺こそしたのだが、かつて太一がナノモンにいわれたことを話したことで、デジモンという生命体の理解が深まり、落ち着く一幕もあった。

 

そして、結晶化したゲートポイントの奥深くに進んでいった先で、太一たちを待ち受けていたのは、ヴァンデモンが居住区と定めたと思われる異様に広い空間だった。魔術による錯覚なのか、拡張子が使われているのかはわからないか、研究室が広がっていた。

 

人目を引くのは、太一たち全員を写してしまうほど大きな曇りのない鏡だ。くもりのかかった、しんちゅうのような鏡面に、不安げな顔をした自分たちの眼も鼻も眉もうつり、服のいろまでうつるのが、ふるい昔の幻灯をみているようだ。

 

研究室を照らす用のきらきらしいライトの光が頭上から一直線に注いでいるので、どの鏡で見るよりも明るく見える。影が映らない手術室のようだ。

 

高級な、手入れの行き届いた光のなかの一点の曇りもない大きな鏡のなかで自分の顔を映せば、色々な感情は奥へ奥へとひきのばされて太一たちにもつかみどころのないものに変化して、それをまんべんなく見つめて、そこからしか見えないものを、隅々まで管理しつづける。

 

こうして見ると、鏡というものは本来気味の悪いものなのかもしれない。深夜ろうそくを立てて、広い部屋のなかで一人鏡を覗のぞき込むにはよほどの勇気がいるものな気がしてならない。

 

そこに気味悪さを感じるのは、ヒビが入っているからだろう。激情にかられて暴力衝動に幾度もあったらしい姿見はたくさんのヒビが入り、亀裂が走り、少しでもこれ以上衝撃を加えたら粉微塵になってしまいそうなくらいボロボロになっていたのである。

 

「ヴァンデモンのやつ、なにみてたんだ?」

 

「よっぽど気に入らないことでもあったのかしら?」

 

「だからってここまでボロボロにしなくてもいいのに」

 

「......あれ?」

 

「光?」

 

姿見をじいっと見つめている光に太一はなにかみえるのかきいた。

 

「ね、お兄ちゃん。なにかみえない?」

 

「え、やっぱなんかあるのか、この鏡?」

 

太一は光の手を引いて距離をとる。

 

「消えちゃったんだけどね、うつってたよ。たくさんの子供たちが寝かされてて、お友達かな?お兄ちゃんくらいの、眼鏡をかけた男の子たちがね、お見舞いに」

 

「まさか一乗寺か!?」

 

「たくさんの子供が入院って、銀座?でもあのあたりは大人ばかりだったわ」

 

「昨日のテレコムセンターかも!?あたしが救急車呼んだ時、近くのクラブチームの子達が沢山倒れてたから!」

 

「テレコムセンター......クラブチーム......一乗寺が所属してるジュニアユースじゃないか!!」

 

太一たちはその機械の中に動力源となっている紋章を見つけた。

 

「これはまさか光の紋章か?」

 

「こっちは見たことがない紋章ね。もしかして、10人目のこの紋章かしら?」

 

「デジヴァイスはないみたい」

 

「これが私の、紋章......」

 

光が手を伸ばそうとしたとき、声が聞こえた。

 

「なにをしている!」

 

振り返ると真っ白な猫のようなデジモンと魔術師のような格好をした人型のデジモンがたっていた。

 

「それはヴァンデモンさまの大切な研究成果機械だ、触るな!!」

 

「それを持ち去られてはこまるのです、離れなさい」

 

そして太一たちの前に立ち塞がるのだ。

 

「ブレストファイア!」

 

魔導剣士のような格好をしたデジモンの手にする巨大な剣が魔力が込められて真っ赤に染め上げられていく。そして放たれた斬撃が太一たちの目の前の机もろとも両断し、焼き尽くしてしまった。

 

「コアダート!!」

 

あたりに浮遊し始めた結晶体が太一たちに迫り来る。それを阻止するためにコロモンたちはデジヴァイスの力を借りて、いっきに進化を遂げた。

 

「やっぱりヴァンデモンの幹部が見張ってたか!」

 

