今日は秋の大会の日。夏休みから1月がたった頃だ。みんな夏の終わりの練習試合では辛く悔しい思いをしたが真面目に、むしろ甘く考えていたところを反省して今まで以上に頑張って練習をしているようにオレには感じる。
しかし、オレ達はまだ大会には出場できない。
まだ部員も実力も足りないのは分かっている、それでも早く試合がしたいぞ!
「ところで矢部くんあおいちゃんは?」
「着替え中でやんす」
「更衣室は兼用だからねえ。」
理事長からはたまたま開いていた残り1つの部室を割り当ててもらったが、さすがに何の実績もない愛好会にさけるスペースはそれほどないみたいだ。
「まあそこの部分はしょうがないでやんすね・・・」
「そうだね。いきなり部室がもらえただけでも良しとしなきゃ。」
「・・・・・・」
「矢部くん、何を考えているのかな?」
「な、なんでもないでやんす!言いがかりはよしてほしいでやんす!」
矢部くんはかなり分かりやすくうろたえている。
「何をそんなに焦ってるの?」
「の、のぞくなんてとんでもないでやんす!後が怖いでやんすから!」
「コラ、聞こえてたわよ!」
あおいちゃんが少し遠くから駆け足で向かってきていた。
「に、逃げるでやんす。」
「あっ、矢部くん!」
「もう、エッチなんだから!」
「ははは、練習始めようか!」
「・・・そうね!」
「練習やっと終わったね。」
秋は夏に比べると涼しくはなっているけどまだまだ体を動かすとしんどいけど日の入りはかなり早くなっているのを感じる。
「今日も頑張ったでやんす。」
「あれ・・・ボールが片付いてないぞ。」
着替えも終わって帰ろうかという時にグラウンドを見てみるとボールが一杯に入ったかごが一つ残されているのに気付いた。
「ほんとうでやんす。」
ボールは練習場所の近くには保管場所はないので、毎回割り当てられた部室に直しているのだが少し距離があるのでクタクタな状態でもっていくのは大変だ。
「・・・、矢部くん、まかせた!」
「パワプロくんこそ、どうぞでやんす。」
「・・・じゃあ。」
「ジャンケンで勝負でやんす!」
「よし、望むところだ!」
「最初はグーで行くでやんすよ。」
「オッケー、最初はグー!ジャンケン・・・」
(ふっ、矢部くん残念だったね。オレのポジションはキャッチャー。普段から人の仕草をつぶさに観察している男だ。矢部くんの癖だって気付いているさ。だからここで出すべきは・・・)
「ほーい!」
「勝ったでやんす。じゃあパワプロくん、あとかたづけはよろしくでやんす!さよならでやんす!」
「はーい・・・」
まあオレはキャプテンで責任者だからね。勝っても部室を開けに行かなきゃ行けないからこれで良かったよね?