遊戯王ネタ濃度が落ちていくやばいやばい……
「琢磨、それ……」
典明が指差す先にはムーントークン。《アルカナフォースXVIII-THE MOON》の効果によって自分のスタンバイフェイズ時に特殊召喚される歪んだ赤子のような見た目のそのモンスターは、攻撃力守備力ともに0。戦力に数えられるものではない。それが3……いや4体。
《アルカナフォースXVIII-THE MOON》の胸ガラスが開き、その中からころんと出てきたトークンはこちらをじっと見上げている。微動だにしない。正直いって怖…………くない! ぜーんぜん怖くない! だから光の結界はやめてね! あの点滅絶対目に悪いんだよ!
「万が一の為に備えてるんですよ」
嘘だよ偽船長に対する嫌がらせだよ悪いか。
「そうか、わかった」
のりピー納得しちゃったよ……。これでいいのかスターダストクルセイダース。
しかし、これ以上モンスターとして増やし続けると承太郎に踏んづけられそうだな……カードにしとこ。《アルカナフォースXVIII-THE MOON》とムーントークン、合わせて4体のモンスター。
準備は整った……さあいつでもこい偽船長!
「ちくしょうはなせッ! はなしやがれ〜〜」
あ、あれは――《妖刀―ナイフ》を装備した家出少女だ! 船倉から甲板まで船員さんに引っ張られてきたのだろうか。そうだとすればかなりのストロングだな!
家出少女は海上警察にゴヨウされるのは嫌だ、見逃してくれと必死に懇願している。船員はどうしようかなぁーと少女の顔をいじくり回しているが、その顔からは許す気など一欠片も見えない。
……うん、ここは俺が一肌脱ぐしかないか! えーっと何言おう……まあどうにでもなーれ!
「今回の件は密航者が乗っていることに気がつけなかった貴方方の怠慢の結果でしょう。彼女を離しなさい。……それにしても、スピードワゴン財団が手配した人材とはとても思えない失態ですね。船員の中にDIOの手下が紛れている、の方が理由としてはまだ納得できますよ」
あれ? 何言ってるんだろう俺。なんか違う。俺が言いたかったのってコレじゃない。喧嘩売りたかったわけじゃないの信じて。
DIOと聞き身構えるジョースターエジプトツアー御一行様。
「ハァ? 突然何言ってんだあんた! 俺らが手を抜いてるって言いたいのか――ギニヤアァッ!」
おぉっとどうしたことだー! 家出少女、アンが自らの意思で海に飛び込んだー!(デュエリスト特有の幻聴)
ガションガションガション(幻聴)
「HA☆HA☆HA☆HA」
「チームスターダストクルセイダースよ、覚悟するがよいっ!」
「これからが本当の勝負……」
「我等の力を思い知らせてやる!」(セリフは全部幻聴)
なーーーんとお! 衣服が海水と一体化したぁーーー! これぞ少女の最終進化形態! 家出にかける少女の魂を見たあーー!
「あれは……」
ってふざけてる場合じゃねえ! 海面に浮上した大きな背びれが波をかき分け家出少女の方へと近づいている。
――出た! シャークさん(海にいる方)の《
シャークさん(海にいる方)が家出少女を襲う! 家出少女動けない! シャークさん(海にいる方)女の子に向かってまっしぐら! ここだけ切り取ると風評被害間違いなし! シャークさん(海にいる方)のダイレクトアタック! デプス・バイトォ!
「おらおらおらーッ!」
おーっとシャークさん(海にいる方)吹っ飛んだー! これは入院間違いなしだー! あといつの間に飛び込んだんだ承太郎! 水音全然聞こえなかったんですけど!
助けたのは良かったけど女の子の胸を弄るのは良くないと思うぞ承太郎。お前貴族の血が流れている自覚持てよ!(ジョセフへの鎖付きブーメラン)
その前に今の家出少女って乳バンドつけて……アッ(察し)これはえらいこっちゃですよジョースターさぁーん!! 嫁入り前の女の子にあんな辱めを! イケメンだから許されると思うなよ!
