ラブライブリスタートシリーズ エンジェルパーティータイム   作:しゅみタロス

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スピンオフ
風間ジュンヤと悦楽のアールグレイ


とある春休みの事

 

黒猫団スタジオ

 

シューカチャっ

 

手慣れた手つきで紅茶を淹れる風間ジュンヤと横でチーズケーキを皿に乗せる海道陸。

二人は3年生への進級を控え、それぞれの道に進んだ黒猫団たちとは現在離れている。

 

陸「大分静かだな」

ジュンヤ「今はね、またその内賑やかくなるさ」

 

ティーカップに注がれた紅茶を嗜みながら陸は話を切り出した。

 

陸「それよりも、冬休みの間にイギリスに戻ったんだろう?ルビィも連れてさ」

ジュンヤ「ああ、黒澤家と話が進んでね」

陸「やっぱり、結婚とかするのか?」

ジュンヤ「まだ早い話だよ、ただ両家公認の関係になったことについては否定しないが、この事は当然イギリスにいる父さんにも話しておく必要があったからね」

 

ジュンヤは紅茶を啜ると穏やかな表情で陸に聞く。

 

ジュンヤ「聞きたくないかな?イギリスでの話」

陸「聞かせてもらおうか、少しは紅茶がうまくなりそうだからな」

 

 

4日前 

 

イギリス ロンドン

 

ガラガラ

 

ルビィ「ジュンヤさん!!見た事も無い物があそこにも!!」

ジュンヤ「楽しそうだね、でも好奇心であんまり離れないように」

 

物珍しそうに空港のあちこちを見渡す黒澤ルビィ。

 

ジュンヤはトランクケースを2つ抱え、ルビィと共にエントランスを出る。

 

ルビィの視界に広がるのは映画の様なレンガの建物と巨大な時計塔。

 

ルビィ「本当に来たんだ……イギリス」

ジュンヤ「向こうで僕の家の使用人が車を手配している、待たせないように急ごうか」

 

ブロロロ

 

黒いビートルが唸りを上げながら二人を乗せて公道を走って行く。

 

ルビィ「まるでファンタジーみたいだ、お店も沢山ある」

使用人「気になる場所がございましたら、何なりとお申し付けください。荷物もお持ちいたしますよ」

ルビィキラーン「いいの!!」

ジュンヤ「僕も付き合うよ、陸にお土産頼まれてるんだ」

使用人「それでは」

 

それから車を降りた3人はイギリスの色々なお店を見て回る。

 

洋服、アクセサリー、ぬいぐるみ、お菓子、喫茶店。

 

目に映るありとあらゆる物を買い込んだ後、二人はジュンヤの屋敷へと向かった。

 

ルビィ「ここが、ファンガリオン家」

 

赤レンガの壁と尖がった屋根、まるで魔法使いの屋敷のような不思議な建物。

 

ジュンヤが扉の前で取っ手を2回鳴らすと奥から老人が現れた。

 

???「おお、孫よ。よく来たな」

ルビィ「さ、サンタクロース!!」

ジュンヤ「そう思われても仕方ないと思うけど彼は……」

 

老人は優しげな顔でルビィに手を差し伸べる。

 

老人「ジュンヤの祖父のクロローゲート・ファンガリオンだ。覚えにくかったらサンタでも構わんぞ」

ルビィ「黒澤ルビィです、よろしくお願いします」

クロロー「外は寒いし、長旅で疲れただろう。中に入りなさい」

 

 

家に入ると中には彫刻や絵画などが飾られ、使用人が常にいる、ルビィはここでの生活は恐らくホテル感覚じゃないと慣れそうにないと思いながら広間へと案内された。

 

そこにはアップルパイやクッキー、チョコレートケーキなどが並び、3人の人物が座っていた。

 

クロロー「私の家族だ、紹介しよう」

 

???「ジュンヤの祖母、フィーニスラルク・ファンガリオンです。仲良くしてね」

???「ジュンヤの父、風間厳角だ。日本人だから気軽話してくれ」

???「ジュンヤの母の風間・シエスティー・裕子・ファンガリオン。裕子と呼んで、ルビィちゃん」

ルビィ「黒澤ルビィです、よろしくお願いします」

 

ジュンヤ「それじゃあ、席について。お茶会を始めようか」

 

机の上に並べられたお菓子を嗜みながらルビィはジュンヤとの1年間やスクールアイドルの事について話した。

 

皆まるで孫の様に優しくしてくれるため、ルビィは自然と打ち解け合いながらお茶会を楽しんだ。

 

そこからしばらくして。

 

自分の寝室に戻ろうとした時だった。

 

ジュンヤ「ルビィちゃん、ちょっといいかな?」

ルビィ「ジュンヤさん?」

 

ジュンヤの手にはアンティークのカギ、ルビィを誘うと屋敷の奥へと案内した。

 

ルビィ「ここはどこに繋がってるの?」

ジュンヤ「先祖代々、ファンガリオン家に認められた者にしか入れない場所さ」

 

扉を前に、ジュンヤはカギを差し込み、その扉を開ける。

 

その先には……

 

ルビィ「凄い……」

ジュンヤ「ファンガリオン家の舞踏会場だよ」

 

大きなレコードプレーヤーを動かしルビィの前でジュンヤは手を伸ばした。

 

ジュンヤ「今宵、僕と一曲付き合ってくれないかな?」

 

ルビィは心からのジュンヤの誘いに優しく手を取った。

 

ルビィ「お願いします、ジュンヤさん」

 

穏やかなクラシックと共に手を取り合って舞い踊る。

 

ルビィ「すみません、私、下手だよね?」

ジュンヤ「大丈夫、僕がエスコートするから」

 

初めてのルビィちゃんとのイギリス

 

それは自分にとっての初めてでもあったのさ。

 

 

陸「へえ、随分と幸せな話だな」

ジュンヤ「その後、正式に黒澤家とちゃんと関係を持つ事が出来たのさ」

 

陸はジュンヤの話を聞いてふと思うのだった。

 

陸「俺も、千歌(あいつ)の役に立ってるんだろうか?」

 

静かにチーズケーキを手で持って齧る陸にジュンヤは答えた。

 

ジュンヤ「時には、見返りの無い愛も悪くないんじゃないかな?それに、彼女は陸の近くに居るのが幸せなら、十分陸はそれに答えている。悩む事はない、そうでしょ」

 

陸はジュンヤの言葉を聞いて、吹っ切れたようだ。

 

陸「考えても仕方ねえ、俺のやり方でやってみるさ」

 

鞄を手に玄関に向かうリクを笑顔でジュンヤは手を振り、送り出す。

 

陸「春休みが明けたら俺は東京のディスク・ドール・シンフォニクスで修行だ、大きくなって帰って来るからな!!」

ジュンヤ「僕も近いうちに東京で新しい生活を始める予定だ、お互い頑張ろう」

 

パンッ!!

 

互いにタッチを交わすと陸はスタジオを後にするのだった。

 

それは、新たな始まりへの序章である。

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