超次元ゲイムネプテューヌ:リバース・リ・バース 作:ひきがねコート@pixiv名アスラ
「フィナンシェ。あなたは引き続き教会の動向を探って頂戴」
「はい、わかりました」
ブランの指示でフィナンシェが一礼して部屋を出て行く。
ネプテューヌ達は一旦室内に戻り、作戦会議を行っていた。
「そういえば、ブランに聞きたいことがあるんだけど……」
「……何?」
「鍵の欠片ってアイテムを探してるんだけど、知らない?」
ネプテューヌの話にブランが思慮を巡らせるが、検索には引っかからなかったらしい。
「聞いたことがないわね。何に使う物なの?」
「どこかに封印されてる、いーすんを復活させるのに必要なんだ」
「……それが、あなたたちの旅の目的?」
「そういうことだ」
「でもって、わたしについていろいろ教えてもらうんだ」
「そういえば、記憶喪失だったわね」
「そして、わたくしはコンベルサシオンに女神の力を奪われていた……」
「コンベルサシオン……マジェコンヌ……」
ブランが強く歯噛みする。
「マジェコンヌさんです?」
「コンベルサシオンの本当の名前さ。ブラン様を襲った時に自分からそう名乗っていたよ」
コンパの疑問には弟が答えた。
「……これは、女神同士で争っている場合じゃないわね」
「えぇ……ネプテューヌと旅をして気づいたのですけれど、わたくしたちはお互いを知らなさ過ぎますわ。わたくしたちは一度、四人で話をすべきなのではないのかしら」
「確かに……けど、わたしたちにそれができるの?」
「難しいかもしれませんわ。わたくしたちはおそらくお互いがお互いを憎んでいる。生まれながらの宿敵として」
ふとベールがちらと後ろのネプテューヌを見る。
「けど、幸か不幸かわかりませんが、あの子が記憶を失ってくれたおかげで、こうして巡り合うことができましたわ」
「……え?わたし?やだなぁ、急に話を振らないでよー。まだ心の準備ができてないっていうかぁー」
柄にもなくネプテューヌが恥ずかしそうにクネクネと身体を捻った。
「当の本人はこんなですけど、おかげで戦場以外の場で、こうしてわたくしたちが顔を合わせられたのも事実ですわ」
「……あのさ、話が難しくてよく分からないんだけど、とりあえずみんなでルウィーを救って、それから四人でお話しようよ」
「……その件について、ネプテューヌ達に改めて言わせてちょうだい」
神妙な顔付きのブランがソファから立ち上がり、ネプテューヌ達の前に立つ。
「お願い……ルウィーを助けて……」
ブランが深々と頭を下げた。
「わたしはどうなってもいい……けど、フィナンシェや国民のみんなだけは……」
低い頭はさらに低くなる。
「……やれやれ、何ごとかと思ったら……」
「そんなことでしたのね」
「まったくもー、水臭いなーブランはー。ほら、顔上げて」
ブランがゆっくりと顔を上げる。
そこにはにっこりと笑ったネプテューヌが居た。
「守護女神戦争のことなんて忘れてさ、みんなでルウィーを救おうよ!それに、女神は助け合いでしょ?」
「仰る通り……だな。見返りなんざいらない。あいつには良い加減イライラしてるんだ」
「わたくしも、マジェコンヌに返さなければならない借りがありますし」
「みんな……ありがとう」
追い詰められ、長らく忘れていた笑顔がブランの顔に浮かんだ。
「そうと決まれば、今日はもう遅いし寝よう!ブランの家でお泊り会だー!」
「そういたしましょう。ではあいちゃん、わたくしたちは一緒のベッドで寝ましょうか」
「え!?そそそそそそんなの駄目ですって!?」
「あら、わたくしとあいちゃんの仲ではありませんか。ほら、恥ずかしがらず……」
「じゃあ、ねぷねぷもわたしと一緒に寝るです!」
「いいよ!アッシュも一緒に寝る?」
「断る」
「えーなんでさー。こんな美少女二人が添い寝して上げるんだよー?」
「お前の歯ぎしりを真横で聞きながら寝られるかよ」
「なにおー!?」
「確かに、ねぷねぷの歯ぎしりはちょっとうるさいです……」
「あれ!?こんぱも敵なの!?」
「……こんなのにルウィーを頼んで本当に大丈夫かしら……」
今日の夜もルウィーには雪が降っていた。
……………………
ネプテューヌ達が寝静まったころ、アシュレイは街外れの丘に座っていた。
「あら、アッシュさん?」
そこにふらりとベールが現れた。
