「きゅうじゅうしーち、きゅうじゅいはーち」
ピノッキモンは空が逃げ出したことは気付いていたが、すぐに追いかけようとはしなかった。その代わりに、バレバレの気配を感知しながら、目を瞑り、数を数え出す。
あれで隠れてるつもりなのかなあ?とにやにやしながら、かくれんぼの鬼をし始める。ただし、普通のかくれんぼではない。鬼に見つかったら死ぬことになるデスゲームだ。
「ひゃーく」
ピノッキモンは目を開ける。穴だらけの遊園地の広場の真ん中で、もういいかいという確認など必要ない。ここではピノッキモンが法律なのだ。煙は薄れていたが、硝酸の匂いはまだきつく残っている。ピノッキモンは大して気にする様子もなく、獲物を探して走りだした。
「そーだ、どうせならデスゲームにしよっと」
ニヤリと笑う。この瞬間に暗黒の影からまだ脱出できていなかった光子郎とタケルが遊園地の世界にエントリーする。ただし、パートナーは鬼側としてだが。
「あ、こいつ面白そうな技もってんじゃん。よーし」
餌食になったのは、ホーリーエンジェモンだった。遊園地の世界の壁に光が走る。ホーリーエンジェモンはただちにバトルモードに移行する。そして、その光に包まれたことで、現実感がホーリーエンジェモンの意識に戻った。大気が真空を満たすように、一瞬のうちに神経は研ぎ澄まされ、新鮮な活力が身体に行き渡った。彼はそこにある具象的な世界に、ひとつの有能な部品として組み込まれた。かちんという心地よいセッティングの音が耳に届いた。血行の速度が上がり、適量のアドレナリンが全身に配られた。それが自分の意思とは全く関係なく行われている事実に、ホーリーエンジェモンはたまらずタケルに叫んだ。
「逃げるんだ、タケル!今の私は体の自由が効かない!」
ホーリーエンジェモンのエクスキャリバーがパートナーであるはずのタケルに向けて光をあつめ、斬り殺そうと無理矢理体を動かしている。ホーリーエンジェモンはなんとか抵抗しようとするが全く体がいうことを効かない。それに気づいたタケルはあわてて逃げる。
「タケルくん、こっちです!」
あわや味方に斬り殺されるいう危機的状況からタケルを救出したのは光子郎だった。アトラーカブテリモンがタケルを乗せてどんどん遠ざかっていく。
「さあて、こっからが本番だあ」
ピノッキモンは問答無用で両手から伸びる無数の糸を展開する。ホーリーエンジェモンは武器を抜刀し、アトラーカブテリモンに向かってとんでいく。
「さあて、いつまで隠れてられるかなあ?」
にひひ、と笑ったピノッキモンは、ふたたび空たちをさがすために走りだしたのだった。
「どこかなー?ここかなー?」
アトラクションとアトラクションのあいだを逃げている空の耳に、ピノッキモンのしたったらずな声が常に背後から聞こえてくる。そして後から後からブリットハンマーの炸裂音がして、空の逃げ道がどんどん塞がれていくのがわかる。ブリットハンマーに弾切れはないようだ。
自分の支配する世界だというのに、さっきから何発も立て続けにアトラクションや遊園地の施設を片っ端から吹っ飛ばし、自分の力を誇示するように暴れている。遊園地の大半がピノッキモンによる破壊にまきこまれて消滅してしまうのもお構いなしだ。気にかけていないのか、そもそも興味がないのか空にはわからない。
ピノッキモンが究極体であるにもかかわらず、幼すぎる精神性の持ち主だということしかわからない。
「だんだんこっちに近づいてくる......」
空の腕の中でピョコモンは怯えている。
「大丈夫よ、ピョコモン。心配しないで。私があなたを守るわ、必ず」
「うん......」
「デジヴァイスの結界もあるし、近くに光子郎くんたちがいるはずだし。なんとかなるわよ、きっと。大丈夫。私たち、いままでもこうしてなんとかなってきたじゃない。ね?」
