インフィニット・ストラトスの世界に転生する事になったんだけど転生特典が違う件。まぁそれでも元気にやってます。 作:遅筆戦士ハルトマン
タッグマッチトーナメント戦当日、発表されたトーナメント表を見てまさかの展開に俺は驚いた。
「まさか一夏達とラウラがいきなり戦うことになるとはなぁ・・・」
本日の第1試合が一夏、シャルロットチームとラウラ、箒チームの対決で、専用機同士の対決でもあり注目度が凄い事になっている。ランダム抽選でラウラと組む事になったみたいだが、この面子に放り込まれる箒ェ・・・
「篠ノ之さんも大変だねぇ・・・」
そう言っているのは今回俺のタッグパートナーとなったクラスメイトの鷹月静寐さんだ。そして箒のルームメイトでもある彼女は心配そうに打鉄を纏う箒を見つめていた。ちなみに一夏達の後の試合に出るのが俺達なので、彼女はラファールを纏っている状態で待機してる。
「箒さんは
「あはは・・・」
俺のコメントに苦笑する静寐さん。そんな事を話していたら試合が始まったようだ。待機所にあるモニターで観戦していたが、何というか
「ほんとに
即席である以上連携は難しいだろうと思っていたが、それ以前にラウラは邪魔だからと箒ごと攻撃してたりする。アカンて・・・FF行為は貢献−10やで。やりすぎればBAN案件やぞ。
「あっ篠ノ之さん落とされた。」
「まぁ残当・・・というかボーデヴィッヒさんのせいでより速く落とされた感はあるな。」
箒はラウラに吹っ飛ばされだ後、シャルロットと戦闘に入り頑張っていたが落とされた。ラウラはその後一人で戦っているがジワジワと追い詰められている。
「箒さん自身近接戦闘能力は目を見張る物はあるんだけど、相手がシャルルだったからなぁ。この戦い、一夏に箒さん、シャルルにボーデヴィッヒさんがぶつかれば変わったかもしれないけど、箒さんが落とされた以上、一夏達の勝ちだろうな。」
「ボーデヴィッヒさん、織斑君と因縁あるみたいだったからねぇ。冷静じゃ無かったのかも。」
俺と静寐さんはそう話ながら試合の行く末を見ていた。思った以上に一夏とシャルロットの連携が取れてる。そしてシャルロットのシールド裏に隠されていたパイルバンカーがラウラに炸裂した。
「おお、とっつきだ。」
俺が小さな声で感動してると静寐さんが「とっつき?」と首を傾げていた。やっぱ伝わらないよなぁとか思いつつ、戦いを見守る。決着が着いたと思った瞬間、ラウラの様子がおかしい。
『助けて・・・』
「えっ?」
声が聞こえたと同時にラウラのISが暴走した。彼女のISから黒い液体が染み出し、装甲が軋みを上げ、砕けて形を変える。その姿は彼女のISとは大きくかけ離れ、全身装甲型の様になる。そして新たに形作られた顔のバイザー、その奥のツインアイが光った。直後に鳴り響く緊急警報、緊急時に対応する為に待機していた教師陣がアリーナに突入し、彼女を取り囲んだ。
「何なの、あれ・・・」
驚く静寐さんの声が聞こえるが、俺は俺で別の意味で動揺を隠せなかった。変質したラウラの機体を少しだが知っていたからだ。
(トーリスリッター・・・だっけかあれ?)
