超次元ゲイムネプテューヌ:リバース・リ・バース 作:ひきがねコート@pixiv名アスラ
開始直後、敵の正面に取り付けられた主砲が火を噴いた。
「あっぶなぁ!?」
「ぐっ……!」
ネプテューヌが横っ飛びに、アシュレイは転がって回避する。
すると今度は副砲が稼働。
狙いはアシュレイだ。
「ちぃ……ネプ公!俺は援護に回る!あいつを頼む!」
剣の腹を盾に銃撃を防ぎながらアシュレイが指示を飛ばす。
普段のアシュレイなら走って避けるのだが、今はそれが出来ない。
体や武器の重みが急に増したような感覚に陥り、体が思ったように動かないのだ。
「とは言われてもこの武器どうやって使うかわかんないんだけどー!?」
「はぁ!?元々はお前がテストしてた武器だろうが!」
「そうなんだけど!なんか変なのが追加されてるんだよ!これなんなの!?」
ネプテューヌの持っている武器は鉄の刀身にビームを纏わせた片刃の剣の形をしていた。
他の武器と違うところは峰に多数の穴が空いていることと、柄と刃の間に銃の引き金のような物が存在することだ。
「ネプテューヌ!それはブースターよ!」
バリアの外に居るノワールが叫ぶ。
「剣を振る時に引き金を引くのよ!」
「振る時ってなんか難易度高くない!?」
アシュレイを攻撃していた敵が一旦攻撃を止め、主砲をネプテューヌに向けた。
「うわわわわわ!?」
焦ったネプテューヌが引き金に指を掛けたまま柄を握りこむ。
すると峰の穴から推進剤が噴射され、無理矢理剣が振られた。
同時に主砲が発射される。
それらはジャストタイミングで噛み合い、ネプテューヌの剣が放たれたゴム弾を両断した。
「うわっ……とと……!」
勢い余ってその場で二回転ほどしたネプテューヌが体制を整える。
「よくわかんないけど……なんとかなりそう!」
ネプテューヌが武器を構え、一気に敵に接近していく。
すると敵に変化が起こった。
敵は一気にバックし、ガシャガシャと装甲板の位置を移動させていく。
そして、戦車が“立ち上がった”。
「……マジかよ」
瞬く間に敵は二本足のロボットへと変型したのだ。
直後、敵は脚部に取り付けられたローラーで移動しながら副砲を連射し始めた。
「面倒臭い……!」
アシュレイが弾丸の雨を魔力障壁で弾きつつ、敵へ接近していく。
「おらぁ!」
関節部を狙ってアシュレイが剣を振り下ろす。
が、装甲板の一枚が稼働し、アシュレイの攻撃を弾いた。
体制を崩されたアシュレイに容赦ない蹴りが炸裂。
地面を転がりながらもなんとか立ち上がる。
「げほ……クソ……!」
「こんのー!」
ネプテューヌがブースターを吹かしながら剣を振るった。
装甲に一文字の痕を付けるが、切断には至らない。
「あんまり効いてないよ!?」
「だったらハンドルを捻るんだ!」
「ハンドル?」
「柄よ!」
シアンとノワールの声にネプテューヌが自分の剣を見てみると、確かに柄にはハンドルのような物が取り付けられている。
ネプテューヌが抜き打ちのように剣を腰に当て、ハンドルを捻ると鍔の部分にランプが一つ灯った。
「っ!ネプ公!」
アシュレイが叫ぶと同時に敵の後部のハッチが開き、四発のミサイルが発射される。
「行けるか……!?」
ホルダーからナイフを投擲。
二本はミサイルに衝突し、誤爆させた。
無事だった残りの二発がネプテューヌに迫る。
「どおりゃぁぁああ!」
ネプテューヌが迫るミサイルにブースターを起動し剣を振るう。
直後、剣が伸びた。
纏わせたビームが一気に出力を増したのだ。
その一撃でランプは消えたが、見事にミサイルの迎撃に成功。
「……わーお」
そのネプテューヌの目の前には全ての砲塔を自分に向けた巨大なロボットが立っていた。
それらが火を噴く。
「…………あれ?」
しかしその衝撃はネプテューヌには届かなかった。
それもそのはずだ。
「……はぁ……はぁ……」
「アッシュ……」
ネプテューヌの前にはアシュレイが立ち塞がっていた。
剣を盾にしていたが、そこから外れた弾丸は体で受け止めたらしい。
服の下は青痣だらけだろう。
「……頼むぞ」
それだけ言って、アシュレイはその場に崩れ落ちた。
目を閉じたネプテューヌが再びハンドルを捻る。