太一はデジモンアナライザーを起動した。

 

「えっ、こいつワクチン種なのか!?」

 

「しかも成熟期なの!?」

 

テイルモン

 

世代 成熟期

タイプ 聖獣型

属性 ワクチン

必殺技

・ネコパンチ

・キャッツ・アイ

 

好奇心がとっても旺盛でイタズラ好き。体は小さいが貴重な神聖系のデジモンであり、見た目にそぐわない実力を持っている。神聖系の証であるホーリーリングを尻尾につけているが、このホーリーリングが外れてしまうと、パワーダウンしてしまい本来の力を発揮できなくなる。身を守るために、サーベルレオモンのデータをコピーした長い爪をつけている。必殺技は長い爪を使って相手を攻撃する『ネコパンチ』と、鋭い眼光で敵を操る『キャッツ・アイ』。この眼光を受けた者は、自分自身を攻撃してしまう。

 

「こっちは完全体だわ、太一!」

 

ミスティモン

世代 完全体

タイプ 魔法戦士型

属性 ウィルス

必殺技

・コアダート

・ブラストファイア

 

別次元のデジタルワールド「ウィッチェルニー」からきた魔法戦士型デジモン。数多くの魔術(高級プログラム言語)を使いこなすとともに、剣の使い手でもあり巧みな剣術を持ち合わせている。騎士道・魔法道どちらも深く精通しており、剣に魔力を込めて攻撃することも出来る。必殺技の『ブラストファイア』はその1つで火を剣に纏わせ威力をあげた斬撃を与える。また水晶を自在に操る『コアダート』は攻撃と防御を器用にこなす技である。

 

「ああそっか、ここデジタルワールドと一緒になりかけてるから、完全体になっても大丈夫なのか!よし!グレイモン!こっちも進化だ!」

 

「ああ、わかったよ、太一!」

 

グレイモンが紋章の力をダウンロードしてメタルグレイモンに進化した。

 

「空、私たちも!」

 

「そうね、いきましょうピヨモン!」

 

ピヨモンもまた紋章の力を借りて、いっきに完全体に進化した。

 

「トライデントアーム!!」

 

ミスティモンを捉えたワイヤー状になっている左手のアームが勢いそのままに研究施設の壁を破壊する。めり込んだミスティモン目掛けてメタルグレイモンは必殺技を放つべくハッチをあけた。

 

「そうはいかない!」

 

アームに飛び乗り、メタルグレイモン目掛けていっきに駆け上がったのはテイルモンだった。

 

「猫パンチッ!!」

 

メタルグレイモンの顔面に小さなテイルモンの一撃が炸裂した。

 

「ぐうっ!!」

 

次の瞬間、体格の違いなどものともせず、メタルグレイモンは宙に浮いたかと思うと、テイルモンが追撃する。

 

「猫キック!!」

 

真横にふっ飛ばされたメタルグレイモンは、ミスティモンよりも深く研究施設の壁に埋められてしまった。

 

「メタルグレイモン!?」

 

「嘘、メタルグレイモンが一撃で!?」

 

「あのデジモン、成熟期じゃないの!?」

 

驚く子供たちにテイルモンは不敵に笑った。

 

「これで最後よ───────」

 

「シャドーウイング!!」

 

超速で真空刃を繰り出し、敵を切り刻むガルダモンの必殺技がテイルモンの一撃を体ごと吹き飛ばす。テイルモンはあまりの速さのため、その正体を確認することはできず、黒い鳥の形をした影のみ認識することができる斬撃に近づくことを諦めたのか、距離をとって着地した。

 

「大丈夫、メタルグレイモン?」

 

「ああ、大丈夫だ。ありがとう」

 

それは隙をついて逃げることに成功したミスティモンも同じようで、メタルグレイモンたちとテイルモンたちは膠着状態に陥った。

 

「ねえ、ミミ、あたしたちはどうする?」

 

「うーん......どうしよっかなあ......でも、ワクチン種なのにヴァンデモンの味方をしてるってことは、操られてるだけかもしれないし......。うん、リリモンになって治してあげましょ!」

 

「わかったわ!」

 