「うん」
ピョコモンが頷いたとき、ピノッキモンの声とブリットハンマーの衝撃音がすぐ側で聞こえてきた。ピョコモンが空を見上げる。空も神妙な顔をしてうなずいた。
「ピョコモン、いけそう?」
「完全体までは無理よ、空」
ピノッキモンの攻撃をまともに喰らい、ダメージを負った分が回復しきれていないとピョコモンはいう。暗黒の力が付与されていたからか、デジヴァイスの光がある程度回復はしてくれたがピノッキモンとガルダモンの実力さからくるダメージまでは補填できなかったようだ。
「おかしいなあ、こっちじゃないのかな?でもいいや」
不意にブリットハンマーの爆音が止む。おかしい。なぜこのタイミングでやめる?空は嫌な予感がした。
「ねーねー、選ばれし子供たち、聞こえてるー?君が探してる仲間はねー、今、大変なことになってるよ。だってボクが操ってるから。出てこないと殺し合いが始まるよー!やめてほしかったら、自分から手をあげてでてくること。わかった?」
ピノッキモンの宣言に空は光子郎たちがどこをさがしても見つからない理由を知る。慌ててデジヴァイスをみる。ファンロン鉱石の空間にみんなのいるのは変わらないが、2つある光点がまるで追いかけっこをするかのように動いているのがわかる。それは2つに重なり、それでもなにかから逃げるようにあちこちに動き回っている。スピードがかわらない。ならにかあったんだと空は思った。
「自分の命が惜しいんだあ?じゃあ、まずは1人目、ホーリーエンジェモンが仲間を処刑しまーす。さん、にー、いち」
空はピョコモンをみた。ピョコモンはうなずきかえした。
「逃げろ、逃げるんだ!」
廃墟となった遊園地にて、襲撃者本人の絶叫が木霊している。
「ホーリーエンジェモン、なにがあったの!?どうして?」
「わからない、わからないんだ。体がなにひとついうことを聞かない!」
ホーリーエンジェモンに許されたのは、予備動作から自分のスキルのレパートリーを察知してアトラーカブテリモンに知らせることだけだった。光子郎とタケルはデジヴァイスの結界がなかったらアトラーカブテリモンはホーリーエンジェモンの怒涛の魔法攻撃に撃沈していたに違いない。そして今度こそ、エクスキャリバーの餌食になっていただろう。
「今すぐここから逃げろ!」
「だめだよ、ホーリーエンジェモン!」
「だが、くそッ!!」
ひゅおっと空を切る音がする。轟音が響いた。さっきまでアトラーカブテリモンがいたところが雷撃によってアトラクションごと破壊される。爆破音が響いた。魔力の集約には一定以上の時間がかかる。となれば、次はその手にした大剣で襲い掛かってくるだろう。
まずい、まずい、このままじゃ死ぬ。
アトラーカブテリモンよりホーリーエンジェモンの方が機動力もスピードも魔法攻撃の威力もうえだ。アトラーカブテリモンに持ち前の防御力がなかったら、きっとみんな死んでいたに違いない。
それでも剣を振りかざす大天使はじりじりと近づいてくる。とうとう突き当たりの観覧車の前まで追い詰められてしまった。ホーリーエンジェモンはエクスキャリバーをアトラーカブテリモンに突きつける。
しかしその足取りは遅い。とても遅い。かたかたかた、と不自然に刃先が揺れている。どうやら懸命に勝手に動く体を制御しようとしているようだが、いうことを聞かないらしい。
「ホーリーエンジェモン......!」
アトラーカブテリモンはなんとか逃げ出すために大きく旋回することができた。光子郎はなにか打開策はないものかと必死で考えるが浮かばない。
今にも倒壊しそうな観覧車の前で、ホーリーエンジェモンは前を見た。ホーリーエンジェモンの周囲に不自然な大気流動が発生する。不連続な反響音に周りのアトラクションがガタガタとゆれる。高周波のマイクロ波。強力なプラズマ波。ホーリーエンジェモンは震える声で叫ぶ。