「……うん」
もう一度捻る。
「任された!」
ネプテューヌが目を開く。
強くハンドルを捻ると、呼応したように剣が鳴る。
ランプは三つ灯っていた。
副砲から弾丸が発射される。
「おりゃりゃりゃりゃー!」
ネプテューヌが走りながら弾丸を切り落としながら走る。
ブースターはまだ使わない。
接近するネプテューヌに装甲板の一枚が突き出される。
「そぉこだー!」
ブースターを起動し、剣を振る。
その一撃は装甲板を容易く切り裂いた。
危険と判断したのか、敵が大きく下がる。
「逃がさないよー!」
抜き打ちの構えを取り、軽くジャンプすると同時に引き金を引く。
ブースターの推進力がネプテューヌの体を大きく押し出し、敵の目の前まで連れてきた。
勢いのまま正面の一番大きな装甲板を両断する。
敵の本体部分が剥き出しになった。
スピードを殺さず、一回転。
「とどめぇぇぇええ!」
ラスト一発。
渾身の縦一閃が敵を捉えた。
巨体がゆっくりと左右に倒れ、間も無く爆発。
直後、割れんばかりの歓声が上がった。
ネプテューヌ達は見事エキシビジョンマッチを制したのだ。
「よっしゃー!勝ったどー!」
「やれやれ……なんとかなるもんだ」
観衆にVサインを送るネプテューヌの後ろで剣にすがりつつアシュレイが起き上がった。
「……なん……だと……!?」
「まさか女神化を封じられた状態であれほどの兵器を退けるとは……なかなかやりますね……」
呆れたような顔でネプテューヌを眺めるマジェコンヌの隣でガナッシュが顎に手を当て、頷く。
「えーい!関心しとる場合か!」
「耳元で怒鳴らないでください……!こっちだって自慢の新兵器を壊されて悔しいんです」
「なら、アレを使え」
言い合いをしている二人の元に中年の男が現れた。
アヴニール社長のサンジュだ。
「……社長、アレというのは……アレのことですか?」
「我が社の兵器が人間に劣るなどあってはならん」
「しかし、アレはまだ調整中でして……」
「構わん」
「ぐぬぬ……アレがなんだか知らんが、それで今度こそ女神共を葬れるなら出し惜しみをするな!」
「クライアントもそうお望みだ。このままではせっかく築き上げた我が社の地位も落ちてしまう。出せ」
「……っく!どうなっても知りませんよ!」
ガナッシュがタブレットを操作する。
「ねぷねぷが変身できなかったときはどうなるかと思ったですけど、無事に勝ててよかったです」
「それに、シアンの武器がアヴニールの兵器より凄いってことは十分証明できたはずよ」
「えぇ。誰が見ても間違いないわ」
「おい、勝負はついた。早くバリアを……」
解除しろ。と言い切る前に異変が起こった。
再び舞台の床が開き、新たなロボットが姿を現す。
今度は完全な人形のロボットだ。
「おい、なんの真似だ!」
「そうだそうだー!いい加減負けを認めろー!」
「フン!たかが前座を一機倒しただけで調子に乗るなよ、ネプテューヌ!」
マジェコンヌが高らかに叫ぶ。
「次はこのハードブレイカーが相手だ!」
ハードブレイカーと呼ばれたロボットのアイカメラに光が灯り、ゆっくりと立ち上がる。
「そんな……アッシュさんとネプテューヌにもう戦えるほどの体力はありませんわ!」
「全部仕組まれてたってことか!?」
「打つ手なしかよ……くそ!」
絶望するネプテューヌ達を眺めるマジェコンヌが笑った。
「さぁ、試合を始めろ!」
「どうなっても知りませんからね……エキシビジョンマッチ、第二試合……開始!」
開始の宣言を受け、ハードブレイカーがネプテューヌ達に接近し、腕のブレードを振り上げる。
「アッシュ!」
ネプテューヌが動けないアシュレイに飛びかかり、攻撃から逃がした。
振り下ろされたブレードは舞台を容易く切り裂き、地面に深い亀裂を作った。
「せめて変身できれば良いんだけど……まぁ、無理だよね」
「万事休すか……?」
諦めかけたその時、二人はとある異変に気がついた。
「……あ?」
「あれぇ?」
なぜかハードブレイカーはブレードを地面に突き立てたまま固まっている。
よく見れば先ほど光っていたカメラアイの光も消えている。
「な、何が起こった!?何故急に止まるのだ!」
