sign of mirage   作:YESマン症候群

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皆さんお待たせしました
約1ヶ月ぶりの投稿です(笑)
8月は色々立て込んでてなかなか投稿出来ませんでした...
今月はぼちぼち投稿できる...はず


第27話 内に秘めた想い

店を出てから渡辺さんをバス停まで送ることにした。

本人はわざわざいいよ、と遠慮していたけど俺が気にしないで、と言うと彼女は承諾してくれた。

バス停に向かっている間も彼女の表情が晴れることはない。

 

曜「ごめんね。こんな顔してたら中井君まで気が滅入っちゃうよね...」

 

渡辺さんが俺に気を遣ってくれた。

辛いのは自分だというのに。

 

真司「こういう時こそ笑顔だよ!ね?」

 

曜「そう...だねっ。こういう時こそ元気でいなくちゃね!」

 

真司「じゃあバス停まで、全速前進ヨーソロー!」

 

曜「ちょっと、それ私のセリフだよー!」

 

走る真司を追いかける曜。

走る彼女の足取りはとても軽快だった。

 

少し走った先にバス停が見えてきた。

 

真司「おお、綺麗だな〜」

 

俺はつい足を止めた。

視界が開けたその先に海が広がっていた。

夕日が水面で反射してとても綺麗に映っている。

耳をすませると、さざなみの心地良い音がスっと伝わってくる。

これが内浦に住む者の特権か、と感傷に浸っていると...

 

曜「千歌ちゃん!?」

 

曜は砂浜の方へ走っていった。

渡辺さんが走っていった方を見ると、そこには高海さんがいた。

俺は咄嗟(とっさ)に防波堤の陰に隠れた。

2人が話す場にいない方がいいと直感的に思ったから。

 

千歌「あっ、曜ちゃん!どうしたの?」

 

曜「千歌ちゃん、何してたの...? 」

 

千歌「今、ダンスの練習してたんだ〜。どうしてもここのステップが難しくてねー」

 

曜「...千歌ちゃん」

 

千歌「あっ、そうだ!曜ちゃん、もし良かったら教えてよ!曜ちゃんダンス上手だし」

 

曜「...千歌ちゃん」

 

千歌「折角なら梨子ちゃん呼んでこようかな?3人で一緒に...」

 

曜「もうやめてよ!」

 

渡辺さんが放った声が周りの音を全てかき消す。

緊張感が辺りに張り詰める。

 

千歌「ど、どうしたの曜ちゃん?急に大声出したりして」

 

曜「最近の千歌ちゃん変だよ?元気無さそうだったり、目にクマができてた時があったし。どうしたの?って聞いても、千歌ちゃんは"何でもないよ"としか言わなかった...。」

 

曜「私は千歌ちゃんのことが心配だよ!もしかしたら私が千歌ちゃんを追い込んでるのかもしれない。それなら、私に相談してほしい...。いつもの千歌ちゃんに戻ってよ...」

 

千歌「...だよ

 

曜「え?」

 

千歌「そんなのだめだよ!」

 

千歌「千歌はもっと頑張らないといけない!ダンスも歌も全部!」

 

曜「もしかして大会のこと...」

 

千歌「確かにまだ千歌達は全然だよ?けど、皆で頑張ってきたんだよ!辛いことも皆と乗り越えてきた!...結果が全てじゃないのは分かってる、でも0だよ?誰もAqoursを選ばなかったんだよ?悔しいじゃん!」

 

それは千歌の本音だった。

 

千歌「あれからずっと思うことがあるんだ。もしあの時、もっと上手にできてたらなって。千歌はリーダーなのに何もできなかった。だから、千歌がもっと練習し...」

 

千歌「曜...ちゃん?」

 

曜は千歌に抱きついた。

 

曜「千歌ちゃん、1人で抱え込む必要なんてないんだよ?辛い時は私達にもその辛さを分けてよ。千歌ちゃんだけじゃなくて、皆で頑張ろう?ねっ?」

 

千歌「曜ちゃぁぁぁん!」

 

千歌の泣き声が静寂の海に響き渡る。

千歌が泣き止むまで曜はずっとそのままでいた。

 

 

 

千歌「ありがとう曜ちゃん。もう大丈夫」

 

そう言うと千歌は曜から離れた。

 

千歌「曜ちゃんには恥ずかしいところ見せちゃったな〜」

 

曜「たまにはいいんじゃない?私が泣きたくなったらその時はよろしくっ!」

 

千歌「その時は一緒に泣こうね!」

 

曜「千歌ちゃんも一緒に泣くの!?」

 

千歌「2人で泣いたら辛さも半分になるでしょ?」

 

曜「そうなのかなぁ?変なの」

 

千歌・曜「ははっ」

 

ようやく2人に笑顔が戻った。

もちろんそこにぎこちなさは少しも無い。

 

千歌「もう暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか!」

 

曜「うん...」

 

千歌「どうしたの?」

 

曜「いや〜、何かを忘れているような...あっ!」

 

曜は突然何かを思い出した。

 

曜「そういえば、中井君も一緒に来てたんだった!おーい、中井くーん」

 

千歌「えっ!?中井君いたの!?泣いてるの見られちゃったじゃん...」

 

千歌は両手で顔を隠しながら言った。

 

曜「千歌ちゃん、どうやら泣いてるの見られてないっぽいよ?ほら、コレ見て!」

 

曜は千歌に携帯を見せた。

画面に映し出されていたのはFINEの真司とのトーク画面。

千歌は顔を隠している指の隙間から画面を見た。

 

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真司:渡辺さん、ごめんけど先に帰るね

2人の話に俺はいない方がいいと思うし

渡辺さんならきっと大丈夫だと思う

無責任だけどそんな気がする(笑)

じゃあ、また明日!

