(完結)おれとぼくらのあどべんちゃー   作:アズマケイ

89 / 193
第89話

「今日からこっからここに住んでるアンタ達はアチキの下僕よ!」

 

 

毎日毎日、自慢の爪で落とし穴を掘り、大好物の木の実なんかをおとりにしてコロモン達が面白いくらいに引っかかり、うわーとか、だしてーとかいう悲鳴を聞くのが日課だった。

 

いじめていたガジモンたちのテリトリーにずかずかと入ってきて、初対面早々、意味不明なご挨拶をかましたのが、エテモン様だったとガジモンはいう。突っ込みどころ満載である。どうしようかなあってうずうずしている大輔である。

 

きょとんとしているチコモンは、いっじわるなのは昔っからなんだなあ、ってむくれている。俺たちの日課だうっせえな。とガジモンに殴られるチコモンは涙目で、だいしけーってすがってくる。

 

ハツカネズミモンへのいたずらを聞いている大輔はお前が言うなとスルーした。当然、一見するとふざけたキャラクターである。アチキに女言葉なエテモン様だ。

 

強烈なキャラクターに引っ張られて、無謀にも完全体に集団で襲い掛かったガジモンたちは問答無用でラヴセレナーデの餌食となり、ばったんきゅーとなっているところをそのままずるずる引きずられて、下僕生活が始まったらしい。

 

なんというふびんな、と涙を禁じ得ない人生である。同情スンナ結構気に入ってたんだよ、とガジモンは怒った。なんで、と疑問符の大輔とチコモンにガジモンは笑った。なんか誇らしげである。へんなの。悪い奴に従ってるのに。

 

 

「笑天門号ってあるだろ」

 

「エテモンが乗ってるあのおっきな車?」

 

「トレーラーっつーんだ覚えとけ」

 

「とれーらー?」

 

「ああ。ありゃもともと、エテモン様がコンサートを開くために改造したやつなんだ」

 

「コンサート?」

 

「エテモン様はもともとスーパースターになりたくて、サーバ大陸ででっけーコンサート開くのが夢だったんだとさ。で、一人じゃできねーから、俺たちにケンカ売って、グループ作って、あっちこっちにケンカ売りながらコンサートして回ってたんだよ」

 

 

なんか熱狂ファンやってるジュンお姉ちゃんと京のお姉ちゃんが頭をよぎってしまい、大輔は懸命に首を振るのだ。イケメンで歌がうまくてカッコいいバンドのお兄さんたちとエテモンは全然違うだろって打ち消すのだ。

 

大輔もギターくらい弾けなきゃだめよって訳のわからない理由で京のお姉ちゃんから手ほどき受けたけど、

背面弾きとかよく分かんないのまでさせられそうになったから逃げてきたのを思い出す。

 

おかげでなんか良く分かってないけど弾ける。あんまりコンサートって聞いていい思い出は無い大輔である。好きあらば洗脳しようとしてくるのだ。お姉ちゃんの友達は。

 

なんか怖い。目が笑ってない。ぎゃーってなって逃げるのだ。大輔は。自分の部屋に逃げるのだ。そして大音量でゲームする。布教活動という名の洗脳の餌食になっている幼馴染を見ている手前、巻き込まれそうになるので大輔にとっては、京が遊びに来る日はいつだって洗脳の恐怖との戦いである。

 

無駄に知識があるのは仕様だ、まだまだ大丈夫、まとも、うん。

 

 

「すんげーなあ」

 

「うっせーな、ただコンサートするだけじゃつまんねーだろ。エテモン様のコンサート参加したことねえから言えるんだよ。あの人、気が済むまで歌い続けるから客になったら覚悟しろよ。朝から晩までずーっとアンコール強制だぞ。そのうち耳に残って夢に出るって大好評だ。帰りたくても帰れねーんだぞ、ダークスピリッツ飛んでくるから」

 

「あれ、今とあんまり変わんなくね?」

 

「ああ、かわんねえな。でも、村を消滅させるとか、そんなひでーことまでする人じゃなかったんだよ」

 

「え?そうなのか?」

 

「コンサートすんのに客の故郷ぶっ壊してどうすんだよ。ただでさえ評判悪いのに、今じゃすっかり嫌われもんだ。おかげでコンサートがっらがら。なのにあの人、スーパースターになったって思い込んでるから全然わかってくれないんだよ」