「……ベールか。こんな時間にどうした?」
「最近はゲーム続きで昼に休むことが多かったので、就寝前の散歩ですわ。アッシュさんは何故ここに?」
「レジスタンスの奴らと作戦会議。それの帰りだ。どうせ暇ならベールにも参加して欲しかったな」
「わたくしが?どうしてですの?」
「いや、あの兄弟がな……」
「あぁ……そういうことですか」
苦笑いを浮かべたベールがアシュレイの隣に座る。
「……ベール、頼みがある」
「はい?」
「今日現れた偽者のブラン……マジェコンヌが呼んだ機械はラステイションの物だ」
「リーンボックスに来る前に一度戦ったとネプテューヌに聞きましたわ」
「……近いうちに……早ければ明日、俺たちはラステイションに向かうはずだ」
「ルウィーへの輸出妨害ですわね。それがどうかしましたか?」
「俺はもちろん、ブランも自分の手であのキラーマシンを破壊しに行くはずだ」
自分の国をめちゃくちゃにしている元凶の一つが自分の手の届くところにあるのだ。
乗り込まない訳が無い。
「ネプ公も俺とブランが行けばまずついてくる。となれば……」
「あいちゃんとコンパさん、そしてわたくしはルウィーに残ることになりますわね」
コンパは怪我人の治療ができ、アイエフは現地での情報収集役。
戦力としてベールを残す。
戦術的に見れば妥当といえば妥当だ。
「アイエフも弱いことは無いが、マジェコンヌ相手じゃ力不足だ」
「ネプテューヌ達がラステイションに行っている間に攻めて来られると、レジスタンスや街の人達の指示と誘導も必要ですわね」
「…………」
「……わかっていますわ。そんな申し訳なさそうな顔をしないでくださいな」
まず間違い無くマジェコンヌ達はネプテューヌ達がいなくなったタイミングを狙って攻撃を仕掛けるだろう。
だが具体的な戦力が分からず、おまけに放っておけばその戦力が無尽蔵に肥大化するアヴニールは早い内に叩かなければならない。
つまり、マジェコンヌや教会が送り出す敵のほぼ全てをベール一人が相手にしなければならないということだ。
「……すまん」
「誰かがやらなければならない。その誰かが、たまたまわたくしというだけの話ですわ」
「…………」
あくまでベールは明るく振舞っているが、それと対照的にアシュレイの表情は暗くなるばかりだ。
「……では、約束をしましょう」
「約束?」
「えぇ。わたくしはアッシュさん達が戻るまで、決して倒れませんわ」
「そんなの……」
「ですから、アッシュさん達は絶対にラステイションで為すべき事を成し遂げてください」
ベールは笑っているが、その目には有無を言わせない何かがあった。
「……わかった。約束する」
「……そういえば、少し寒いですわね」
「まぁ、ルウィーだしな」
「もう少し、近くに寄っても構いませんか?」
「……好きにしろ」
「では……」
ベールがアシュレイの近くに座り直し、肩に寄りかかる。
「……暖かいですわね。あいちゃんやネプテューヌの言っていた通りですわ」
「……そうかよ」
結局、アシュレイ達が眠りについたのはそれから一時間近く後の話だった。
……………………
そして次の日。
アシュレイ、ネプテューヌ、ブランの三人はラステイションにやってきていた。
「ここがラステイション……」
「ブランはラステイションは始めて?」
「えぇ。プラネテューヌ以外の他国には行ったことないわ」
「なんでプラネテューヌだけ?」
「年に二度の祭典……いえ、なんでもないわ」
「お祭り?プラネテューヌにお祭りってそんなにやってるの?」
「お喋りはそこまでだ。時間が惜しい」
アイエフとフィナンシェの調査の結果、今日アヴニールからの兵器がルウィーに輸入されるという情報をキャッチし、それを阻止する為に三人はラステイションに来ているのだ。
目指すはルウィー行きの兵器が保管されているアヴニール第四重機倉庫。
「……そうだ。すっかり忘れてたけど、ノワールに協力してもらえないかな?」
「ノワール?」
「ラステイションの女神サマのことだよ」
「……あぁ、そういえばそんな名前だったわね」
「きっとぼっちだから寂しがってるとおもうよ」
「ぼっちなの?」
「まぁ、友達は少なそうだな」
酷い言われようである。
「それはそれとして、俺は反対だ」
「えー、なんでさー。人数が多い方が楽だよ?」