ハードブレイカーの異変にマジェコンヌ自身も焦っていた。
ということはこの機能停止は意図的なものではないということだ。
「だから言ったではないですか。まだ調整中だと」
ガナッシュがタブレットを叩くが、やはりハードブレイカーに反応はない。
「調整中だからといって止まるなど許されると思っているのか!せっかくネプテューヌを葬るチャンスなのだぞ!」
「そうは言っても、この様子じゃ再起動は無理ですね」
タブレットの画面はハードブレイカーのエラー報告で埋め尽くされていた。
お手上げ、といった感じでガナッシュも肩を竦める。
「……もしかして、ギリギリ助かったっぽい?」
「だと、いいんだがな」
「えぇい!まどろっこしい!」
マジェコンヌがガナッシュのタブレットを奪い、バリアを解除。
タブレットを投げ返し、自ら舞台へと乗り込んできた。
手を振り上げ……
「動け、このポンコツが!」
ハードブレイカーを思いっきり叩いた。
「……えー」
「ひと昔前のテレビじゃねぇんだから……」
しかし二人の考えに反し、なんとハードブレイカーは動き始めてしまった。
「ねぷっ!?」
「ウソでしょ、起動したの!?」
「そんな無茶苦茶な……」
さすがのガナッシュもこれには呆れを隠せない。
「はーっはっはっは!所詮機械など叩けばどうにでもなるのだよ!」
ブレードをゆっくりと引き抜き、カメラアイが禍々しく光る。
「さぁ、ハードブレイカーよ!今度こそ女神共を……」
マジェコンヌが言い切る前にハードブレイカーの胸部から発射されたビームが壁を貫いた。
「ど、どうしたのだ!攻撃するのは壁ではなくこいつらだ!」
「これって、もしかして……」
「壊れて暴走しているわ」
「……っていうかこれさっきとは別の意味でヤバくないか!?」
ヒロムの言う通り、暴走したハードブレイカーは手当たり次第に攻撃を行い、会場を破壊していく。
すでに会場の人達はパニックだ。
「これでは、博覧会どころではありませんわ」
「なんとかしてアイツを止めないと!」
「っ!アッシュ!ネプ子!逃げて!」
アイエフが叫ぶ。
「逃げれるんなら……」
「とっくに逃げてるってば!」
アシュレイを背負って走るネプテューヌの背後にはブレードを振り上げるハードブレイカー。
今度は逃げられない。
「ねぷねぷ!」
「ネプテューヌ!」
ブレードが振り下ろされる。
直後、金属音が鳴り響いた。
「ふぅ……間一髪」
「お前……ヒロム!」
ネプテューヌ達の目の前には一対のガンブレードを交差させながらハードブレイカーの攻撃を受け止めるヒロムが居た。
「よっと!」
剣を振り払い、ハードブレイカーを弾き飛ばす。
不意に振り向いたヒロムの手に魔法陣が浮かび上がった。
「ケアルド」
癒しの光がネプテューヌとアシュレイを包み込んだ。
二人の体が一気に軽くなる。
「おお!助かったよヒロくん!」
「どういたしまして」
「お前……戦えたのか?」
「ここは俺に任せてくれ」
改めてヒロムがガンブレードを構えた。
「さぁ、タイマン張らせてもらうぜ!」
ヒロムがハードブレイカーへと駆ける。
その間に二人はノワール達と合流。
近くにはガナッシュも居る。
「おい、ガナッシュ!強制終了はできないのか!?」
「ぐっ……先ほどから何度か試していますが、外部からの信号を受け付けてくれません」
「せめて女神化ができれば……」
「……ってそうよ!女神化よ!」
ノワールがガナッシュに詰め寄る。
「ガナッシュ!女神化を妨害してる装置を早く止めて!」
「止めるも何も……ハードブレイカーの頭部に組み込まれているジャミング装置をどうやって止めるのですか?」
「なんでそんな所にあるのよ!?」
「頭を壊さなくても、さっきのマジェッチみたいに叩けば壊れてくれないかな?」
「さすがにそんな虫のいい話が……」
「可能性としては、十分ありえます」
なんとガナッシュはネプテューヌの考えを肯定した。
「あの装置はまだ試作の物を無理やり頭部に組み込んだので、強い衝撃を与えられれば……」
「……ヒロム!聞いたな!頭だ!」
「合点承知!」
ヒロムがハードブレイカーの頭部に向かってガンブレードを連射する。
しかし弾丸はハードブレイカーの周囲に展開されたエネルギーフィールドに阻まれ、頭部には届かなかった。
