sign of mirage   作:YESマン症候群

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はい、皆さんが考えていることはよく分かります。
それについては後書きに...





第31話 体育祭1

始業式から約1ヶ月の今日、体育祭当日を迎えた。

10月に入ったというのに、未だに暑い日が続いているが朝は丁度いい気候になる。

心地よい涼しい風が吹く中、真司は生徒よりもひと足早く登校している。

なぜなら、体育祭実行委員は当日の最終確認をするために早めに来るようになっているからだ。

とはいえ、少し早く来すぎたようで、人の気配が一切ない。

閑静な学校に真司ただ1人。

誰か居ないものかと、ふとグラウンドの方を見る。

トラックをなぞるように白線が引かれ、少し離れたところにそれを囲むようにして白いテントが並んでいる。

倉庫付近には昨日実行委員が準備した(つな)や玉入れの籠、バトンなどが置かれている。

全部自分達が準備したものだけど、こう見ると今日が体育祭なんだなと改めて実感する。

思えばこの1ヶ月あっという間だった。

初めは嫌々だった実行委員もなんだかんだで楽しかった。

ダイヤと善子ちゃんがいたからアウェー感無かったし、新しい友達もできた。

その友達の中でも特に俺と善子ちゃんのことはちょっとした話題になっていたようで、

「津島さんとどういう関係なの?」

とかよく聞かれたりした。

やっぱり初日のインパクトが大きかったんだろうな...

まあ、それで話すきっかけが生まれたなら良かったけども。

ここ1ヶ月の思い出に浸っていると後ろから声をかけられた。

 

???「こんなところで何してるのよ」

 

この声はあの堕天使(・・・)か...よし。

 

真司「低位の人間では私が纏う瘴気によって私を視認することなどできないはずだが...貴様、只者ではないな?」

 

善子「私を人間などと一緒にしないでほしいわね。そう、私こそが堕天使...って言わせないでよ!」

 

真司「そんなに気にすることか?」

 

善子「普段からそういうのに反応しちゃうから皆の前でボロが出ちゃうのよ!最近気をつけてるんだから」

 

真司「ボロって言っちゃうんだ...」

 

善子「そんなことはどうでもいいの!」

 

真司「分かったって、俺が悪うございました。それはそうと、善子ちゃん集合時間より来るの早くない?」

 

善子「少し早く家を出てしまっただけよ。そういう先輩こそ早いじゃない」

 

真司「集合時間に遅れないようにしないと...って思ってたら案外早く着いちゃってね。なーんだ、善子ちゃんと一緒かぁ」

 

善子「何よ、私と一緒じゃ不満なわけ?」

 

真司「そんなことないって、ごめんごめん」

 

善子「どうせ"善子ちゃんはちょろいから適当に謝ればいい"とか思ってるんでしょ」

 

真司「いいや?別にー?」

 

善子「あ、その顔。絶対そう思ってるでしょ」

 

真司「だから、思ってないってばー」

 

善子と真司がそんなくだらないやり取りをしている内に実行委員は集まり始めていた。

 

真司「お、皆ぼちぼち来てるみたいだね。そろそろ俺達も行こっか」

 

善子「...そうね」

 

しばらくして実行委員が全員集まり、今日の流れを確認する。

いよいよ、秋の一大イベントが幕を開ける。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

全校生徒が入場し、本部を正面に左から赤組、黄組、青組の順で整列している。

赤は1組、黄は2組、青は3組が割り振られ、1組である真司は赤組。

アナウンスの後、代表者が開会式の開会宣言をする。

そして、恒例の校長挨拶。

本部テント前の台に上がって校長先生が話を始める。

 

校長「今日はいい天気に恵まれ、体育祭日和となりました。全員が全力を出し切り、素晴らしい体育祭となることを期待しています。短いですが、以上を校長の挨拶と致します。」

 

校長先生が礼をした後、一同が拍手をする。

 

その拍手の最中、真司は校長先生の話に驚いていた。

以前の学校では、行事の前の校長挨拶はただ長いだけで苦痛だった。

でも、この学校の校長先生は違う。

本当に言いたいことだけを言い、話を終えていた。

真司の校長先生に対する好感度が少し上がった。

 

続いて生徒会長挨拶。

ダイヤが登壇し、一礼する。

 

