(完結)おれとぼくらのあどべんちゃー   作:アズマケイ

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第187話

ダークマスターズの1人、ムゲンドラモンもまたメタルシードラモンのように前の子供たちに敗北した屈辱を教訓に、自分の体を改造しつくして、新たな境地に至るために試行錯誤を重ねていた。

 

メタルエンパイアの遺跡を掘り起こし、入手したデジゲノムとスパイラルマウンテンの台頭の余波に巻き込まれて死んでいった機械型デジモンたちのデータを繋ぎ合わせ、ようやく満足いく形に完成したばかりだった。

 

本当はもっと実験を繰り返したかったのだが、選ばれし子供たちの快進撃はスパイラルマウンテンの動力源の破壊工作にまで及びそうだと先行させていた部隊からの通信を聞いて、出撃を決めたのだ。

 

スパイラルマウンテンの地下にはこの塔の動力源があり、迂闊に技を使うとこの塔そのものが破壊されてしまう恐れがあったが、ハイパームゲンキャノンを出し惜しみする気は全くなかった。

 

機械仕掛けの脳細胞は計算した。どうせ自分は時間稼ぎのために復活させられた傀儡の身だ。ならば、せめてその責務を全うしなければならないだろう。この場にいるのは光の紋章の持ち主ではなく、奇跡のデジメンタルが扱える子供だと暗黒の力がささやいてくる。ならば標的はその子供以外ありえない。

 

かつて、数々のサイボーグ系デジモンのパーツを組み合わせて造られたムゲンドラモンは想像以上の能力を発揮し、その実験は成功したと言われている。そのムゲンドラモンを更に改良強化を加えたのが深紅のメタルボディを持つデジモンこそが、ここで軍勢を指揮しているカオスドラモンである。

 

 

仮想超金属であるクロンデジゾイドを、再精製し硬度のみを上げた“レッドデジゾイド”を使ったボディは、あらゆる攻撃を跳ね返し、あらゆる物を破壊する。

 

また、デジコアにセットされたプログラムのバージョンも、より破壊的に自律的に改良を施されている。

 

「スーツェーモンの加護が失われた今、恐るるに足らぬ!いけ!」

 

2砲のキャノンから発射される超弩級のエネルギー波、ハイパームゲンキャノンが真下にいる子供たちめがけて発射される。

 

「続け、貴様らのパワーは、選ばれし子供のパートナーデジモンをも余裕で凌ぐのだからな!」

 

その防衛と回避に気を取られているときを好機とみたカオスドラモンは、ムゲンドラモンの軍勢を一気に出撃させる。そして自分は迷うことなく標的に向かっていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、リリモン」

 

「なあに、ミミ」

 

「あたしね、がんばる」

 

「ミミががんばるなら、あたしもがんばる!」

 

「うん!一緒にがんばりましょ!」

 

ミミはうなずいた。さっきまでの疲れなど嘘のように、やる気に満ちている。

 

スーツェーモンから今までやってきたことが身を結んでいること。褒められたこと。謝罪されたこと。前の子供たちと共に冒険をしたパートナーである四聖獣から直々に自分たちを超えること───────古代デジタルワールド期の戦いで暗黒の力に取り込まれたデジモンたちを解放することができると言われたことは、なによりもヤマトとミミ、そして大輔に活力と気力を取り戻させるには充分だった。

 

特にミミは顕著だった。みんながはじまりの街で生まれ変わるようにするには、ダークマスターズを倒さなきゃいけない。転生システムを破壊することが目的なのだから。

 

戦って戦って、その先になにがあるのか。その疑問を幾度となく出会ってきたデジモンが、人が、仲間が教えてくれた。

 

たしかに戦ってもなにも生まれない。生まれるのは悲しみと憎しみだけ。そういうのは嫌だが、それから目を背けたら、その悲しみと憎しみを取り込んで、暗黒の力は大きくなってしまう。

 

その暗黒の力だってもとは古代デジタルワールド期に殺されたデジモンの想いが、進化を否定する概念とかいうよくわからないなにかに捕まって洗脳されて実体がないからって取り憑かれているのだ。

 

