がんばれアイバー:俺がハンターになった理由   作:姉の犬

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『頑張れアイバー』ここまでのハイライト

 >「ぶっちゃけるときみは残り4年くらいで再び死ぬ」

 >わけも分からず異世界に投げ出され、へんてこ能力をエンチャントされ、見知らぬ土地で生きねばならない上に帰ったら一生ものの生き恥が待っているらしい。クソゲーである。

 >「オレの弟子になれ」

 >「竹箒だろ。いや、何も言うな。オレには分かってる」

 >「アッー!」

 >「下山して、お前の言う『真っ当に生きる』ってのを実践してみろ」

 >「ここまで乱暴な移動は初めてでね、正直状況が掴めない」


EX1_第08SS小界 ゴッズ・リポート:序

 時間とは連続し且つ流動性を持つ消費物ではなく、人類の処理能力から逸脱したプロトコルに依って確立する数学的言語である。それは言葉・記号・象徴・客観を内包するコードであり、包含するそれらと外部的主観とが疎通する事で遍く存在を形成する。

 畢竟、此処に記された様々な観測結果は私にも、そして君達にとっても過去ではなく、未来でもない。切り取られた一場面、主観に依拠する可能性の中から抽出された限定的存在にしか過ぎない。夢と現は保障されず、本義が処理装置に依って意味を喪失してしまうなら、果たして言語の留保に意義はあるのか。

 

 それでも、私は記そう。

 彼が生きた記録だから。私が紐解いた記憶だから。

 

 ◇

 

「んー。我ながら叙情的な前書きじゃのー」

 

 六畳一間の洋室にあって、その半分を占拠するマシンの前で悦に入るのは、御存知ヲーキド邪神その人である。(神を人と表すのはどうかと思われるが、人形(ヒトガタ)を成している以上はそう呼んでも間違いではなかろう)

 

 ワーキングチェアに体を預け、洋酒(ラフロイグ)片手に葉巻(コイーバ)を燻らせる姿に威光も何もありはしない。しかし、彼の趣味は矢張り高次の存在に相応しく、傲岸不遜の性質もまた然りで。一介の青年の運命を弄び観察するという理不尽な嗜みには、御業と称されるに値する奇蹟が含まれることは事実である。

 であるから、一見、というより彼より低次の域にある受容体からすれば、ヲーキド邪神の性質とは包含された奇蹟をこそ示すといえよう。

 

 人はエネルギーや現象に謎と恐怖を覚え、折り合いを付けるべく神を設定した。やがて奇蹟と定義されるそれを伴う純然な力に人格が付与され、やがて広義的擬人化を経て神族が形成される。

 こうした体系に生まれたヲーキドにも血族の存在があり、そこには当然孫の存在があった。

 

 今回展開される幕間は、その孫の一言で始まる。曰く、

 

「おう、じーさん。珍しく異世界干渉かよ」

「なんじゃツゲルか」

 

 素気なく返すヲーキドだが、口の端が持ち上がるあたり、一般祖父母の多分に漏れず甘い性格が垣間見える。

 

「小界に介入したらしいけど、どうせまた遊びだろ? 盆栽染みた趣味だよなー」

「ほっとけ。確かにテンポは悪いが、そこそこ楽しんどるぞ。フォロワーだっていくらか付いてくれたしのう」

 

 現役を退いた者のささやかな営みである。外野からとやかくいわれる事はないし、その益は即物的価値観に収まらずとも良いのだ。

 

「まあ隠居した老人の道楽じゃそんなもんか。それ、印刷したレポートだろ? 見せてくれよ」

 

 デスクに置かれたそれを目敏く見つけたツゲルは、言葉とは裏腹に興味津々といった風情だ。昨年ミドルスクールを出た彼は一足飛びに神の座へ就いたため、知的探究心は同輩のそれより貪欲であった。となれば、趣味程度の些細な情報にも当たろうとするのは自然なことで。

 

「仕方ないのう。後学にするんじゃぞ」

 

 言って、ヲーキドは手元のレポートを放った。

 

 ――下記は、ヲーキドに依り記述された記録である。読者諸氏に於かれては、本作の読解の補助とされたい。尚、記述内容については劇外で設定を語る事はせず、本文中から読み取れる情報のみが列挙されている。(ヲーキドの私見についてはこの限りではない)アイバーの足跡を紐解くにあたり、表現と受け取り方との齟齬を補完する機会としても利用して頂きたい。

 

 ◆

 

ワシの☆ウルトラスーパーレポート

 本レポートは、第08小界に於けるゲームの観測を補助するための記録である。

 ケースナンバー114514に於ける次元干渉コード・タイプIを用い、多重跳躍回路集積層Piperをモニターとして使用する。

 

