ラブライブリスタートシリーズ エンジェルパーティータイム   作:しゅみタロス

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仁乃介「エンジェルパーティータイム2話が始まるぞ。とは言え俺の出番無いけど。」
曜「スクールアイドル部は果たしてどうなるのか期待しよう。ヨーソロー!!」



第2話 英雄S/彼女は風を奏でる。

あの一件から翌日

 

「スクールアイドルで廃校阻止、本気で言ってるのですか?」

 

再度申請を提出し目的をもって再び生徒会室にやってきた二人。

真剣な顔でダイヤを見つめていた。果たして……

 

「ちょっと失礼」

 

ダイヤは席を立つと電話を取り出して誰かに連絡する。

連絡を終えるとダイヤは結果を伝えた。

 

「部活としては認めていいわ。だけどその代わりに部員を1ヶ月の間にあなたたちを含めて6人集める事が出来れば学校側も支援すると理事長の方から話がついた。やってみなさい」

 

千歌その後曜と共に昼ご飯を食べつつ会話をしていた。

 

「1ヶ月で6人か……曜ちゃんはこの条件難しいと思う?」

「難しいの前にやってみなきゃ分からないと思う。ただ問題はセンスと技量を持った誰かを探さないと設立したとしてもうまくやっていけない。かなり慎重にやる必要があるね」

 

その後試しに何名かスカウトしてみたが結果は勿論玉砕の連続。

時間も無くなって帰る時間となってしまった。

だがここで願っても無い幸運が舞い込んできた。

 

誰もいない教室で忘れ物を抱えて走って行く一人の少女を目撃する。

 

その先に一枚の紙を落としてそれを二人は拾った。それは……

 

「千歌ちゃん、これって……」

「自作音楽の楽譜だ」

 

そして千歌は目を輝かせて答えた。

 

「追いかけようよ、きっとあの子は作曲の天才。スクールアイドルの素質を持ってる!!」

 

二人は少女を探して通学路を走り出した。

 

数分後

 

「どうしよう、どこに置いてきたんだろう。大事な物なのに……」

 

忘れ物に気づくとファイルを確認していた。

 

「待って~!!」

 

すると息を荒くして走ってきた二人が少女に駆け寄る。

 

「あの、もしかして追いかけてきたの?」

「これ、大切な物でしょ、届けに来たんだ」

 

楽譜を渡すと少女はそれを受け取る。

 

「わざわざ届けてくれたんだ、ありがとう」

 

すると少女は生徒手帳を見せて自己紹介をした。

 

「私は桜内梨子、ピアノをやってるの」

「高海千歌だよ。よろしく」

「渡辺曜だよ!ヨーソロー!!」

「確かスクールアイドル部の二人だよね。今日勧誘してた」

「見てたの!」

「何となく通りすがった時に」

 

すると千歌は目を輝かせて梨子にお願いした。

 

「梨子ちゃん、スクールアイドル部に入って!!音楽を作れるならきっと役に立つよ!!」

 

大方想像通りだったために梨子が出した回答は……

 

「無理があるかなあ……」

 

翌日 ファミレスにて

 

ズーン

 

「とんだ大失敗だな、まあいきなりそんな事言われたらNOも当然だけど」

 

陸と千歌はファミレスで近況を聞きつつスイーツを楽しんでいた。

 

「うまく行くと思ったのにこの有様だよ……」

「でもそこで諦めたらいい人材なんてもういないぞ。もう少し頑張れよ」

「分かった」

 

千歌はそう言いつつパフェのウエハースを口に咥えた。

 

その頃梨子は……

 

ガッバキッズガァ!!

 

「今日こそ負けない、あなたを超える!!」

 

梨子の休日の過ごし方はゲームで遊ぶこと。

特に今やってるこれは世界的人気を誇る格闘ゲーム、その名もノックアウトファイターである。

 

そして梨子にとってのゲームにおける最大のライバル、その名は……

 

パーフェクトゲーマーフィリップである。だが彼は……

 

「よし!相手のゲージも減ってきた。これなら……」

 

ズガァ!!