「す、すまない、みんな。体が私の意志とは無関係に動くんだ。誰かに干渉を受けている!さっきは、なんとか、軌道をずらせたがっ、さっきより干渉が強くなったっ!意識を保つのが精いっぱいだ、今のうちに、にげ」
ごおおおおと大剣が光を集めながら輝き出す。魔力に満たされたホーリーエンジェモンの大剣は、聖なる力の能力を付加され、それに応じて大通りをゆらゆらと影が揺れている。
アトラーカブテリモンのところに行こうとする体を静止しようと懸命なホーリーエンジェモンだが、ずるずると重い足取りは前に行く。戦闘態勢にはいった。
しかし、不自然に腕が上がる。ホーリーエンジェモンの両腕が無理やり大剣を掲げているのを確認したアトラーカブテリモンはその意図に気づいて叫んだ。
「なにしてるんや、ホーリーエンジェモン!やめはなれ!!」
敵からの攻撃を判断した干渉者は、ホーリーエンジェモンの大剣をもってアトラーカブテリモンの放った妨害を粉砕する。
「アトラーカブテリモン、よけないことをするんじゃない!」
「あきまへん、それだけはあきまへんて、ホーリーエンジェモン!勝手に足つぶそうとしたやろ!それはあきらかに相手の策略や!」
「しかしだな!」
「クラッキング?」
「こ、光子郎さん......?」
「まさか、クラッキングしてるのか?!ホーリーエンジェモンに干渉してデータを書き換えてる!?見てください、デジモンアナライザーに知らないデジモンの名前が!」
そこにはピノッキモンの名前が刻まれていた。
「こいつがホーリーエンジェモンを操ってるってこと!?」
「多分そうです!こいつを倒さないとホーリーエンジェモンは......」
どうやらこの遊園地エリアは、このデジモンの支配する世界だとようやく光子郎は気づくのだ。四聖獣を封印するほど強大な力を持った究極体なら、たしかに可能だろう。
ファンロン鉱の空間の干渉権をデジタルワールドのセキュリティシステムから奪い取り、一時的にハッキングしたピノッキモンは、無理やりこの遊園地の世界が存在する隠し通路につなげたのだ。助けが来ないようにワイズモンのデジタルゲートを遮断したのもそのため。権限は今、ピノッキモンにあるとみていい。
光子郎をあざ笑うかのように、ホーリーエンジェモンの背後の空間が鮮やかに発光する。コンピュータのスキャナのような色を発して、光の波が右から左に流れていく。アトラーカブテリモンはあまりのまぶしさに目を細めた。世界が瑠璃色に染まる。
ずん、とホーリーエンジェモンの体が重くなる。どうやら干渉が強くなったのは本当のようだ。なにかのプログラムがホーリーエンジェモンに流し込まれる。流れ込んでくる大量のデータに処理が追いつかず、頭が割れるような頭痛に襲われたホーリーエンジェモンは、その場から動けなくなり、大剣が手から滑り落ちる。
あたりを焦がす光がふかぶかと突き刺さる土床によって、鎮火される。濁流のように流れ込んでくるデータのダウンロードが完了し、再構築され、再起動する。それをホーリーエンジェモンが自覚する。
ホーリーエンジェモンの真後ろでデジタルゲートが構築されていく。神聖な彫刻が施された白い扉に黒いたくさんの蔦のようなものが絡みつき、無理やり開けようとしている。内側から、なにかが扉から這い出ようとしている。ゆっくりとゆっくりと扉があいていく。その先は真っ黒ななにかが広がっていた。宇宙ではない。夜空でも無い。虚空だ。まちがいない、空から真っ黒ななにかがおちてきた時に見えた景色だ。
それが炎の壁の向こう側だと理解するのは早かった。スパイラルマウンテンのように、遊園地のありとあらゆる構成データをその扉の向こうのなにかが吸収していく。
