ラブライブリスタートシリーズ エンジェルパーティータイム   作:しゅみタロス

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風間ジュンヤと黒色のバラード

アクアがラブライブで優勝して1年が経ち、季節は秋に染まっていた。そしてここ、東京の表参道にジュンヤとルビィが降り立つ。

 

ルビィ「ここが表参道、空気が澄んでて気持ちいい」

ジュンヤ「どうする?街を散策するかい?」

ルビィ「あー、そうしたいんだけどジュンヤさんの仕事の事で来てるから、お姉ちゃんに迷惑かけないようにって」

ジュンヤ「あはは、それは大変だね」

 

本当はルビィちゃんには仕事の事はあまり気にせず遠出を楽しんでほしいが、気を使ってしまっているのか、少し不憫に思えてしまう。そうジュンヤは思いながらフォローする。

 

ジュンヤ「それじゃあ、仕事終わったら晩ご飯は外食にしようか」

ルビィ「外食!!」

 

一瞬で眼が輝きを取り戻す、とりあえず心配はなさそうだ。

 

ジュンヤはルビィちゃんの手を引き、歩き出すのだった。

 

 

ジュンヤ「ここだ、久々に見たよ。この建物」

 

赤いレンガ造りの大きな建物、ここは先祖代々ファンガリオン家が管理している別荘の一つ、かつては風間一族がファンガリオン家をもてなす為に作った西洋風の酒場であり、建物の上階には宿泊スペースもあるなど当時としてはとても贅沢な建物だった。

 

ジュンヤは鍵を開けて中へと入る。

 

ルビィ「凄い……異国の地に来たみたい……」

 

4つの巨大な木製のテーブル、完備されたガスコンロ、カウンター席や特設のステージやピアノなど、目に見えるモノはどれも時代を感じさせる。

 

ジュンヤ「来る前に地元の内装業者に掃除を頼んでおいた、後は電気を通すだけ」

 

そう言ってジュンヤはブレーカーを上げると照明がつき、ランタンの様な暖かい光が空間を包む。

 

ジュンヤ「さて、仕事を始めようか」

 

ジュンヤはそう言うと運んできた大量の家電や食器の箱を開けた。

 

 

ルビィ「これが、こうで……」

 

食器をそれぞれ棚へとしまっていくルビィ、ジュンヤはその後ろで厨房のオーブンを取り付け、稼働させる。ミキサーの管理やお湯のポッド、グリルや炊飯器をそれぞれ設置していく。ルビィも調味料のコンテナを台車で運び、奥の貯蔵庫に置いた。

 

ルビィ「はぁ、これで良し。ん?」

 

貯蔵庫を出た時、キッチンの下に謎の黒い箱が落ちていた。

 

ルビィ「なんだろう?」

ジュンヤ「どうしたんだい?」

 

準備が終わった頃、ルビィの手にした黒い箱を見る。

 

ジュンヤ「それは……」

 

ルビィは好奇心のままに、箱を開いた。

 

ルビィ「オルゴール?」

 

黒い箱の正体はオルゴールであり、ぎこちないが音楽を奏でている。

 

ジュンヤ「このメロディーライン、どこかで……」

 

ジュンヤはPADを取り出すと電子化されたファンガリオン家の楽譜を手にする。

 

楽譜を目で追ったその先にジュンヤは驚愕した。

 

ジュンヤ「黒色の……バラード……」

ルビィ「え?」

 

ジュンヤは驚愕すると同時にオルゴールを再び再生すると一音毎に音符を書き綴る。ジュンヤは書き終わるとルビィに語り出した。

 

ジュンヤ「正直、今僕の心はぐちゃぐちゃになってる」

ルビィ「どういう事?」

ジュンヤ「オルゴールの中の歯車に名前が彫られてるでしょ?」

 

ルビィはその歯車に彫られた名前を凝視する。

 

ルビィ「キョウノスケ・カザマ……シェリーファンガリオン?」

ジュンヤ「僕のひいおじいちゃんだ、風間家の一人にして、第二次世界大戦で日本兵として戦って死んだ。悲劇の奏者、シェリーファンガリオンはひいおばあちゃんで3年前に亡くなり、遺品も何も残って無かった。あるとすれば、続きの無い楽譜。それがファンガリオン家の大きな遺産の一つ……

 

それが、黒色のバラード。歴史から消された哀しき恋の歌。それがこのオルゴールで全て完成した」

 

ルビィ「そんな大事な物が、どうしてここに……」

 

ジュンヤはふと思いつく。

 

ジュンヤ「この建物は構造的に爆撃を受けてもビクともしないほど頑丈だ、もしかしたら。ひいおばあちゃんはこの場所に避難してひいおじいちゃんを待ってたのかもしれない。

 

二度と帰らない人を、この焼け野原の日本で……」

 

ルビィは締め付けられる様な事実に声が出なくなる、ジュンヤはルビィの頭を自分の胸に寄せた。

 

ジュンヤ「ルビィちゃん、黒色のバラードはファンガリオン家の人たちにとっては悲劇の曲と言われているが、歌詞の中にこんな言葉がある。

 

暗闇に落ちても、手を伸ばせば光があり、悲劇と救いは表裏一体、人の人生にはなくてはならないもの。

 

だからひいおばあちゃんは決して後悔して無かったんだと思うよ。

 

出会いも……別れも……」

 

ルビィ「ジュンヤさん、私から、離れないでくださいね……」

 

ジュンヤ「もちろん、離れないよ」

 

ジュンヤは完成した楽譜の最期のフレーズを見て誓うのだった。

 

 

 

 

この私が滅びようとも、愛は受け継がれ、この先で惹かれ合う我が血族に、女神の祝福があらんことを。

 

 

ジュンヤ「この場所で、繋いでいけるといいな。ファンガリオンの物語を」

 

 

 

その後、カウンター席も横に飾られたロイヤルローズと共に、あのオルゴールも飾られていた。

 

ジュンヤとルビィ、2人の写真と共に……

 

 

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