とはいえ、それは戦い始めた最初からなのでヒロムも特に驚いた様子はない。
「おっと!」
足下へのなぎ払い。
飛んで回避しつつ、弾丸を撃ち込む。
するとハードブレイカーはフィールドで防がず、回避運動を取った。
「……なるほど」
距離の離れたヒロムにハードブレイカーがビームを発射。
それを涼しい顔で体を逸らしながら避け、同時に背後でガンブレードを連結。
「ディバインブラスター!」
バスターソードモードとなったガンブレードから強力な魔力砲を打ち出す。
が、それはフィールドに防がれてしまった。
ハードブレイカーがブレードをヒロムに向かって真っ直ぐに突き出す。
「タイミングバッチリ!」
ヒロムは剣を逆手に持ち替え、切っ先を地面に付けた。
そのまま引き金を引く。
「セイハーーー!!」
反作用でヒロムが弾丸のように打ち出された。
ブレードをスレスレで交差し、空中で体を捻る。
渾身の飛び蹴りがハードブレイカーの頭を打ち据えた。
「あのフィールドを突破した……?」
「アレ、どうやら攻撃してる時は展開できないみたいだったからな。そこを狙わせてもらったって訳だ」
地面に倒れたハードブレイカーからジャンプしながらこちらに戻ってきたヒロムがそう言った。
「何はともあれ、これで……」
「オッケー!変っ身!」
四人が光に包まれる。
光が治れば、そこには四女神の姿があった。
「暴れたい奴は前に出ろ!残りは避難を手伝え!」
「よっしゃ!」
「こいつは私たちがやるわ!」
「わかったわ。じゃあ、後は頼んだわよ」
「街の人達はわたくし達に任せてくださいな」
アシュレイの声に四人がすぐさま動く。
荒れ果てた舞台の上にはノワール、ブラン、そしてヒロムが残った。
男へ変身したアシュレイも三人の隣に並ぶ。
「っしゃ!キバっていくぜ!」
「あなたの罪を数えなさい……ここで断罪してあげるわ!」
「……お前の一人舞台は終わった」
全員が各々の武器を構える。
「ここからは、俺たちのステージだ!」
「さぁ、ショータイムだ」
戦闘が始まった。
「インパルスエッジ!」
「牙龍天衝!」
ノワールとヒロムの剣閃が衝撃波となりハードブレイカーへ迫る。
しかしそれはフィールドにぶつかり、辺りに風圧を撒き散らすだけに終わった。
ハードブレイカー本体にダメージはない。
反撃のビームが発射される。
「ちぃ!」
アシュレイが前に出て障壁でビームを打ち消した。
「もう!あのバリアほんとめんどくさいわね!」
「だったらぶっ壊すだけだ!」
「いくら硬くても壊れない物はない……タスク・ヘビースマイト!」
アシュレイの声にノワール、続いてブランが走る。
「受けなさい!」
ハードブレイカーに向かって剣を振り上げたノワールの姿がかき消えた。
直後、無数の剣閃がフィールドを揺らす。
止めの飛び蹴りをかまし、そのままフィールドを蹴って宙返り。
「ブラン!後は任せたわよ!」
間髪入れずにブランが突入する。
「どっ…………」
右足が地面を踏み抜く。
「せぇぇぇええい!」
全身全霊を込めて振り抜いた一撃が激突。
大きく歪んだフィールドが空気に溶けるように消えた。
「す、すげぇ……」
「言ってる場合か!行くぞ!」
後ろに下がった二人に変わってアシュレイ、少し遅れてヒロムが突入する。
接近する二人を嫌がったのか、ハードブレイカーが左右から挟み込むようにブレードを振るった。
「効くかっての!」
アシュレイが両腕を広げ、その手のひらの前にそれぞれ障壁を作り出してブレードを弾く。
「隙だらけだぜ!」
アシュレイの上を飛び越えたヒロムがバスターソードを真一文字に振り下ろす。
ハードブレイカーの胸に大きな裂傷が走る。
「よっと……」
バスターソードを振り上げながら連結を解除。
空中で回転する二本のガンブレードを右手は順手、左手は逆手に掴む。
「そらそらぁ!」
そのまま絶え間ない連続攻撃をハードブレイカーに浴びせた。
左手のガンブレードを突き刺し、体を捻る。
「迅旋風!」
引き抜くと同時に回転。
真空の刃がハードブレイカーのボディに斬撃の後を残した。
しかしいつまでも反撃しない相手ではない。