「お前な……ただでさえノワールは前の一件でアヴニールに目を付けられてるんだぞ。これ以上あいつが俺たちと一緒にいるのがばれてみろ。教会にあいつの居場所は無くなるぞ」
「むー……」
アシュレイの言っていることは正しいが、ネプテューヌは不満そうだ。
「次に俺たちがあいつと一緒に行動するのはアヴニールを潰す時だ」
「……わかったよ。無い物ねだりは駄目だしね」
「話は纏まったかしら?早く行きましょう」
ブランの言葉に二人が頷いた。
「あれは……なるほど……面白いことになりそうだ……」
それを眺めた女は、一人呟く。
……………………
「ここが例の工場ね」
暫く歩き、三人は倉庫の前に辿り着いた。
「作戦はあるか?」
「中の兵器を全部壊す。簡単な話よ」
「ブランて見た目に脳筋なんだね」
「……何か言った?」
「いえ、なんでもないです」
「まぁ、一番手っ取り早いっちゃあ手っ取り早いな。爆破でもするか?」
「じゃあ、そうと決まれば早速……」
ネプテューヌが閉じ切ったシャッターに手を掛け……。
「たーのもー!」
と、言いながらこじ開ける。
「おいバカネプ公」
それとほぼ同時にアシュレイのげんこつがネプテューヌの頭を叩いた。
「いったー!なにすんのさ!」
「勢いで行動するな。警備に引っかかったらどうすんだ」
「……でも、セーフだったみたいね」
幸いネプテューヌのアレでは工場の警備システムは反応しなかったようだ。
アレで反応しないのもおかしいが……。
もしかしたら警備システムそのものが壊れているのかもしれない。
「敵は……いないみたいだな」
「これだけ静かだと、少し不気味ね」
「もう、二人とも心配性だなー。大丈夫だって!」
ネプテューヌは無視して二人は武器を取り出し、慎重に一歩ずつ歩を進める。
だが警戒とは裏腹に敵の影さえ見つけることなくお目当ての部屋に辿り着いた。
「見つけた。どうやら、この部屋みたいね」
「さて、どれから手を付けるべきか……」
「フッフッフ……誰かと思いましたが、やはりあなた方でしたか」
直後、暗闇の中からスーツの男が出てくる。
アシュレイ達はその男を知っていた。
「……こっちの台詞だ、ガナッシュ」
「お久しぶりです。アシュレイさん」
「俺としてはそのアホ面は二度と見たくなかったがな」
「その減らず口も相変わらずのようですね」
アシュレイが剣を突きつけるが、ガナッシュは微塵も怯まない。
何かしらの勝算があるようだ。
「ねぇ、どうしてアヴニールが兵器をルウィーに売るのさ。儲かるのはわかるけど、ルウィーが強くなったら損するのはラステイションだよ?」
確かに、アヴニールが兵器をルウィーに売ればルウィーの戦力が上がる。
だが、いつルウィーの攻撃の矛先がラステイションに向くかはわからない。
ガナッシュは知らないことだが、現在の国のトップに立っているのがあのマジェコンヌなら尚更だ。
ノワールの力を奪う為、いつかはラステイションは標的にされるだろう。
だがガナッシュはそれでも不敵に笑った。
「それでいいのですよ、ネプテューヌさん。どうやらあなた方は大きな勘違いをしているようだ」
「勘違い?どういうこと?」
「ラステイションに住んでいるからといって、誰しもがブラックハート様を信仰している訳ではないということです」
「なるほど……そういうことか」
「私の信仰する女神様は、この世でホワイトハート様ただ一人……ホワイトハート様のためなら、ラステイションなど何度でも、何度でも滅ぼして見せましょう!」
「……もう、壊れてるな」
「でも、これはチャンスかもしれないよ!」
ネプテューヌの言いたいことはアシュレイにも容易く予想できた。
「ブラン、頼めるか?」
「わたしとしても、話し合いで解決できればそれに越したことはないわ」
「最後のお話は終わりましたか?私には次の仕事が控えていますので……」
「控えおろー!」
ガナッシュが言い切る前にネプテューヌが割り込んだ。
「なにっ……?」
「控えおろー!控えおろー!この顔が目に入らぬかー!ここにおわすお方をどなたと心得る。こちらにおわすは、ルウィーの女神、ホワイトハート様であるぞー!」
言い終わると同時にブランが女神化し、ホワイトハートの姿となる。
「たわけ者が!テメェ、わたしの顔を見忘れたか!」
「なっ!?」
「えぇい、頭が高い!控えおろう!」
「なんだこのテンション……」