ガンダムサイドストーリーズに出てくる機体で、その作品の看板MS、ペイルライダーが色々あって最終的にトーリスリッターになるのは知ってるが、それしか知らない。サイドストーリーズやったことが無いんだよなぁ・・・しかし、何故ラウラのISが急にMSになったんだ?この世界にはガンダム作品は存在しない。例外と言えるのが俺のシナンジュ・スタイン位だったし、そもそもあんな形で現れる事自体が謎だ。何よりも、
「・・・何であの機体データが俺のISに入ってるんだ?」
トーリスリッターを見ていたら、何故か機体データが表示された。静寐さんのラファールにはunknown表示のみらしい。わからない事が多いが。それよりも
「中に居る一夏達、特に箒さんが心配だ。」
まだ動き出してはないが、撃墜判定を受けた箒が狙われれば最悪の事態が起こりうる。俺は山田先生と織斑先生に連絡を入れた。そして何故か取得出来たトーリスリッターの機体データを送り、中に居る箒達を救助するべきと進言した。山田先生は驚いていたが、織斑先生は少し考えた後、了承してくれた。しかし、条件付きでだ。
「鷹月さんや俺達の対戦相手の方々合わせて四人で救助ですか?」
『こういった事態に対応させる為にタッグマッチバトルにしたのもあるが、あの機体・・・トーリスリッターは危険だ。まずは四人で篠ノ之を救助、その後は篠ノ之を護衛してアリーナを離脱してくれ。鷹月達三人が離脱した後に霧雲は織斑、デュノアと共に教師隊の援護をしてもらう。本来、実戦経験の少ない織斑と霧雲には下がって貰うべきだがオルコット、凰の二人が動けない上、学園に来ている政府関係者の護衛の関係上、二人にも対応してもらうしかない。だが無理をするな。良いな?』
「わかりました。では護衛が終わり次第、二人にSE補給タンクを持って行き、合流します。」
『頼んだぞ。』
俺はそう言って通信を切り、一夏とシャルロットの為に緊急補給用のSE(シールドエネルギー)タンクを三個分空きスロットに登録し、拡張領域にしまう。
「鷹月さん、織斑先生から連絡は来た?」
「うん・・・」
彼女は頷いたが、かなり不安そうな表情を浮かべていた。まぁ俺が提案したのが原因で巻き込んだ形なので、そこは申し訳なく思う。そんな事を話していると対戦相手の予定だった4組の二人組から連絡が来た。向こうも織斑先生から連絡を受けてこちらに連絡して来たのだろう。名前は如月凛さんと宮代麗奈さんと言うらしい。二人共緊張してるようで声が固く感じる。
「大丈夫だ、前に授業で習った救助訓練通りにやれば問題ない。それに、最悪狙われたら俺が身体を張って皆を守る。」
「霧雲君・・・」
「まぁそれでも狙われない様に祈ってほしい。なんせ今日の星座占い俺は最下位だったからな。」
『急に不安になってきたんだけど・・・』
『大丈夫なんですか・・・』
「やっぱり不安だよぉ・・・」
宮代さん、如月さん、静寐さんから順番にそう言われてしまった。それでも笑ってくれたので、多少なりとも緊張は解けたみたいだ。
「それじゃあ、行こうか。」
俺と鷹月さんはカタパルトに乗り、出撃する。アリーナに突入した時、トーリスリッターは未だ動かず、教師隊とにらみ合いが続いていて、反対側からは対戦相手の二人組がアリーナ内に入ってきたみたいだった。
「アリーナの壁側に沿って箒の所に向かおう。」
箒は撃墜判定後に壁側に待機していたみたいだったので、この分なら問題は無さそうだ。先に4組の人達が辿り着き、その後俺達が合流した。
「すまない皆。迷惑を掛ける・・・・」
「気にするな箒さん。こうなるとは誰も思わんかったからなぁ・・・。皆、箒さんを頼む。」
そしてアリーナ出入口に向かおうとした時、トーリスリッターのツインアイが禍々しく赤く光った直後、動いた。背中から六基のインコムを展開し、あっという間に教師隊の一人を撃墜した。そしてライフルとシールドのビーム砲が教師隊の動きを乱して行く。
「何?急に動きが変わった?」
「ちょっとヤバくないアレ・・・」
静寐さんが驚き、宮代さんが不安そうに呟く。俺はトーリスリッターから目を離せなかった。EXAMシステム、それに似たシステム持ちの機体なのかと驚いているとまた一人やられた。そして、ソイツはこちらを捉えた。
「こっちを狙ってます!?」
