桜の咲く頃   作:coltysolty

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伝える術(すべ)がない時
どうしたらいいんだろう・・・


生きるということ

「おい、大丈夫なのか?」

 

日南田の声に力が入る。

 

「うん、ひなてぃありがとう。

大丈夫だよ。みんなもありがとね」

 

李衣紗は病室にいる友人たちに

笑顔で応えた。

 

「びっくりしたんだぞ。

何事かと思ったよ」

 

まだ息が荒い日南田に

圭太がたしなめる。

 

「おい、俺も地声大きいけど

おまえ、ここ病室だからな。

もう少し小さい声で話せ」

 

「そういう誰かさんは

興奮して病院名も聞かずに

走りだそうとしてたけどなぁ~」

 

行成が呆れたように軽くグーで

圭太の腕を押す。

 

「いや、そりゃ心配するだろ。

永斗と行成、お前たちが冷静すぎるっての」

 

日南田は鼻息荒く

永斗と行成を交互に見ながら責め立てる。

 

「おまえは、ほんと直観野郎だよな・・・

それがよくもあり、欠点でもあり・・」

 

行成が苦笑いする。

 

「あ、ゆっきー、ちょっと話あんだけど

いいか?みんなはここに居てくれ。

あと、戻ってくる。帰りは一緒に

帰ろうや。飯、食べて帰ろうぜ」

 

日南田は行成を伴って、自販機前の休憩所に向かった。

自販機からコーラを2本買い、一つを行成に渡しながら

話始める日南田。

 

「なあ、真凛音まだ怒ってるか?」

 

コーラのプルトップを引きながら日南田が

ため息をつく。

 

「ん・・・あいつ、頑固だからなぁ・・・

バカにされたって、思ってんだろうな・・・

お前がさぐり入れて、お前がどのぐらいやってるかとか

チェックしにきたと思ってんだよ。」

 

「そこなんだよな・・・おれ、マジでガチで

マリオーがすげぇから、すげぇって褒めたかっただけなんだよ。

でもさ、俺が直接褒めても信ぴょう性ねぇと思って

匿名で褒めてたんだけどさ・・・」

 

「そこじゃねぇかな。

おまえ、そうやって飄々となんでも

軽々やっちゃうだろ?あいつはお前に憧れてんだよ。

 

監督にあんだけボッコボコにされても、どこ吹く風って

余裕ぶっこいてるし。メンタル強えぇな・・・って

 

しかも前にゲーム一緒にやったとき、おまえ初めてやったのに

真凛音追い抜いただろ?それが悔しくて仕方なかったんだよ」

 

「いや、あれたまたまな。ほんと、たまたま

なんも考えてねーからさ。俺。」

 

「真凛音は努力して努力してって、あそこまで行ったから

ひょうひょうとなんでもこなすお前のこと、すげぇなって

そんなお前が匿名でフォローしてたってことが

 

むちゃくちゃ腹立ったんだろうな。それはオレもわかるわ。

お前のその精神力どこからくんだ?って思うときあるよ」

 

「だってさ、くよくよしたって、腹は減るんだぜ?

飯くわねぇことには生きていけねぇだろ。

 

ただ、俺にとって友達も飯と同じぐらい大事なんだよ。

飯は腹を満たしてくれるけど、友達は心を満たしてくれるんだよ。

 

真凛音みてぇに一生懸命がんばってるの見ると

元気になんだよ。オレにはあれ、できねぇし。すげぇなあ

小学生のくせに・・・って。

 

でも、正面切って言ったって、まともに受け止めてもらえねぇだろ

だから名乗らなかっただけで・・・

 

名乗ってもよかったけど、本当の心を伝えたかったんだよ

 

誤解されちまったけどな・・・」

 

「まぁ、弟もまだ発達中だからさ、今にお前の気持ちが

わかる時がくると思うから、それまで待ってくんねぇか?」

 

「え?もちろんだぜ。お前の弟だけど、俺にとっても弟と

同じだからな。また一緒にゲームやりてぇんだよ・・・

まじで攻略法とか聞きてぇし。

 

あいつがケタケタ笑ってるとき、かわいくて仕方ねえんだ。

オレ、めっちゃ癒されてんだって。

そんなん恥ずかしくて言えねえだろ。

 

女子じゃねぇし。いや、俺が女子でも言えねぇな・・・」

 

「俺はそういうお前が嫌いじゃないぞ。俺の弟達を大事に思ってくれて

ほんと感謝してる」

 

「達・・・そういえば、羽音琉も前に怒らせたこと

あったな・・・なんか、今回もそれと似てるかも・・・

 

ほんと、オレって学習しねぇよな」

 

「そういうあっけらかんとした天真爛漫さが

弟達の羨望の的でもあり、時にジェラられて、怒りを買ったり

すんだよな~

 

あ、悪く思うなよ。お前が悪いんじゃなくて、弟たちが

まだまだジュニアだってことだよ。」

 

「そういう一生懸命なとこ、あいつらかわいいよな」

 

「ああ。成人したらみんなで飲みあかそうぜ。

ぜってーーー楽しいよな」

 

「ああ、その頃はオレらにも彼女とかできてんだろーな。

あ、でも、とりあえず女抜きで盛り上がろうな」

 

「だな。男同士ってのは、こう、なんとも言えねえ

結託力があるからな」

 

「そろそろ戻るか。おれ、ほんともう腹ペコ。

かーちゃんに小遣いもらったから、今日はオレ奢るよ。

みんなに」

 

「おおおおお!いいねえ。じゃ、李衣紗の顔おがんで

みんなで飯食いにいこうぜ」

 

 

 

日南田自身も心に深い傷を負っているだけに

他人に人一倍思いやりがあるということを

まだ幼い弟たちは気づいていないのだった。

 




伝えたい思いが
間違って届いたら・・・

荷物ならごめんなさいで替えを調達すれば済むけど
心の代わりはないからね・・・


がんばれ日南田!
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