1球目 恋恋野球部愛好会発足
「ここが恋恋高校か・・・」
(今年で女子高から共学となった恋恋高校もちろん野球部なんかない。
しかしこの恋恋に野球をするためにオレは来たんだ。
なぜかって?有名校で頑張ってレギュラーになって甲子園出場・・・それもいい。
だけど、オレは自分が一から創り上げた野球部で強豪を倒して甲子園に出たいと考えたんだ。
歴史を一から創るんだ。
そう、オレは・・・!)
「・・・何をブツブツ言ってるでやんす?」
入学式当日、教室でこれからの夢に思いを馳せていたオレに同じクラスの大きなメガネが特徴的な男子が話しかけてきたようだ。
「わっ、びっくりした!・・・キミは・・?」
「オイラ矢部でやんす。」
「矢部くんか。オレはパワプロ。よろしく!」
「よろしくでやんす。」
「中学では何をやってたの?」
「野球をやってたでやんす。」
「え、キミも野球を!?でもなんで恋恋に?」
「女の子が多いという理由だけでえらんでしまって、野球部がないことは今日初めてしったでやんす。もう手遅れでやんす。」
「受験する前に調べておかなかったの!?」
「ついウッカリしてたでやんす。」
「矢部くん、キミって・・・」
「ぐすっ・・・でやんす。」
「ゴホン!でも、ぜんぜん遅くなんてないよ!矢部くん、一緒に来ないか?」
「え、どこへでやんすか?」
「なかったら創ればいいじゃないか。野球部を!」
「・・・パワプロくん。ムボーでやんす。」
「よし行くぞ!」
「え、どこにでやんす?」
「理事長のところだ。野球部を創るために。
恋恋高校野球部の歴史は、オレたちからはじまるんだ!」
「オイラ、まだ一緒にやると決めたわけでは・・」
「甲子園で優勝してプロ入りだ!」
「・・・この人、きいてないでやんす。」
「そして・・・」
「女の子にもモテモテでやんすか?」
「当り前さっ!」
「・・迷うでやんす。」
いきなり部を創りたいとたずねたオレを理事長は快く対応してくれた。
「ふー、疲れた。矢部くん、ついて来てくれてありがとう。」
「オイラ横で立っていただけでやんす。それにまだ野球をするとは一言も言ってないでやんす。」
「矢部くん、いい加減覚悟を決めたら?」
「・・でもさすが去年まで女子高だっただけあるでやんすね。カワイイ子がてんこもりでやんす!」
( どーん )
矢部くんは周りの女の子に見惚れながら歩いていたせいか前から何かを抱えて俯きながら歩いてきた子とぶつかってしまった。
「痛いでやんす!誰かにぶつかったでやんす!」
「いった~い!もうなんなのよ!」
( ぼかっ! )
「さらに痛いでやんす!暴力反対でやんす!」
「そっちが悪いから当然よ!」
「・・夢なら覚めて欲しいでやんす。こんなキョーボーな子が、名門女子高だったこの恋恋にいる訳ないでやんす!」
「まだ言うかこのメガネ!」
(あれ?抱えてる道具・・・)
「キミ、もしかして野球やってるのか?」
「そうだけど・・キミは?」
「オレはパワプロ。まさか野球経験者がこの恋恋に来てるとは思わなかったよ。それも女の子で・・。」
「え、キミ野球を?だってこの恋恋に野球部なんて・・」
「さっき理事長室に行って認可手続きを取ってきたところなんだ。といっても正式な野球部じゃなくてまだ愛好会認定だけど。」
「そうなんだ・・・」
「・・キミが経験者なら、一緒に野球やってくれないか?」
「・・・」
「頼むよ。一人でも多く人が必要なんだ!」
「・・・うん、いいよ」
「ほ、ほんと?」
「ボクは 早川 あおい 。ヨロシクね。」
緑色の髪をしていて二本にまとめたおさげとやや大きめのお尻が特徴的な女の子はどうやら早川あおいというらしい。
「ありがとう。こちらこそよろしく!」
「何もないところから創り上げた野球部で甲子園。壮大な夢でやんす。応援するでやんす!・・・じゃあサヨナラでやんす。」
「コラ!待ちなさい!」
「な、なんでやんすか!?」
「キミもすでに野球部員でしょ!経験者みたいだしね。」
「そんな、ゴーインでやんす!パワプロくん、助けるでやんす!」
「あおいちゃんに出会ったのが運の尽きだったね、矢部くん。いっしょに野球頑張ろう!」
「うう・・泣けるでやんす。オイラのバラ色の高校生活が・・女の子に囲まれているオイラが・・未来予想図が崩れ去っていくでやんす。」
「フフ、そうと決まれば行きましょうか!」
「ところでパワプロくん。」
新生愛好会のグラウンドへの道すがらあおいちゃんがきりだした。
「なに、あおいちゃん?」
「ボクは自分のレベルアップに集中したいし、キミが部の創始者なんだから、キャプテンはパワプロくんね!」
「オレがキャプテン・・・うん、頑張るよ!」
「グスッでやんす。せめてオイラもなにか肩書きが欲しいでやんす。」
「じゃあキミは掃除番長ね。頑張って!」
「そ、そんな肩書きいらないでやんす!」
「ははは・・・ところであおいちゃん、ポジションは?」
「ボク?ピッチャーだよ。」
「オイラは俊足巧打の外野手でやんす!」
「なに自画自賛してるのよ・・・」
「なるほど、オレはキャッチャーだからかぶらなかったね・・でもまだ3人しかいないからとりあえず部員を集めないとね。」
「そうね。ボクもクラスの男子あたってみる。でも共学になったばかりだし男子生徒少ないから・・人数たりるかなあ。」
「まあとにかく頑張るしかないよ。」
「・・・そうね、がんばりましょ!」
「やんすっ!」
桜が舞う春に、一人の野球少年が新たに恋恋野球愛好会を発足させた。めざすは甲子園!
だが、これから彼の率いる野球部に何が待ち受けているのだろうか。
ここに恋恋高校の最初の歴史が刻まれた。
恋恋高校編は熱く、悲しく、王道な今までに一番遊んだゲームともいえるかも知れません。