如月さんの叫びと同時、俺とトーリスリッターは動いた。トーリスリッターはビームライフルを撃ちつつこちらに向かってくる。俺は盾でそれを防ぎつつビームライフルで迎撃、そしてグレネードランチャーを撃つが当たらない。
「ここは俺が!!」
俺はそう叫び、ビームサーベルで斬り掛かってきたトーリスリッターをビームトンファーで迎撃する。するとトーリスリッターの肩の一部である隠し腕が動き出し、背中にある大型の筒を引き抜いて光刃を発振する。
「隠し腕!?しかもハイパービームサーベルか!?」
俺は慌てて距離を取り、ハイパービームサーベルを避ける。しかし、ハイパービームサーベルには長さと威力があり、完全に避けきれずシールドエネルギーが削られる。俺は反撃しようとしたが、奴はシールドのビーム砲をこちらに向けていた。
「優斗!!」
一夏が横合いから斬りかかり、攻撃は中断された。その後教師隊とシャルロットの援護が入り、態勢を立て直す。皆が攻撃を引き受けている間に一夏に近づく。
「悪い、助かった一夏。」
「気にすんな。だけど白式のエネルギーが・・・」
そう言った一夏に俺はSEタンクを2つ渡した。
「その為に持ってきた。シャルル君の分もあるから、俺達が攻撃を引き受けている間に補給してくれ。」
俺はそう言って、再びトーリスリッターの方へ向かう。奴は教師隊やシャルロットの猛攻をいなしつつまた鷹月さん達を狙っていた。また教師隊の一人を倒した奴はインコムに取り付けられていた刃、トライブレードを展開させ、四基が彼女達の元へ向かっている。
「させるか!!」
俺は彼女達の前に出て、ビームライフルを撃つ。ニ基は破壊できたが、もうニ基が破壊できなかった。
「やべっ!?」
俺はバルカン砲を撃つが、破壊できないものの勢いを殺す事が出来た。だがもう一基が飛んでくる。それを盾で防ぐが盾が破壊される。
「っ来る!?」
俺はビームサーベルを振り、トーリスリッターのビームサーベルを防ぐ。奴は再びシールドのビーム砲をこちらに向けるがそれより先に武器をバズーカに切り替えてシールドの砲口に向けて引き金を引く。バズーカが壊れたが敵の厄介な武器を一つ壊せたので良しとしよう。
「霧雲君!!」
今度はシャルロットの援護が入り、奴は距離を取る。その隙に3人は箒を避難させていた。
「シャルル君、思ったより来るのが早いな。補給はしてないのか?」
「僕のシールドエネルギーは余裕があるから、僕の分のも一夏に使って貰ってるんだ。」
そう言った彼女に俺はビームライフルを呼び出しつつもう一つの補給タンクをシャルロットに渡す。
「だと思って、もう一つ持って来ていた。俺と先生達で足止めするから補給してくれ。その後頑張って貰うからな。」
俺はそう言って彼女の返事も聞かずにトーリスリッターに突っ込む。驚く事にまた鷹月さん達を狙おうとしていた。
「もしかして篠ノ之さんを狙ってる?」
撃墜した教師達に目もくれず、鷹月さん達を狙っているので可能性が高い気がする。もしくは彼女達のいずれかが。だとしても
「そんな事!!」
また奴の前に立ちふさがり迎撃する。教師隊も大分やられてしまったが盾とインコムを破壊している分まだこちらが有利だ。
「うぉぉぉ!!」
俺が抑えてる間に気合を入れた一夏の声と共に側面から斬りかかり、それを避ける奴に向かって俺と教師隊、シャルロットで追撃射撃を行い、ダメージを蓄積させる。このまま削り切れば何とかなると思ったその時、残りのインコムと隠し腕、ハイパービームサーベルを展開した。
「何っ!?」
俺にビームサーベルで斬りかかり、側面から来た一夏はハイパービームサーベルで迎撃、ビームライフルでシャルロットを牽制、残りのインコムで教師隊の一機に集中攻撃をして沈めてしまった。更に一夏とは反対方向から斬り掛かろうとした教師もハイパービームサーベルで斬り捨てた。
「ヤバいな・・・」
「ああ、・・・それにまだ箒達も避難できてない。」
一気に二人落とされた事により教師隊が全滅。こちら側が追い込まれたと言っていい。それに一夏が言うように彼女達は避難できていない。その時間を作れなかった俺達に責任があるが。
「それもだけど・・・あの中に居るラウラも心配だよ。」
シャルロットの言葉に俺はどういう事かと聞くと、どうやら急に動きが変わったのはVT(ヴァルキリー・トレース)システムによるものじゃないかという事で、身体の負担が大きく、現在は禁止されてる物との事。
