桜の咲く頃   作:coltysolty

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言葉を紡ぎたい


紡ぐ

「ねえ、おかあさん。今から墓参り行くの?

こんな遅くに?」

 

「こんな夜遅くにお墓参り行くわけないでしょ。

墓地から遠くないところに温泉があるから

そこに1泊して、それからお墓に向かうんだよ。」

 

「なーんだ!そっかー!!

 

って・・・お泊りセット持ってきてないよ?」

 

「ユニフォーム着たまま寝ちゃう子に

着替えなど必要ないでしょ。

 

タオルとかはあっちにあるし」

 

「えーーーーー!ひどい、かあ様・・・

この汗だくのあたくしを、汗臭いユニフォームを着たままで

凛々ちゃまの彼氏さんに会わせるのかぁああああ」

 

「ま、たしかにね。臭いのは私もかなわない。

後ろにTシャツと短パンあるから、それ着てな」

 

「お?かーちゃんさすが!着替えもってきてんじゃーん」

 

「あたりまえでしょ。お前の母親だよ?」

 

「いや、だからまんまにされちゃうのかと・・・」

 

「そんなことしたら、まわりからひとでなし母って

言われるわい!」

 

「そんなこと言われませんよ~偉大な母様」

 

 

そんなやり取りをしながら、郊外にある

温泉地へと車を走らせる春日部親子だった。

 

 

凛々子が退院してすぐに、墓参りに行きたいと言ったため

日南田の母が、凛々子を連れて墓参りをしたことがあった。

 

そこで、その温泉をみつけ、いつかまた訪れたいと

思っていた日南田の母だった。

 

翌朝、早めに旅館を出て、墓に向かった。

 

「息子よ。みてこらん。きれいだねー。丘の上から海が見えるんだね。

凛々ちゃん彼氏さんは、いつもここから海を眺めて

いるのか・・・」

 

「あれ、散骨したんじゃなかったの?」

 

「聞いた話では、半分は散骨して、残りはここに

納めたらしいよ。墓参りしたい人もいるだろうから」

 

「そうなんだ・・・・あの、彼氏さん!

僕が凛々ちゃんを幸せにしますから、安心して

寝ちゃってくださいよ!」

 

ボカッ!いきなり頭を殴られる日南田。

 

「いてっ!!!!かーちゃん、ひでえ!」

 

「バカなこと言ってんじゃないよ。

凛々ちゃんには、信(まこと)を紹介しようと

思ってんだから。あいつなら、きっと凛々ちゃんを

幸せにしてあげられる。

 

ただ、今はまだ様子をみて、凛々ちゃんが落ち着いたら

合わせようかなーて計画してんだから!」

 

「まことさん・・・・って?

・・・あああ!かーちゃんのいとことか言う人?

オレ、会ったことないよね」

 

「あるよ。おまえが保育所のときに

アイスの塊買ってきてくれたでしょ?

 

お前、喜んで食らいついて、口の周り

チョコだらけで真っ黒になって、ひなっくま~って、笑われたんだよ」

 

「・・・・・それって、記憶にないけど

それのときの様子を表した、画像をPCで見た気がする・・・」

 

「はっはっは!それそれ。そのおじさん。

彼なら、凛々ちゃんとお似合いだからさ」

 

「ふぅーん・・・・まあ、背が高くて

うちの先輩の剛君に似てる、やさしそうな人ね。

 

じゃ、その先輩が凛々ちゃんに振られたら

俺が立候補すっかなー」

 

 

 

ぼすっ!

今度は、背後からひざかっくんされた日南田。

 

 

「バカも休み休みお言い。

とにかく、お盆が終わって、秋ごろ

バーベキューピクニックを計画してるから

そのつもりで。

 

みんな誘って楽しく過ごす。未成年はタダだけど

大人からは会費徴収します」

 

「みんなって・・・行成とか圭太のこと?」

 

「ああ、圭太も李衣紗も、ユッキーも

いつものメンツに声かけといて」

 

「・・・・・おれ、璃乃やなんだけど?」

 

「なに言ってんの?ひとりだけ省くとか

ないからね。全員に声かけるの。ぜ・ん・い・ん!」

 

「凛々ちゃんだけでいいのに・・・・」

 

墓の前で騒がしくしていると、誰かが春日部親子に近づいてきた。

 

「あれ・・・・ひな・・・た君?」

 

その女性の声に聞き覚えがあったので

すかさずふりむくと、そこに立っていたのは

オフホワイトのワンピースを身にまとった

凛々子だった。

 

「あーーーーーー!!!凛々ちゃーん!!!!」

 

走って抱き着こうとした日南田の後ろ首をつかんで

もう一度平手打ちをくらった日南田。

 

「凛々ちゃん、ごめんねー!うちのバカ息子

高校生になっても、バカ丸出しで!」

 

「春日部さん!親子で来てくれたのね!

嬉しい!貴司も喜んでいるよ!」

 

母にどつかれてもめげずに前にでて

しゃべる日南田。

 

「おにいさんにさ、オレが後を継いであげますから

心配しないで!って言ってたところだよ!」

 

「ふふふ・・・!ひなたろう、相変わらずかわいいなあ~。

クラブでも一生懸命ドリブルの練習とかしててさ

そういう健気なところも、めっちゃかわいいね」

 

「かわいいとかやだ!俺は、かっこいいんだ!」

 

「はいはい、かっこいいかっこいい」

 

「凛々ちゃん、ごめんねー。私たちうるさくて。

せっかく墓参りにきたんだから、二人にしてあげないとね。

ほら、日南田いくよ!」

 

「あら、そんなことないのよ!大勢の方がうれしいから。

よかったら、一緒にご飯食べませんか?

 

彼の同級生がイタリアンレストラン経営してるの。

今日、そこに行く予定だったから、一緒に行きましょう?」

 

「ふぉ~!!!!イタリア~ん!!行く行く!」

 

「おまえが勝手に決めない! 凛々ちゃん、いいの?」

 

「いいなんてもんじゃないですよ!私がお願いしているの!

彼の友達もすごく喜ぶから、ぜったい一緒に来てほしいの!」

 

「そうなんだね。わかった。じゃ、ご一緒させてもらう。

でも、車には乗ってよ?ここまではタクシーで来たの?」

 

「うん。友達も送ってくれるって言ってたんだけど

一人で来たかったから、タクシーで来た」

 

「そっか。じゃ、道案内してくれる?」

 

「もちろんよ!」

 

 

3人は、凛々子の同級生が経営する

イタリアンレストランに向かった。

 

そこで意外な人物と遭遇する凛々子と日南田達。

 

 




言葉ってむずかしいですよね。
伝わっていると思っても、伝わっていなかったり
伝わっていないだろうと思っていたら
感じ取ってもらっていたり。

そんなやりとりは次回に・・・・

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