それをミミたちは転生システムに送る仕事をしているんだよとスーツェーモンは教えてくれた。光と太一がピエモンたちを倒して、暗黒の力にヒビを入れた。そして、落ちてきた暗黒の力がダークマスターズを強化したり、ミミたちが追い回されたあの究極体の軍勢になったりした。丈たちがどんどん暗黒の力を解放してあげている。光子郎たちは、スパイラルマウンテンのプログラムを初期化してくれたから、これ以上世界は崩壊しない代わりにもとのセントラルマウンテンというひとつの山に戻してくれる。このままいけば、みんな合流できるだろう。

 

スパイラルマウンテンの動力源を破壊すれば、それは尚のことはやくなる。なら、やることはひとつだ。

 

ミミのデジヴァイスが輝きだす。スーツェーモンから託された純真の光は火の壁のプログラムを取り込み、ミミのみんなを助けるために戦いたいという気持ちに呼応して、リリモンを新たなる境地に誘う。

 

周りを寄せ付けない旋風がメタルガルルモンとムゲンドラモンの軍勢のあいだにわって入った。竜巻はやがて薔薇の花弁にかわり、散っていく。その中心に現れたのは。

 

「究極体になったのね、おめでとう!」

 

「ありがとう、ミミ。ロゼモンだわ!ミミ、あたし、ロゼモンに進化しちゃったみたい!」

 

「ほんとに!?」

 

ミミは生贄になったあとのロゼモンしか知らないため、あわててデジモンアナライザーを起動してみる。

 

「ほんとだわ!」

 

そこには目の前のパートナーと寸分違わぬ美しい薔薇の女王がいた。

 

ロゼモン

世代 究極体

タイプ 妖精型

属性 データ

 

草花の女王と呼ばれる薔薇の様な姿をした妖精型デジモン。美しい大人の女性の姿をしており、常に美しくあることを願っている。性格は多少、自意識過剰なところもあるが、その実力は他の究極体とも引けを取らないほどである。

 

また、胸元には愛と美のシンボルが刻まれた宝玉「ティファレト」を身につけている。このティファレトを持つものは、永遠の美しさと強さを約束されると言われている。

 

パートナーがあのロゼモン───────始まりの街の守護デジモンであり、たったひとりで裏次元で結晶世界の流出を閉じ込めながらタケルを逃すために殺されて、かつて、仲間だったはずのピーターモンから生贄にされてしまったデジモン───────になったことでがんばらなきゃ!という気持ちになっていた。

 

「ローゼンスピア!」

 

薔薇のイバラでできた鞭がムゲンドラモンの一体を捕らえる。ロゼモンはそれを振りまわし、周りのムゲンドラモンたちを粉砕していく。やがて放り投げられたムゲンドラモンは後方の軍団にぶつかり、砕け散った。

 

破片は砕け散り、0と1の光の粒子は下におちていく。黒い粒子はヤマトたちがいこうとしている穴に流れ込んでいくのがわかる。

 

「なんでこっちに流れてくるの!?こっちは動力源があるのに!?」

 

「フォービドゥンテンプテイション」

 

黒い粒子に次々と薔薇が芽吹いていく。それは養分として薔薇に全て吸収され、真っ黒な花弁が散り、今度は光の粒子となり、下に落ちていった。

 

メタルガルルモンはムゲンドラモンの鋼鉄の身体に弾丸を叩きこみ、撃墜されていく。ロゼモンはメタルガルルモンが取りこぼした個体にトドメをさしながら、余すことなくダークエリアに送っていった。

 

「ありがとう、ロゼモン!それにしても、なんで黒いのときらきらしたのがあるのかなあ?」

 

「光の粒子はこっちの世界のデジモンだと思うわ、ミミ。黒い粒子はたぶん暗黒の力、古代に死んじゃったデジモンたちのデータ」

 

「大輔、ロゼモンの力を借りないとダメみたいだ。先にいっててもらえるか!」

 

「わかりました!いこーぜ、パイルドラモン!」

 

「うん、わかったよ、大輔!」

 

パイルドラモンは翼を翻して、大輔を乗せたまま一気にスーツェーモンが開けてくれた動力源に続いている巨大な穴の中に飛び込んだのだった。

 

「あぶない、ロゼモン!」

 

「きゃあ!」

 