「っ……とぉ!」
横薙ぎの一撃をバックステップで回避。
追撃の突きも宙返りでかわした。
そのブレードをスライディングで掻い潜るのはアシュレイ。
そのままハードブレイカーの背後に回る。
「捕まえた……」
龍の腕でハードブレイカーの胴を掴み、そのまま飛び上がる。
「落ちろ!」
空中で一回転しつつハードブレイカーを地面に投げ飛ばす。
バウンドして跳ね返ってきたそれを蹴り、斜め下のハードブレイカーへ魔法陣を展開。
「ヒロム!」
「了解ぃ!」
ヒロムがガンブレードを斜め上のハードブレイカーへ構え、引き金を引く。
「レッドビート!」
アシュレイは龍の腕で魔法陣を連続で殴りつけると、その衝撃が火炎弾となってハードブレイカーへ降り注いだ。
「乱れ撃つぜぇぇぇえ!」
「ドララララララァ!」
二人が打ち出した弾がハードブレイカーへ殺到。
ある程度打ち込んだところでヒロムがガンブレードを連結させ、ハードブレイカーに投げる。
胴体を貫いたそれは背後のアシュレイの手に収まった。
魔法陣を展開し、それを蹴る。
「そらよ!」
アシュレイの胴薙ぎ一閃がハードブレイカーの上半身と下半身を切り分けた。
「……良い剣だな」
「……そりゃどうも」
物珍しげにヒロムのガンブレードを眺めたアシュレイがそれを持ち主へ投げ返す。
その後ろでは上半身だけになったハードブレイカーがフライトユニットで浮き上がり、なおも暴れようとしていた。
「しつこいわね。そろそろ壊れたらどうなの?」
「動けるなら動けなくなるまで叩くだけだ!タスク・ブラックダスト!」
アシュレイが剣に炎を纏わせ、ノワールは空へ。
「灰は灰に……」
炎の剣を地面に突き立てた。
ハードブレイカーの周りに炎の渦が巻き起こり、装甲を焦がす。
爆発がハードブレイカーのボディを打ち上げる。
「塵は塵に!」
ノワールが高速移動と同時に剣撃を宙に浮かんだハードブレイカーに叩き込み、地面に打ち落とす。
「紅!」
「十文字斬り!」
地面に衝突する直前にアシュレイの横薙ぎ。
止めにノワールが真っ直ぐに剣を振り下ろす。
「「成敗!」」
アシュレイが剣を振って纏った炎を消し、ノワールが剣を地面に突き刺す。
その背後でハードブレイカーが派手に爆発四散した。
「……終わったな」
「私たちに掛かればこんなやつ、物の数じゃないわ」
「にしても、お前凄いな……」
「あ?」
戦闘が終わり、ヒロムがアシュレイに話しかけてきた。
「ノワール達に連携攻撃の指示出したり腕をドラゴンみたいにしたりだよ」
「連携は前に教えてたしな。腕は……こういう体質だ」
「どんな体質だよ……というか、お前ノワール達と知り合いなのか?」
「……ん?」
何やら話がズレ始めてきた。
「おい、ヒロム……気付いてねぇのか?」
「なにが?というか自己紹介してなかったな。俺はヒロム。お前は?」
「……わかってないみたいね」
「……はぁ……」
アシュレイが黒い炎に包まれる。
収まった頃には女の姿に戻ったアシュレイが居た。
「……え?さっきの奴が消えてアッシュが?え?どういうこと?」
「そういえば、変身してるところはお前見てなかったな」
戦闘開始時、アシュレイは三人の背後で変身し、その後で横に並んだ。
つまりヒロムはアシュレイが男だということを知らないまま戦っていたのだ。
「さっきの男も俺だ。どっちかと言うとあっちの姿の方が俺の本当の姿だけどな」
「ああ、男の姿の方が本当の姿なのね、どうりでさっき男子トイレに……ってちょっと待てよ?」
ヒロムの顔が青くなる。
「という事は俺はトイレの前で……」
アシュレイはヒロムが恐れている事を察する。
「……男を押し倒したり胸を触ったりして顔を赤らめてたって訳だ」
その上で、現実を突きつけた。
ヒロムがガックリと膝を着く。
「オゥマイゴォォォォッッド!?」
「チャンチャン……と」
荒れ果てた開場跡にヒロムの絶叫が木霊した。
はい、アヴニールの因縁ともこれで決着となった第18話でした。
色々とハイスペックなヒロム君のお陰で強敵もさっくりと処理。
気持ちよくラステイション編を終わらせる事が出来ました。
次回からようやくというか、オリジナルの展開が絡んできます。
お楽しみに。