3年生の思いと共に大舞台に挑みます!
あの合宿から2週間近く経つ。
彼女達は基礎体力作りはもちろん、歌やダンスの特訓もみっちりこなした。
透から遊びに誘われることがあったけど、俺は断った。
それくらいに地区予選に対する思いは強かったから。
昨日よりも今日、今日よりも明日...。
日々の練習で少しずつ、確実に彼女達は成長していくのを俺は間近で見ていた。
今こそ、これまでの努力をぶつける時。
そして、いよいよ地区予選当日を迎える。
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会場に着くと、まずは受付を済ませる。
スタッフ「皆さんの出身校とグループ名を教えてください」
千歌「浦の星学院のAqoursです」
スタッフ「はい、Aqoursの皆さんですね。控え室にご案内しますので、スタッフについて行ってください。あと、そちらの男性はマネージャーの方ですか?」
真司「はい、そうです」
スタッフ「マネージャーの方も控え室までついていかれて大丈夫です。」
真司「わかりました」
スタッフ「では、あちらのスタッフがご案内致します」
俺達はスタッフに案内され、控え室に向かう。
ルビィ「予備予選の時もだけど、やっぱり本番は緊張しちゃうな...」
善子「何弱気な事言ってるの?そんなようじゃ私のリトルデーモン失格よ」
花丸「そういう善子ちゃんも表情固いズラ」
果南「まあまあ。誰だって緊張はするものでしょ?」
真司「でも、渡辺さんと桜内さんは別の大会出場経験あるし、ダイヤと鞠莉は人前に立つこと多いからそんなに緊張しなさそうだけど」
梨子「そんなことないよ?私はいつも本番は緊張しちゃうし」
曜「そう?私はむしろこの感じが心地いいかな。程よい緊張感というか」
ダイヤ「流石、飛び込みで何度も賞をとっていらっしゃる曜さんは場慣れしていますわね。私も多少は緊張しますわ」
鞠莉「私は...」
鞠莉が一言言いかけた時、真司はあのことを思い出した。
それは、過去の地区予選の時の話。
この場所でこんな話題を振ってしまうのはデリカシーに欠けていた。
真司「ごめん、俺が無神経だった。このことは忘れてほしい」
一瞬何のことかわからない様子だったが、はっと気づき、
鞠莉「違う違う!マリーはそんなこと言いたかったわけじゃないの。変な気を使わせてしまってごめんなさい。...確かに緊張はするよ?でも、今は皆がいるから安心だし、怖くないの。だから大丈夫よ!」
ダイヤ「鞠莉さん、"今は..."とおっしゃいましたけど、それは当時の私と果南さんが頼りなかったということですの?」
鞠莉「ちょっとダイヤ怖いってば。そんな顔してたらvery cute なダイヤが台無しよ!」
ダイヤ「そんなことを聞きたいわけではありません!」
鞠莉の態度に若干怒り気味のダイヤ。
仲が良いのか悪いのかよくわからない。
千歌「はいはい、そんなこと言ってないで早く控え室行くよ〜」
真司「高海さんがリーダーっぽいこと言ってる...!」
千歌「リーダーっぽいっていうかリーダーだよっ!ほら、早く行くよ!」
千歌はふくれっ面で真司に言い返し、控え室に入った。
真司「高海さんが行っちゃったし、皆も控え室で着替えてきなよ。俺は部屋の外で待ってるからさ」
「「「「「はーい」」」」」
返事とともにメンバーが部屋に入っていった。
10分ほどすぎた頃だろうか。
控え室のドアが開いた。
鞠莉「真司、どうかしら?」
鞠莉は俺の前でくるっと一回転して見せた。
白を基調としたジャケット。
スカートは2段になっていて、赤色の下に黒色が覗いている。
胸元には紫色の薔薇のコサージュがあしらわれていた。
そう、今日披露する曲は"MIRAI TICKET"だ。
真司「うん、いいと思うよ!似合ってる。」
鞠莉「そうじゃなくて、ほかに言うことないの?」
真司「ほか?」
鞠莉「はぁ...。それだからいつまで経っても進展ないのよ..。ダイヤもかわいそうねぇ〜」
真司「ごめん、よく聞こえないんだけど?」
鞠莉「ダイヤがかわいそうって話!そんなことより、最終確認するよ!」
なんでダイヤが可哀想なのかは分からないけど、そんなことは置いといてリハーサル室に向かう。
本番直前には4分間の練習の時間がある。
4分という短い時間のため曲全体を通す余裕はない。
立ち位置、移動、全員で振り付けを合わせる箇所の確認を済ませた時に丁度時間を迎えた。
スタッフ「4分経ちましたので、移動お願いします」
リハーサル室を出て向かうは舞台裏。
前で待機しているスクールアイドルの本番が始まれば次はいよいよAqoursの出番。
舞台の様子は舞台裏の暗い雰囲気とは真逆だ。
すぐ目の前にはいろんな色の輝きがあった。
観客がペンライトを各々の好きな色で振っている。
予備予選よりも大きい規模に1年生と2年生は思わず声を漏らす。
1、2年生「「「「「おぉー」」」」」
千歌「曜ちゃん見て見て!すごい綺麗だよ!」
曜「ほんとだ!私達がこんな舞台に立てるなんて...」
花丸「会場がキラキラでいっぱいズラ!未来ズラ〜!」
善子「この輝き、ヨハネのステージに相応しいわね。今宵はその輝きを纏い、あの舞台でヨハネの偉大さを見せつけるのみ!」
ルビィ「堕天使って輝きに弱そうだけど大丈夫かな...」
梨子「今宵って言ったけど今は夜じゃないし」
善子「2人ともうるさいっ! こういうのは雰囲気とかあるでしょ!」
真司「まあまあ。そろそろ前の人達が終わるから舞台袖に並ぶよ」
全員が舞台袖に並び、いよいよ始まる...その時。
千歌「そうだ、"アレ"やってないよ!」
そう言って手を前に出す。
皆がそれを察し、千歌に続いて同じようにする。
そこに真司が加わり、10人となる。
千歌「皆!今、この時を全力で輝こう!」
千歌「1!」
曜「2!」
梨子「3!」
花丸「4!」
ルビィ「5!」
善子「6!」
ダイヤ「7!」
果南「8!」
鞠莉「9!」
真司「...10!」
千歌「Aqours!」
「「「「「「サーンシャイーン!」」」」」」
俺は彼女達の輝きを目前にして圧倒された。
見るのは舞台袖からだったけど、俺の目にはハッキリと映った。
自分を...Aqoursを精一杯表現する9人の姿が。
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後日、地区予選の結果がインターネット上で発表され、部室にて確認することになった。
真司「じゃあ、いくよ?」
皆が首を縦に振る。
俺はAqoursの欄をクリックした。
結果は...
千歌「...0」
真司「ごめんごめん、俺緊張してクリックするところ間違えたかな...ハハ八...」
俺は間違えずにクリックしたはず。
...でも、"自分が間違えた"その可能性に賭けたかった。
この結果を受け入れたくなかったから。
俺は画面左上のアイコンから前の画面に戻ろうとする。
直後、
ダイヤ「真司さん、その結果は間違いなく私たちのものですわ。間違ってなどいません。」
ダイヤのその言葉を最後にこの部屋は静まり返った。
今この状況で何を言葉にすればいいか誰にもわからなかった。
しばらくしてダイヤが一言。
ダイヤ「今日はもう解散としましょうか。」
その意見に反対するものはいなかった。
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