超次元ゲイムネプテューヌ:リバース・リ・バース 作:ひきがねコート@pixiv名アスラ
ある日の自然公園。
時刻は昼過ぎ。
草原の真ん中に人が仰向けになっていた。
何も日向ぼっこをしていてうっかり寝てしまった訳ではない。
「う……ん……」
人影が起き上がる。
少しばかり大きめのロングコートから覗く手は白く小さい。
首の動きに逆らう様に肩まで伸びた灰色の髪が揺れる。
胸は小さくもなければ大きくもない。
悪く言えば中途半端なサイズだ。
「あー……あ?」
ふらつきながらも立ち上がった『少女』が自分の喉を摩る。
「……は?え?マジ?」
急に焦り始めた『少女』が全身を摩る。
背負った刃渡りが1メートルはあろうかという長剣が、その動きに合わせて揺れていた。
「……な……」
『少女』の顔がみるみる青くなり、全身がわななく。
そして…………
「なんじゃこりゃあああぁぁぁぁ!?」
叫んだ。
……………………
「はぁ……どうすんだよこれ……」
ひとしきり叫んだ後、項垂れながら出口を目指して歩き始めた。
その足取りは重い。
「頭は痛いし、体はダルい。オマケに武器まで重いと来た」
愚痴る『少女』の耳に草むらが揺れる音が聴こえた。
辺りには人の姿どころか鳥一匹すら見当たらない。
「……『泣きっ面に蜂』ってか?」
いつの間にか辺りにはゼラチン質の体に犬の顔を貼り付けた様なモンスター……スライヌが無数に存在していた。
呑気そうな目が一様に『少女』を見つめている。
「悪いが……」
背負った長剣を逆手に構える。
「今すっごい機嫌悪いんだよねぇ!」
正面に居る手近なスライヌに向かって剣を振り下ろす。
切られたスライヌが真っ二つになった直後、光に包まれて消える。
それを皮切りに辺りのスライヌが一斉に襲い掛かって来た。
「よっ……とぉ!」
前転して体当たりをかわし、振り向きざまに剣を薙ぐ。
3体程が吹き飛ばされ、そのまま空中で光になって消える。
「そらそらそらぁ!」
集団に突っ込み、剣を振り回す。
足が止まった頃には集団に大きな穴が空いていた。
飛び掛かって来た一体を蹴りで打ち上げ、腿のナイフホルダーから取り出した投げナイフを投擲。
ナイフは目標に命中し、目標となったスライヌが消えた。
「……さて、まだ続けるか?」
落下したナイフを回収し、剣を肩に担ぐ。
残り僅かとなったスライヌ達はすごすごと居なくなっていった。
「……はぁ……やっぱ動きにくい」
剣を背負い直し、『少女』は再び出口を目指し始めた。
……………………
暫く歩いていると、出口付近で戦闘の音が聴こえてきた。
「……なんだ?」
見ると二人の少女がモンスターと戦っている様だった。
苦戦とまでは行かないようだが、何処かもたついている。
「ねぷねぷ!後ろに!」
「えっ!?やば……」
「邪魔するよ」
よそ見をしていた少女に襲い掛かろうとしていたスライヌを背後から両断し、二人とモンスター達の間に割って入る。
「だ、誰ですか!?」
「話は後だ、片付けるぞ」
「なんだか良く分からないけど助かったよ!」
『少女』と一緒にねぷねぷと呼ばれていた紫の髪の少女が飛び出す。
「ほいな!」
紫の髪の少女が手にした木刀でスライヌを叩く。
横薙ぎの一振りで弾かれたスライヌが『少女』の方へと飛んでいく。
「ごめーん!そっち行った!」
「何してんだ……っよ!」
『少女』が足を振るう。
ブーツに仕込まれた刃が展開し、スライヌを切り裂いた。
「おお!何それかっこいい!」
「ただの仕込みブーツだ。というか目の前の敵に集中しろ!」
「分かってるってば!」
幸い数はそれ程多くなく、三人で掛かれば全滅させるのにそれ程時間は掛からなかった。
「これで……おしまい!」
紫の髪の少女が最後のモンスターにトドメを刺す。
「……終わったな」
「わたし達ならこれくらいちょろいちょろい!」
「助かりましたです。ありがとうございますです」
「あぁ。じゃあな」
それだけ言って『少女』はその場を後にしようとする。
「えー!もう行っちゃうの!?」
「まだ何か用があるのか?」
それを紫の髪の少女が引き止めた。
「ここで会ったのも何かの縁だし、わたし達と一緒に来てくれないかなーと」
「……そんな義理は無い」
「そんなぁ〜……」
「あんまり引き止めるのも迷惑ですよ、ねぷねぷ」
「そいつの言うとおりだ、じゃあな」
そう言って再び踵を返した『少女』の目の前に紫の髪の少女が回り込む。
「……なんだよ」
「お願いだよー。ね、一生のお願い!」
「…………ハァ……」
大きな溜息をついた後、出口とは反対の方向を向く。
「……出会った以上、この先で野垂れ死にされるのも寝覚めが悪い。ここを出るまで付き合ってやる」
「本当!?」
「嘘だと思うなら勝手にしろ」
「ありがとう!わたし、ネプテューヌ!」
「わたしはコンパって言うです。よろしくお願いしますです」
紫の髪の少女はネプテューヌ、もう一人の少女はコンパと名乗った。
「……アシュレイ。呼ぶときはアッシュだ、分かったか?」
「オッケー!よろしくね、アッシュ!」
「……でもなんで名前で呼んじゃいけないですか?」
アシュレイの顔にありありと不快感が浮き出る。
「嫌いなんだよ、自分の女みたいな名前」
「いやいや、みたいなも何も……」
「立派な女の子です」
アシュレイの動きが不意に止まった。
「ど、どうしたですか……?」
「なんか、そこはかとなく地雷を踏んじゃった気がするんだけど……」
ゆっくりと、噛み締める用に言葉を紡ぐ。
「……信じないとは思うが、一応言っといてやる」
「……ゴクリ」
自分に言い聞せてるみたいだな。
アシュレイはそう思わざるを得なかった。
「俺は……男だ」
「え……」
「「ええええぇぇぇぇえええ!?」」
モンスターだらけの自然公園に、今度は二人分の絶叫が木霊した。
はい、半ば黒歴史じみた第1話でした。
オリキャラの性格設定をしっかり固めないまま見切り発車した結果、アッシュ君のキャラがブレブレです。
完結後の2015年6月に書いたリメイク版の1話が渋にありますので、興味がある方はそちらも合わせてどうぞ。