 

「ガジモンたちじゃとめらんねえのか?」

 

「できてたらこんなことになってねえよ!俺たちは強くてかっけーエテモン様だから門下に入ったんだ。今のエテモン様はエテモン様じゃないんだよ!止められそうな奴らならいっぱいいたさ。みんなエテモン様が追っ払ったり、殺したり、逃げだしたりしていなくなっちまったけどな」

 

 

大輔とチコモンは顔を見合わせた。

 

 

「だいしけ」

 

「ん?」

 

「でびもんといっしょだ」

 

「は?」

 

「だって、でびもんもね、わるいやつだったけど、もともとむげんまうんてんにすんでるやつだったんだよ。

 

はじめてむげんまうんてんにのぼったとき、つよくてこわーいやつがいるってはなし、したでしょ?あれ、でびもんのことなんだよ。

 

だからちかづかなかったら、ぜんぜんこわいやつじゃないんだ。あいつ、おーがもんみたいに、おれたちいじめにおりてなんかこないから」

 

「なんだそりゃ。じゃあ、あんなふうに襲ってきたの初めてってことかよ?なんでそんな大事なこと今話すんだよ」

 

「あぐもんたちもそうおもってるよ。でも、えんじぇもんのことがあるから、これいっちゃったら、たける、ないちゃうでしょ。

 

もともとわるいでじもんじゃないのに、ころしちゃったって、ないちゃうでしょ。だからきっとみんないっしょういわないとおもうんだ。

 

だからおれ、だいしけのっけてちかづいたんだよ。おれのしってるでびもんは、はなせばわかるやつだったから」

 

「だから、いっつもいっつもチコモン達がいってることって、なーんかずれてんのか」

 

「うん。なんか、おかしくなってるんだ。でじたるわーるどが」

 

「・・・・・・・・なあ、そのデビモンってなんだ」

 

「オレたちがファイル島から来たのは知ってるだろ。選ばれし子供達だからって俺たち倒そうってしてきた最初のデジモンなんだ。なんかよくわかんねえけど、オレにこの痕つけたの。そのデジモンなんだ」

 

「・・・・・・・・・エテモン様と一緒だな。もともと容赦ないとこはあったけど、ナノモン様までスクラップにするとことか、そっくりだ」

 

「なんでナノモンにさま付なんだよ?」

 

「そりゃそうだろ、だってこのピラミッド迷宮はもともとナノモン様の城だぜ」

 

「え?そうなのか?」

 

「ああ。ナノモン様はもともと、壊れた機械を修復する天才なんだ。だからサーバ大陸からは直してもらいたいって奴らがいっぱいいたんだよ。ナノモン様が行方不明になっちまったから、もう、だれもこねえけどな。笑天門号だってナノモン様に作らせたってエテモン様言ってたけど、あの人機械音痴で、俺たちが必死でナノモン様んとこで勉強したから聞いてんだ。今だってお前ら追っかけてるモニターの操縦とか点検とかそういうの全部俺たちがやってるからな。あの人のマイクとか全部作ったのナノモン様なんだ。エテモン様のコンサートってド派手好きな演出大好きだし、俺たちも調子のっていろいろ好き放題やらかすから、必ずどっかしらなんかぶっ壊れるんだ。毎回毎回ここ通ってたから、もう常連みたいなもんだった。そん時、毎回毎回喧嘩すんだぜ、エテモン様たち。いい加減にしろ、私はお前の専属技師じゃない、修理屋じゃない、ほかのデジモン達からの依頼もあるのに割り込むなって怒るナノモン様と、壊れないように作らないアンタが悪いんじゃないの、お詫びのしるしに誠意ってもん見せなさいよって無茶苦茶なクレームつけるエテモン様で大喧嘩だぜ。でもなんだかんだ言って毎回直してくれるって知ってるから、俺たち笑門号ここに止めるんだけどな」

 

 

いや、止めてたんだけどな、とガジモンは言い直した。

 

 

