という状況のなか、またまた番外編で大変申し訳ございません。
本編は後程、話の展開がある予定(未定)です。
休日の午後、凛々子はお気に入りのカフェで
新しく入った仕事の原稿をながめていた。
ふと、窓際を眺めると壁際に置かれたブックシェルフに
印象的な表紙の絵本があった。
「洞窟物語」
凛々子は手に取って、表紙をあけた。
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少年サミーは長い間、洞窟にいた。洞窟の中は暗くて
湿っぽくて、ひんやりと冷たい。外敵から身を守ることはできるが
体はいつも冷たく、硬くなっていた。
あるとき、雷が轟き大雨が降った。サミーは不安になり洞窟の
外を眺めようとしたが、雨足が強すぎて洞窟の外に出ようものなら
そのまま吹き飛ばされてしまいそうな強風が吹き荒れていた。
サミーは洞窟の奥深くに入り込み、雷雨から身を守った。
3日間振り続けた雨は止み、外は静かになった。
外の様子を伺おうと、穴から外を覗こうとした瞬間
眩い光が差し込んだ。
ずっと暗い中にいたサミーは、光を直視できず
思わず目を閉じ両腕で顔を覆った。
「サミー、怖がらないで。ゆっくり目をあけてごらん」
外の方から穏やかな声が聞こえた。
「誰だ!お前はだれなんだ!」
サミーは叫んだ。
「サミー、怖がらなくていいんだよ。ゆっくり目をあけながら
外にでてごらん。外にはやわらかい草原やきれいな山があって
大空を羽ばたく鳥やかわいい蝶々が飛んでいるよ。
楽しいことがたくさん待っているんだよ。」
声の主はささやいた。
「うそだ!てか、だれだおまえ!僕をだまそうとしているんだろ!」
サミーは目をつぶったまま叫んだ。
「私は南の方から遣わされたティダ。
オキナワの太陽っていう意味があるのよ。
人間は太陽をあびないと、心と体がカビだらけになって、
やがて朽ち果ててしまうのよ。
朽ち落ちた魂は、よみがえることができずに
この世をさまよわなければいけないの。
太陽を浴びて、きれいな空気を吸って、体を鍛えたら
心も体もカビが生えずに、きれいで頑丈になるの。
泥を浴びても勝手に流れていくのよ。今のままでは
泥をそのまま吸ってしまう。
サミー。あなたは選ばれた人なの。
せっかくの繊細な感覚と優れた頭脳を持ちながら
怖がりのせいで、ずっとこの洞窟から出られない。
怖がるのは頭がいいからなのね。きっとこうなってしまうだろう
こうなったらどうしようって考えてしまうのね。
でも、もったいないの。あなたほどの人は
外にでて、鳥や動物たちを導いてあげられるのよ。
小さい動物を助けて、猛獣たちから守り
大きい動物たちとも仲良くなれる才能を持っているのよ。
私は神様から遣わされて、あなたを外に出すように
言われてきたの。
はじめはきっと怖いでしょう。目も暗がりの中にいたから
慣れていないわね。光を直視したら、めまいがして
倒れてしまうでしょう。
だからね、ほら、この帽子をかぶって。
大きなツバが強い光から守ってくれるし
知恵を授けてくれるわ。
困ったときは、私があなたに防御のベストの替えを
持ってくるわ。
そして、語りましょう。こんなことがあった。
こんなことをしてみた。次はどうだろう。
これはいいかな、どうかな。
私が持っている森の図鑑をみながら、この山をきれいにしていく
方法を一緒に考えていきましょう。
そうすれば、あなたも動物たちも自然も幸せになるわ。
あなたは、この洞窟の中にいつづけていい人じゃない。
使命があるの。
さあ、この手をつかんで」
サミーはおそるおそる目をあけて、差し出された手をつかんだ。
まるで子供のように小さな手だったが、人間のぬくもりが
感じられた。
サミーはまだ見ぬ世界に不安を感じていたが、一歩踏み出した
その世界はまるで天国のようだった。
今までみたことのない色合いで彩られ
あたたかできれいな空気が広がっていた。
サミーはティダといっしょに野原をかけまわって
鳥や蝶々と戯れた。
やがてサミーはその山の主となって
未来永劫その山をティダと一緒に守り続けたそうだ。
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「お待たせしました。ドリップコーヒーと
アップルデニッシュですね。ご注文のおしなはおそろいですか?」
店員がテーブルにコーヒーとケーキの皿を置きながら
凛々子に話しかけた。
「ええ、ありがとう。ところで、この絵本
前からあったのかしら?」
凛々子は手にしていた絵本を、店員に差し出した。
「あ、この本ですか?先日、ある少年が
寄付してくれたんです。これから入院するから
読めなくなるので、ここにおいて誰かに読んでほしいって」
「そうなのね・・・きっと心のやさしい子なのね」
凛々子は窓の外を眺めながら、絵本の持ち主の姿を
思い浮かべていた。
暖冬ですが、インフルは猛威をふるっているようです。
皆様、くれぐれもお気をつけください。