 

「カウンター!しかもヒット数が尋常じゃない!!」

 

慢心が招いた誤算、あっという間に形勢逆転されてしまった。

 

「侮れないわね、流石はノックアウトファイターの世界チャンピオン」

 

テレビを消してゲームを終了させると楽譜を手にピアノのあるホールへと出かけて行った。

 

梨子は玄関前のトロフィーを見つめると寂し気に呟いた。

 

「私はもう、今の実力では勝てない、どうせ……」

 

街に出ると近くの喫茶店に立ち寄った、ただ人が多く相席する事になった。

 

「失礼します」

 

向かい側の席にはヘッドホンを付けてパソコンを打つ一人の若者がいた。

 

「ああ、失礼。今日は相席だった、どうぞ」

 

若者の礼儀正しさに安心しつつ紅茶を頼む。

すると若者がパソコンを閉じて頭のヘッドホンを外した。

パソコンをしまうと梨子に若者は会話を持ち出した。

 

「これからホールを向かうのか?楽譜を持ってるから……」

「はい、ピアノをやっていて……」

 

若者は会話を聞きつつ隣に置いてあった角砂糖を口に咥えた。

 

「え……あの、今凄い事やってましたけど……」

「ああ、頭を使っていると自然と糖分がほしくなるからつい癖で」

「何をなされてるんですか?」

「ランキングを支配してるんだ。ノックアウトファイターというゲームのプレイヤーでね。ただ最近まるで執着する様に僕に挑んでくるプレイヤーがいて、誰かは知らないけど、確かユーザーネームはルナとか言ってたな?」

「えっ……」

 

何か心当たりがあるのか梨子は一瞬固まってしまった。

 

「どうかしたのか?顔色がさっきと違うぞ」

「い、いやなんでも無いです」

「君を問い詰めるつもりは無い。ただ一つ言わせてもらおう」

「何ですか?」

「くれぐれも他者の期待や願いを裏切るような事はするな。僕はそういう人間を沢山見てきた。君とはまた会うかもしれない」

 

若者はリュックを背負い喫茶店を後にした。

 

その夜の事……

 

「梨子ちゃんならスクールアイドルにうってつけだと思ったんだけど……」

 

自室でそう言いつつパジャマ姿で窓を開けた。少し風を感じると向かい側の家の窓には……

 

「えっあ、あれって……」

 

思わず千歌は声を上げた。

 

「梨子ちゃん!!」

 

紛れもなく梨子だった。

千歌の声に反応した梨子は窓を開けて顔を合わせる。

 

「千歌ちゃん!!」

 

お互い声をそろえて聞いた。

 

「お隣同士だったんだ……」

 

お互い5秒の沈黙の後、千歌は梨子に尋ねる。

 

「考えは、変わらないかな……」

「私がスクールアイドル部でやっていけるか、不安なんだ。一度も経験したこと無いから。私が千歌ちゃんの力になれるかどうかそれで……」

「じゃあ入部してくれるの?」

「それは……」

 

『くれぐれも他者の期待や願いを裏切るような事はするな』

 

脳裏にその言葉が過ると梨子は意を決して答えた。

 

「私にやれるのならやりたい!!」

「一緒にやろうよ、梨子ちゃん!!」

 

梨子の心に触れた千歌は一つの輝きへと導くことになった。

 

翌日の事、音楽ホールに足を運んだ梨子。

 

「少し早すぎたかな……」

 

開かない扉の横から一人の人物がやってきた。

 

「スクールアイドルとやらに挑戦するようだな、ルナ」

 

紛れもなく喫茶店で出会ったあの若者だった。

 

「何であなたがスクールアイドルの事を!!」

「彼女、高海千歌と君が一緒にいる限り、繋がりとは言うのは切れないものだ」

「千歌ちゃんの事知ってるの?」

「話を聞いた限りではね。それに僕たちはノックアウトファイターでいくらでもやり合ってるじゃないか?」

「やっぱり、貴方がパーフェクトゲーマーフィリップ!!」

「ご名答、それに君の事も少し興味深くなってきた、スクールアイドルとピアニスト、君は二つの道を極めようとしてる。実にゾクゾクするねえ」

「少し変わってるのね、あなたは……」

「おっと失礼、自分は人が才能を持つことに深い意味を求めている、そう言った人に僕は惹かれているんだ。変かもしれないけど頑張る事は無駄じゃない、頑張ってみなよ。応援してる」

 

梨子は彼の言いたい事を理解すると笑顔で返した。

 

「ありがとう」

 

満足気に去っていく若者、この出会いが後に大きく梨子を成長させる事は誰も知らない。

 

 




しゅみタロス「果たして彼は何者なのか。次回は少し物語が長くなります。
どうもありがとうございました。」

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