「今は何とか俺たちでやってるけど、ナノモン様がいなくなってから、コンサートも小規模な奴しかできないから、エテモン様イライラがたまってて、俺たちによく当たるんだよ。俺たちはナノモン様ほどすごくねえから限界あるんだよ。でもあの人わかってくれないんだ。おかしくなっちまってんのはわかってんだ。でも、どうしようもないんだよ、なんでおかしくなってんのか、わかんねえから」

 

 

そっか、ガジモンもわかんないのか、と大輔もチコモンも顔を見合わせる。なんでデビモンがおかしくなったのか分からないままである。暗黒の力ってやつも分からないままである。

 

ただ言えるのはそれに巻き込まれてデビモンは死んじゃったってことで、エンジェモンが殺したならデジタマがデビモンの分も増えるはずなのに、なんでか出現したのはエンジェモンの奴だけだったと大輔は疑問符だ。チコモンは教えてくれた。

 

なんだよ、そんなことも知らねえのかよってガジモンも笑いながら教えてくれた。デジタルワールドにだってあの世はあるんだと、この世界の住人達はいう。大輔はデジタルワールドのことを何にも知らないんだなあって思ったりするのだ。そりゃそうである。選ばれし子供達はデジタルワールドの平和をしらない。

 

 

 

最初に教えてもらったのは、デジモンにとって死ぬのってどういうことかってことだ。ガジモン曰く、デジモンには「デジコア」っていう心臓がある。これは大輔も知っている。これがデータチップだから。これをばらまかれるといろんな記憶が飛んでっちゃうって、なっちゃんが教えてくれたことだ。

 

ガジモンはもうちょっと詳しく教えてくれた。その中には、でんのーかく、っていうのがあるらしい。普通、心臓だからデジコアはデジモンの体の真ん中部分、一番真ん中にある。だから、これが破壊されると死んじゃう。

 

ついでにデジコアを真っ黒にされるとレオモンみたいに無理やり悪いやつにされちゃう。そしたら、ガジモンが、もともと真っ黒なやつもいるから一緒くたにすんなって怒った。

 

何でだって言ったら胸を張るのだ。俺がデジコア真っ黒だからって。見たことないけど真っ黒だからって。それがウイルス種って言う奴だって教えてくれた。ガジモンが意地悪大好きなのは、ウイルス種だかららしい。

 

無理やり真っ黒にされたやつと生まれた時から真っ黒な奴は違うんだって怒るのだ。それは悪いことだって怒るのだ。そういうもんなのに、一緒くたにされたら、それってとっても酷いことだって言われて、そっかーと大輔は頷いた。

 

確かに生まれた時からそうなら仕方ない。大輔だって天然パーマだし、ストレートの奴見てると、雨の日とか静電気のときとか、いいなあって思うがどうしようもない。たしかにデジコア真っ黒だけどこのガジモンは大輔とチコモンを助けてくれたから、いい奴だ。これくらい大輔だって分かる。ガジモンのお話は続く。

 

 

デジコアは大事だから、どんなに強い奴でも、デジコアを破壊されてしまえば一瞬にして消滅してしまうらしい。ああ、なるほど、と大輔は理解する。みんなで一斉に攻撃したのに全然敵わなかったデビモンを、エンジェモンがたった一撃で倒せたのは。

 

かつておなじ天使だったから、どこら辺にデジコアがあるのか知っているから、悪魔と天使は仲が悪くて、いつもどっちがか消えちゃうまでケンカするから、あたりまえのようにどこら辺にデジコアがあるのか分かるから、倒せたんだって大輔は理解するのだ。

 

みんなの力を使ったのは、おっきいからエンジェモンのままだと壊せないからか。でっかいものを壊すのは大変だ。だから、デジモンが死ぬのは、絶対にデジコアが死んじゃった時らしい。

 

戦いに負けたり、事故や自然災害に巻き込まれたり、食べるものが無くなって死んじゃったり、寿命が無くなったり。びっくりするくらい人間と一緒である。だから思うのだ。いかにデビモンのやってることとか、

エテモンがやってることが異常なのかって。デジタルワールドですら、おかしいことだって知る。

 

チコモンが補足する。それを決めるのがデジモンが喜怒哀楽という感情をいっぱいいっぱい表現することで、オーバーライトなんだって。あたりまえのことだから、絶対に変えられないこと。そりゃそうである。

