今日は夏休みが明けて最初の登校日。
俺は朝6時に目を覚ました。
普段より早めに起きてしまったから2度寝する。
...と言いたいところだけど寝過ごしてしまいそうなのでやめておく。
下に降りると部屋の電気はついてなかった。
いつもなら母さんが起きていて朝ごはんを作ってくれているけど今日は違う。
というのも、母さんは昨日父さんの帰りを遅くまで待っていた。
だからまだ寝ているのだろう。
ちなみに父さんはもう仕事に出ている。
早起きしたせいで真司は暇を持て余していた。
どうしたものかと思っていた時あることを思いつく。
真司「そうだ、早朝の学校に行ってみるか」
この時間なら準備してゆっくり歩けば、ちょうど学校に入れる時間ぐらいに着くはず。
しかも朝早いからバレずに屋上に上がれるはず。
まあ、本当は入っちゃいけないんだけど。
屋上で朝ごはんを食べながら海を眺める...。
実を言うと前からやってみたかったことではある。
想像すると俄然楽しみになってきた。
真司「よし、やるか」
真司は冷凍室からご飯を取り出し、レンジで温める。
その間にポットで湯を沸かす。
ご飯が温め終わると、それを半分にして2つのおにぎりを作った。
めんどくさかったから具材無し、味付け塩のみのシンプルなおにぎりにした。
それらをラップに包み、おにぎり完成。
ポットで沸かしたお湯はコップ付きの水筒に入れ、そこにインスタントの味噌汁を1袋加える。
試しに味見すると少し薄かったのでもう1袋追加。
すると味はバッチリ決まった。
朝ごはんができたところで、真司は自分の部屋に向かう。
制服に着替え、カバンを持って再度下に降りる。
さっきのおにぎりと水筒を小さめの手提げ袋に入れて、真司は学校に向かった。
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学校に着き、正門を通る。
当たり前だけど、見渡す限り誰もいない。
こんなに朝早くに来たのは転校初日以来。
少しばかりの懐かしさを感じながら、屋上へと歩を進めた。
浦の星学院の校舎は3階建て + 屋上(4階)の構造になっている。
下の階から1年、2年、3年の教室がそれぞれあり、屋上はもう1階分階段を上がる必要がある。
屋上への階段には手すりと壁にチェーンが1本繋がれているものの容易に通ることができる。
その先の扉はいつも鍵がかかっていない。
生徒の間では屋上に上がれるのは有名な話で実際に上がっている生徒も少ないない。
そりゃ、こんなに緩いセキュリティーなら誰でも行けるよな。
と思いつつ、真司は屋上に続く扉を開けた。
屋上からの景色を見て、真司は思わず立ち止まった。
内浦の港町、海、街を囲む山々全てが一望できる。
都会のような賑やかさは無いが静かだからこそ映える景色がそこにあった。
真司「凄いな...」
真司はこの光景に語彙力失ってしまう。
ここで食べるおにぎり...絶対美味いに決まってる。
俺だけの特等席で早速食べようと思ったその時。
ガチャ
扉を開ける音。
真司は反射的に荷物を持って入り口の死角に隠れた。
この時間帯に人が来た?
だとしたら恐らく先生か警備員の人か。
もしかしたら、さっき立っていた時に見られたのかもしれない。
さっさと座っていれば良かったと後悔する。
このままでは見つかってしまう...
しかし、扉の方から聞こえた声に真司の焦りは安堵に変わった
???「おかしいですわね...。さっきまではここにいたと思ったのですが」
真司「なんだ、ダイヤだったのか〜」
ダイヤ「ぴぎゃっ!?」
真司「あ、驚かせちゃった?」
ダイヤ「急に出てこられたら誰だって驚きますわ」
真司「ごめんごめん。てか、生徒会長がここに来て大丈夫なの?あと、なんでこんな時間にいるの?」
ダイヤ「私は始業式の後の生徒総会の最終確認をしようと少し早めに学校にきたのですわ。その時に屋上に人影が見えたので注意しに来たというわけです。まあ、その人が真司さんだとは思いませんでしたが」
立ち入り禁止の所にわざわざ注意しに来るものかと少し疑問に思ったが、一応お礼を言っておく。
真司「わかった、じゃあもう少ししたら戻るから。よいしょっと」
ダイヤ「何堂々と座り込んでますの!?私が今注意しましたのに!」
真司「折角上がったんだからせめて目的だけは果たさないとね」
ダイヤ「目的...ですか?」
真司「これだよ!」
真司はおにぎりと水筒を見せる。
ダイヤ「ここで朝食を食べるつもりですの...?」
真司「ご名答!」
ダイヤはため息をつき、
ダイヤ「食べ終わったらすぐに降りてくださいね」
えっ、甘くない?
どんな理由があろうとすぐに降りろと言われると思ったのに。
言われても居座るつもりではあったけど。
ダイヤ「では、私はこれで」
ダイヤが扉の方を向き、歩き始めた直後それは聞こえた。
その音は明らかに空腹時に鳴るあの音。
俺から発せられたわけではない...だとすれば...
ダイヤ「違いますわ!」
真司「いや、俺何も言ってないし」
あの威厳ある生徒会長の肩は小刻みに震えている。
あー、これ恥ずかしいやつだ。
今触れてほしくないかもしれないけど、お腹が空いているというのならやることは1つ。
真司「ねえ、このおにぎり食べない?」
ダイヤ「だから、私は違うと」
真司「そうじゃなくて一緒に食べない?ほら、一人で食べるよりも皆で食べた方が美味しいって言うじゃん?皆って言っても、今は2人しかいないけど」
ダイヤ「し、真司さんがそう仰るならありがたく頂きますわ」
真司「じゃあ、はいこれ」
真司はダイヤにおにぎりを手渡す。
ダイヤ「ありがとうございます。頂きます」
真司の横に座ったダイヤはラップを外し、おにぎりを口にした。
真司「じゃあ俺も。頂きます」
やっぱりシンプルな塩むすびは美味い。
内浦を眺めつつの食事というのはなかなか良い。
真司はおにぎりを食べ終えると水筒を取りだした。
真司「良かったらこれどうぞ」
そう言ってダイヤに差し出したのは味噌汁を入れたコップ。
ダイヤ「よろしいのですか?」
真司「もちろん。むしろ飲んでくれると助かるよ。ちょっと作りすぎちゃって」
ダイヤ「でしたらお言葉に甘えさせていただきますわ」
ダイヤは味噌汁を飲み終えると一言。
ダイヤ「ご馳走様でした。」
真司「お腹いっぱいになった?」
ダイヤ「はい、お陰様で。ありがとうございました」
真司「なら良かった。じゃあ俺も味噌汁飲むかな」
俺は注ぎ口のついた蓋を外し、水筒から直接飲んだ。
ダイヤ「あの...コップを使われたらよろしいのでは?」
真司「あ、ごめんごめん。行儀悪いよね。でも、ダイヤが使ったコップを俺も使うってなるとダイヤが気にしちゃうかなーと思って」
ダイヤ「私は気にしませんわ。むしろ...」
真司「ん?どうかした?」
ダイヤ「い、いえ、何でもありませんわ!それでは私は用事があるのでお先に失礼します!」
ダイヤは足早にその場を立ち去った。
真司「じゃあ俺も戻るとするか」
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