桜の咲く頃   作:coltysolty

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暗示にかかると、そのような心持になれるのが
不思議です。


だいじょうぶだいじょうぶ

「圭太、今日はありがとう」

 

「あ?礼とかいらねーし。

じーちゃんに会いたかったのは、オレだしな」

 

李衣紗は目に涙をためて、圭太を見つめた。

 

「圭太って、どんだけやさしいの?」

 

「は?別にやさしくねーから。

じーちゃんは、俺が幼稚園のときに、ぶっころんで

足から血ぃ流した時に、速攻で消毒してくれて

 

泣きわめいてた、俺の背中をさすりながら

 

『だいじょうぶ、だいじょうぶ』

 

って、言ってくれたんだ。

 

そしたら、不思議と足の痛みが消えて、血も止まったんだ。

じーちゃん、魔術師かと思ったよ。

 

オレの尊敬するじーちゃんが、手術して苦しんでんなら

黙ってられるわけねーだろ

 

今度はオレが『じーちゃん、大丈夫だ!』って

励ます番だから」

 

「圭太!!!ありがとう!」

 

照れ隠しに悪ぶる圭太に思わず李衣紗が駆け寄っって

抱き着いた。

 

真っ赤になる圭太。涙を流しながら、ぎゅっと圭太を抱きしめる李衣紗。

 

しばらく時が止まった。

 

 

 

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

「日南田パス!」

 

行成が叫ぶ。

 

「おう!行成決めろ!」

 

俊足を生かした行成がゴール下に回り込み

シュートを決める。

 

「ナイッシューー!!!」

 

監督も手をたたいて喜んだ。

 

 

「一旦休憩!給水タイム」

 

 

日南田が女性マネージャーの凛々子の横に座る。

 

「ねえ、凛々ちゃん。墓参り行くの?

とうちゃん、今日出張から帰ってくるから

乗せてくよ?」

 

「日南田ありがとね。大丈夫だよ。にいちゃん帰ってきてるから

送ってもらえるんだ」

 

 

 

 

凛々子の足にはボルトが入っているため

運転免許を持っていない。車で移動するときは、誰かに乗せてもらっていた。

 

凛々子は数年前に交通事故に遭い瀕死の重傷を負った。

その時運転していたのは、凛々子の婚約者で、運転していた彼は

即死だった。

 

退院してからの凛々子は、体は回復しているものの

精神的ショックが大きすぎて、口をきくことができなかった。

7年経った今やっと、人とコミュニケーションをとれるまでに回復した。

 

日南田が小学生のとき、母親が務める病院で

凛々子と出会った。その時の凛々子は今とは別人で

まるで魂が入っていない、人形のような表情のまま

ベッドに横たわっていた。

 

 

 

 

 

「おねえちゃん。これ、あげる」

 

小学校低学年だった日南田は、目を開けたまま動かない凛々子に

ハムスターのぬいぐるみを差し出した。

 

すると、凛々子が少し反応した。

 

「タカシ・・・・?」

 

凛々子の婚約者の貴司は鼠年だったので、誕生日に

凛々子がハムスターのぬいぐるみをプレゼントしたことがあった。

 

「おねえちゃん。これあげるから、元気になってね」

 

日南田のきらきらした瞳から放たれた光が

凛々子の魂に息を吹き込んだかのように、心動かされ、

事故後初めて言葉を発した。

 

「坊や、ありがとうね。名前は?」

 

「ひなた!」

 

「ひなた、君・・・元気だね。おねえさんも

がんばって、元気になるね」

 

「うん。あとね、これもあげる。ないしょだよ!」

 

といって、日南田はポケットから、溶けかかったチョコレートを

差し出した。

 

凛々子はそれを受け取ると、微笑みながら

 

「ひなた君のおやつ、へらしちゃったね。

でも、とってもうれしい。これ食べて、モリモリ元気になるからね」

 

「うん。これ、すごくおいしいから

今度また持ってきてあげるね!」

 

「ひなた君、入院してるの?」

 

「ううん、かーさんが、ここのかんごしさん」

 

「そうなんだ・・・うえのおなまえは?」

 

「かすかべ。これ」

 

と言いながら、春日部日南田と書かれた名札を見せる。

 

「かすかべ、ひなたくん、ありがとう。また

会えたらうれしいな。おかあさんのところにきたら、

寄ってみてね」

 

「うん!じゃね、ばいばーい」

 

 

凛々子の担当看護師だった日南田の母は

息子とよく遊んでくれた凛々子に大変好意的だった。

 

退院後もやりとりがあったため、日南田の母が、息子の高校への

非常勤講師の職を推薦した。

 

凛々子は数学の非常勤講師をしながら、部活のマネージャーも

引き受けたのだった。

 

 

 

 

「じゃ、凛々たん、またあちたね~愛してるよ~!!!」

 

いつも、ふざけて凛々子をからかいながら

愛情表現する日南田を、凛々子は実の弟のようにかわいがっていた。

 

 

 

 

 

「おい、日南田、終わったらフォーティーワン行くぞ」

 

汗だくになった行成が、日南田に声をかける。

 

「あーーーーー、今日は、パス」

 

日南田の歯切れが悪い。

 

「めっずらしいな!おまえが断るなんて!アイスだぞアイス?

あした、雹でも降るんか?」

 

「んーーー、そうかもな~

おれ、ちょっと行くとこあるから」

 

「ふん・・・・圭太もお前も、挙動不審だな。

まあ、いいや。永斗ん家の近くだから、連絡してみよっと

いくらなんでも、飯食ってその後のカラオケも終わってるだろ。」

 

行成は、時間を確認すると、携帯から永斗に

文字メッセージを送った。

 

 

行成と別れた日南田は

母と一緒に、凛々子の婚約者の墓参りに向かっていた。

 




~キャラ紹介~

李衣紗(りいさ)・・進撃のミカサっぽい顔と髪形。賢くて優しくて、無邪気。
圭太(けいた)・・・小柄でたくましい七大のメリオダスのような少年
日南田(ひなた)・・ハイキューの日向のように根性があって、ヒロアカの緑谷ともかぶる
永斗(ながと)・・・外見はハイキューの月島っぽい。眼鏡をかけている。
行成(ゆきなり)・・ハイキューの影山かな?
璃乃(りの)の・・・転スラのリムルを冷たくしたかんじ
凛々子・・・・・・・東京グールの董香ちゃんを天然系にしたかんじ




急に暑くなりましたね~。運動会日和です。
熱中症に気を付けましょう!!
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