先程から時折飛んでくる特大のエネルギーの砲撃だけは回避するしかないメタルガルルモンとロゼモンである。いくら火の壁の加護で大幅に強化されたデジヴァイスの結界といえども、さすがに直撃したらそのパワーに押されて塔に叩きつけられてしまうのは目に見えている。今回もまた連射される光線を目視したメタルガルルモンはロゼモンの鞭を掴んで一気に走り出し、なんとか回避に成功する。

 

「ありがとう、メタルガルルモン」

 

「間に合ってよかった。しかし、なんて攻撃だ。あの赤い奴だけパワーが桁違いだな」

 

「あれがボス?」

 

「たぶんな」

 

あれだけのエネルギー砲だからだろうか、エネルギーを溜めるのに時間がかかっているのがまだマシだ。連射されたらさすがにしぬ。だがあの敵にはなかなかメタルガルルモンもロゼモンも近づくことができないでいた。周りを取り囲む究極体の軍勢を撃破することは容易いのだがキリがないのだ。銃弾の雨をくぐり抜けながら、反撃に転じる。

 

「この塔の向こう側から来てるな」

 

「下からってことは、塔の中から?」

 

「いや、光子郎がスパイラルマウンテンをセントラルマウンテンに戻すよう書き換えたんなら、そっちが優先されるはずだ。中から湧き出してくるなら、挟み撃ちした方がいいに決まってる」

 

「じゃあ、どこから?」

 

「わからない。わからないが、周りの奴らをたおしても無限に湧いてくるなら、相手にしている暇はないな」

 

「そうね」

 

そんなことを話していた、矢先だ。固定砲台として空中に浮遊しながらいっさい動く様子を見せなかった赤いやつがいきなりこちらに向かって突撃してきたのである。エネルギーの充填はまだ終わっていないというのにだ。

 

「デストロイドハーケン」

 

鉤爪部分からロケット推進力を持つ錨と鎖状の部品から構成される錨のような武器が発射された。

 

「ロゼモン危ない!」

 

「メタルガルルモン!」

 

「ぐっ!」

 

メタルガルルモンの後ろ足に貫通した錨がその突撃の巻き添えにしてしまう。打ち込んだ後に錨を巻き上げ、対象を引き寄せた敵は、足止めしつつ距離を詰めて近接戦闘に持ち込むつもりのようで、全身に搭載された武器を持ってメタルガルルモンに襲いかかる。傷口をこじ開けながらウィルスを注入して破壊してしまう技だったようだが、火の壁のプログラムがそのウイルスだけは破壊してくれた。

 

ただ、装甲に何の意味もなさないことから、攻撃自体はメタルガルルモンと敵の絶望的な実力差から来るに違いない。

 

メタルガルルモンの装甲が破壊されて、あたりに四散する。超至近距離から砲撃が打ち込まれようとしていた。

 

「ダメよ、そんなことさせない!ソーンウィップ!!」

 

電気を帯びたイバラの鞭が敵の砲台のひとつをとらえ、無理やり違う方向に捻じ曲げる。雷撃が迸り、どこかのパーツが故障でもしたのか、火花と黒煙があがった。

 

「メタルガルルモンを離しなさい、このぉっ!!」

 

「負けてたまるか!!ガルルトマホーク!!」

 

もうひとつの砲台の繋ぎ目にメタルガルルモンの胸部からフリーズボンバーと呼ばれる巨大なミサイルが至近距離で打ち込まれる。なんとか起動がずれたようで、二つの砲撃はあらぬところに一直線に発射され、味方の軍勢がその直撃を受けて大破した。連鎖的に大爆発がおきる。メタルガルルモンはなんとか脱出に成功し、ロゼモンも爆発から逃れるために距離を取る。

 

爆炎が晴れていく。

 

「いない!?」

 

「あいつ、どこに......」

 

「ヤマト、ミミ、大変だ!あいつ、穴の中に!」

 

メタルガルルモンの高性能なレーザーが敵の場所を捕らえた。

 

「大輔くん!」

 

「しまった、あいつの目的は動力源の確保か!急ぐぞ、メタルガルルモン!」

 

「ロゼモン急いで!」

 

2体はあわてて巨大な穴の中に入っていく。後ろから究極体の軍勢が殺到してくることに気づいたヤマトはどうするべきなのか必死で考える。このままでは挟み撃ちだが先に行かせた大輔たちが心配だ。

 

「ロゼモン、来るぞ!」

 

メタルガルルモンはあわてて穴から出てきた。ロゼモンも後からつづく。穴から出たその瞬間、下からまたあの特大なレーザー砲が飛んできたのである。殺到していた究極体の軍勢は一瞬にして吹き飛んでしまう。味方もろともヤマトたちを消し飛ばそうとしているのか、穴に近づこうとするたびに、さっきとはあまりにも短い間隔で砲撃の柱がヤマトたちを阻んだ。

 

「くそッ!これじゃ近づけない!