喜怒哀楽無しで、一切言葉も交わさないで、一人ぼっちで生きていくことなんて無理だ。

 

それは人間もデジモンも同じなんだけど、笑ったらいっぱい長生きできるって知っている大輔はへんなのって思うのだ。それが大輔がなっちゃんにもたらした覚醒前のアルフォースっていうオーバーライトの片鱗なんだけども。

 

どこまでもこの子は無自覚である。ガジモン達曰く、年をとるってそういうことらしい。大輔も思う、それなら人間とデジモンは一緒だって。そういえば年をとるとみんな病気になったり、怪我したりするなあって。

 

 

 

じゃあ次は、死んだらどうなるのってことだ。デジタルワールドには、ワクチン種、データ種、ウイルス種ってやつがいるんだって大輔は知る。チコモンは怒ってフリー種だって補足した。

 

ワクチン種は正義の味方で、データ種は穏やかな奴で、ウイルス種はいじわるする奴だって教わった。全体的にみたらそうなだけで、ウイルス種って理由だけで、みんな地獄にいくわけじゃないらしい。そりゃそうだ、と大輔は頷いた。

 

大輔のやってるゲームとかアニメだって、悪い奴がいい奴になって味方になるのはいっぱいある、逆もある。大輔は知っているのだ。なのに悪い奴だからってだけで、地獄に行ったら可哀想だ。普通はみんなデジタマになるんだよってガジモンは言う。

 

成熟期以上で寿命終えたら、デジモンはデジタマになれるらしい。だから、男の子とか女の子とかいらない。そんなやついない。あー、だから家族とか、友達とか、親友とか、わかんないのかって大輔は理解する。

 

知らないんだったら、全部ごっちゃにしてチコモンがいろんなこと聞いてくるのは仕方ない。でも、中には寿命を終えずに死んじゃうやつもいる。そいつらがあの世に行くんだってガジモンは言った。

 

天使のデジモンはいいことの象徴じゃないといけないから、ここに来たら絶対に悪魔のデジモンになっちゃうらしい。大変だ。

 

「ダークエリア」っていうあの世で、「アヌビモン」っていう閻魔大王みたいな、デジモンがいて、生きていた間にどういうことをしてきたのか見て、悪い奴だったらずーっとダークエリアに閉じ込められてしまうけど。

 

いい奴だったらデジタマに戻っていいから、って、「ヴァルキリモン」みたいなデジモンに死んじゃったデジモンはデジタマに戻ることが出来て、始まりの街にくるらしい。

 

でもこの場合は、生まれ変わる前の記憶は普通継承されないらしい。あれ?って思う大輔である。なんでデビモン、エンジェモンだった時のこと覚えてるんだろう?って。

 

そしたらガジモンは笑った。それが進化なんだって。天使から悪魔になる進化があるんだって。死ななくても悪魔になっちゃうんだって。だから、ダークエリアっていうあの世にいくのはよっぽど悪いことをしないと無理だって言われた。

 

デビモンのことを話したら、あーそりゃダークエリア行きだって教わった。そっか、だからいないのか。もちろん、デビモンはダークエリアにすら送られていないという非情な現実である。これを知るのは、すぐである。

 

 

 

なんかおとぎ話、アニメ、漫画、ゲームの世界みたいだって大輔は思うのだ。デジタルワールドでは全部ほんとに存在している。本当に異世界である。別世界である。現実世界では、もちろん大輔はなんとなくあの世ってあるんだろうなーって思っているけれど、だれも帰ってきた人はいないから、帰って来れたって人はいるけど、実際に経験して見ないと分からないことである。

 

すっげー世界である。やっぱりこの世界でもけっこう大事なことなんだって知る。だから、とガジモンは大輔とチコモンを見るのだ。

 

 

「だからナノモン様を元に戻してほしいんだ。このまんまじゃエテモン様もナノモン様も、本当にダークエリア行きになっちまう。おかしくなる前のエテモン様に戻れたら、デジタマに戻れる可能性もあがるだろ。