(だとしたら、あの時聞いた助けを求める声は彼女の声だったのかもしれないな・・・)
「ならラウラも速く救出しないと。」
俺がそう考えている時に一夏はそう言ってトーリスリッターを睨む。
「かなり厳しいけど、やるしか無いよね・・・」
シャルロットも覚悟を決めたようだ。そして俺はちらりと静寐さん達を見る。箒の前で盾になろうとしている静寐さんと宮代さん、箒を抱えている如月さん。
(・・・やるしかない。)
「俺が合図を出して突っ込んで接近戦を仕掛ける。シャルル君は左側の隠し腕を狙ってくれ。その後は俺達がアイツの動きを止めるからその後は一夏の零落白夜で決めて、ラウラを救出する。それでいこう。」
「ああ、わかった。」
俺の提案に頷く一夏。判断が速い。シャルロットも頷いてくれた。
「それじゃあ・・・プランB、発動!!」
俺はそう叫んで突撃する。奴の攻撃を避けながら距離を詰めていく。飛んできた四基のインコムをライフルで二基を破壊、そしてライフルを投げ捨て、背中の二本のプロペラントタンクを外して手に持ち迫りくるインコムにぶん投げた。トライブレードを展開していたインコムとタンクがぶつかり、タンクの中に残ってた燃料が引火して爆発。これでインコムは全て破壊した。
「っ!?」
俺はビームサーベルで奴が放ったビームを切り裂きながら進む。こちらも少なからずダメージを受けるが、それでも強引に進んで距離を詰める。そして奴のライフルを破壊した。更に追撃を仕掛けるが、ビームサーベルで受け止められる。そして両肩の隠し腕が展開した。
「今だ!!」
俺が叫ぶと、シャルロットがライフルを構え、ハイパービームサーベルを破壊した。残る右側が振り下ろされそうになった瞬間、トーリスリッターにビームが直撃し、奴が怯んだ。その隙にシャルロットが再びライフルで残りのハイパービームサーベルを破壊してくれた。
「霧雲君!!」
ビームを撃ったのは、俺の捨てたビームライフルを拾った静寐さんだった。プランB、それは俺が近接戦を仕掛けつつ使用権限を解除したビームライフルを捨て、それを回収した鷹月さんが側面から攻撃をすると言う連携だった。
(後は一夏に繋ぐ、その為の隙を作る!!)
俺はバルカン砲で右手を狙い、ビームサーベルを破壊する。残りは左腕のビームサーベルのみ。奴が動くよりも先に俺はビームサーベルを捨て両手を掴み、抑えた。
「一夏!!」
俺は叫び、スタインのバーニアを全開させ、その時にイグニッション・ブーストを発動。圧倒的な加速力を得た俺はトーリスリッターを押し込み、勢い良くアリーナの壁に叩きつけた。
「今だ!!」
俺が離脱すると同時、零落白夜を発動させていた一夏がトーリスリッターを切り裂いた。
「・・・まだだ!!」
一夏はそう言うと返す刀でもう一度切り裂き、トーリスリッターに手を伸ばし、中からラウラを引き抜いた。顔色は悪そうだが彼女は無事そうだ。そう安心していた時、トーリスリッターが動き出し、一夏に掴みかかった。そして何かが唸る音。
「なっ!?」
突然の出来事に対応できなかった俺達だったが、誰よりも早く動いたのは一夏だった。
「優斗!!ラウラを!!」
そう言って一夏は俺の方にラウラを託す。彼女を受け止めると同時、唸る音が大きくなる。まさか
「自爆か!?」
「俺の事は良いからラウラを!!皆離れろ!!コイツ自爆する気だ!!」
一夏がそう叫ぶと、凛さんは箒の前に立ち、彼女を庇う様に防御態勢をとった。麗奈さん、静寐さん、シャルロットは近くで倒れている教師達を庇う態勢をとった。一夏も心配だけど、ISの絶対防御機能を信じるしかない。俺はそう思いつつも一夏から距離を取る為に後退する。一夏も逃れようと抵抗している様だが、それよりも早く爆発するのが早い。俺は自身を反転させ、ラウラを守るようして背中から爆風を受けた。衝撃と閃光に包まれる中、俺はラウラを守る事だけに集中する。やがて衝撃が収まり、周りが静かになったのを認識した俺は真っ先にラウラのバイタルデータを確認する。どうやら命に別状は無さそうだ。
「一夏ァァァ!?」
箒の悲鳴が聞こえ、俺は爆心地の方を見る。そこにはトーリスリッターの残骸とISコア、そして、ボロボロになった白式と一夏が倒れていた。