ダイヤ「実行委員が発足してから約1ヶ月、無事にこの日を迎えることが出来ました。体育祭が開催出来たのは、地域の方々をはじめ、学校の先生や家族の支えがあったからです。各々が今日まで練習を積み重ねてきたことでしょう。今こそ、その努力した成果を示す時です。仲間と一致団結し、素晴らしい体育祭になるよう、頑張りましょう!」

 

校長先生の時と同じようにダイヤにも拍手が送られた。

なんともダイヤらしい硬派な挨拶だった。

まあ、本人にそんなこと言ったら、

 

ダイヤ「体育祭は先生方だけでなく来賓の方もいらしているのです。黒澤家の長女として、また生徒会長として当然の挨拶ですわ」

 

って言われそうだけど。

そんなことを考えている間にも開会式は滞りなく進み、あっという間に終わった。

次々に生徒は退場し、最初の競技参加者が集合場所に集まり始めている。

...いよいよ競技が始まる。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

真司が出る競技は借人競走、組別対抗リレー、騎馬戦の3競技。

参加競技のうち午前は借人競走だけ。

とは言っても、実行委員の仕事があるからずっと休憩って訳にはいかないけど...。

自分の競技になるまでは綱引きの綱とか玉入れの籠や台風の目の棒とかを他の実行委員達と一緒に運んでいた。

 

真司「実行委員ってもっと楽だと思ってたんだけど意外と大変なんだな...」

 

実行委員「綱は重いし、参加者を集合させるのは大変だしねー。まあ、仕方ないっしょ!」

 

返事が聞こえ、真司はつい独り言がこぼれていたことに気付いた。

 

真司「あ、聞こえてた?別にこの作業が嫌いって訳では無いんだけどね」

 

実行委員「わかるわー。最初はやりたくなかったけど、新しい友達できるし、裏方も案外悪くないなって思うんだよねー」

 

真司「それわかる!裏方ってなんか特別感あってなんかいいよね」

 

実行委員「そうそう!わかってくれる人初めて見たよ。他の人は誰もわかってくれなくてさ...」

 

真司「そうなんだ。じゃあ変わり者同士仲良くしようってことで!」

 

実行委員「おう、改めてよろしく!」

 

お互いに片手で握手をする2人だった。

 

実行委員「じゃあ、競技の準備するか。次の競技何だっけ?」

 

真司は事前に配られた実行委員の当日のスケジュールの紙を確認する。

次は玉入れか...必要なのは籠と玉...っと。

真司が次の競技の準備をしていると1人の堕天使がやってきた。

 

善子「本当は私もやらないといけないのに...。先輩に任せてばかりでごめんなさい。お詫びは今度に...」

 

実行委員は自分が競技に出てない時に準備をするんだけど、善子ちゃんは出る競技が多めだから少し仕事量が少ない。

何でも色んな競技に一緒に出ようと言われ、引っ張りだこなんだとか。

クラスで意外と堕天使キャラの評判が良かったらしく、人気者になってしまったのが原因らしい。

そういえば一時期、

 

善子「今まで上手くやれたのに...もうおしまいよ...」

 

と酷く落ち込んでいた時があったことをふと思い出す。

察するに、教室でうっかりその口調で喋ってしまったとかそんな感じだろう。

まあ、そういうことだから善子ちゃんの仕事は少ないって訳で。

 

真司「そんなに気にしないでいいって!そんなことより、善子ちゃんは競技頑張って!」

 

友人「ヨハネちゃん早く早くー!」

 

少し離れた先で善子を呼ぶ声がする。

おまけに堕天使ポーズ(仮)付きで。

それを見て恥ずかしかったのか

 

善子「すぐ行くー!あと、ヨハネはやめて!」

 

やめてはと言ってるけど、彼女からは自然と笑みがこぼれていた。

 

真司「ほら、友達が待っているんだから早く行きなよ。ヨハネ(・・・)ちゃん?」

 

善子「ヨハネゆーな!」

 

そう言って、善子は友達の元へ駆けていった。

 

実行委員「津島と仲良いじゃん!あれだけ恋人否定してたのにー」

 

真司「色んな人に何度も言ってるけど、そんなんじゃないって」

 

実行委員「そうなのか、かなり仲が良さそうだったからそうなのかと思ったよ」

 