「大輔くん!!」

 

ヤマトとミミの声は無常にも無限に湧いてくる敵の砲撃にかき消されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大輔とパイルドラモンがスパイラルマウンテンの地下最深部に到達したとき、動力源たる空間全体が脈打っていた。まるでなにかが生まれようとしていた。脈はひどく遅くて体はとても冷たいが、キコンカコン歌時計のように活発に動いている。時計の針に似た響きは、死に誘う警鐘のような恐ろしさがあった。

 

パイルドラモンは上空を見上げる。

 

「来た、敵だ」

 

「えっ!?」

 

あわてて見上げる大輔は、カオスドラモンがヤマトたちを牽制するために砲撃を連射しているのがみえた。

 

「ど、どーしよう、パイルドラモン!このままじゃこっち来ちゃうって!」

 

「このままだったらね。でも、スーツェーモンがいってたじゃないか、ここを破壊すれば活路はひらけるって」

 

「そうだけど!」

 

「いくよ、大輔」

 

「なんでそんな冷静なんだよ!」

 

「いいから。よく聞いて、大輔。スーツェーモンいってただろ、四聖獣でウイルス種は自分だけだって」

 

「え?あ、あーうん、たしかにいってたよーな」

 

「スーツェーモンはデジコアを託してくれたよね、大輔。パルモンは純真の力を託されたからか、データ種のロゼモンに進化したんだ。預かってただけともいってた。じゃあ、おれは?」

 

「え、俺も預かってただけだって」

 

「それもあるけどさ、じゃあウイルス種に進化することを選んだことを称えて力を託すなんていわないと思わない?」

 

「......たしかに」

 

「だろ?だから、大丈夫だよ、きっと」

 

パイルドラモンに呼びかけられた大輔は前を見据える。そして、うなずいた。

 

「スーツェーモンから託された力を使わせてもらおう、封印を解いてあげるために!」

 

デジヴァイスがこれ以上ないくらいに輝いた。スーツェーモンからもらったウイルス種のデータがデジヴァイスを通じて、火の壁のデータと共にパイルドラモンにダウンロードされていく。

 

それは奇跡の紋章の負担を完全に代行してくれるほどの力であり、リミッターを完全に解放して、デジタルワールドの進化バンクにアクセスする。やけに静かな緊張感があった。派手に動悸が打つ気がする。

 

「パイルドラモン、大丈夫か?」

 

大輔の呼びかけにパイルドラモンはうなずいた。

 

パイルドラモンの心臓の規則正しい音。それはやや早いが、力強く弾力があり健康的な響き。心臓の音が、ドラムを鳴らしてるみたいに、身体中に響いていた。心臓が胸の中で、小鳥のようにばたばたしだす。肋骨の檻の中で心臓がコツコツと音を立てる。

 

心臓の鼓動は、かちかちと鳴る時計の秒針を追い抜き、一段と早くなる心臓は確かな鼓動を繰り返している。意識を集中させると、内部から音が聞こえてくるようだ。

 

誰かがすぐ近くで、金槌を使って壁に釘を打ち付けていた。こんこんこんこん、という途切れのない音が聞こえた。かなり硬い壁と、かなり硬い釘だ。こんな時間にいったい誰が釘なんか打っているのだろう? 

