この創作意欲が続くうちに、完結まで持っていきたいものです...
本編どうぞ!
Aqours2年3人組との一悶着を終え、組別対抗リレーが始まった。
赤組の最初の出だしは好調。
第1走者が先頭に出てくれたおかげで、内周を走ることができ、優位な立ち位置につけた。
赤、黄、青の走力は互角で順位は変動せず、このまま順調にいけば1位は確実だろう、そう思っていた。
しかし、途中バトン渡しのミスや他2組の追い上げによって惜しくも結果は3位だった。
もちろん、真司もありったけの力で走ったが、赤組にはあと一歩及ばなかった。
競技終了後、出場者はテントに戻る。
「もうちょいだったんだけどなー」
「惜しかったねー」
「ごめん、バトンミスがなかったら...」
千歌「いいんだよ、気にしないで!次で取り返せばいいんだよ!ね?」
透「高海の言う通りだ!切り替えていこう!さあ、次の応援しようぜ!」
「そうだね!」
「次頑張ろう!」
クラスのムードメーカーの千歌と透は皆の指揮を高めた。
このクラスにとって2人の存在はやはり大きい。
こんな温かなクラスの皆と一緒で良かったと改めて思った。
その後の競技は赤組が1位を取ることができず、2位、3位を行ったり来たりしていた。
そして、最終競技の選抜リレーを目前にした時点での各組の順位は...
真司「...3位か」
透「正直厳しいな。選抜の2チームの内、1チームが1位ゴールならワンチャンあるか...」
体育祭最後の競技は選抜リレーだ。
競技は1チーム当たり9人を各組2チーム、計6チームで行われる。
さっきの組別と今から始まる選抜で違うのは参加人数。
組別は学年全員が参加するが、選抜はその名の通り走力に自信があるものが選ばれ、競技に参加する。
赤組に走力自慢がいても、それは他組も同じ。
その中で1位を取るのは中々難しいだろう。
参加者でない真司はただ祈るしかできない。
真司「透がそんな弱気でどうするんだよ。らしくないよ、頑張れ!」
透が口にした厳しいという言葉。
普段なら、"なんとかなるっしょ"でどうにかする透だけど、今回ばかりはそう簡単にいきそうにない。
でも、透にはいつもみたいに皆を引っ張ってくれるリーダー的存在でいてほしい。
透「...そうだな!やるしかねぇよな!真司、応援頼むぜ!」
真司「任せて!」
勝利への決意を固め、参加者の気持ちが昂っていたのも束の間、男子生徒がこっちに走って来た。
どうやら焦っている様子。
男子生徒「おい、次の選抜リレーの2年のやつが走れないらしいぞ!誰か代わりに走れるやつはいるか?」
透「マジ?何があったんだ?」
男子生徒「そいつがさっきの騎馬戦で足を痛めたらしい。無理をして組別に出たらそれが悪化して、今は走れないそうだ」
透「選抜リレーってすぐに始まるよな?俺は選抜リレーのメンバーだし、他に足の速いやつは...」
透は辺りを見回したが、走力自慢の生徒は既に選手登録されているし、他に自信がありそうな人は見つからない。
しばらくして、透は俺の方に目を向けた。
透「そうだ!真司、走れないやつの代わりに出場してくれないか?」
透は手を合わせ、そう言った。
真司「えぇ!?俺が!?」
正直、今はもう疲れている。
走れない人の代わりが務まるかも分からない。
けど、親友に頼りにされている今、それに応えたい。
ただ、真司には次のリレーのスターターの役割があった。
真司「ごめん、実は次のリレーのスターターをやらないと行けなくて...」
男子生徒「そうか、なら仕方ないな...。他をあたるか」
とはいえ、そう簡単に適任が見つかるはずもなく。
3人が困り果てたその時、
善子「先輩方、どうかされたんですか?」
そこに現れたのは、同じ組の善子ちゃんだった。
透「おお、津島か!」
真司「透、善子ちゃんのこと知ってるの?」
透「前にちょっとだけ話したことがあってな。で、話なんだが今、選抜リレーのメンバーに欠員が出てしまって困ってるんだよ」
善子「それなら、中井先輩が出たらいいんじゃないですか?先輩運動神経良いでしょうし」
男子生徒「それがねー、真司は次の競技のスターターらしいんだよ...」
善子「ああ、実行委員の仕事ですか。それなら私が代わりましょうか?私も実行委員ですし」
透「おい、聞いたか?代わりに津島がやってくれるってよ!」
男子生徒「これなら出場の問題は無いな!」
真司「善子ちゃん、本当にいいの?急に変わってもらっちゃったりして」
善子「別にいいですよ?ただピストル打ってゴールテープ持つだけですから」
真司「じゃあ、頼んでもいいかな?今度何かお礼するよ」
善子「そんなの別にいいですよ。それで、ピストルとかはどこにありますか?」
真司「あー、ちょっと口じゃ説明しにくいな。透ごめん、ちょっと道具取ってくるよ。リレー始まるまでには戻るから」
透「了解!ありがとな!」
真司は実行委員のテントに向かう。
真司「あれ?善子ちゃんはさっきの所にいていいよ?すぐ取ってくるから」
善子「私も取りに行くものがあったからついでに行くのよ」
真司「そっか。てか、さっきはなんで敬語で話してたの?普段は今みたいにタメ口なのに」
善子「中井先輩にだけタメ口で話してたら、またあらぬ噂が立つでしょ?そうなったら先輩に迷惑かなと思ったのよ」
真司「なんだ、そんな事なら気にしなくてもいいのに。別に付き合ってる訳でもないんだからさ」
善子「...そうね、私の余計なお世話だったわね」
急に善子ちゃんの歩くスピードが速くなった。
真司「ちょっと、善子ちゃん速くない!?」
善子「先輩が遅いだけでしょ」
真司「そんなに急ぐなら俺に言ってくれればついでに走って取りに行ったのに」
善子「...バカ」
真司「何か言った?」
善子「なんでもないっ!」
その後、明らかにご機嫌斜めな善子ちゃんに道具を渡し、俺は透の元へ急いだ。
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メンバーの突然の欠場に一時はどうなるかと思ったが、何とか間に合った。
あとは...