「うるせえ」
うっす。さーせんっす。
「この女の子かね密航者というのは……」
家出少女が偽船長に掴まれる前にこれはしなくてはいけない。 余計な被害は増やしたくないからだ。
ヌウウと大きな影が少女にかかるかかからないか、といった所で《アルカナフォースXVIII-THE MOON》とムーントークン1体をモンスターの姿へ戻す。
《アルカナフォースXVIII-THE MOON》がムーントークンをぞんざいに掴み、第1球……投げたー! このコース、これは明らかにデッドボールだー! さあどうする偽船長!
「ぬおおうっ!!??」
スタンドが見えるならば当然の反応! 家出少女は突然叫び声をあげた偽船長を見てびっくりしている! 二人の反応を見比べた承太郎、偽船長に一発オラを叩き込む!
「ぐっほあああああぁぁぁああ!!??」
力強いオラによって偽船長が海にダイブ! ここまではオッケー! 原作通りならフジツボが
「……な、これはっ!?」
何故か承太郎じゃなくて俺にフジツボがくっついていた。スタンドパワーをじわりじわりと奪い増殖するアレだ。増殖するのはGだけで勘弁してほしい。もしかしなくとも、投げつけたムーントークンに
「琢磨っ!!!!」
典明の手は届かない。柵を乗り越え、斎王琢磨は海へと落ちていった。
ごぷり、ごぽり。口と鼻から空気の泡が漏れ出ないよう、息を吐き出すのを止める。時間はない。一気に勝負を決めにかからねばならない。
《アルカナフォースXVIII-THE MOON》とムーントークン3体が残っているといえ、水中戦は確実に俺が不利だ。守備表示のムーントークンを盾代わりに使い相手の攻撃を凌ぐ事も出来るだろうが、相手に攻撃が当たらなければこちらが消耗するだけだ。
――使うしか、ないのか。できれば使いたくなかった魔法、その1。
これを使った事はない。いや、スタンド能力である以上、使えるとは感覚的に分かっている。様々なカードの効果が再現された結果、これはどう作用するのか――それがとても恐ろしい。
その手に握られた1枚のカードを、使用し――?
あれ、なんで? カードが、まっしろ?
『――《スート・オブ・ソード
当然、正位置。
瞬間、合計10本の剣が偽船長と
「パクパクパク……き、きさまァ、その……姿は……!?」
髪はぶわりと広がり、爪は伸び――まるで化け物になりかけているような彼の姿を見た男は恐怖する。
先程までの好青年はどこへ消えたのか? ――いいや、どこにも消えてなどいない。
『……久しいな、こうして表に出てこれたのも。いや、これも運命の導き、か……?』
ククク、と『ソレ』は笑う。
『運命は変えられない。貴様は今日ここで死ぬ、それは既に運命によって定められていたのだ。恥じることはない、運命を受け入れろ』
赤は海に混ざって薄れていく。動かなくなった男への興味をなくしたのか、『ソレ』は海底を見渡す。
『……ふむ、しかしコレはマズイな……分かっているのか、『私』は?』
腹をさすりながら――いや、正確にはDIOの手によって貫通した穴があった箇所をさすりながら、『ソレ』は呟く。
『他人の運命の肩代わり、とは……随分と無茶を――いや、無意識か? そうなのだろうな、『ワタシ』を覚えていないところを見ると』
運命は変えられない。ほんの少しずらす事はできるが、大きく逸脱する事はない。このままエジプトへの旅を続ければ、斎王琢磨は死ぬだろう。運命の重さに耐えきれず。
だが、彼に後悔はない。そうして自分が死ぬのならば、それは、きっと――。
『それが、『私』と『ワタシ』の運命なのだから、な』
ぷはり、と海面に浮かび新鮮な空気を吸う。その姿はいつもの斎王琢磨に戻っていた。
スタクル全員生存(自分も生き残るとは言っていない)
つまりそういうことです。もう一人のボク!
『ワタシ』が出てくる条件も何となくでわかるデュエリストいるだろうな…
ヒント:スート・オブ・ソードXはOCGに…?