アシュレイは早々にツッコミを放棄した。
「ま、まさか……あなたが……」
「ガナッシュとか言ったな。わたしの為に尽くしてくれてるのはよくわかった。だがな、それで他国やルウィーのみんなに迷惑をかけることなんざ、わたしは望んじゃいねぇ」
言葉は荒いままだが、戦闘中とはまるで違う優しい息遣いで言葉を進める。
「今なら許す。だから、取引をやめてくれないか」
ホワイトハートの言葉にガナッシュがうつむく。
「……が……う……」
「……あ?」
ガナッシュの肩は震えている。
そして下げていた顔を上げた。
「貴様なんか違う!貴様のような奴が私のホワイトハート様であってたまるか!さては、話に聞く最近現れた偽者だな!」
なんとガナッシュは目の前のホワイトハートを否定した。
「何言ってやがる。わたしが本物で、あっちが偽者だ!」
「いいや、貴様が偽者だ!」
「だからわたしが本物だって言ってんだろうが!いい加減騙されていることに気づけよ馬鹿野郎!」
「違う違う違う違う違う!」
ガナッシュは駄々をこねるようにかぶりを振る。
「わたしの天使なホワイトハート様がそんな乱暴な言葉づかいをするわけがない!よって、貴様が偽者だ!」
「あぁ!?」
「あー……ガナッシュって、所謂自分の中で妙に美化しちゃうタイプの人かー」
流石のネプテューヌも呆れ顔である。
「こういうのってちょっとイメージと違うことを言ったりするだけでこんなの俺の女神様じゃない!って言うんだよね。あいちゃんとそっくり」
「……そういやそんな話あったな……というかリーンボックスに行った理由って半分はそれだったな」
「いやー、今となっては懐かしいなー」
「うるせえんだよテメェら!」
後ろで騒いでいた二人にブランの怒りの矛先が向いた。
「今ので確信しました……やはりあなたはホワイトハート様ではない!ホワイトハート様は仕事にとてもひたむきで……」
そしてそれに連鎖反応するように誤解が強まった。
「哀れな信者の末路か……」
「ブランの性格が仇になっちゃったね」
「……悪かったな」
「今度からはもっと信者に対してオープンになってみることだな」
「……で、あるからして!……ふぅ……あなた達にはここで消えてもらいます」
先ほどとは一転、冷静になったガナッシュがタブレットを操作すると、四方八方から機械の駆動音が響き始める。
ゾロゾロと大小様々な機械が現れ、あっという間にネプテューヌ達を包囲した。
「いやいや、流石にこの数はマズイんじゃない!?」
「ちぃ……こんなにいやがるのか……!」
「……軽く百は超えてるな。いつ終わるのやら」
「ここはアヴニールが管理する兵器倉庫です。ここに踏み込んだ時点であなた達の敗北は決定していたのですよ!」
「そう思うならそうなんだろう。お前の中ではな」
直後、多数の雷が辺りを囲む機械の全てを正確に撃ち抜き、一瞬で機械軍団を壊滅させた。
「何!?」
「えっ!?どこ!?」
「ここだ」
「上!?」
ガナッシュを含めた四人が天井を見上げる。
そこには天井に逆さまに立っている三角帽子の女がいた。
女が地面に降り立つ。
「久しぶりだな、ネプテューヌ」
「MAGES.だ!やっほー!」
「……知ってんのか?」
「知り合いだ。なんでここがわかった?」
「なに、先を急いでいるお前達を見かけたものでな。どうせこんなことだろうと思って後をついて来たのだ」
「くっ……ですが、ここに保管されている兵器達はこの程度ではありませんよ!」
ガナッシュが再びタブレットを操作すると、先ほどよりは少ないが、新たな兵器達が現れた。
「ネプ公!」
「オッケー!」
ネプテューヌが光に包まれ、女神パープルハートの姿となる。
同時にアシュレイも黒い炎に包まれ、変身を終えた。
「変身完了よ」
「全部纏めてぶっ壊してやらぁ!」
「さて、勿論お前も手伝ってくれるよな?」
「愚問だな」
MAGES.が虚空から杖を取り出し、構える。
「さぁ、この狂気の魔術師の力……とくと味わうがいい……!」
戦闘が始まった。
はい、MAGES.さんが再登場の第14話でした。
ほとんどストーリーに絡まないメーカーキャラは極力存在ごと無かったことにする方針の私のお話で、唯一と言っていい程出番が多いキャラです。
多分純魔法使いキャラがリバ1だと少ないからでしょうね。
次回でルウィー編は終了です。早ーい。