なにか、なにか手は無いのか、このままでは。光子郎は考えるがなにも思い浮かばない。
ホーリーエンジェモンのヘブンズゲートが邪悪な空間とこの世界をつなげてしまった。タケルたちを異空間に引き摺り込もうと起動しはじめた。引き摺り込まれそうになる体を必死でアトラーカブテリモンにしがみつくしかない。だが、アトラーカブテリモンの飛行能力では、ヘブンズゲートの力をふりきることができない。その真っ赤な巨体を切り裂こうと、無理やりエクスキャリバーを持たされたホーリーエンジェモンが構える。振りかざす大剣は今までになく大きな光を孕んでいる。
もうだめだと誰もが思った、そのときだ。
廃墟の遊園地が歪んだ。ぐにゃりと歪んだ。その歪みはヘブンズゲートのあたりで起こっており、よく見ると白い扉が外側からいきなり燃え始めたではないか。黒い蔦のような、触手のようななにかごと燃えていき、一時的に繋がってしまった炎の壁の境界をまるごと焼き尽くそうとしている。
「な、なにがおこったんや......?」
訳のわからないまま見ているしかないアトラーカブテリモンだが、とりあえずホーリーエンジェモンから距離を取る。
「燃えてる......暗黒の力を燃やしてる......まさか、あの炎は、あの蓋の周りで燃えていた炎?」
「えっ、でもここ、ファンロン鉱のとこじゃないよ!?」
「そうかもしれないわ、みんな!」
「空さん!」
「ガルダモンじゃなくて、バードラモン!どうしたの、大丈夫?」
「ピノッキモンにやられちゃってね、ここまでしか進化できるエネルギーがなくて。来るのが遅れてごめんね。でも、おかげでわかる」
「え、なにが?」
「光子郎のいうとおり、あの炎は、ウイルスバスターそのもの。暗黒の力を浄化して燃やし尽くす聖なる炎。それが空間が歪んで暗黒の力が漏れ出したことに気づいて、拡大したんだ」
「空間と時空を歪めてまで......なんて力だ」
「どうしてわかるの、バードラモン」
戦果が及ばないところに空を下ろしたバードラモンが笑った。そして、悠然と燃え盛る炎の翼を広げる。
「どうして?どうしてって、わかるに決まってるじゃない、空。私はデジタルワールドの平和を守る防御壁である炎の壁、聖なる炎、私はあの炎から生まれたのよ!!ここは任せて、みんな!私がなんとかしてみせる!!」
「バードラモン!?無茶よ、あなた成熟期じゃない!」
「大丈夫よ、空。ピョコモンになった私を空は守ってくれた。今度は仲間の危機に、空の危機に、私が立ち上がる番!だから、信じて!」
「バードラモン......わかった、お願い。みんなを助けて」
「任せて!」
バードラモンは己が生まれた炎の壁から吹き出す灼熱の中に飛び込んでいく。それはヘブンズゲートを焼き尽くし、汚染されている全てを燃やし尽くし、さっきまであったデジタルゲートは跡形もなくなくなってしまう。その代わりにこの世界を形づくっている支配者を構成している暗黒の力を感知したのか、その炎の勢いは衰えることを知らず、ますます広がっていく。その炎はバードラモンを覆い隠す勢いで燃え盛り、その炎が持つ構成データが濁流のようにデジゲノムとして、一気にバードラモンに流れ込んでいく。
そのすさまじいデータ量はバードラモンに新たなる進化経路を開拓するには十分すぎるほどのエネルギーに変換される。
空のデジヴァイスが紋章と炎の壁のデータをダウンロードし、バードラモンの構成データがすべて変換される。分解され、追加され、再構成されていく。やがて空間を突き破って現れたのは、巨大な聖なる鳥型のデジモンだった。
空たちのデジモンアナライザーが更新される。
ホウオウモン
世代 究極体
タイプ 聖獣型
属性 ワクチン