真司「俺が
透「すまんな真司、そいつが実はアンカーでな...」
真司「それはいいよ、急な欠員だし仕方ない。でもさ、」
透「でも?」
真司「アンカーって3年生じゃないの!?普通!」
選抜リレーは1〜3年の全学年で構成される。
競技そのものは真司が前にいた高校でもあったけど、その時の走順は1→2→3で、アンカーはもちろん3年生だった。
透「なんか知らんけど、うちは毎年クジで走順が決まるんだよなー。今考えると確かに変だな。」
何でこうも大役が回ってくるのだろうか...
運がいいのか悪いのか...
でも、騎馬戦同様決まってしまったものは仕方ない、腹を括って挑むのみ。
入場を目前に控え緊張感が増す
「お互いベストを尽くそうぜ!」
「正々堂々勝負だ!」
真司「うん、よろしく!」
隣の2人を見て、うわっと思ってしまった。
その2人は現役の陸上部。
トラックは1周400mで普通は200m走れば終わりだけど、アンカーは400m走らないといけない。
この2人相手に1位でゴールはできるだろうか。
諦めた訳では無いけど、この組み合わせに最初から負け試合感を感じてしまう。
せめて俺に回ってくる時が1番早ければいいんだけど...
透「まあ、心配すんな。俺が1番に真司にバトン渡してやるからさ」
「言うねぇ、俺たちだって負けねぇからな」
透「望むところだ!」
相手に不安は残るけど、ここは透を信じるしかない。
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入場後、第1走者がスタートラインに着いてから間もなく、ピストルが始まりの合図を告げる。
6チームが一斉に走り出した。
この結果が優勝できるかどうかに直結することもあり、各組の応援はさらに熱が入る。
それぞれが1歩も譲らず、皆が目指すは1位のみ。
こういう時に限って時間が経つのが早く感じる。
気づけばもう第7走者が第8走者にバトンを渡すところまできていた。
第8走者にバトンが渡ったチームのアンカーがスタートラインに向かう。
透がバトンを受け取ったのは6番目。
現在最下位とはいえ、1位との差はそう大きくない。
ただ、前の走者を抜き去り、トップに躍り出るのは至難だろうか。
しかし、その後真司の予想を裏切る光景が目に入る。
透がバトンを受けた時は最下位だったのに、1人、また1人と抜き去り順位を上げている。
そうして透はトップに躍り出る。
あと50m。
透と後ろとの差が少しずつ広まる。
あと20m。
さっきよりも脚の回転は速まる。
あと10m。
透が鬼気迫る表情でここを目指す。
あと1m。
透「真司、頼んだ!」
俺はバトンを受け取った。
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ここまでお膳立てされて負けるわけにはいかない。
俺は初めからほぼ全力で走った。
勝負はトラックカーブ終盤からのラスト100m。
ここで、後ろの方から歓声があがる。
恐らく別チームもアンカーにバトンが渡ったのだろう。
何とか後続から逃げ切らないと...
ほぼ全力疾走で残り半周。
後ろから2人の足音が聞こえる。
明らかに彼らの方がペースが早い。
俺も負けじとペースを上げる。
後続との距離を維持したまま最終直線に差しかかる。
足音がもう真後ろから聞こえてくる。
もう終わった...そう思った時だった。
体育祭のざわめきの中みんなの声援がはっきりと聞こえた。
「真司ー!」
「お前ならいけるぞー!」
「中井君頑張れー!」
クラスの皆の声。
「中井君ファイトー!」
「中井せんぱーい!」
「真司!go go!」
Aqoursの皆の声。
透「いけぇー!真司ぃー!」
走り終えた親友の声。
皆の期待に応えないわけにはいかない。
俺の走りに赤組の優勝がかかっている
足が痛い、肺が苦しい、それでも...