ミミがやる気になってくれたことでパルモンの進化ゲージは問題なく条件値までひきあげられ、パルモンはリリモンに超進化した。 

 

リリモンの周囲に花が舞う。そして2つの首飾りになり、リリモンはそのままテイルモンとミスティモンにかけてあげた。攻撃態勢に入っていた2体は不意に意味のわからない行動をされて面食らったのか瞬き数回、一瞬、固まる。

 

リリモンの花の首飾りが輝きだし、テイルモンとミスティモンを構成しているテクスチャからフレーム、デジゲノムにいたるまで、すべてを正常値に戻していく。

 

テイルモンもミスティモンも自覚がなかったのか、いきなり内側から発生した痛みに呻き声をあげてうずくまってしまう。

 

「え、え、どうしたの!?大丈夫!?」

 

「大丈夫よ、ミミ。ただ、頭の先からつま先までウイルスの影響を受けていたせいで痛いだけだから」

 

「それってどれくらい痛いの?」

 

「うーん......頭がわれちゃうくらい?」

 

「それって死んじゃうくらい痛いってことじゃない!?わー、大丈夫!?」

 

ミミとリリモンの慌てぶりにだんだん心配になってきたのか、太一が後ろにいろと引っ張りこんでいた光がテイルモンのところにやってきた。

 

テイルモンとミスティモンから真っ黒ななにかが放出される。光の持っているデジヴァイスから放たれた光がそれを即座に消滅させてしまった。どうやら暗黒の力がウイルスバスター機能により消滅させたようだ。

 

「大丈夫?」

 

光は倒れてしまったテイルモンとミスティモンに呼びかける。

 

「......」

 

「泣いてる......そんなに痛いの?」

 

「......いたくはない、むねがいたいだけだ」

 

「悲しいことがあったの?」

 

「......ヴァンデモンさまはどんなきもちで、わたしをかくまってくださったんだろうか。なにはひとつあたらないよげんのなかで、わたしがあのかたをころすことだけがあたるなんて......ヴァンデモンさまがてきになるよげんだけがあたるなんて......わたしは......わたしは......」

 

泣き出してしまったテイルモンに太一たちは顔を見合わせる。

 

「......テイルモン、今からならば、まだ間に合うのではありませんか」

 

「......だが」

 

「ヴァンデモンさまが始めから敵だった訳では無いことも、嵌められた可能性があることも、今の選ばれし子供は何も知らないのですから。私たちだけしか、いませんよ。教えてあげられるのは」

 

「......」

 

「やっぱり、なにか、事情があるのね?」

 

「タケルたちの話聞いておかしいとは思ってたんだよ。ロゼモンから始まりの街の守護デジモン任されるほどの奴がさ、なんで世界征服なんて考えるんだろうって。前の戦いのときも味方だったらしいじゃん?な?」

 

「みんな、なんでって思ってたわ。ワイズモンたちもね、なにかの間違いじゃないかっていってた」

 

太一たちの言葉を聞いて、テイルモンとミスティモンは顔を見合わせた。態度が明らかに軟化する。それだけで太一たちは、ヴァンデモンがかつて守護デジモンだったヴァンデモンと同一個体なのだと悟るのだ。そして、テイルモンたちですらあれだけの激痛を伴う暗黒の力の侵食を受けていたのなら、ヴァンデモンはどれほどの侵食を受けているのだろうと。

 

「さっきから予言、予言てまさか」

 

「やっぱり原本のデータ、もってるのね、ヴァンデモン」

 

「いや、データはもうない」

 

「え?」

 

「ここにある研究施設を整えるために、機械型デジモンたちの力を借りたんだが、その交換条件として渡したんだ」

 

そして、テイルモンは語り出すのだ。ヴァンデモンがこちらの世界に行こうと思い立った理由を。

 

「予言書のとおりなら、ヴァンデモンさまはいずれ裏切って暗黒の尖兵になる。そう思われたら最後だ、すべて狂言だと思われて監視下に置かれてしまう。誰が暗黒の尖兵になるともかぎらないのに。その監視役が暗黒の洗脳をうけた尖兵かもしれないのに。だから誰にも相談出来なかったんだ」