 

 

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千歌「なぁ〜んだ、中井君帰ってたんだ。良かったぁ〜」

 

ホッとしている千歌に曜はニヤニヤして聞いてみた。

 

曜「前から思ってたんだけど、千歌ちゃんって中井君のこと好きでしょ?」

 

千歌「そ、そんなことないよ。うん、絶対ない」

 

少し早口で否定する千歌。

 

曜「ふ〜ん。じゃあ、私が中井君と付き合っても問題ないよね?中井君優しいし、かっこいいし...」

 

千歌「う、うん。」

 

曜「っていうのは冗談でーす。だからそんな顔しないでよ。ね?」

 

それから数秒、千歌の返事はなかった。

2人の間に沈黙が続く。

 

曜「あれ?千歌ちゃ〜ん?」

 

千歌「...曜ちゃんの意地悪!もう知らないっ!」

 

千歌は膨れっ面で曜を睨んでいる。

相当ご立腹の様子。

 

曜「ごめんごめん!ちょっとやりすぎた。ごめん、千歌ちゃん!」

 

まさかここまで怒るとは思わなかったらしく、焦る曜。

曜に構わず、無視を決め込む千歌。

千歌が向かうは家の方向。

千歌が家に帰る前に許してもらわないとまずいと思った曜は、千歌の前に回り込み、

 

曜「千歌ちゃん、ほんとにごめん!」

 

千歌「ぷっ。はははは」

 

曜「千歌ちゃん!?」

 

曜は何が何だか分からなかった。

急に起こったと思えば急に笑い出すのだからパニックにもなる。

 

千歌「ごめんごめん。曜ちゃんが急にからかってきたから千歌もお返ししようと思って。ビックリした?」

 

曜「良かったぁぁぁ」

 

曜は緊張の糸が切れたせいか、その場にへたりこんでしまった。

 

千歌「曜ちゃん大丈夫?ほらっ」

 

曜は千歌の手を支えに立ち上がった。

 

曜「ありがとう千歌ちゃん」

 

千歌「曜ちゃん、こっちこそありがとうね」

 

曜「えっ?」

 

千歌「曜ちゃんのおかげで何だか元気が出た!だから、ありがとう!」

 

曜「お礼を言われるほどじゃないよ!だって私達幼なじみでしょ?」

 

千歌「そうだね!」

 

 

千歌「ん?電話?」

 

2人の楽しげな会話に着信音が割って入る。

千歌は画面の発信元を見て慌てている。

 

曜「どうしたの?」

 

千歌「ごめん曜ちゃん!実は今日、家のお手伝いしないといけないの忘れてて、美渡姉から電話かかってきて...。ごめんけど先に帰るね!」

 

千歌はそれだけ伝えると猛ダッシュで家に帰っていった。

 

曜「...行っちゃった。でもこれがいつもの千歌ちゃんだよねっ」

 

去りゆく千歌を見ていた曜は嬉しそうだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

翌日、千歌は練習が始まる前にみんなに言った。

 

千歌「皆、聞いてほしいことがあるの!」

 

ダイヤ「どうしたのですか?急に改まって」

 

千歌「あの大会の結果、千歌はものすごく悔しかった。皆とあんなに頑張ったのに結果は0だった。...このまま終わりたくない!わがままなのは分かってる。でも、もう1度千歌と一緒にラブライブに挑戦してほしい!」

 

曜「千歌ちゃん、全員同じ気持ちだよ?あんな結果じゃ終われない...。そうでしょ?皆!」

 

鞠莉「of course ! この程度で終わるAqoursではないわ!」

 

善子「マリーの言う通りよ。進化した私達を次の大会で見せつけるのよっ!」

 

花丸「マルも悔しかった。だからもっと練習してもう1度やってみたい!」

 

果南「このままじゃ終われない!やるからには1番取らないとね!」

 

ダイヤ「私達に相応しきは常に勝利のみ!負けたままではいられません!」

 

ルビィ「大会は緊張する...。けど、後悔はしたくない!」

 

梨子「もっといい曲作って、皆と練習して大会に挑戦したい!」

 

真司「次こそは皆で優勝しよう!Aqoursなら絶対できる!」

 

鞠莉「そうと決まれば早速練習始めるよっ!時間には limit があるんだから!」

 

 

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 

Aqoursは再び大会に出場することにした。

目指すはもちろん優勝。

負けた悔しさをバネにより高みに挑む彼女達であった。

 

 

こうしてAqoursの夏は終わりを告げる...

 

 

 




今回も最後まで読んていただきありがとうございます!
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