梅雨が終わり本格的な夏が始まった7月中旬のもう残す学校行事は終業式を残すのみというころ、オレ達の高校抜きで夏の予選大会は始まっていた。早く試合がしたいぞ。だけど、嘆いてばかりもいられない。今のオレ達では大会に出れたとしても直ぐに負けてしまうのは分かっているので、今日も練習頑張るぞ。
そんな決心をしながら高校のグラウンドへと歩いていると目の前の木陰に見知った人物が寝ていた。
「あれは・・・はるかちゃん!?・・おい、大丈夫か!?」
「う、うーん・・・あれ、ここは?」
「大丈夫?」
「わ、私また・・・すみませんでした。」
そういえば、自己紹介の時にも体が弱いと言っていた覚えがある。それに、またというからには何度かこういうことがあったのだろう。
「びっくりしたよ。」
「本当にご迷惑をお掛けしました。」
「何だか心配だ・・・保健室まで送って行ってあげるよ。」
このままはるかちゃんを炎天下の中にさらすわけにもいかない。
「え、でも・・・パワプロさんに悪いですし・・」
「いいから!」
「あ、ありがとうございます。」
「どーいたしまして。」
「何かお礼をしなくては・・そうだ。今度私の家で食事でもどうですか?」
「え・・悪いよ、そんな。」
「どうでしょうか?」
オレとしては保健室まで同行するだけでお礼もどうかと思ったが、はるかちゃんの意思は固そうに見えたので提案を快く受け入れることにした。
「うーん・・じゃあお言葉に甘えようかな!」
ほっとしたような表情ではるかちゃんは言う。
「良かった。では来られる日が決まったら連絡してください。」
「うん。わかった。」
その後、保健室までいって保険の美人な加藤先生に任せてオレは練習に向かった。
そして後日、はるかちゃんの家で豪華ディナーをごちそうになった。ちなみにはるかちゃんの家は信じられないほどでかかった。
「パワプロくん、強化合宿に行くでやんす!」
夏の予選はあかつき大付属が制することに決まった8月はじめに、練習前のミーティングで矢部くんから突然の提案があった。
「きゅ、急にどうしたの、矢部くん!?」
「今のままでは勝てないでやんす。レベルアップと言えば合宿でやんす!さらにチームのみんなと親交を深める意味でも必要でやんす!」
毎日の練習のおかげでみんな着実にうまくなっているとはいえ、たしかにまだまだ練習が足りないことは実感していたし、目標の定めにくいオレ達には合宿というイベントは確かにいい刺激にもなる気はする。
「たしかに、言うことには一理あるなあ。」
「いいわね、それ。たまには環境を変えるのもいいと思うわよ。」
「いいねえー合宿。」「してーなー。」
あおいちゃんも他のみんなも賛成みたいだ。
「みんながそんなに言うなら・・・夏休みでちょうどいいし、行こう合宿に!」
「「おー!」」
「それも、今すぐに!」
やると決まったら善は急げだ。
「おー!!・・・って、えっでやんす・・!?」
それからのオレ達の行動は早かった今日の練習は一旦中止し、明日直ぐに始められるように何とかみんなで手分けして旅費とグラウンドと寝床をおさえて合宿は開催せれることになった。
「みんな、合宿所についたぞー!」
「び、びっくりでやんす!いくらなんでも突然すぎるでやんす!」
「ま、いいんじゃない。来ちゃったものはしょうがないし。」
未だ困惑気味な矢部くんと違い、あおいちゃんはウキウキとした顔でそう言った。
「そーそー、コマカイことは気にするなよ矢部くん。」
「もうヤケクソでやんす!しばらくここでがんばるでやんす!!」
「みんな、がんばろー!」
「「おー!!」」
そして、夏休みの終わりまでオレ達は合宿を行った!