真司「仲はいいと思うけど、そんなに?普通だと思うんだけど」

 

実行委員「あれが普通!? ...なるほど、君は天然たらし野郎ってことか」

 

真司「それも違うって」

 

実行委員「これは先が思いやられるな」

 

 

 

身に覚えのない"たらし野郎"の称号を手にした真司であった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

次は遂に自分の出る競技、借人競走。

そのルールは至ってシンプルで、スタートの合図の後、目の前にあるお題の書かれた紙を開き、そのお題に合う人を連れてグラウンドを一周してからゴールするというもの。

競技と言うよりはレクリエーションに近い種目。

何でも、生徒会企画の競技だとか。

ちなみに真司は第2走者。

第1走者がスタート地点に並び、合図を待つ。

数秒後、ピストルの合図とともに彼らが走り出した。

走者は10m先の長机に置かれた紙を開き、お題の人を探すわけだけど...

第1走者の人達が紙を開き、彼らは何故か動きを止めた。

 

「...まじかよ」

 

「嘘っ!?」

 

と言った声があがる。

相当難しいお題なのだろうか?

でも、それほど答えにくいお題ってあるのか?

とか考えつつ、彼らの様子を見守る。

少し重めの足取りで、それぞれが自分の組のテントに向かう。

そこで、"お題は何だ"と聞かれたのか、少々嫌そうにお題の紙を皆に見せる。

その途端に各テントで"キャーっ"とか"お前行ってこいよ!"とか聞こえ始めた。

そこからは各走者はすぐにお題に沿った人を見つけて...と言うよりかは他の人が押し付けているような感じだったけど、何とかゴールへ向かい始めた。

そして赤組のバトンが渡される時

 

友人「お前も公開処刑...頑張れよ」

 

真司「えっ!?どういうこと?意味わかんないんだけど」

 

友人「いいから行け!行けばわかる」

 

意味深な発言にモヤモヤしつつ、バトンを受け取り、走り出す。

紙を開く前にあんなこと言われたら、それを開くのが少し怖い。

でも、こんな時に限って時間はすぐ経ってしまうもので、あっという間に紙のある場所に着いてしまう。

ここまで来てしまえば、もう腹をくくるしかない。

真司は一呼吸置いて、紙を開いた。

お題は...

 

真司「親友?」

 

改めてお前が親友だって言うのは気恥しいけど、皆がワーワー言う程のお題かと言われるとそうでも無い気がする。

ずっと突っ立っているわけにもいかないから、とりあえず赤組のテントへ向かう。

真司が選ぶ親友はもちろん...

テントを目の前にした真司は彼の名を呼んだ。

 

真司「透、悪いけど一緒に来てほしい!」

 

テントからの反響はあった...想像とは違う形で。

 

友人男「まさかのカミングアウトか!」

 

友人男「お前達、そうだったのか!」

 

友人女「夏休み何も無かったのはそういうことなんだー」

 

友人女「やっぱり2人ってそういう関係だったんだ!前からすごく仲良いなって思ってたんだよね」

 

友人男「いいねいいねぇ!」

 

話を聞く限り、皆が勘違いしてるような気しかしない。

でも今はゴールが先決。

話は後ですればいいし。

 

友人「ほら、さっさと行けよ!真司が待ってるぞ!」

 

透が押される形でテントから出てくる。

 

透「正直、ちょっと複雑な気持ちだけど...とりあえず行くか?」

 

真司「複雑!?まさかそう思ってたのは俺だけか?確かに改めて言うとなー...。まあとにかく行くか!話はその後で!」

 

透「おう!」

 

こうして、借人競走は1組の勝利に終わった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

鞠莉side

 

 

やっとこの競技が来たわね。

いつまで経っても進展がないダイヤだから、マリーが手伝ってあげないとね!