 

「......ヴァンデモンさまはいつの間に洗脳をされたのでしょうか、テイルモン」

 

「わからない......ヴァンデモンさまが裏切り者だとされたら、私まで処罰されるからと、ずっと私は研究からは蚊帳の外だったからな」

 

「......あなた、ヴァンデモンのこと、そんなに大切なのね?」

 

「ヴァンデモンさまはそうは思っていないだろう。予言書には私がヴァンデモンさまを殺すと書いてあるのだから。誰がいつか自分を殺すやつに興味を持つ。なのにヴァンデモンさまは私を今の今まで暗黒の勢力から匿ってくださっていたのだ」

 

テイルモンのため息は深いものだった。

 

「ヴァンデモンさまに出会う前の私は死の入り口に生きていた。底なしの暗い穴の縁にささやかな居場所をこしらえ、そこで一人きりの生活を送った。寝返りを打ったら、そのまま虚無の深淵に転落してしまいそうなぎりぎりの危うい場所だ。まったく恐怖を感じなかった。落ちるというのはなんと容易いことか、そう思っただけだ。まわりは見渡す限り、荒ぶれた岩だらけの土地だった。一滴の水もなく、一片の草も生えていない。色もなく、光らしい光もない。太陽もなければ、月も星もない。実際はウイルス種の結界やトラップを見ることができず迷い込んだわけだが......あの方は私を助けてくれたんだ。幻覚をわざわざ解いて、闇貴族の館のある森に引き入れてくれた。放置すれば暗黒の勢力に殺されていただろうにだ。なのに私は結局なにも出来ないまま、ここにいるんだ」

 

憂鬱そうなテイルモンに光はいった。

 

「きいてみよ?」

 

「え?」

 

「私もね、ずっと怖くていえなかったことがあったの、聞けなかったことも。でもね、みんなに勇気を出していったら、みんな教えてくれたの。私はひとりじゃないよって」

 

「ひとりじゃ、ない......?」

 

「そうね、ヴァンデモンはひとりでなんとかしようとして失敗しちゃったんだから、今度は私たちも力になるから頑張ろうっていってみたらどうかしら」

 

「そうだな、早く行こうぜ。ヴァンデモンの取り返しがつかなくなる前に」

 

「......取り返しが......ああ、そうだな、うん。まだ、取り返せるんだ」

 

テイルモンの目に生気が宿る。光はほっとしたように笑った。

 

「わたし、ひかり。八神光。よろしくね」

 

「私はテイルモンだ、よろしく」

 

「あなたが私のパートナー、なんだよね?」

 

「たぶん、な」

 

テイルモンは自信なさげにいいながら、デジヴァイスを光に渡してきた。

 

「これ、ヴァンデモンの味方がもってるのじゃないの?」

 

「違う、これは私が生まれたときからずっと持っているものだ。ヴァンデモンさまにもっていろと言われたからずっともってる。今思えば、これがヴァンデモンさまの守護デジモンとしての理性だったのかもしれないな」

 

「そうなの......ありがとう」

 

「てことは、あの紋章たちはテイルモンが自分から渡したのか?」

 

「ああ、光の紋章についてはそうだ」

 

「もうひとつは?」

 

「これは優しさの紋章だと聞いた事がある。私が拾われる前にはすでに匿われていたやつのだ。古代種のデジゲノムが強すぎてどう足掻いても古代種にしか進化できない特殊なデジモンだったらしくてな、寿命を少しでも伸ばすために人工的にジョグレス体になったはいいが、寿命の問題は常に付き纏うから、この動力源のエネルギーをデジヴァイスに転送しているらしい」

 

「えっ、じゃあテイルモン達がとめたのは......」

 

「ただでさえそいつの本能は本来なら獰猛な性質をしているのに、自我を保つ性質があるデジヴァイスを経由しての進化だから、優しい性格と理性が本能に抗おうと反発してしまって負担が大きいんだ。それを持ち去られてしまうとディノビーモンが死んでしまう」

 