 

・配役――本項で記述されるのはキャラクターである。

 

 アイバー=ナイデス:本ゲームの中心観測対象。舞台となる世界とは異なる其処から引っ張ってきた。酒で文字通り身を滅ぼしたバカじゃ。歳の割りに老けた精神をしておる。育ちのせいかのう。今は具現化系能力者として開花しておる。細かな情報は今後の物語で読み取れるようじゃ。

 

 ヲーキド:ワシじゃよ。神様転生に於ける神とは万能の舞台装置。デモン……否、デウスエクスナントカの具現といおうか。故にチープなモンじゃ。しかし様式美として確立している側面もあって、この辺の事情は一考してみるのも面白いかもしれんのう。本作とは関係ないがの。出番は終盤までないぞ。

 

 ヨセフ某:原住民じゃな。00を見直さなかったら記述を忘れるところじゃった。端役的描写はあるかもしれんが、たぶんシーズン3まで放置されとるじゃろ。次回総集編でもう1度触れるから、それまでは忘却しても問題ないぞ。

 

 カカロータ:説明不要のアイツじゃ。地元では仙人の呼称で通っておる。来歴などは伏せるが、関連タグの不在から解る様に、皆が思う彼本人ではない。本SSの原作には個の極地とされる老人がいるんじゃが、劇中の描写で察しがつく様に、こいつはその上を行っておる。こういう軽視に寛容になれないと本作を読むのは苦痛かもしれん。

 

 ウシ美・コケ子・サル太彦:畜生三獣士。(対峙した両者の内どちらかが死ぬ作品とは関係ない)アイバーはこの3匹を其々、牛・鶏・猿と認識しているようじゃ。振り返ると、三人称でこやつらの正体に言及している場面はない。これも小説の妙というやつじゃな。旅立つアイバーを晴れやかに送り出したぞ。

 

 廃棄街のおじさん達:アイバー大好きおじさんの群れじゃ。彗星の如く現れたアイバーを支配者の座に担ぎ上げたぞ。男の子はいつだって強さに魅せられる生き物なんじゃ。アイバーからは頭おかしい連中としか思われていないがの。まあ、かなり先で役立つじゃろ、知らんけど。

 

 プチアイバー達:アイバーを構成するちっこいアイバーの群れじゃ。分裂した直属護衛蟻とか超絶美形主人公の精子みたいな物じゃが、外見に関しては受け手の自由に任されておるぞ。小説の利点じゃな。シーズン1ではシニアという肩書きが見て取れ、どうやら一応の階級社会が成立しているようじゃな。彼らの正体設定は見えぬが、これもそのうち解るじゃろ、知らんけど。

 

・筋書――本項で記述されるのはストーリーである。

 

 初っ端の「ここまでのハイライト」が全て。これに尽きるのう。

 人情慕情といった精神作用にはあまり注力せず、設定を楽しむ――ライトな少年漫画的エッセンスが主張されておる。そりゃ男性向けと注意書きもするさな。いや、これについては他にも事情があるが。汲み取れる範囲じゃし、そも些事じゃし、問題なかろう。

 

・舞台――本項で記述されるのはステージである。

 

 原作舞台:本SSの原作となる『HUNTER×HUNTER』の世界――を表面情報だけ読み取って模倣された舞台じゃ。原作著者でない限りは同一世界の描写など不可能であるため、当然そうなる。今の所、期待される様な「原作との絡み」など無く、舞台性質の表出は念能力くらいのもの。原理原則はオリジナルに忠実な世界である、ということは介入者たるワシが保障するぞ。

 

 ハオズ市:その内容は02に詳しい。その隆盛は読んだ通りで、各種事業区画と、カカロータが居を構える山を含む自然保護区までを考えると、その土地の広大さが伺い知れるのう。これが一市として成立している背景を考えると何らかの力を感じざるを得ないが、果たして。

 

 廃棄街:その描写から多くの者に流星街と思わせたであろうパチモンステージじゃな。同大陸内にあって同質の機能を持つ流星街と並立するかが疑問じゃが、少なくともこの世界では成り立っているらしい。作中でアイバーの国民番号に触れられた際、懸念される可能性が流星街のみであった点からもこの街の性質は窺えるみたいじゃな。

 

・道具――本項で記述されるのはガジェットである。

 

 竹箒:アイバーが苦心惨憺の末に手にした具現化系の発じゃ。何らかの特殊能力を備えているのが一般的なカテゴリにあって、この箒はどうなのかというと……劇中で描かれた通りの性能じゃな。これに対してアイバー自身は疑問を持っておらず、具現化時の精神的苦痛を伴う制約を除いて概ね満足している様じゃ。発現までの道程を思えば、然もありなんというところか。

