見覚えのある天井。カーテンから漏れる朝日。まだ意識がはっきりとしませんが、布団から出て背伸びをします。
「……何か悪い夢を見ていた気がします」
昨日の夜は何がありましたっけ…?とてつもなく悪い出来事があったような………
その時、枕元に置いていたスマホがブルブル震えました。
誰かからメールがきたのかなと思い、メールを確認してみました。
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ヨーソロー♪
おはよー☆バンホーテンちゃん(^∇^)
早く食堂に来ないと
あなたの鳩尾にパンパカパーンチ(*≧∀≦*)
愛宕ちゃんより♥
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…………夢じゃなかったみたいです。
「あっ!おっはよぉ~~☆☆大和ちゃん♪」
食堂に着くと愛宕さんがブンブンと手を振り、私を呼んでいました。
周りを見るとちらほらと何人かの艦娘がいます。
あぁ、そういえばみんながいる前ではネコ被ってるって言ってましたね。
誰かがいる時だったら少なくとも昨日みたいな怖い愛宕さんに戻ることはありませんね。
そう思いながら愛宕さんの隣に座った時、ちょうど食堂に入ってきた陸奥さんが声をかけてきました。
「あらおはようお二人さん、昨日はどうだった?」
「あ…おはようございます……昨日はヅア゛ッ!!!」
答えようとした時、愛宕さんに足を踏まれました。つま先をグリグリと踏まないでください。地味にすっごく痛いです。
「アッハハ!大和ちゃん変なあくび~~☆☆昨日はねぇ~♪私の部屋で大和ちゃんと2人で女子会してたんだぁ~☆」
「あら、そうなの?何か大事な話があったかと思ってたわ」
「大事なお話だよぉ~~(≧◇≦)おかげで重要な情報を入手出来たのであります陸奥隊長!」
「へぇ~、なになに?」
「大和ちゃんの本名って、ここあちゃんっていうんだって!かわいいでしょ~~♪」
「ふふふ、そうなのね。2人が仲良くなっててお姉さん嬉しいわ」
いや、仲良くないです。脅されてる関係です。
そんなことは口が裂けても言えないまま、談笑する愛宕さんと陸奥さんを尻目に私は頼んだ朝食セットをもくもくと食べ進めていました。
「バンホーテンちゃんよぉ、お前明日からの土日予定ある?」
出撃任務を終えて鎮守府に帰還した時に愛宕さんに声を掛けられました。
周りには私たち以外誰もいないので、怖い愛宕さんモードになっていました。
「えっ、いえ、何もないです」
「そーかそーか、んじゃアタシが遊びに連れてってやるよ。どうせこの近辺に何があるか分かってねえだろ?」
機嫌が良いのでしょうか、カラカラと笑う愛宕さん。
確かに鎮守府があるこの土地は初めてでこのような申し出は本来嬉しいのですが、愛宕さんが相手だと不安と言いますか………
「……オイ、何か失礼なこと考えてんだろ?」
「いっ!?いいいいいいいいえ!!!そんな滅相もありません!!!!」
「ふーん、じゃあアタシと遊びに行くぞ、返事は?」
「はいっ!!喜んで!!!」
「それじゃあドックから出たらアタシの部屋まで来い。あと泊りがけになるからいくつかの着替えと足の艤装、そして私服着て来い」
それだけ言って愛宕さんは先に行っちゃいました。着替えは分かるのですが、何で艤装も…?それも足の部分だけって………
準備を済ませた私が愛宕さんの部屋まで来ると、同じく私服に着替えた愛宕さんが部屋の前にいました。女の子らしいかわいい格好でしたので不覚にもドキッとしました。中身があんなのじゃなかったら素敵な休日になりそうなんだけどなぁ、と叶わぬことを思っていると愛宕さんに手を引かれどこかに連れていかれました。
「あの…どこに行くんですか?」
「あ?司令室だよ。あのクソに外出許可もらいにいくんだよ」
いや、無理でしょ。鎮守府の規律についてあまり詳しくありませんが、上官に対して私服って絶対許可おりませんよ。でも提督とと愛宕さんの喧嘩を見ちゃってるんですよね、下手したら私の目の前で喧嘩が勃発しそうで怖いです…。
そうこう思ってる内に司令室に着いてしまいました。
「提督ー!愛宕ですー!入っていーですかぁー!」
ドアをゴンゴン叩く愛宕さん。そんなに強く叩いたらドア壊れちゃいますよぉ…。
「………どうぞ」
しばらくの沈黙の後に中から提督さんの声が聞こえました。それと同時に愛宕さんに手を引っ張られ司令室の中に入りました。
司令室には執務作業をしている結城提督と秘書艦補佐の大淀さんがいました。特に大淀さんは私服の私達を見ると目を見開いていました。
「あっ、あな、あなた達!!なんて格好で司令室に入ってきてるんですか!?愛宕はまだしも大和まで!!」
「えー、もう今日のお仕事終わらせてるからいいでしょケチー」
「そういう問題じゃない!!!」
プクー、と頬を膨らませる愛宕さんに対して、カンカンに怒っている大淀さん。普通はそうなりますよ……
「まぁまぁ落ち着いて大淀さん。愛宕さんのこれは今に始まったことではありませんから。愛宕さん、今回も外出許可でしょう?許可を出す前に一つ聞きたいことがあります」
「なんですかー?」
「………大和さんをどこに連れて行くおつもりですか?」
そう言って愛宕さんを見つめる提督さんの顔はいつもの優しい笑顔ではありませんでした。いや、睨みつけるという表現が正しいでしょう。言葉は丁寧ですが、声も低くなっており、とっても怖いです。
「……大和ちゃんにこの周辺を案内しようと思っててぇ。この娘ここに来たばかりだから案内がてら一緒に遊びに行くぞー!ってね♪」
「……大和さん、それは本当ですか?」
「えっ…あっ……はい、そうです…」
急に提督さんに振られて思わず私はそうだと答えてしまいました。でも、もしいいえなんて答えてたら後で愛宕さんにどんな目にあわされるか分かりません。提督さんは「そうですか…」と何やら考え込んでますし、大淀さんは提督さんの雰囲気が急に変わったせいか涙目でオドオドしています。大淀さん、気持ちは痛いほど分かります。
「……愛宕さん、期間はいつまでを想定してしていますか」
「んーと、泊まりがけなんで日曜の夜には帰ってくるつもりでーす」
「そうですか………くれぐれも羽目を外し過ぎないように」
「はいはーい!分かってまーす!行こっ、大和ちゃん♪」
「えっ、ちょっ!?」
有無を言わさず愛宕さんに引っ張られ、司令室から出されました。
鎮守府を出てから愛宕さんに行き先を訪ねても「来れば分かる」としか答えてくれませんでした。
しかしこの時の私はよく考えるべきでした。
なぜ愛宕さんは着替えと一緒に艤装も持ってくるように言ったのか。
そして愛宕さんに酷い目に合わされることになっても提督さんの質問に対して、いいえ、と答えるべきでした。
でなければ『
次回、休日編です。
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