 

ダイヤ「鞠莉さん、さっきから何でニヤニヤしてますの?気色悪いですわ」

 

鞠莉「気色悪いなんて酷いじゃない!まあ、マリーの心の広さに免じて許してあげる。ほら、次が始まるわよ!」

 

鞠莉に続いて競技説明のアナウンスが入る。

 

ダイヤ「次は...借人競走ですね」

 

鞠莉「そう!このマリー発案、企画のね!」

 

この競技は生徒会企画の競技。

その名の通り、生徒会が企画するもので、本来は鞠莉がそれに関わることは無い。

ただ、"理事長権限とダイヤへの懇願"により、鞠莉が競技の企画に関われるようになったなった。

ダイヤを折れさせるためには、目をしっかり見て「お願いっ!」って必死に言えばいい。

これは小さい頃からの果南と私だけのダイヤ攻略法。

今までそれが失敗したことはほぼ無く、今回も無事成功した。

 

ちょっと理事長権限で強引に押し通した感じはするけど、皆が楽しめるようなお題を作ったから問題ないはず!

 

ダイヤ「お題はちゃんと考えましたか?いささか不安なのですが...」

 

鞠莉「大丈夫よ!必ずホットな結果になるわ!」

 

ダイヤ「ホット...?」

 

鞠莉「ほら、とにかく見てて。そうすれば分かるから」

 

ダイヤ「...わかりましたわ」

 

ダイヤが不安を感じているであろう最中、ピストルの合図があり、第1走者が走り出す。

彼らの反応は鞠莉の期待通りとなった。

 

ダイヤ「...鞠莉さん?」

 

鞠莉「what's ? どうしたのダイヤ?」

 

ダイヤ「借人競走ってこんなに黄色い歓声があがるものでしょうか?」

 

鞠莉「この借人競走はただの借人競走じゃないのよ!言うならば小原スペシャル!とっても happy になるようなお題を用意したわ」

 

ダイヤ「ハッピー...ですか」

 

鞠莉「そうよ!というか、さっきから浮かない顔してどうかした?」

 

ダイヤ「いえ、何でもありませんわ」

 

第1走者が第2走者になんとかバトンを渡し...

 

鞠莉「ほら、見て見てダイヤ!真司が借人競走に出てるわよ!」

 

今のところ計劃は順調ね。

お題を見た人が恥ずかしがるのも、女子がキャーキャー言うのも全て思惑通り。

あとは、真司が男らしくドーンといってくれれば目的達成!

 

ダイヤ「...そうですわね」

 

あら、ダイヤったら手を合わせてお祈りなんかしちゃって〜。

よっぽど選ばれたいみたいね。

さあ、お膳立てはバッチリ...って、ええ!?

 

鞠莉が真司の方に目をやった時、真司が男子を連れて走っているのが見えた。

 

鞠莉「えっ?どうして?箱の中身は全て恋愛系のお題のはずなのに!ねえ、ダイヤっ!」

 

参加者の反応からお題がどんなものかダイヤなら何となく察するはず。

なのに彼女は心無しか安心している様子だった。

自分が選ばれなかったのにどうして?

まさか、ダイヤが細工を...?

 

鞠莉「ダイヤ、お題箱に細工でもしたの?」

 

私の質問にダイヤが驚くことはなく、質問に淡々と答えた。

 

ダイヤ「いいえ、お題箱には(・・)していませんわ。私は1枚だけお題の書かれた紙を入れただけです」

 

鞠莉「そんなのじゃ、真司がそれを引くかなんて分からないじゃない」

 

ダイヤ「私がこのお題に気づいたのは今朝でした。この競技の企画は鞠莉さんに一任していましたから。先程偶然、実行委員がお題の話をしていたのが聞こえたのです。ただ、競技開始直前だったので1枚しか入れられなかった...という訳です。本当は全ての箱にいくつか入れようとしたのですが間に合いませんでした」

 

鞠莉「そんなこと言って、1番は真司にマリーのお題を回避させることだったんでしょ?ほんとダイヤったら、運がいいのか悪いのか」

 

ダイヤ「はて、何のことでしょう?」

 

鞠莉「せっかくマリーがダイヤのためを思って企画したのにー。」

 

ダイヤ「そんなことお願いした覚えはないですわ!第一、私は真司さんと...」

 

鞠莉「もーっ、素直じゃないんだから」

 

 

こうして、私の理事長権限まで使った計画は失敗に終わってしまったとさ。

 

 




大変長らーーーくお待たせしました!
いや、違うんですよ?
本当は12月末に投稿する予定だったんです(それでも遅い)
実は試験やら何やら色々ありまして...
そうこうしてたら前の更新からもう3ヶ月くらい経っちゃいました...
言い訳ですら語彙力皆無の私ですが、これからもどうかよろしくお願いします...!
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