ディノビーモンという言葉を聞いてミミは驚きすぎてあいた口が塞がらなくなってしまう。テレコムセンター駅での集団昏睡事件の犯人が10人目のパートナーデジモンの仕業だったなんて思わなかったのだ。ミミの代わりにリリモンから話を聞いたテイルモンはいうのだ。

 

「接触に失敗したからヴァンデモンさまが調整し直すために回収したと聞いた。そのせいだろうな」

 

「おいおい、それどこまでホントなんだよ、テイルモン。ヴァンデモンのやってることとやりたい事がなにひとつ一致してないって、さっきわかったばかりじゃないか。暗黒の力のせいで考えてることがまともだと思い込んでるんだろ?暗黒の力に誘導されてるんじゃないのか?そいつ、なにとジョグレスしたんだよ、大丈夫なのか?」

 

「それは......わからないんだ。私が来た時にはディノビーモンだったから......」

 

「記憶が曇らされていたとはいえ、私たちを迎えてくれたヴァンデモンさままで暗黒の力の侵食を受けていたとは思えません。あるとしたら、調整の影響が考えられますね」

 

「調整ねえ......ああくそ、ここに光子郎かゲンナイさんがいたらなあ!」

 

「そんなこといっても仕方ないわ、時間が無いもの。急ぎましょう、太一。一乗寺賢君が10人目の子供だとわかった以上、友達の入院先にお見舞いにいってるのは確かなんだから、引き返さなきゃ!」

 

「そうですよ、太一さん!」

 

「そうだよな......仕方ない、ディノビーモンの生命線ならそのままおいてくしかないか......。ミミちゃん、みんなどこに入院してんだっけ?」

 

「昭和大学江東豊洲病院です!」

 

「どこだそこ」

 

「豊洲小学校のすぐ近くよ、太一」

 

「あー、あの辺か!ってやっぱりレインボーブリッジ戻るんじゃないか!」

 

「光の紋章は優しさの紋章と繋がってはないみたいだし、いけるかしら?」

 

「テイルモン、ミスティモンも、一緒にくるよね?」

 

「......いいのか?」

 

「うん、ヴァンデモンのこと、とめたいんでしょう?なら、いかなきゃ」

 

「..................」

 

「テイルモン」

 

「......ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

さしだした手をそっと握りしめたテイルモンに、光は嬉しそうにわらった。

 

「あーでもなー、せっかくあるのに......」

 

「でも古代種の寿命を延命させてるんだから、下手に動かせないわよ、太一」

 

「そうだけど......」

 

「......」

 

「どうした?」

 

テイルモンは不思議そうに繋いでいない方の腕を見つめている光をみた。

 

「ねえ、テイルモン」

 

「なんだ?」

 

「テイルモンがもってるリングって、そんなにすごいの?」

 

「ああ、これか?もちろん。これはホーリーリングといって、聖なるものの証であると同時に、私が成熟期でいられる理由でもある。これが無ければ私はただの成熟期だ、完全体相手にあれだけの力を発揮できるわけがないだろう」

 

「なら......ホーリーリングって、紋章の代わりにはなるのかな?」

 

「......紋章の?なにをいって......」

 

「できる?」

 

「いや、まあ、できないこともないだろうが、いや私のホーリーリングは無理だぞ!?これが無いと私は弱体化してしまう!」

 

「ふふ、ありがとう、おしえてくれて。できるならいいの、私が貸してもらってるのあるから大丈夫」

 

「貸して......?ホーリーリングを貸して......?なにをいっ......」

 

光のいっている意味がまるで理解できず混乱しているテイルモンを知り目に、光は動力源たる紋章の傍らになっちゃんから力の制御のために貸してもらっていたホーリーリングを外して、おいてみた。紋章とデジヴァイスが手に入ったことで役目を終えたホーリーリングは、光の力を制御するために蓄えていた分も含めて本来よりも強力なエネルギー源となって問題なく稼働しているように見えた。

 

光の紋章と優しさの紋章を外してもあまりある力をこうこうと輝かせている。

 

「......」

 

「......」

 

「......今世の選ばれし子供たちもなかなかやるじゃない」

 

テイルモンの声がどこか笑っていたのは、気の所為てはないはずだ。

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