黄金色に輝く4枚の翼を持った聖なるデジモン。全ての鳥型デジモンの長であり、神聖系デジモンを統べるものと言われている。ホーリードラモンが獣型デジモンの究極形態であるのに対し、ホウオウモンは鳥型デジモンの究極形態である。神聖系デジモンの証でもあり、聖なるパワーを引き出す「ホーリーリング」を2つも持つところから、ホウオウモンの持つパワーが計り知れないことが理解できる。
「ホーリーエクスプロージョン!」
ホウオウモンが神々しい4枚の羽を羽ばたかせる。ぶわっと廃墟と化している遊園地全体に、黄金色の粒子を降り注ぐ。無理やりファンロン鉱の空間を歪めて構成されていた空間が正常化し、元に戻っていく。
「遊園地が......きえてく......」
「ああ、そうか。僕たち、黒い霧みたいなやつに巻き込まれて......」
遊園地の空間を構成していたと思われる全ての暗黒は浄化された。0と1の粒子は光になって消えていく。その光は地下へと消えていった。蓋をされている穴ではなく、タケルたちの足元へだ。あちらは暗黒の力の餌になるから、これなら大丈夫だろう。
ホーリーエンジェモンはようやく体の自由がきくようになり、ホウオウモンの聖なる力の粒子のおかげでどんどん回復していく。アトラーカブテリモンも疲弊する体が癒えていくのを感じた。
「あー!?なんてことしてくれるんだよ!せっかく蓋が開かないから、穴開けてやろうと思ったのに!!」
ピノッキモンが叫ぶ。
「もー、ムカつくムカつくムカつく!!じゃあ次は、お前だ!!」
ピノッキモンの指から無数の糸が発射される。あれは間違いなくホーリーエンジェモンを操っていた謎の力の正体だろう。
「ホウオウモン、あぶない!」
たまらずタケルはさけぶ。
ホウオウモンは微動だにしない。大きく旋回すると、炎の壁の加護をうけた霊鳥のまわりに真っ赤な炎が渦巻いていく。
「クリムゾンフレア!」
ファンロン鉱の空間全体が炎につつまれた。光子郎たちもまきこまれてしまうかと思われたが、展開していた結界がすべてを遮断してくれた。熱さはない。息苦しさもない。恐る恐る前を見てみると、どうやらデジヴァイスの聖なる光と炎の壁は性質が同じようで、選ばれし子供たちには意味をなさないようだ。
効果があるのは、そう、ピノッキモンだけである。
ピノッキモンが慌てて逃げようとした時には、もう手遅れだった。逃げようにも全てが焼き尽くされてはなすすべがない。
「ふざけんな、この野郎!」
ピノッキモンはなんとかホウオウモンに近づいて、自慢のハンマーで粉砕しようとしたが届かない。炎の壁は暗黒の力から生まれた存在を許さない。問答無用で焼き尽くされてしまう。
「わあああああ!」
ピノッキモンの体は焼き尽くされ、チリ一つ残さないまま消えてしまった。炎が消え去り、あたりは焼かれた痕跡すら残らなかった。
0と1の粒子が蓋の向こうに流れていく。そこにいたのはホーリーエンジェモンだった。
「ピノッキモンは暗黒の力から生まれたデジモンだったのか。ならば、そのデジゲノムの核にあるのは古代デジタルワールド期に消滅の憂き目にあった者たちの想いだろう。今の世界にはそれを受け止めてやれる力がある。だから、そちらにはやれない」
ホーリーエンジェモンの光が全てを包み込む。それは炎の壁の向こう側ではなく、地下に消えていったのだった。
「ありがとう、空さん!ホウオウモン!助かったよ!」
「ありがとうございます、どうなるかと思いましたが......」
「どういたしまして」
力を使い果たしてまたピョコモンに戻ってしまったパートナーをかかえて、空は笑った。
「それより急ぎましょう、空。私、炎の壁からあちらに引き摺り込まれそうになってる影を見たわ。はやくしないと間に合わない」
空たちはうなずいたのだった。