「今日も頑張って練習しなくちゃ。でもパワプロくんたちまだ来てないしストレッチでもしてようかな。」
6月の梅雨真っ盛りのジメジメしたやな天気が続く季節、ボクがグラウンドに着いたとき今日はまだ野球部員は誰もまだ来てなかった。
「ん・・あれは?・・ちょっとそこのアンタ!ここはアタシ達ソフト部の練習場所よ!」
「えっ?」
「なに勝手に入ってきてんのさ!」
グラウンドの対角の位置でソフト部が練習をしているのは知っていたけど、パワプロくんに詳しい境界線なんて聞いてなかったからどうやらここはソフト部の場所らしかった。
「・・・そうなの?」
「そうよっ!!」
「まあいいじゃない。そっちはまだ練習始まってないみたいだし、ちょっとくらい。」
「そのボールは・・・!そう、あなたが話題の野球少女早川あおいね。」
ボクは相手の赤いショートヘアーに白いハチマキをした女のことなんて知らなかったけど、どうやら向こうは僕を知ってるらしい。
「ボクのこと知ってるの?」
「・・・まあね。悪いことは言わないわ。女のアンタが野球なんて。今すぐやめたほうがいいわ。」
「何で初対面のキミにそんなこと言われなくちゃならないのよ!それに言われたところでやめるわけないでしょ!」
「そう言うだろうと思ったわ。」
「当り前よ!」
「それなら実力行使で行かせてもらうわ。」
「えっ?」
「アンタにこのボールが受けられる?試してあげるわっ!!」
( ビュッ )
赤い髪の女は足元に置いてあったボールを拾い上げると間髪入れずにボクの方に投げてきた。
とっさに左手にはめていたグラブで捕球したがそこまで距離があるわけでもないのにかなりの速さで投げられて、ますます頭にきた。
「何するのよ!危ないじゃない!!」
「なるほど・・・ね。」
「・・?」
「・・・今日はこのくらいにしておいてあげる。じゃあね。」
「何なのよいったい・・・」
「ごめん遅れて。」
「オイラの財布が見つからなくて、捜してたんでやんす。」
練習にみんなより遅れてグラウンドに来てみるとあおいちゃんはご機嫌斜めらしかった。
「んもう、遅いよ!!」
「ゴ、ゴメンでやんす!そんなに怒らなくても・・・」
「何かあったの?」
「聞いてよもう・・・」
あおいちゃんは少し前の出来事を少し興奮した面持ちで話し始めた。
「ふーん、そんなことが。」
「災難だったでやんすねー」
「名前は分からなかったの。頭にハチマキしてて・・・」
オレは心当たりがあった。
「・・その人なら多分ソフト部の 高木 幸子 さんじゃないかな。入部早々エースで4番のスゴイ子がいるって聞いたことが・・・」
「へぇ・・そうなの?すごい剣幕だったんだけど。」
「野球を何らかの理由で敵視してるとか・・?」
「・・・まさかあ。そんなことないでしょ。」
「・・でやんすね。」
「まあそれはさておいて、さあ練習練習!」
「そうね、エンジン全開で行くよっ!!」
「やんすっ!」
「よし!みんな練習開始だ!!」
「「オー」」
そしてオレ達は遠い来る日の試合に向けて今日も練習を始めた。