待ってることなんかいくらだって出来るんだ。俺達はデジモンだからな。死んだってまた生き返るんだ。

おかしくなった原因知ってるの、ナノモン様だから。最後まで、あの人がダークケーブル作ろうってするの、やめさせようとしてたの、ナノモン様なんだ。止めようってしてくれてたの、ナノモン様なんだよ。あの人が記憶を失ってんのは当たり前なんだよ。そんなことしたらまた邪魔されちまうからって。エテモン様がスクラップにしたときに、わざとその部品、ナノモン様の仕事場だったスクラップ場に隠しちまったから」

 

 

ここまで言われては、それもそうか、と思うのである。

 

 

デビモンも可哀想だなあって優しい子供は思うのだが、すでにデビモンは真の意味で飲みこまれた。もちろん現実は非情である。このままいけば、エテモンはダークエリアすらいけないまま、飲みこまれて消滅する。魅入られたものはかえらない。

 

救いはただ一つだけ。それを知るのは、目前である。大輔は思っている。暗黒の力に操られているのが悪いのかなって。もちろん、そんな単純な世界ではない。

 

 

「部品?じゃあ探せばいいんじゃねーの?」

 

「できねえから、お前らに頼んでんだよ」

 

「え?」

 

「俺たちが探してんのは、データチップって部品なんだ。エテモン様が言ってたから名前だけは知ってるけど、どんなのかなんてわかんねえんだよ。見たこともないやつ、どうやってさがせっつーんだ。ナノモン様の仕事場だから、すっげー広いんだぞ、スクラップ場。修理待ちでほっとかれてて、埃かぶってる機械とか、再利用するために山積みされてる機械とか、機械工具がもう見上げるくらいあるんだぞ。エテモン様がおかしくなって、ナノモン様があそこに閉じ込められてから、ずーっと探してんのに見つからないんだ。でも、お前ら知ってんだろ、データチップ。どんなのか、知ってんだろ、だからお前らに頼むんだ」

 

「確かにデータチップだったら見たことあっけど、なんでオレたちが知ってるってわかるんだ?」

 

「お前ら、ナノモン様が「記憶がない」って言った時、なんつった?」

 

「え?」

 

「データチップなくしたのかってつぶやいてただろ、嘘とは言わせねえぞ」

 

「え、聞いてたのかよ」

 

「当たり前だろ。隠し通路の場所なんざ俺達の方がエテモン様より知ってんだ。お前らにナノモン様が教えたのなんか、ほんの一握りだぞ。なんだよ、気付いてなかったのかよ。

じゃあなんでナノモン様しか知らないはずの隠し通路に俺たちがいたと思ってんだ」

 

「あ」

 

「ナノモン様がこのピラミッドん中異様に詳しいのは当たり前なんだよ、もともとナノモン様の場所なんだから。なんで俺たちが知ってたかって?言わせんなよ。エテモン様の代わりに笑天門号の修理とか操縦とかできるようになって負担減らせって叩き込まれたんだからな。仕事場だって行ったことあんの俺らだけだ。エテモン様みたいに機械音痴がみたって何にも面白くないし、下手に触って怒られたらプラグボム飛んでくるからなあ。まさか殺されかけるとは思ってなかったけどな。付き合えよ。その代り、紋章さがし、手伝ってやるから」

 

 

紋章探し、と言われて仰天するのは大輔とチコモンである。たしかに、さっきからぴかぴかと大輔のタグは光り輝いているのだが、ナノモンは紋章を渡す条件で選ばれし子供達を呼んだはずである。

だからてっきりナノモンの手中におさまっているとばかり思っていたのだ。どういことだと説明を求める大輔とチコモンにガジモンは笑った。

 

 

「ナノモン様は嘘は言ってねえぜ。確かにお前らの紋章もこのピラミッド内部にあるんだ。ただナノモン様も見つけられねえんだ」

 

「え?」

 

「その連れ去られた選ばれし子供の紋章ならスクラップ場ですぐ見つかったんだ。でもお前らの紋章は、モニタの反応はあるのになんでか見つからねえんだよ」

 

「もしかして」

 

「ああ、そうだ。お前らの紋章は、ナノモン様のデータチップがどっかに埋まってる、スクラップ場にあるんだ。悪い話じゃねえだろ。手伝えよ、待ってたんだ。お前らにしか出来ないことだ」

 

 

当たり前の話である。奇跡の紋章は想いの紋章である。心がないナノモンに大輔の紋章は見つけられない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。