俺は最後の力を振り絞り、200mを走りきった。
正直順位はわからない。
自分視点では3人は同着だった。
疲れた足を休めるため、近くのテントの支柱にしがみつく。
数秒後、皆が駆け寄ってくるのがわかった。
皆が来るってことは1位になれたのかも。
良かった、期待に応えられた...。
「と......な!い......あ...け!」
あれは透の声かな。
ごめんけど何言ってるか分からないよ。
走り疲れて呼吸も乱れる中、透が近づいて来て何とか聞きとれる。
透は何故か焦っているような表情をしている。
透「止まるな!今すぐ歩け!」
何だか急にめまいと吐き気がしてきた。
立って歩くことすらままならない。
徐々に身体から力が抜けていく。
透「真司!」
会場はざわめきに包まれる。
それは熱き戦いを見せた選手達を称えるものでなく、不安によるもの。
透が名前を呼んだ時にはもう遅かった。
真司は全身から力が抜けるようにして倒れた。
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目が覚めると目線の先には白い壁があった。
左右には白いカーテンがあり、自分はベッドで寝ている。
どうもここは保健室らしい。
リレーの直後に体調が悪化してからの記憶が無い。
多分あの後気を失ったんだろう。
ずっとこのままにもいかないから、とりあえず起き上がってみる。
透「おお、目が覚めたか?」
真司「あれ、透?なんでここに?」
透「お前が心配でここにいたんだよ」
真司「そうなんだ、ありがとう」
透「別に気にすんなって。じゃあ保健室の先生呼んでくるからな」
少しして先生がやってきた。
先生「中井君、体調はどう?」
真司「はい、お陰様でもう大丈夫です」
先生「大丈夫そうで良かった。これからは激しい運動の後に立ち止まらないように気をつけなさいね」
真司「はい、気をつけます。ありがとうございました」
先生にお礼を言って、2人は保健室を出た。
透「にしてもなんであそこで立ち止まったんだ?運動後はクールダウンしろとかよく言うだろ?」
真司「それは知ってたけど、1度支柱にしがみついたらもう動けなかったんだ。気づいた時にはもう...
透「そうだったのか。頑張ってくれるのは嬉しいけど気をつけろよ?皆心配してたんだからな?」
真司「皆に心配かけちゃったね。後で謝っとくよ」
透「でも、真司の頑張りは悪いことだけじゃなかったぞ?ほら、見てみろよ」
真司「え?」
透が指さしたのはグランドの方向。
真司はそっちに目を向けた。
そこにはクラスメイトが横に2,3列に並び、こっちに向かって手を振っている。
彼等の列の真ん中にあるのは...
真司「...優勝旗?」
透「その通り!お前のおかげで俺達は優勝できたんだ。ありがとな」
ゴールしたあの時、1位かどうかは正直わからなかった。
ただ足を動かすことで精一杯だったから。
もしかしたら勝てたかもとは思っていたけど、まさか本当に勝てたなんて...
今になってその実感が湧いてくる。
「真司、よくやった!」
「中井君かっこよかったよ!」
「最高の走りだったぞ!優勝もお前のおかげだ!」
「中井君さいこー!」
透「真司、もう動けるか?」
真司「大丈夫、もう良くなったから」
透「じゃあ、みんなのところに行くか!なんたって、俺たちの"ヒーロー"だしな!」
真司「ヒーローだなんて止めてくれよ」
俺はそう言いつつ、保健室の先生にお礼を言ってみんなの元に向かった。
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先生「もう行ったわよ。別に隠れなくてもいいと先生は思うんだけどな」
?「2人の邪魔はしてはいけないと思ったので」
先生「あなた、かなり人に気を使うタイプね」
?「こうすれば、嫌われることは無いですから。私は遠くから見ていられれば十分です」
先生「ごめんなさい、余計な詮索だったね。そろそろ教室に戻らないといけないんじゃない?クラスでの集まりもあるでしょうし」
?「そうですね、教室に戻ります。ありがとうございました」
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透「皆、ヒーローの胴上げだぁぁぁ!」
真司「いや、皆ちょっと待っ...」
真司などお構い無しに皆が一斉に集まり、真司を取り囲む。
透「さぁ、持ち上げろぉぉ!」
真司「ちょっと、怖いって!」
真司は10回近く胴上げされた。
「ヒーローから何か一言無いの?」
「ほら真司、なんか言えよ!」
「締めの一言頼むぞー!」
クラスの皆と頑張った体育祭。
上手くいかないこともあったけど、皆が全力で挑んだ結果目の前の旗を掴むことができた。
...胴上げは怖かったけど。
転校してきて初めての体育祭で最後に言うことがあるなら...
真司「1組ぃー!最高ぉぉぉ!」
俺は大声で叫んだ。
皆も「よっしゃぁぁ!」とか「最高!」って言って盛り上がった。
透「しゃぁ!次の文化祭も気合い入れていくぞぉぉ!!」
「「「おー!」」」
こうして、真司の体育祭は最高の結果で幕を閉じた。
今回は真司に倒れてもらいました。
正直あの状態で倒れるか、倒れたあと救急車を呼ぶべきなのか軽く調べても分かりませんでした...笑
その部分に関しては"そんなもの"として捉えてもらえば幸いです。