 

 イヤマ豆:アイバー曰く、回復チートアイテム。食べるだけで、深刻なダメージとやらを全快させる程の治癒力を誇るぞ。見た所、他にも効果があるみたいじゃが、さて。食材に捕獲レベルが設定されるような世界に在ってもおかしくなさそうじゃな。(小並感)

 

 龍球並技(ゼットアーツ):カカロータが使用。厳密な発ではなく、念を駆使するための技術体系じゃ。撃ったり飛んだりするぞ。完成度が極めて高いが、その内容はカカロータが使用する事を前提に練られたもので、一介のハンターでは1つ2つを固有能力として会得できれば上出来なくらいか。ターバン巻いたどっかの放蕩親父だったら大体は再現出来るんじゃないかの。

 

 竹箒ック:アイバー捨て身のカウンター。ただの前蹴りだが、放つには相応の勇気と覚悟を伴う。今日び小学生でも付けない絶望的なネーミングに反し、トンファーを握っていればカカロータに有効となる程のバフがあるんじゃと。その場限りで、今後2度と出ない幻の技じゃ。

 

 ◆

 

 ――ま、こんなところか。読者にとって悪い話ではないと思いますが?(煽り)

 

 レポート読了と共に、軍需企業にでも勤めてそうな滅茶苦茶イヤミな音声が流れた。その声音を聞いたツゲル少年の手に思わず力が篭るのも仕方あるまい。

 

「前書きでかっこつけたわりに、主題がひどいじゃねーか。書式は勿論、口語調を始めとして色々おかしいぞ。じーさんホントに大学出たのか? レポートの体っての解ってる?」

「バカにしとるのか。仕事でもなし、こういうのは砕けてた方がいいんじゃ。レポートなんて方便じゃもーん」

 

 グラスを掲げ、琥珀色の液体を飲み干すヲーキド。その取組内容はともかくとして、マダオの行く末を絵に描いたような有様だった。

 対してツゲルは何を言うでもなく、手近な場所へレポートを置くと踵を返した。孫は孫で適当な対応を学んでいるらしい。

 が、完全にその場を去る前に「ところでじーさん、1つ聞きたいんだけど」と首だけをヲーキドへ向けた。

 

「いや、ちょっとした好奇心なんだけどさ。かなり前にリビングのモニターで『ヲーズ仮面』の新番組予告がループされてたんだよ。30秒バージョンのやつが。アレじーさんだろ? 何したんだ?」

「それか。今回のセッションのな、あらすじで使うために観てたんじゃよ。スマン、次からはちゃんと消す」

 

 本当に額面通りの疑問であったが、問われた当人はモニターの不始末を責める言葉と受け取ったらしい。見たくもないテヘペロを見せられるツゲルが気の毒である。示唆する形で本SSあらすじ欄の元ネタを明かされる読者も気の毒である。

 

「ふーん。じゃ、オレはこれからトラック運転手をいじって転生者量産してくッから。ばいびー」

「幾つ目の副業じゃ……と、もう行きおった。相変わらず忙しないやつじゃのう」

 

 扉の向こうへ消える姿を見つめるヲーキドの目は慈愛に溢れていた。アイバーなどには向けられることのないそれである。相変わらず無作法な孫だが、そこも可愛さの内なのだろう。ヲーキドは葉巻を大きく吹かすと、改めて椅子へ凭れた。

 

 所詮は趣味程度。アイバーの道程を眺めるのは片手間程度でしかなく、彼の苦労も他人事にしか過ぎない。そも「他者」とは虚構も実存も関係がないからこそ、傀儡であると同時に傀儡ではない。観測の根底にあるのは善悪ではなく主体の身勝手である。

 身勝手に振り回される他者を思えばこそ――投げ出さず、誠意を持ち、最後までレポートを書き上げるのがヲーキド邪神の責であった。

 

「みんなも作品Writeじゃぞー」




「がんばれアイバー」休載のおしらせ

いつも「がんばれアイバー:俺がハンターになった理由」をご愛読頂きありがとうございます。
この度、作者である駄犬が重度の姉弟愛により執筆が困難な状況で、
39号、40号の2号(錯乱)には渡らず、
「がんばれアイバー:俺がハンターになった理由」は休載させていただきます。
再開は41号(9/1発売)を目指し、現在奉仕に専念しております。
これからも「がんばれアイバー:俺がハンターになった理由」を応援の程よろしくお願いいたします。

リトゥンバイ四不パパ(大嘘)


Q.なぜ新シーズンが翌週直ぐの投稿なの?
A.選択肢を2つ同時に棄却する。好きな方を凝で守れ。
  1:ライダーの切り替わりに合わせた
  2:9月1日、ハーメルンで!!
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