 

大輔は不思議に思ってまわりを見回したが、どこにもそれらしい壁は見当たらなかった。そしてまた釘を打っている人の姿もなかった。 

 

少しあとになって、それがパイルドラモンの心臓が立てている音であることがわかった。心臓がアドレナリンの刺激を受け、急遽増量された血液を、耳障りな音を立てて体内に送り出しているのだ。

 

普段と変わらないトクトクという小さな鼓動が胸の奥から立ち上ってきて、正常に血液を流し始める。心臓は胸から飛び出しそうなほど、ドクドクと動き続けている。心臓が破裂しそうなほどドキドキする。心臓は隆起と陥没を繰り返す。

 

パイルドラモンが光に包まれる。

 

やけにひんやりとした空気に満ちていた。大輔は耳に意識を集中した。空気の音がした。地面の音がした。しばらくして、心臓の鼓動が感じられた。身体が弾む。気のせいかしだいに、鼓動は大きくなるようだ。肩の力を抜いてみた。目を閉じてみる。

 

パイルドラモンの心音が大輔を包む。落ち着く音だった。身体の中では血液が、爆発するように送り出されているのだろうが、その鼓動が心地よい。絶え間なくつづく、血液の循環だ。はるか昔、大輔は誰かの腹の中で、この音を聞きながらよく眠っていたのだろう。守られている感覚がある。すっと力が抜ける。自分の心臓が強く鳴っているのを、遠くで鳴る警鐘のように感じていた。

 

大輔のデジモンアナライザーが更新される。

 

インペリアルドラモン

世代 究極体

タイプ 古代竜型

属性 ウィルス

強大すぎるパワーをコントロールできずに暴走してしまった古代竜型デジモン。暴走を始めてしまったら止める術を持たず破壊の限りを尽くす。破壊のパワーを闇の心で制御したウィルス種の竜戦士形態が存在するともいわれている。

 

 

咆哮は一瞬にして動力源に繋がれたコードを焼き、葬り去った。そして暗黒の力に取り込まれるはずの魂はインペリアルドラモンが破壊する。動力炉が引き切れる。滝がなだれ落ちるようにズタズタに引き裂いた。壁を突き破るような産声が湧き起こる。息もつけない緊張の沈黙を破って響く。

 

それは巨大な爪をもつ怪物だった。怪物が咆哮をあげる。動力源たる炉から禍々しい光が吹き出したのだった。それがさらなる強化を促す。目に入るもの全てを破壊していくインペリアルドラモンは容赦がなかった。

 

なにもかもを塵芥にしていく。インペリアルドラモンの通ったあとには何も残らない。あたり一帯を空爆にあった戦争地帯の惨状に変えたインペリアルドラモンは勝ち誇るように咆哮した。

 

「インペリアルドラモン」

 

大輔が名前を呼ぶと唸りを上げながらも咆哮はやみ、辺りを見渡し始める。大輔はすっかり大穴があいてしまい、今にも崩れ落ちそうなほどの地下最深部にて立ち上がる。

 

「大丈夫、だよな?な?」

 

あまりに大きな巨大に進化したパートナーに、ちょっと不安になってきたのか、デジヴァイスを掲げながら手を振る大輔に、インペリアルドラモンは振り向いた。そして、視線の先に大輔がいることに気づいて、目を細めたのだった。

 

がりがりがり、と無理やり穴に手を突っ込み、乗れとばかりに差し伸べてくるインペリアルドラモンに大輔は瞬き数回、うなずいた。

 

鋭い爪を避けながら黒い指にしがみつき、手の甲をのぼり、腕のあたりに到達するとインペリアルドラモンは肩にのせた。

 

「うわ、たっか!?たっかいな!?」

 

大輔にインペリアルドラモンは無言のまま笑うだけだ。

 

「それにしても、すっげー穴だなあ。これなら、スーツェーモンも自由になれるかな?」

 

大輔の呟きにインペリアルドラモンはうなずく。その風圧に吹き飛ばされそうになり、必死でしがみついた。

 

妨害がなくなったことで再び地下に光が満ちた。鮮やかな光の柱が立ち上る。最深部から地上に向けて。その光をおいかけて、大輔とインペリアルドラモンはそちらに向かい、飛行を始める。おそらく、ロゼモンとメタルガルルモンがいるはずだ。心配しているに違いない。びっくりするだろうなあ、と思いながら大輔たちは駆け上がっていく。

 

そして、インペリアルドラモンの破壊神ともいうべき凶悪な姿に絶句する仲間たちに合流することができたのはいいのだが、インペリアルドラモンが豪快に動力源を吹っ飛ばしたせいで、一気に塔を構成しているデータが瓦解を始める。力尽きて幼年期になってしまったミミと大輔をメタルガルルモンが回収するはめになったのは、ご愛嬌といえた。

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