異世界なんて相棒がいればよユウです   作:颯野秋乃

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第7話

揺れを感じ無くなる。触覚で感じた訳では無い。単なる情報として、理解する。

 

《お目覚めですか?城下町最寄りの村に着きました。ギュールいわく、ナード村、と言うそうです。》

 

ユウのおかげで、状況がすぐに分かる。ユウから身体の主導権を返還してもらい、体を起こす。

 

「アルテナ様、今から宿を取ってまいりますので、暫くお待ち下さい。」

 

「うん、分かった。」

 

待ち時間を使って、ギュールの話を聞きながらまつ。するとさほど待たずにギュールが戻ってくる。

 

「二日間の宿泊を取ってきました。馬車を、保管庫に仕舞った後、私は食料などを買いに行ってまいります。アルテナ様はどうなされますか?」

 

その質問に、宿屋に籠るか、特に何もなさそうではあるが、街をぶらつくか、の二択でアルテナは悩む。

 

《情報収集の為にもぶらつきませんか?お金はギュールから貰ってください。相場も確認したいです。》

 

ユウがそう言うならばアルテナに否は無い。ギュールに外をブラつきたいと伝え、お金を貰う。貰った硬貨は三種類あった。緑がかった四角形の銅貨と、十円玉のような円形の銅貨、四角形の銀貨であった。

 

それを受け取り、村を散策する。

 

その中で気付いたのは、小さな子ども達が、様々な場所で見かけられたということだった。ユウは

 

《マスターの記憶にあるような、教育機関の発達が無いのでしょう。》

 

と考察した。え?そうなの?アルテナが王家だったからなのか、教育は受けた。それでも言語を習得してからは、地下に籠ってしまったから、マナー講座等を受けなかった弊害をこうして受けている訳だが…。

 

《マスターの言語レベルはこの世界では上位であると考えられます。》

 

言語レベルがその程度なら、計算なんてもっての他だよね。

 

《その解答はギュールとの会話にありました。曰く、実用計算のみは広く普及している模様。これは親から子へと伝えられたものです。》

 

(実用計算?)

 

《足し算、引き算等の、日常生活に用いる計算です。》

 

そんな、ユウと話しながら歩いていると、ドンッと何かとぶつかった。急いで意識を戻し、辺りを確認すると、アルテナの前面が水浸しになっていた…。

 

アルテナの前には小さな少女が尻もちをついた状況でいた。その横には水が入っていたであろう、桶が転がっている。アルテナは慌てて、少女に手を差し出す。

 

「大丈夫?ごめんね、気づかなかったよ…。」

 

「あ…、い…あ……。」

 

少女は手を取らずに、オドオドとしている。このまま離れるのは、心を苦しいしどうしようかと悩んでいると、少し離れたところから、少女の母親らしき人が走って来て、アルテナの前で平伏した。

 

「すみません!私をいかようにもして下さって構いませんので、娘だけは……!」

 

アルテナが意図することなく、勝手に話が進む。急展開には、これまでのコミユニケーション不足が祟り、ついていけない。

 

(ユウ!!)

 

《無欲では向こうが納得しないと推測します。換えの服を償いとしてもらい、家に案内してもらうことが一番有効と判断します。下手に離れると、この親子は日々を怯えながら過ごすでしょう。》

 

「そんなに怖がらないでください。換えの服が欲しいのですが、譲り願いませんか?そして着替えるために、家にお邪魔してもよろしいですか?」

 

アルテナの言葉に親子はにも無く、頷いた。アルテナの服を濡らした少女とその母親に連れられて彼らの家を訪れる。そこは二階のない平屋であった。

 

「どうぞこちらでお待ちください。」

 

少女の母親がアルテナを通したのは小さな小部屋であった。少女の母親は隣の部屋へと消えていった。アルテナは申し訳程度に置かれた、椅子に座りながら、替えの服を持ってきてもらうのを待つ事にした。

 

《上下水道未完備、電気及びガスなし。生活インフラと呼べるものは、水瓶と共用井戸…くらいでしょうか。》

 

(そんなところだね。この部屋にも、廊下にも、蝋燭たてがあったし、主流はロウソクなんだろうね。てゆうか、そもそも水瓶って生活インフラに入るの?絶対入らないでしょ。)

 

《……、誰か来ました。》

 

ユウには、上手いこと避けられたが、着替えを優先するべく部屋に招き入れた。

 

入ってきた母親から手渡されたものは、黒いハーフパンツに黒い半袖シャツ。あとは丈の長いポンチョであった。アルテナは母親に感謝を述べると、恐縮しながら母親は出て行った。アルテナは手早く着替える。ポンチョなんて初めて来たが、なかなかに気心地が良かった。

 

持ち物を移し終えると、部屋を出て元来た道を逆走する。するとテーブルの片側に少女と母親が座り、その向かいには一つだけ席が空いてあるのが、見えた。

 

素通りを試みたが、無理であり、大人しく座ることにした。

 

「この度は本当に申し訳ありませんでした。」

 

「本当にやめてください。僕の不注意だったのです。」

 

(これ以上は本当にやめて欲しい。幼い少女とその若い母親に揃って頭を下げられるのは、僕のメンタルヘルスに問題が発生しそうなのです。)

 

《心の中で思っても何もおこりませんよ?口にしないと伝わりません。》

 

ユウの助言もあってアルテナは素直な気持ちを伝えることにした。

 

「そんなに謝らないで下さい。こんなに良い服も頂けましたし。僕としては、この服を買い取らせて頂きたいくらいです。」

 

「滅相もございません!」

 

(なんか、会話成立してそうでしてないよね…。)

 

《話題を逸らしましょう。》

 

(例えば?そんな話題持ち合わせて無いよ?)

 

《お金を稼ぐ方法……とか?》

 

(元風貌が貴族がそれを聴くの?嫌みにならない?そもそもおかしくない?)

 

そういったものの、それ以上ユウからの助言がなく結局、お金の稼ぎ方をここで聴く羽目になってしまった。

 

「一つお聞きしたいことがあるのです。ここで軽くお金を稼ぐ方法ってありませんか?」

 

「それなら、教会に行ってみてはいかかでしょうか。あそこでは、仕事の斡旋を行なっていた筈です。」

 

「そうなのですか!」

 

何処にあるのかと尋ねると、少女が案内してくれることになったので母親に見送られ家を出た。

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